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4. “美食イノベーター”山本さんが最新開拓店を紹介

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ICC FUKUOKA 2023のセッション「大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン6)」、全8回の④は、ハセマコさんと双璧を成す美食家、サマリー山本 憲資さんが最新の美食活動で開拓した店を紹介。話題の店から知る人ぞ知る名店まで、今回も見逃せないラインナップが揃いました。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜 9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください

本セッションのオフィシャルサポーターは ノバセルエッグフォワードです。


【登壇者情報】
2023年2月13〜16日開催
ICC FUKUOKA 2023
Session 10F
大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン6)
Supported by ノバセル
Co-Supported by エッグフォワード

「大人の教養シリーズ「美食」について語りつくす(シーズン6)」の配信済み記事一覧


 では続いて、山本さん、最近のおすすめの美食、美食の先進事例をお願いします。

美食イノベーター山本さんがおすすめするローカル店

山本 先週も福岡と佐賀に来ていて、何店か行ってきたので、今回はローカルのお店を紹介しようと思います。

これはハセマコさんもご存知ないのではと思うのですが、スライド一番左のナマコのお皿は、太宰府の棒お店の、、、という…、ご存知ですか?

長谷川 全く知らないです、さすが(笑)。

山本 やったね(笑)。

Instagramで、福岡のグルメに詳しい方の投稿で見かけて、その人も店の名前は出していなかったのですが、色々な情報を手繰り寄せて突き止めてこの前行ってきたのですが、めちゃくちゃ美味しかったのです。

 その写真を見て、美味しそうだと思ったのですか?

山本 いくつかInstagramに投稿されていました。

僕はそういう探し方が割と好きで、食べログの点数が高い店よりも、投稿と写真でその人の好みや食の傾向を何となく想像し、その中でもとびきりおすすめしている店を開拓していくという感じです。

長谷川 これはまさに、美食ディープラーニングですね。

画像1枚から美味しそうかどうかを想像するという…、山本さんが話すとあまり気持ち悪く聞こえないですね(笑)。

山本 そうですね(笑)。

(会場笑)

長谷川 どういうことなのでしょう(笑)。

榊 文化人っぽく話すと普通ですね。

山本 僕は食べるのが趣味なので、食べるのに命はかけていません(笑)。

その差かもしれませんね〜(笑)。。

佐賀は食材が豊かで器も有名なので、半年に1回、全国の著名な料理人を招いて、地元の料理人とコラボレーションし、佐賀県の食材で作った料理を佐賀県の美術館の展示されているような器で食べるという「USEUM SAGA」なるイベントを、県主催で定期的に行っています。飾るだけでなく使うという意味で、”USE”UMというタイトルがついてます。

先週それが開催されていたのにお招きいただきまして今回は僕が好きな、サウナが有名な御船山楽園ホテルが会場でちょうど行ってきたところです。

ゲストシェフが、「とおの屋 要(よう)」の佐々木(要太郎)さんでした。

武雄市は、TSUTAYAの経営母体が運営している図書館(武雄市図書館)でも話題ですが、ローカルでも有名な「井手ちゃんぽん」というちゃんぽん屋があります。

ハセマコさんも…?

長谷川 もちろん、知っています。

山本 そこのカツ丼が美味しいのです。

榊 それはまた、新しいですね。

山本 ただ、僕は知らなかったのですが、福岡空港に井手ちゃんぽんのカツ丼屋(「井手カツ丼」)があるのです。

西井 ありますよね、分かります。

山本 さすが西井さん、知っていますね。

大してマニアックな話ではないのですが、ちゃんぽん屋のカツ丼も美味しかったです。

西井 皆さん是非、福岡空港で。

山本 お時間のある方は、今日これからでも明日でも、先程の居酒屋に……。

菅原 今日これからでも(笑)。

山本 電車で30分くらいですし、めちゃくちゃ遠くはないので。

菊鮨」からも近いです。

長谷川 山本さんはまさに、先ほど話した「美食イノベーター」ですね(Part.2参照)。

誰も知らない、食べログの点数も低い、山本さんが独自のスタイルで探しているからこそたどり着いた店です。

山本 最近は、ICCサミットに来る時も、予約をしないようにしています。

そうすると、店を探さざるを得なくなるので、むしろ楽しいです。

西井 何気に僕のことをディスっていますか(笑)?

山本 完全にディスっています(笑)。

菅原 今しれっと言いましたが、普通、「菊鮨」に行った後に行かないですからね(笑)。

榊 あと、「割と近い」と言いますが、一般人の感覚では、電車でここから5分くらいが「割と近い」なのです。

菅原 そうそう。

榊 太宰府は……。

山本 いや、日本国内はどこも、東京~横浜くらいの感覚です。

麻布界隈で話題の薪焼き料理店

山本 スライドの真ん中の2つは、話題の店です。

一つは「膳処末富」で、渋谷の割烹「末冨」とは別ですが…。

長谷川 薪焼きの店ですよね。

山本 「薪鳥新神戸」「鈴田式」などと同じグループの、薪焼き料理です。

オーナーの末冨さんはもともと広尾の日赤通りで「肉匠堀越」という店を1店目のお店としてやられていましたが、それは最近クローズしました。

麻布十番にあった「さかなや 富ちゃん」という有名な居酒屋がご実家で、その跡地で「薪鳥新神戸」をオープンし、「膳処末富」は昨年末にオープンしました。

菅原 「紀茂登」の一番弟子も…。

山本 「麻布室井」は、「紀茂登」と「膳処末富」が関わっていますね。

しかしあの周辺は都市計画で立ち退きをしなくてはならず、今年5月頃には全て閉まる予定とのことです。

良い話だと思うのは、ご実家の思い入れのある場所なので、半年後に閉めないといけないのに内装にもお金をかけ、肉料理を進化させた形を結実させたいという思いで経営されているようです。

「薪鳥新神戸」と「鈴田式」の良いところ取りで、進化させたような感じです。

スライドにある写真は、ゴボウの入った土鍋ご飯に薪を入れ、薪の香りをつけたゴボウご飯です。

めちゃくちゃ美味しかったです。

西井 この店はもう閉まってしまうということですか?

山本 5月には。

西井 もう予約は取れない?

山本 僕は取れますが、普通は取れないです(笑)。

西井 いやいや、何言ってるんですか、呼んでくださいよ(笑)。

榊 ということは、取れないということですよね?

山本 一応、もう埋まっていると聞きました。

西井 ずるいなあ、本当に。

山本 「薪鳥新神戸」「麻布室井」は移転しますが、「膳処末富」は閉店ということです。

末富さんはもうキッチンには立たないと言っていました。

有名ペルー料理店の支店が東京にオープン

 スライドの、水色の料理は?

山本 2022年のワールドベストレストラン(The World’s 50 Best Restaurants)で2位の、ペルーの「Central」の支店「MAZ(マス)」が、東京ガーデンテラス紀尾井町に去年オープンしたのですが、そのお店の一皿です

僕はフュージョン的なものはあまり好きではないのですが、一度行ってみたらめちゃくちゃ美味しかったです。

これはスペシャリテで、タコに海藻で色をつけたものですが、ちゃんと美味しかったです。

ペアリングも結構変わったワインが出て美味しかったので、一度は行く価値があるのではないかと思います。

ハセマコさん、行きましたか?

長谷川 僕が行かなさそうなところを攻めてきますね(笑)。

山本 思ったよりも良かったです。

長谷川 本当ですか、じゃあ行ってみよう。

山本さんがそう言うなら、行った方がいいと思うので。

山本 何度も行かれるか分かりませんが、来なくて良かったと思わなかったので…伊達に2位じゃないと思いました。

 たまたま先日うちの会社が、東京ガーデンテラス紀尾井町ビルに引っ越したのです。

入口が謎ですよね。

山本 押して入る、みたいな。

 でも予約は取れるらしいですよ。

山本 まだ取れます。

菅原 4階の、「ラ・プレシューズ」のクロワッサンも美味しいですよ。

西井 さすが(笑)。

菅原 ケーキ屋ですが、クロワッサンだけは自分たちで作って、他のパンは「d’une rarete(デュヌ・ラルテ)」から仕入れています。

クロワッサンだけを食べてみてください。

 ありがとうございます。

西井 この水色は何なのですか?

山本 海藻とタコスミを混ぜたものですね。

西井 不思議とペルーのレストランは、ワールドベストレストランのランキング上位に多いですよね。

ガチのペルー料理なのですか?

山本 ガチのペルー料理です。

西井 スペイン風などではない?

山本 そもそもペルー料理には、スペイン料理の要素が入っていますよね。

でも、きちんと「Central」の料理を提供しています。

ペルーは、ガストン・アクリオが有名ですが…。

世界のトップシェフに聞く食の未来!ペルー料理の伝道師ガストン・アクリオさん(料理王国)

長谷川 ペルー料理は色使いが独特ですよね。

ブルーとか紫とか、日本では食欲をそそられないから避けるような色にチャレンジしているのがすごいですね。

山本 奇抜さよりも美味しさを基本に、自分たちのナチュラルな感覚の延長線上に設計されているものなのだろうな、と食べて思いましたね。

西井 僕がバックパッカー時代に知っていたペルー料理とは、全然違うのですよね。

すごいなと思います。

山本 ぜひ一度、行ってみてください。

美食の先進事例「ホテルポップアップ」

 では、続いて先進事例をお願いします。

山本 先進と言うほどでもないのですが、外国人旅行客が戻ってきたので、イベント的に、ホテルでポップアップをすることが増えてきました。

これは僕が行く予定のイベントです。

菅原 僕、「SÉZANNE」と「山﨑」のイベントは行きます。

山本 それも行きます。

一番上は、「カンテサンス」のソムリエだった小澤(一貴)さんが独立して東麻布にオープンした「Crony(クローニー)」というお店です。

2021年、三井グループが社運をかけて二条城の近くに作った立派なホテル、HOTEL THE MITSUI KYOTOで、3月上旬にイベントを行います。

Crony in Kyoto @ HOTEL THE MITSUI KYOTO <2023.3.10~2023.3.11>(HOTEL THE MITSUI KYOTO)

「Crony」は、ホテルのポップアップは初めてですかね。

小澤さんは軽井沢でご近所で、誘っていただいたので行きます。

先ほど西井さんがデンマークまで行かれたとおっしゃっていた「noma」が、エースホテル京都に来るので、僕はデンマークのお店は行ったことがないですが…。

エースホテル京都が世界一のレストラン「noma (ノーマ)」を招聘(PR TIMES) 

菅原 「noma」は、これでポップアップは終了しますよね?

山本 ポップアップ自体は継続するみたいですが、コペンハーゲンの通常営業は来年末で終了するようですね。

あれだけ人気で、殿堂入りだ、世界ナンバーワンだと言っても、1人10万円取ってもなかなか回らないので、いわゆるリテール的営業はやめるようですね。

菅原 多分、本家では5万円くらい、エースホテル京都で10万円強くらいですね。

山本 そうですね。

 「noma」は、食事だけで参加できるのでしょうか?

ポップアップの場合、だいたい宿泊とセットで……。

山本 通常、2泊付きですね。

長谷川 一休の社長みたいなことを言い出しましたね(笑)。

(一同笑)

 一応ね(笑)。

▶編集注:榊さんは株式会社一休の代表取締役社長です

西井 一休で予約は取れるのでしょうか?

 お金さえあれば。心技体の、「体」の財力さえ整っていれば。

西井 正面から行っても、もう予約は全く取れないと言われるので……。

山本 何分かで完売しましたね。

菅原 席を押さえている人は押さえていますね、席だけの予約もありましたよ。

西井 そうなんですね。

菅原 今はもう埋まってしまっていると思いますが。

山本 正面からだと、なかなか厳しいかもしれないですね。

3つ目が、フォーシーズンズホテル丸の内にある、ダニエル・カルバートという天才的なシェフのお店「SÉZANNE」と「山﨑」のポップアップです。

<3月12日・丸の内で開催>「山﨑」と「SÉZANNE(セザン)」の若きシェフによる1日限りの美食紀行(IGNITE)

2人のシェフが一緒に作る食のイベントは、シェフの手が4本になるので「フォーハンズ」と呼ばれます。

それぞれのお店に行った方が美味しいことが多いので、僕はフォーハンズ、つまりコラボレーションのようなものはあまり好きではないのです。

選べるのであれば、それぞれのお店に行きたいのですが、「SÉZANNE」と「山﨑」はどちらも何度か行ったことがあってめちゃくちゃ好きで、シェフとも親しいので、あの真面目な2人がコラボレーションをするのであれば、真面目なものになるだろうと思っています。

お祭りだからダイジェスト版、みたいなのは好きではないのです。

長谷川 これは、レシピを一から作り込むのでしょうか?

実は僕も同じ意見を持っており、それぞれのお店のスペシャリテを4皿、5皿ずつ出すのであれば…。

菅原 半々だと言っていましたよ。

長谷川 そうなんですね、せっかくフォーハンズでやるなら…。

山本 ただ、彼らの場合は少なくとも、組み合わせや出し方はめちゃくちゃ考えるだろうと思うので……。

菅原 あと、今回は「SÉZANNE」で作るので、ちょっと変わっているらしいです。

長谷川 ちょっと西井さんが割って入って来れない雰囲気になっていますね。

西井 あの……僕は今、会場の皆さんと同じ気持ちで、どうしようかなと思っています(笑)。

菅原 ちなみに、このイベントはランチとディナーの各回25席ほどしかないのに、なぜか、そのうちの2人がここにいるというのが…。

 まあ、変態美食家が参加するわけですね。

山本 「山﨑」の予約はもう取れないですが、「SÉZANNE」は予約がまだ取れるので……。

菅原 「SÉZANNE」は予約が取れますよね。

山本 めちゃくちゃ美味しいので、ハレの日にぜひ。

あと、ダニエル・カルバートは、日本の食材をグローバルの感覚でお皿に落とすのがめちゃくちゃうまいのです。

外国人を連れて行っても、いわゆるフレンチではなく、日本を感じられるグローバルな料理を出してくれるという意味では、世界随一の店ではないかと思いますので、外国人の友達にも勧めますね。

「山﨑」も、何度行っても美味しいですけどね。

アフターコロナでホテル開催イベントが続々

山本 最後はポップアップではないのですが、話題のお店です。

去年、虎ノ門に「東京エディション 虎ノ門」というホテルができて、「The Jade Room + Garden Terrace」というレストランが入っています。

トム・エイキンズというスターシェフの店で、月末に来日するので、そのディナーイベントにお招きいただいたので、行ってきます。

そういうホテルでのイベントが盛り上がっているのは、すごく…。

 すごいですね、背景が何かあるのでしょうか?

ホテル側が開催したがるのでしょうか?

山本 まず、外国人旅行者が戻ってきているので、お客さんを呼びやすいのはありますね。

日本に住む人だけで席を埋めるのは大変なので。

「noma」は京都中のホテルに声をかけていたらしいのですが、スタッフ全員の2カ月分の滞在費負担などホテル側に課されている条件が厳しく、超高級ホテルとなると、スタッフの滞在にかかるコストが高くなりすぎず、現実的な料理のコースの価格にするところにハードルがあり受けられなかったみたいです。エースも十分高級ですけどね。

菅原 沖縄で開催されているものだと、料理にお金を使う富裕層たちをホテルに誘導し、ホテルの常連客にしていきたいという目論見があるようです。

まさに一休のダイヤモンド会員的な…。

 そうなんですよ。

こういう話が増えてきていますが、変態美食家の世界でも語られるのは良いことですね。

山本 エースホテルは1泊3〜4万円くらいですよね。

1泊10万円の部屋をスタッフに2カ月も提供するとなると、やっぱりハードルがあったのかもですね。

あと、僕は行く予定にはしてないのですがが、今月末にヒルトン東京で、シンガポールの薪焼きの人気店「バーント・エンズ」のポップアップがあります。

【ヒルトン東京】ミシュラン 1 つ星&「世界のベストレストラン 50 」に選出されたシンガポールで最も予約が取れないレストランの1つ「Burnt Ends (バーント・エンズ)」を 日本初 招聘(PR TIMES) 

そういうイベントが再び開催されるようになって、面白いなと感じました。

 ありがとうございます。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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