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3. 世界を食べ歩くSyn大野さんが語る、美食新興国のマーケット

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ICC KYOTO 2025のセッション「大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン11)」、全7回の③は、Synのオーナーシェフ大野さんが紹介する世界のガストロノミー事情の最前線です。新しい食のマーケットが生まれる背景として最も重要なのは「ガイドブックとメディアの力」だそう。新興地域のベトナムの星付きレストランの実力は?韓国は国のバックアップで成長中などなど、ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜 3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。


【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 9E 
大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン11)
Supported by EVeM

(スピーカー)
大野 尚斗
Syn
オーナーシェフ

西井 敏恭
シンクロ
代表取締役

長谷川 誠
NTTドコモ
コンシューママーケティング推進担当部長/シニアプロフェッショナル

山本 典正
平和酒造
代表取締役社長

(モデレーター)

榊 淳
一休
代表取締役社長

『大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン11)』の配信済み記事一覧


新しいマーケットをつくるのはガイドブックとメディア

 では大野さん、世界のガストロノミー事情について、お願いします。

大野 国内を食べ歩いている方がいらっしゃるので、僕は海外を見ていこうと思いました。

ガストロノミー事情は1分1秒ごとに動いているのですが、今日は2つのテーマで、いくつかの国に絞ってお話しさせていただきます。

まずは、玉石混交の新しいマーケット。

例えば、食べることが好きな人が多く、色々なお店のある日本はもう、新しいマーケットではありません。

新しいマーケットができる時に一番大事なのは、ガイドブックとメディアです。

そこにはもちろんお金が絡んでくるのですが、ガイドブックと言えば、比較的知られているものだけで、これくらいあります。

細かいものも合わせると、もっとあります。

その星に値する店かどうかは置いておいて、皆さんご存知のミシュランが一番影響力があり……。

西井 Googleレビューで星が1つになるよ(笑)。

ハセマコ 接客を改善してせっかく点数が上がっているのだから、発言に気をつけてください(笑)。

大野 食べログアワードも入れています。

食べログで、僕のお店は非公式のままで4点を超え、百名店にもやっと入れたので、ちょっと大人しくなろうかなと。

Syn(食べログ)

西井 そろそろね。

大野 色々なガイドブックがあります。

イタリアだとガンベロロッソがあり、聞いたことがない方が多いと思いますが、ホワイトガイドは北欧のガイドブックです。

北欧のレストランを調べる時はミシュランよりもホワイトガイドのほうがいいですし、イタリアだとガンベロロッソ、アメリカだとジェームズ・ビアードですね。

日本の場合は最近増えていて、よく分からなくなっていますね。

ボキューズ・ドールという大会などにおいて、日本は国がバックアップすることはほぼありませんが、韓国はすごいです。

Netflixの『白と黒のスプーン』、観ましたか? めちゃくちゃおもしろいです。

西井 料理の鉄人のようなフォーマットで、すごいですよね。

大野 色々な大会に出て色々な思いをした僕のような人間からすると、本当にフェアな戦いです。

ベトナムは新しいマーケットの一つ

大野 先日、ベトナムのホーチミンにある一つ星レストランとコラボしました。

でも、食べないままコラボするのは不安だったので、ゼロ泊2日でベトナムに行って、そのお店の料理を食べてきました。

そこで色々食べて、話を聞いて思ったのは、ベトナムは新しいマーケットの一つであるということでした。

今、美食家やメディア、国、ガイドブックが参入しています。

新しいマーケットには、良いところと悪いところがいくつかあります。

悪いところは、これからポジティブになっていきます。

スライドにある写真は、今ベトナムで人気のあるお店です。

ベトナムミシュランには一つ星レストランしかなく、二つ星以上のレストランはありません。

ポジティブな面は、ビジュアルのクオリティがものすごく高いことです。

そこだけはすごいと思います。

あと、お金を惜しまないのです。

ビジュアルのクオリティが高いのに、肉を焼くなどの調理技術はすごく低かったのです。

クネルという、アイスクリームをラグビーボールの形にする技術は、料理人であれば、できなかったらやばいレベルの技術ですが、星を持っているシェフですらできないという。

クネル – パティシエのための洋菓子・製菓用語集(パティシエント)

でも、盛り付けはきれい。

なぜそうなるかと言うと、ベトナムやマレーシアなど新しいマーケットを構成する国は、国として裕福ではありません。

そういう国で有名になるシェフは、例えばnomaで働いていたなどのキャリアを持っています。

彼らは裕福な家庭に生まれて、運良く海外で修行ができたわけですが、そこできちんと学んできた方もいれば、仮に2週間しか働いていなかったとしても、経歴ではそれが分かりませんよね。

そういう方々が店を出した際、調理技術の低さが露呈するのです。

彼らがそれに気づき、努力すれば改善される部分なので、今後良いお店になるとは思います。

星付きの店より美味しい郷土料理店

大野 新しいマーケットにおけるもう一つの問題は、せっかく良い郷土料理や食材があるのに、輸入食材に頼っていることです。

まあ、日本も昔は、フォアグラやトリュフを使っていたので同じでしたが、やっと今、地方や生産者と結びついて、その人やその国のオリジナリティが生まれています。

新しいマーケットのレストランに行くときは、良い評価を得ているレストランが絶対に美味しいと思うよりも、期待値は低めにして、おもしろいものが見つかるかもしれないという気持ちで行くほうが良いのではないかと思います。

西井 コラボはするのですか?

大野 もうしました。大変でした。

西井 僕、この店は行ったことがありますが、料理技術が違うと思うので、大野さんとはレベルが違って……、おっしゃる通りだと思いました。

ハセマコ 西井さんが行きそうな店だなと思ったら、やっぱり(笑)。

(会場笑)

西井 そうですね(笑)。行きそうな店だから、行きましたよ。

行ったら、大野さんと同じことを思ったので、どうコラボするのかなと。

大野 最初はホーチミンのCieLという、一つ星の新しいお店とコラボしました。

彼らのスペシャリテはこの右下の写真にあるものですが、SÉZANNEの酔っ払い鶏とそっくりです。

コラボ当日は、料理王国などのメディア関係者も来られていたのですが、日本でこれをするとマジでやばいと言われました。

(一同笑)

そういうことが起きてしまうということです。

これは僕が連れて行ってもらったベトナム郷土料理のお店の写真ですが、こっちのほうが、星付きのお店よりもはるかに美味しいのです。

西井 そうなんですよ。

 それはどういうことですか?

大野 素材が生きているのです。

例えば、写真の真ん中にある料理に僕は感動したのですが、黒く焦がしたナスの種に太白ごま油とライムをかけただけなのですが、めちゃくちゃ美味しいのです。

これをガストロノミーにすればいいのに、彼らにとっては「これはみんながもう知っている味だから、できない」というものなのです。

山本 我々も酒蔵を出しているので、ベトナムには何度も行っています。

各地域の郷土料理、地方料理がめちゃくちゃ豊富ですよね。

南北に長いこと、フランス領になったことがあること、中国から近いので中華料理の影響を受けていること、穀倉地帯があることなどで、海のものも山のものも豊富ですよね。

大野 おっしゃる通りですね。

韓国では国が強力支援、フィリピンも新マーケットの一つ

大野 韓国が今伸びているのは、メディアの力です。

彼らのすごいところは、味が分かりやすいところです。

みんなが好きな味で、伸びています。

また、国のバックアップが特に強いですし、スライドの作品はめちゃくちゃおもしろくて、Netflixで観られるので、お時間のある方はぜひ観てください。

西井 国の力が入っているのでしょうか?

大野 100%国の力ですね。

西井 なるほど。

(一同笑)

大野 ベスト50(アジアのベストレストラン50)を韓国で開催したのも、国の力ですね。

2025年「アジアのベストレストラン50」が韓国・ソウルにて発表! 授賞式の現地レポートをお届け(食べログ)

もう一つ新しいマーケットとして、フィリピンがあります。

Centralで一緒に働いていた友達が出店していて、彼らが僕の実家に来た時に料理を作ってくれました。

プラチックをリサイクルした器を使用していたり、食材は島の自給自足で賄ったりしていて、サステナブルです。

島にあるのですが、これから伸びてくるので、機会があればぜひ行ってみてください。

この間、VOGUEで取り上げられていました。

▶︎ペルーの世界一レストランからフィリピンの離島へ。Rootsのメンバーが目指す新しい食のかたち(VOGUE JAPAN)

今行くことをおすすめする変態レストラン

大野 今(現在)行くべき変態レストランは、イタリアとスペインですね。

世界一のフーディーである浜田 岳文さんのドキュメンタリーにも登場したお店も、載せています。

内臓や生ハムに特化したお店が、イタリアの特に地方には多いです。

スライドの左下にあるのは、スペインの、世界一まずい三つ星レストランです。

(一同笑)

いや、この店には美味しさを求めていないので。

本当に美味しくないのですが、新しい経験がしたい方はぜひ行ってみてください。

10万円くらい払えば、まずいけれども、かつてしたことのない体験ができます。

(会場笑)

それも料理ですから(笑)。

西井 本当に、大野さんの店の食べログの点数が3点に戻りますので、気をつけてください。

大野 バルセロナのRestaurante Bonanovaは、郷土料理が本当に美味しかったです。

バスク空港の裏にあるAsador Taskasは、海鮮薪火焼きのお店です。

食べ歩きでスウェーデンとデンマークへ

大野 これは僕のスケジュールですが、11月からスウェーデンとデンマークに食べ歩きに行ってきます。

西井 すごいですね。

大野 今のところ、nomaFrantzénAlchemistといった話題のお店へ行き、コラボも考えています。

ちなみに、趣味と実益を兼ねて、この11月から僕は美食ツアーのガイドをすることになりました。

西井 参加はできますか?

大野 11月のツアーはもう満席ですが、来年(2026年)1月、また台湾からスタートするのでぜひよろしくお願いいたします。

(会場拍手) 

 素晴らしい。

西井 今日お昼を食べながら、海外ではどうお店を探せばいいか聞かれたのですが、回答が出ていたので良かったです。

大野 ぜひ聞いてください。

西井 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/戸田 秀成

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