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ICC KYOTO 2025のセッション「ウェルビーイング経営を語り尽くす」、全7回の⑤は、小島 玲子さんが、丸井グループのビジョン2050を紹介、社員の「好き」を応援するコンクールなど、「好き」をキーワードとして体現する経営を語ります。「利益」と「幸せ」の二項対立を、「好き」と「フロー(創造力を全開にした状態)」で乗り越えていく丸井のウェルビーイング経営の考え方を、ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは住友生命保険です。
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【登壇者情報】
ICC KYOTO 2026
Session 8B ウェルビーイング経営を語り尽くす
Sponsored by 住友生命保険
(スピーカー)
石川 善樹
公益財団法人ウェルビーイング for Planet Earth
代表理事
小島 玲子
丸井グループ
取締役上席執行役員CWO
中川 淳
PARADE
代表取締役社長
蓮田 健一
hacomono
代表取締役CEO
(モデレーター)
藤本 宏樹
住友生命保険相互会社
常務執行役員
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「ウェルビーイング」は新しい言葉ではない
小島 私は25年産業医をしていますが、「なぜ産業医がCWO、Chief Well-being Officer?」と聞かれることが多いので、最初にお話しします。

なぜなら、ウェルビーイングが健康の定義だからです。
WHOが健康の定義を出していますが、健康とは病気でないとか、弱っていないということではない、と。
健康診断に問題がないとか、メタボでないとか、メンタル不調でないということイコール健康、ではないということです。
肉体的にも、精神的にも、社会的にも、すべてが満たされた状態にあること(ウェルビーイング)、と書いてあります。
▶世界保健機関(WHO)憲章とは (日本WHO協会)
つまり、ウェルビーイングは、全然新しい言葉ではないのです。
WHO憲章が採択された1946年は、第二次世界大戦が終わった翌年です。
だから、ウェルビーイングは全然新しい言葉ではないということと、私は医師なので、健康の定義はこれですよということを、ずっと言い続けていました。
健康診断の結果が出て今年は2kgやせましたとか、そういうことではなくて…、そういうことでもいいのですが、「ウェルビーイングの状態が健康なのですよ」と20年間言い続けていたら、丸井グループのChief Well-being Officerになっていました。
先ほど蓮田さんから「ウェルネス」という言葉が出ましたが(Part.1参照)、私の好きなウェルネスの定義は、「ウェルネスとはより成功した生存のあり方を知り追求する、積極的な取り組みである」です。
人に言われてやるのではなくアクティブプロセスであるところ、自分の情動が乗るところでやっていくのが、とてもいいなと思っています。
中川さんのお話にもすごく共感していたのですが、丸井グループのビジョン2050はこれです。

「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」
これのために全ての活動があります。
▶VISION BOOK 2050(丸井グループ)
社員とか社外とかではなく、6つのステークホルダーである、顧客、株主・投資家、地域・社会、取引先、社員、将来世代の重なり合う「利益」と「しあわせ」を拡大するのがウェルビーイングで、それが丸井グループの目指すビジョンです。
丸井グループのウェルビーイング経営の定義を問われたら、「ビジネスを通じてあらゆる二項対立を乗り越える世界を創る」ための活動だと答えています。
各企業や各団体で、自分たちが目指すビジョンはこれで、それがウェルビーイング経営だと言えればいいのではないかと思いますので、細かい言葉で言うよりは、私たちはこう考えていますということでいいのではないかと、私も思っています。
「好き」を応援するコンクールを開催

小島 では、どんな風に実践しているのかご紹介しますと、キーワードは「好き」です。

丸井グループの株主総会が6月にありましたが、株主総会の資料はパワーポイントで20枚ぐらいある中で、このハートマークが60くらい出てきます。
▶MARUI IR DAY 2025(インパクト&戦略ストーリー説明会)(丸井グループ)
藤本 ほう(笑)。
小島 ハートマークがたくさん出てくる株主総会は、なかなか少ないかもしれませんが(笑)、「好き」がキーワードです。
「社員の好き」はお客様の「好き」と重なるところが当然あるはずなので、取り組みの一部として「好き」を応援するコンクールを開催し、「好き」をビジネスにしたい人集まれと、手挙げでビジネスをしています。

▶「好き」を応援するコンクール ~社員の「好き」を活かしたイノベーション創出~(丸井グループ)
右側の写真の新宿丸井のアルバイト社員の女性は、300人ぐらいいる会場で、「博物館の魅力を知ってほしい!」と叫びました。
藤本 へえ。
小島 この方は、オーディエンス賞を受賞して、ミュージアム エポスカードというサービスが2025年3月にローンチしました。

丸井グループは、日本で初めてクレジットカードを発行した会社ですけれども、ミュージアム エポスカードというクレジットカードが事業になりました。
国立科学博物館がクラウドファンディングをして資金を集めたのは記憶に新しいと思いますが、運営に困っている博物館や美術館を応援したい博物館好き、美術館好きの方はたくさんいるので、そこをつなげるカードを作ろうというのが、彼女のアイデアでした。
▶国立科学博物館に寄付9.2億円 クラウドファンディング 2023年11月6日(日本経済新聞)
左側は、受賞した女性も映っていますが、3月に国立科学博物館、国立美術館の館長さんたちと記者会見をした時の様子です。
新規入会につき1,000円が寄付され、カード利用金額の0.1%が博物館に寄付されます。
応援したい方が、応援できて、好きなカード券面を選んで持つことができます。
右端のフタバスズキリュウは、『ドラえもん』にも出てくる恐竜ですが、恐竜好きな方がこのカードを持つというような、「好き」を起点にしたカードはほかにも88企画あり、カード会員は100万人を超えています。
このように、「利益」と「しあわせ」の重なり合いが広がってきています。
社員が元気になってくると、株価も過去最高に

小島 アクティブプロセスである「手挙げ」を、15年以上推進してきました。
社員のウェルビーイング指標となる、仕事上のゴールが明確である、尊重されている、強みを活かしてチャレンジしている割合がこちらです。

私は産業医なので分かるのですが、ストレスチェックの回答率は99%で、ほぼ全社員のデータです。
2012年の数値はひどいですが、前年の2011年は大赤字で会社が潰れる寸前の頃でした。
ここから社員が元気になってくることと合わせて、株価も過去最高になっています。
ただ、「自分の強みを活かしてチャレンジしている」人は52%しかいないので、次の課題は挑戦マインドだと思っています。
「好き」×「フロー」で利益と幸せの二項対立を乗り越える
小島 中川さんのスライドに、「没頭・フロー状態」と書いてありましたが(Part.3~4参照)、そこに今注力をしています。

自分の能力を最大限使ってやりたいことに挑戦している、没頭している社員を増やしていこう、それが「利益」と「しあわせ」の重なり合いには大事だと考え、計測を始めています。
これは全社員のデータで、能力を活用している度合や挑戦している度合が高い人をフロー状態に入りやすい社員と定義し、2025年は57%まで上がりました。

これを高めていくことを、全社のKPIにしています。
こちらは「好き」と「フロー」の関係です。

好きなことに没頭するからフロー状態になるという「結果」なのですが、好きを仕事に活かせている人のフロー比率は、そうでない人の8倍高く、管理職よりも高いことが分かっています。
ということで、「好き」×「フロー」を通じて、利益と幸せの二項対立を乗り越えていく、それを丸井グループはウェルビーイング経営と言っています。

そのことによって、IRR(内部収益率)も10%以上と試算しています。
「利益」と「しあわせ」の重なり合いを拡大
小島 価値創造の流れはこのような感じです。

6つのステークホルダーの「利益」と「しあわせ」の重なり合いを拡大するのが、ウェルビーイング経営です。
方法は色々ありますが、社員に対しては、「働く人の活力と創造性向上」です。
そしてアウトプットについては、先ほどのミュージアムカードをはじめとして、「好き」を応援するカードを88企画、会員数も100万人以上と、かなり広がってきています。
それ以外にも、同じ価値観でのビジネス、サービスが広がっています。
そのことによって、有形資産への投資の内部収益率が10%なのに対し、人という無形資産への投資の内部収益率は12.7%となり、株主資本コストを上回る見込みであることを、IR等でもステークホルダーの方に示しています。
丸井グループは2011年に経営赤字でしたが、2013年以降は12期連続増配を達成し、年間配当金は過去最高を更新しています。

ということで、利益と幸せの二項対立は乗り越えられると思って進めていきたい、簡単に言うとこのような活動をしています。
藤本 簡単に言われましたが、すごいですねえ(笑)。
ちなみにフローで働いている人の割合が57%まで増えましたが、フローで働いている方の割合と自分自身がウェルビーイングを感じている割合は、比例しているのですか?
小島 フローで働いている状態のことを、ウェルビーイングだという風に考えています。
ウェルビーイングは心地良いとか、気楽でなく、丸井グループでは、やりたいことに挑戦して、生き生きして活力が高い状態のことをウェルビーイング、そのことをフロー状態と言っています。
色々なウェルビーイングがあっていいと思っていますが、丸井グループとしては、特にそこに注力しています。
藤本 なるほど。
(続)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美


