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9.リブ・コンサルティング関さん「1,000万円の読書投資には、それ以上のリターンがある」

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「大人の教養シリーズ『読書』〜ビジネスパーソンこそ本を読め!(シーズン3)」、全10回シリーズの(その9)は、リブ・コンサルティングの関 厳さんが登場。新卒で入った会社の上司から「必ず月5万円分の本を読め」と言われて読書を続け、1,000万円を超えた今、思うことや、読みながら求めているものを明かします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2021は、2021年9月6日〜9月9日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2021 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティング様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2021年2月15〜18日開催
ICCサミット FUKUOKA 2021
Session 11E
大人の教養シリーズ「読書」〜ビジネスパーソンこそ本を読め!(シーズン3)
Supported by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

朝倉 祐介
シニフィアン株式会社
共同代表

北川 拓也
楽天株式会社
常務執行役員CDO(チーフデータオフィサー)グローバルデータ統括部 ディレクター

関 厳
株式会社リブ・コンサルティング
代表取締役

(ホスト)

嶋 浩一郎
株式会社博報堂 執行役員/株式会社博報堂ケトル エグゼクティブクリエイティブディレクター

渡邉 康太郎
Takram コンテクストデザイナー / 慶應義塾大学SFC特別招聘教授

大人の教養シリーズ「読書」〜ビジネスパーソンこそ本を読め!(シーズン3)


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最初の記事
1.シーズン3突入! 経営者が自らの読書を語り、影響を受けた一冊を語る

1つ前の記事
8.シニフィアン朝倉さんの行動を変えた3冊の雑誌

本編

 よろしくお願いします。


関 厳
株式会社リブ・コンサルティング
代表取締役

東京大学卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。同社にて専務取締役に就任し、コンサルティング部門を統括。2012年、「“100年後の世界を良くする会社”を増やす」を理念に、リブ・コンサルティングを設立。
中堅・ベンチャー向けコンサルティング事業を主事業として日本、タイ、韓国にて事業展開。2018年にはCVC・Impact Venture Capitalを設立し、代表パートナーを務める。

話がより実利的な部分に近づいてきて、ちょうど私のところなのかなと思っていますが、キャリアと合わせて話すと、私は前の会社に入社後、新卒の1年目に子会社への出向で、事業会社において営業関連の業務をしており、テレアポや提案業務をしていました。

2年目から本体のコンサルタント職に戻ってそこで6年ほどやって、役員になった後に不採算の子会社の企業再生などを担当しました。

その後に自分で会社を作りました。

会社のいろいろなステージを経験して、その時々で読んだ本が違うなと思いますが、私の「ビジネスパーソンこそ本を読め」は、ビジネスに特化した話になってしまうのではないかと思います。

あまり奥ゆかしさはなくて、なぜかというと、私はもともと小学生の時は漫画家になりたかったので、ひたすら漫画と漫画の描き方の本を読んでいました。

鳥山 明が書いた、どうやって漫画を描くかという本(『鳥山明のHETAPPIマンガ研究所』)があり、それをやってみると分かりますが、すごく難しいのです。

それで漫画家になることを諦めました。

中学生の時はスポーツ選手かスポーツに関連する仕事に就きたくて、ひたすら『Number』などのスポーツ雑誌を読み続けて、選手が試合にどのように臨むかを知り、「すごいな、これは」と思っていました。

マイケル・ジョーダンの自伝も読んで、「なんだ、これは」と驚くような、そんな生活を送って大学を卒業して社会人になりました。

17年で1,000万円分の読書投資、そのリターンは

 読書に対する考えの変わり方とビジネスとの関わり方ですが、まず新卒で入った会社の上司に本を読むか聞かれたので、「漫画と雑誌を読みます」と言ったら、「ふざけるな、とにかく本を読め」と言われて、「とにかくって、どのくらいですか?」と聞いたら、「月5万円までは会社の経費で出してやるから、必ず月5万円分の本を読め」と言われました。

月5万円というと、30冊ぐらいです。

そんな読めないなと思いながらも、とりあえずどんどん買って、どんどん読んでいくようになり、それをずっと続けていたのですが、年間60万円を使い、社会人生活が17年ぐらいになったので、ちょうど1,000万円を去年ぐらいに超えたのです。

今回「ビジネスパーソンこそ本を読め」の登壇の話をいただいて振り返ると、17年間で毎月5万円を使っても、たかだか1,000万円しか使っていないのです。

その間に1,000万円以上のリターンがあったかというと、間違いなくあるわけです。

本への投資についてよく人が言いますが、1,000万円は外車を1台買ったら終りですが、本はとことん買って17年かけても1,000万円買うのがやっとなんです。

なんて費用対効果がいいものなんだと思いました。

渡邉 量は質的変化を生む!

 そうですね、はい(笑)。

(一同笑)

書籍購入でなかなか1,000万円は使えなくて、17年かけても1,000万円なので、非常にいいものだなと改めて思いました。

強いビジネスは究極の「レア論」から生まれる

 何のために本を読んでいるか、仕事に関して言うと、「自論との出会い」です。

本を読む時、何を探し求めているのかと考えたときに、右は世の中で言われている一般論、左は僕が勝手に「レア論」と言っているのですが、あまり耳にしないような内容で、世の中が思っているのと真逆だったりすることです。

「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」──これは、ピーター・ティールが7年前に出した『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』という本の中の一文です。

偶然ですが、それに近いようなことで、世の中の一般的というか、普通はこう思われているけれど、真実は違うのではないかという、「レア論」のようなものを本の中に探したいと思っています。

なぜこういう発想になるかというと、自分がビジネスをしたり、ビジネスをする人にコンサルタントとして関わる時に、強いビジネスは経営者の差別化された思想から生まれていることがよくあります。

それは客観的に見ると、ここにある「レア論」で、はたから見るとちょっとした思い込みです。

ただその人は違う形で事実を見ていて、それが時間とともに実証されていって、何か結果を生んでいるようなことがあるので、ここにビジネスの差別化要素があるのではないかと思います。

そのため、いかに本の中で「レア論」を探すかということに、とことん向き合っています。

抽象度が高いなかで「レア論」を出すのは、すごく難しいことだと思います。

渡邉 確かに。

 いろいろ考えると、例えば、昔、コロンブスが「地球は丸い」と言ったのは、この4象限の表の、究極の「C」ではないかと思います。

地球はお盆みたいな形で、端が滝だと言われていた時代に、自分は球だと思ってそれを実証して自分で行ってしまうのは究極の「レア論」の証明で、そこに財があったらもっとすごかったのだと思いますが、そういうことだなと思いました。

あとは身近なところでいうと、私はセブン-イレブンの創業者の鈴木 敏文さんがすごく好きなのですが、彼は『鈴木敏文の「統計心理学」 「仮説」と「検証」で顧客のこころを掴む』の中で、今どんどん多様化が進んでいるというけれど、それはあまり事実ではないと言っています。

どういうことかというと、コンビニの売れ行きを見ると、あるものが爆発的に売れて一気にピークが落ちてくるらしいのです。

それを1年間の中で繰り返していて、1年間をデータとして見ると、いろいろなものが流行ったため多様化に見えるけれども、実はすごく同質性が進んでいて、サイクルが短くなったので期間を切り取ってみると多様化に見えるのだという見方をしています。

これは世の中で言われている一般論と全く逆のことをやって、ビジネスで検証をかけているという点で、非常に面白いなと思っています。

鈴木敏文「成熟期こそ消費は画一化する」(日経ビジネス)

いかに「C」のところに出会うか、そういう発想を自分ができるようになるかを探し求めて、本を読んでいるのかなと思っています。

抽象度の高いものは、具体的に表すべき

Takram コンテクストデザイナー / 慶應義塾大学SFC特別招聘教授 渡邉 康太郎さん

渡邉 僕がこの話に勝手に乗っかりますと、僕は企業のビジョン・ミッションの言語化をお手伝いする仕事がすごく多いのですが、結局ものすごく抽象的な言葉に落ち着きがちで、それが本当にいいのかどうか、だんだん分からなることがあります。

社名を隠したら競合他社でも言えるものは非常に多いし、しかし違うものを目指そうとしても、独自性をミッションレベルまで押し上げられるかというと、結構ハードルが高い。

グループ会社もたくさんあるし、これは全体では言えない、ということがあります。

ミッションやビジョンという抽象度の高いところだけで何かを言い切ろうとすると無理があると思うので、何らかの具体によってそれを表象させるべきなのです。

例えば、ナイキには、「身体さえあれば、みんなアスリート」というスローガンがあります。

NIKE JAPAN : Press Release

一見すごく普通の表現ですが、例えば身体障害者の人も、そもそも運動していない人も、生きていて身体があればすでにアスリートであるというような具体のシーンを広告キャンペーンなどと組み合わせてみることで、やっと意味を帯びます。

つまり抽象的な言葉だけで意味を帯びさせる必要もないし、1つの具体キャンペーンやCMだけで意味を帯びさせる必要もない。具体と抽象が行ったり来たりするなかで、何かイメージが築かれる。その両方向性みたいなものが重要かもしれません。

今、関さんが話してくれたのは「レア」と「一般」の行き来でしたが、「抽象」と「具体」の行き来でも同じようなことは言えるかもしれないですね。

 ありがとうございます。

渡邉 お邪魔しました。

圧倒的なインプットの量でアウトプットの質を変える

写真左から、リブ・コンサルティング関さん、博報堂ケトル嶋さん

 そういったものを探しながら読書しているのですが、情報収集としての読書について紹介したい話があります。

昔、仕事をしていた北関東でビジネスのすごく上手な方がいて、自分で中卒だよと言っている方ですが、出す製品、出すサービスがことごとく当たるのです。

その方は月間で雑誌を40冊読み、テレビを毎日10時間分録画して、家に2時に帰って3時に寝るまでの1時間でテレビ3台をずっと早送りで見続けて、世の中の流行りという流行りをテレビと雑誌からインプットするのだそうです。

そして「別に僕は何もひらめいていないけれど、人の何倍も情報を入れて、それをちょっとアウトプットすれば、ヒットなんかできる」と言っているのです。

視点の持ち方が面白いわけではなく、情報の収集量をけた外れにすると、先ほどの10倍の話ではありませんが、世の中の先が見えるということなので、「レア論」の出し方は、他の人の情報の収集量の限界を超えたところでも生めると教えてもらいました。

いろいろな情報の収集法があるんだということを、若い時に学ばせてもらったと思います。

 それは無茶苦茶よく分かりますね。

博報堂ケトルという会社では、民放キー局は全部つけっぱなしで、どこにいても、どこからでも5局映っているし、新聞のその日の1面が全部見られるようにしています。

Yahoo!のトップページをリアル空間につくるようにしてる感じですよ。ワイドショーはこれを取り上げるなとか、このタレントがきているなとか、世の中の動きを体感で理解することができて、今誰をキャスティングすると一番うけるかが、よく分かるようになります。

 実際に稼ぐというビジネスで、そういうことを応用している人がいるんだなというのが、すごく面白かったです。

(続)

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続きは 10.ジャパン・ブランドと企業の活動を一体化する軌跡を描いた『MADE IN JAPAN』【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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