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ICC FUKUOKA 2022のセッション「『サステナブル』『ダイバーシティ』はマーケティングのメインストリームになるのか?」、全8回の⑥は、ユーグレナの工藤さんが、18歳以下のCFOによって生まれた意識の変化や、戸田市をサステナブルシティにするプロジェクトについて紹介。正しい取り組みであっても、企業としてはいかにしてKPIを定めるのかなど、気になるトピックが議論されます。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティングにサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 4F
「サステナブル」「ダイバーシティ」はマーケティングのメインストリームになるのか?
Supported by リブ・コンサルティング
(スピーカー)
工藤 萌
株式会社ユーグレナ
執行役員 ユーグレナヘルスケアカンパニー Co-カンパニー長
深井 喜翔
KAPOK JAPAN株式会社
代表取締役
松田 文登
株式会社ヘラルボニー
代表取締役副社長
リュウ シーチャウ
レノボジャパン合同会社
CMO マーケティング統括本部 統括本部長 / NECパーソナルコンピュータ株式会社 コンシューマ事業本部 マーケティング部長
(モデレーター)
山崎 大祐
株式会社マザーハウス
代表取締役副社長
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▶『「サステナブル」「ダイバーシティ」はマーケティングのメインストリームになるのか?』の配信済み記事一覧
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1.「サステナブル」「ダイバーシティ」で社会に挑む企業が集結、事業を語る
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5.マイノリティ側からマスカルチャーに訴えるヘラルボニーの意見広告
本編
未来を生きる当事者であるCFOの提案で、自社ペットボトル商品を全廃
山崎 では、工藤さん、お願いします。
工藤 はい、CFOは私ではなく永田(暁彦CEO)の発案ですが、大好きな事例なのでご紹介します。
▶「現在の経営陣では不十分」。ユーグレナ社が「18歳以下のCFO」を募集した理由(Money Forward Bizpedia)
“F”が“Financial”ではなく“Future”の、18歳以下のCFO(Chief Future Officer:最高未来責任者)を採用し、経営に参画してもらうという取り組みです。
ユーグレナは、東証プライム上場企業の中でも最年少レベルに近いくらい、経営陣が若いです。
そういう若い経営者のいる会社でさえ、「未来を生きる当事者たちの意見を聞かずに、未来に関する意思決定をしている」ことを、社会へのアンチテーゼとして示したいというのがキーメッセージでした。
▶3代目CFO決定(ユーグレナ)
彼らから、Teamsで突然、「なぜ、こんな取り組みをしているのですか?」という連絡が来ます。
私が2019年に入社してすぐに、このCFOの取り組みが始まりました。
初代CFOからは、商品に使用する石油由来のプラスチック使用量の50%削減を目指してくださいと言われましたので、既存のペットボトル商品を全廃しました。
▶ユーグレナ社はCFOと共にペットボトル商品を全廃します さらに、2021年中に商品に使用される石油由来プラスチック量50%削減(ユーグレナ)
食品業界の方なら分かると思いますが、店頭では、ペットボトルと紙容器のドリンクそれぞれの棚が分かれているので、「ペットボトルをやめるので、紙容器の製品を棚に入れてください」とはいきません。
つまり、ペットボトル容器をやめるということは、ペットボトル棚の売上が全てなくなるということなのです。
非常に勇気のいる決断だと思いましたが、サステナブルな容器で売上を立てていきたいという意思表示として、決断しました。
とはいえ、例えばストローをなくすと、衛生面で問題になったり、飲みにくくなったり、使いやすさを削いでしまうこともあると思います。
実際にテストをしたところ、汚い、飲みにくい、直接においが鼻に入るのでまずいと感じる、という意見があったため、お客様がストローの有無を選択できるようにするなど、グラデーションを作りながら実現させる方法を採りました。
これは初代CFOの提案で始めたことですが、化粧品開発でも、カテゴリとしては通常フタがついたジャータイプで作る製品を、比較的プラスチック使用量の少ないチューブタイプにしようという声が現場から上がるようになったので、CFOの発信から全社の意識が変わった事例だったと思います。
戸田市と「とだサステナブルシティプロジェクト」を開始
工藤 もう一つ、先月(2022年1月)発表したばかりなので具体的な活動はこれからですが、埼玉県戸田市と連携協定を結びました。
▶全国初!埼玉県戸田市と(株)ユーグレナが包括連携協定を締結しました(ユーグレナ)
きっかけは、Sioの鳥羽(周作)さんにコーポレートシェフに就任頂いた「ユーグレナ あとはおいしくするだけプロジェクト」です。よく食品会社がするコラボレーションに見えるかもしれませんが、食を通じて社会課題を解決したいという彼の思いと、ユーグレナでシンパシーを感じて発足したものです。
そして鳥羽さんが戸田市のPR大使に就任することになったので、課題を解決する過程をPRしていこうという議論を彼としました。
結果、戸田市をサステナブルシティにしていくプロジェクトになったのです。
ユーグレナとしては、自治体との包括連携協定を結んだのは初めてです。
健康や教育、環境をテーマに取り組んでいますが、これは、自分たちの思いを伝え、必要とする方に必要なときに健康サポートや教育プログラムなどのサービスを提供する基地が欲しいと考えているからです。
スーパーマーケットの食品の棚に製品を置けばたくさんの人が手に取ってくれますが、そこは多くの大企業が参入しているレッドオーシャンであるため、私たちが入っていくのは相当難しいことです。
もちろんチャレンジはしていますが、正面切って戦うよりも、思いを分かっていただける人と一緒に、課題に直面している人を支えることと(※)自分たちの思いを伝えることの両立を探った結果が、この取り組みです。
▶編集注:プロジェクトの取り組みの1つとして、フードドライブ、子ども食堂利用者への食品提供などを検討している。
山崎 ありがとうございます。
売上効果がすぐに出ない新しい取り組みのKPIは?
リュウ 小売店での棚割の話が、非常に気になりました。
容器をペットボトルから紙にすると棚を失うということでしたが、その後、売上は減ったままなのでしょうか?
工藤 減りましたので、紙パックの新製品によってカバーし、今は伸びています。
リュウ 小売側も、今後はそういう容器変更には対応してほしいですよね。
山崎 CFOの件もですが、社会課題への対応やダイバーシティに関する取り組みは、すぐには売上になりませんよね。
どういうKPIを設定し、誰が意思決定するのでしょうか。
工藤 非常に難しいです。
CFOに関しては、取り組みを知ってくださった方が当社に賛同してくださり、コーポレートサイトや自社ECサイトであるユーグレナオンラインへの検索によるオーガニック流入数が増え、結果的にユーザー増につながることも目的の一つでした。
でも結果としては、それには無理があって難しかったです。
一定のコーポレートコミュニケーションにおけるPR効果はあったと思います。
しかし、PRをしたくて行ったわけではなく、当社が会社や社会をより良く変えるために行っていることをCFOの取り組みを通して周知し、PR効果があったということなのです。
山崎 議論はきちんとあって、効果も考えていた、そしてPR効果だけではないという点も話していたのですね。
工藤 勿論です。
経済合理性は常に考えていますし、サステナビリティとの間でヒリヒリしているところですね。
山崎 激しい議論があるのですね。
地域課題との組み合わせで話題を呼ぶ
山崎 それから、社会課題やダイバーシティという文脈においては、戸田市や岩手県などのローカルがフォーカスされますので、どの地域と組むかがかなり重要になると思います。
リュウ オフィスや工場があると、やりやすいですよね。
レノボは米沢に工場があるので、取り組みやすいです。
松田 確かに。
ヘラルボニーは盛岡が拠点ですが、事業を行う場所ではなく、聖地化していく場所だと捉えています。
「宮沢賢治、盛岡冷麺、ヘラルボニー」と連想されるような、観光資源の一つになりたいと思っています。
山崎 自治体にとっては、渡りに船ではないでしょうか?
というのも、観光資源や地域のコンテンツが求められているので、ヘラルボニーのようなコンテンツが生まれると、盛岡は大喜びなのではないでしょうか?
松田 そうですね、10月にはヘラルボニーのホテルもできます。
▶21年度中の開業へ にぎわいの拠点目指すバスセンター(朝日新聞デジタル)
リュウ すごい。
山崎 電車から駅まで、全てヘラルボニーですよね!
松田 いや、そんなことはないですけど(笑)。
でも、すごく応援してくれていて、観光客が来る流れを作るため、行政はうちを利用してうちも行政を利用する、良い関係になれています。
山崎 ダイバーシティや社会課題となると、どうしても大きいところを見てしまいます。
でも、東京で発信しても埋もれてしまうので、地域課題と組み合わせれば、取り上げてもらいやすくなり、主役になれます。
ナショナルブランドなら全国で行うような取り組みでも、ユーグレナは戸田市のような地域と連携すれば、話題になります。
地域とうまく組む必要があると思います。
工藤 勝てる場所を探して勝つという、まさにマーケティングですよね。
山崎 では最後に、レノボ・ジャパンの事例を紹介頂きましょう。
(続)
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続きは 7.大企業で号令化するSDGs、レノボが”隠れESGを探せ”キャンペーンで得た手応え をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸
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