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「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」【F17-2C】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!9回シリーズ(その2)は、太宰府天満宮の西高辻さんとNOSIGNER太刀川さんを中心に伝統と革新の関係性について議論して頂きました。ぜひ御覧ください。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2018は2018年9月3日〜6日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
▶「伝統から革新を生み出す挑戦者の取り組み」の配信済み記事の一覧
中竹 早速ですが、今日のテーマは「伝統から革新を生み出す挑戦者」ということで、今日は挑戦者の皆様にお集まりいただきました。
ジャンルが全く違いますが、今回すごく楽しみなのは、神職さんとお坊さんが一緒にいること。なかなかないですよね。
しかも、お二人とも伝統から革新を生み出している挑戦者で、恐らくその業界では色々言われていると思いますので、今日はそういったところも色々聞ければいいなと。
多分色んな勇気をもらえると思います。
今回テーマが大きくて、伝統とありますが、その伝統というのは人によってどのぐらいの尺度を定義として伝統というのかは違いますし、その中にある伝統の良さ、逆にもどかしさもあると思います。
それぞれの伝統の定義と、それに感じるポジティブな面、ネガティブな面、この点を簡単にお話いただければと思います。
西高辻さんからお願いします。
変わらないように見せるために、いかに変わるか
西高辻 伝統というと真っ先に「変わらないもの」を多分みなさんはイメージされていると思います。
しかし、太宰府天満宮は1,100年の歴史がありますが、その移り変わりを見ると、本当に色んな浮き沈みがあり、世の中が変わっていく中でどうあるか、ということに非常に苦労した、頑張ってきた歴史でもあります。
その中で、何を大事にして変えないようにしているかというと、まずは神社なので、祈り・御祭を綿々と続けていくという部分です。
それ以外のことについて考えると、1つは環境です。神道では、自然とどうやって共生していくかということが大切で、自然環境をどう残していけるかをずっと考え続けていて、今も考えています。
このように変えないものがありながらも、逆に変わっていく部分も多くあります。社会は常に動いて変化していくので、その中で変わらずに同じところに留まっていると、社会と隔絶してしまうというか、離れてしまうんですね。
そうならないためにどうしたらいいかというと、変えないものを持ちながらも、社会に合わせてフレキシブルに動いていく、ということも必要になってくるのではないかと思います。
その中で少しずつ動いたり、逆に社会や世の中を先取りしたりすることで、長く続いてきたんだと思います。
もう1ついうと、いかに「変わらないように見せるために変わっていくか」、ちょっと逆説的なんですが。
中竹 深いですね。
西高辻 はい、自然を例に取ると、境内はいつも綺麗ですね、と言っていただきますが、木とかもそのままにしていくと荒れ放題なんですね。
手入れを続けて変えていくことによって初めて変わらないように見せることができると、変わらないように見えてくる、それをどうやって作るか、ということを考えています。
中竹 面白いですね。
確かに自然のように見えるのってかなり手が加わっているってことですよね。
色んな取り組みをされているので、あとで実際に実際の画像も見たいと思いますが、デザイン寄りの話しになってきましたので、太刀川さんが見た伝統と、今やられていることをお聞かせください。
伝統との接続の仕方で表現の強度が変わる
太刀川 もちろんデザイナーとしては「響く形を見つける」というのが1つのテーマになるわけですね。
どういう形であるべきなのか、どういう形だったらそれはベキ論、論理だけではなくて感覚的に見ても響くものになっているか、素敵だと感じてもらえるものになっているか、ということを思うわけです。
例えばグラフィックデザインが分かりやすいかもしれません。
全ての書体には、その書体にまつわる歴史があるんですね。
例えばこの書体(目の前にあったICCのポスターの書体)は「Futura(フーツラ)」という書体です。このポスターを今まであまり注意深く見てなかったので、そうなんだ、と思いましたが、モダニズム期、100年ぐらい前にできた書体なんですね。
ドイツのバウハウスで生まれて、それがずっと流れていくながでナチスなんかにも使われていたのがこの書体です。
ということを知っていると、なるほど、近代化していきたいんだ、というメッセージがこの書体の中にはあるな、とプロのグラフィックデザイナーは理解します。
それは、もちろんこのポスターだけでなく、この会場のホテルはどの書体だとか、実は全部あらゆる表現に文脈がつきまとっているんです。
どんな素材を選ぶのか、どういう形を選ぶのか、色んな背景にある職人さんがどういうふうに作っていったのか、製造プロセスもありますが、こういったどこの文脈と接続するのかということをすごくざっくりというと、「伝統と接続する」ということだと思います。
それが短いものもあれば、ものすごく長いものもあり、1,100年に及ぶこともあります。
この脈を意識するかしないかによって、表現の強度が全く違ってくるわけです、間違って選んでしまったりするから。
そういうことと、でも人のテイスト、不易流行といいますが、変わらないものと変わるものというのはやっぱりバランスがあって、西高辻さんがおっしゃったとおり伝統と革新ってセットだと思うんです。
京都の老舗の人は色んな意味でそこをものすごく理解している人達だと思うのですか、京都の老舗ブランドってリブランディングが早いというか、今の時代にピントを合わせるのがすごく早いなと思うんです。
それはそうやって変わる部分を作っていって、変わらない文脈に紐付いてる部分とどうやって整合性を取りながら今のものを接続し直していくかがセットなんですよね。
僕の家は挟まれているお二人(住職と神職)のようには、明らかにこれが伝統だ、というものは家に無かったんですけど、でも単純にデザイン、形を追っていくだけでも、そこ(伝統)はものすごく関わってしまうことなんです。
いい表現をしようとしたら、少なくてもいいデザイナーになろうとしたら、そういう歴史から免れないところはあります。
中竹 面白いですね、文脈を繋いでいくということがありましたし、伝統と革新は切り離せないと、矛盾するような話しになるですけどね。
伝統のど真ん中にいながらちょっと変わったことをやって色んなことを言われていると思いますが、伝統の重みも一番感じていると思います、川上さんお願いします。
時代が不確かだから恒常性を求める
川上 伝統の重みと今おっしゃいましたが、では人間はなぜ伝統や習慣を好むかというと、人間は恒常性を好むんですよね。
何故かというと、変化ってしんどいんです。
伝統とか習慣はどういう理由で人間が生み出すかというと、それが自分たちをカオスやランダムネス(無秩序)から守ってくれる、恒常性をずっと続けていくためのものですが、でも実際に恒常性というものがあるからこそ、逆に言うと仏教の話しでよくいうのが「諸行無常」は非永久性ですよね。
だから恒常性というものはいいんですが、古い習慣や知識ばかりに頼っていると、新しい可能性が発見できなくなる。
しかし、人間は恒常性を求めるものなので、西高辻さんがおっしゃったように変えないところが重要になってきます。
伝統に人が何を求めてるかを考えると、安定性と安らぎというものなんですね。
そこのバランスをどうするか、というのが私達が取り込まなければいけないところだと思います。
中竹 太刀川さん コメントがありますか?
太刀川 そういう意図でマイクを取ったわけではありませんが、今の話はすごく面白いですね。
例えばあらゆるコンテンツがTwitter等で発信されて、無数にたくさんの非恒常性のあるコンテンツばかりになると、彼らは何を言い始めるかというと、「ソース(情報源)は?」と言い始めるんですよね。
つまりソースというのは恒常性の話だと僕は思うんです。
これはどこの文脈に接続していて、どんな確かさがあるのか、その確かさに接続する方法を今探しているから多分伝統が面白いんだと思うんです、時代が不確かだからですね。
中竹 二極化するということですかね。多様性になればなるほど、変わらない恒常的なものをみんなが欲しがる、ということですかね。
そういう意味では仏教という日本のど真ん中にいながら日本から飛び出していった川上さんですが、逆に各務さんは伝統の京都の中に外から、特に海外の電通から戻って来られたんですよね。
京都が海外みたいに感じた
各務 海外に10年間いた末に5年前に京都に戻ってきたのですが、逆に京都を見たらものすごく海外、みたいな気がしたんですよね。
伝統とかを特に意識せずとも、見るもの触るもの全て美しいなと思い、興味本位で伝統工芸の世界に触れていて、なんで美しく感じるのかなと5年間ぐらい、ずっといつも自問自答しています。
いまのところの結論は、その裏にある精神性というか哲学、やはり京都の方たちが大切にしてらっしゃる高品質なものを届け続けるために拡大しすぎないとか、家族で経営を続けるとか、頑なに守ってらっしゃる上手く数値化できないようなノウハウ、そういうものがにじみ出るから逆に美しく感じるのかなと思うところがあります。
一方で、先程の川上さんの話にもありましたが、京都もそういう部分が強くなりすぎると、伝統産業はおしなべて非常に難しい状況に立たされているんですが、「変われない、残れない」とい不都合がうまれます。
僕は「よそ者」としてプロデューサーという肩書でそこをどういうふうにバランシングしていくか、東洋医学ではないですけど、いいバランスで街が継続していくことに役に立てたらいいな、という感じで取り組んでいます。
中竹 いいですね。
最初の言葉が非常に興味深かったんですけど、京都が海外に感じたというのは、なかなか肌感として持ってる人はいないと思いますが、多分そういう視点で見ると、事実、伝統というものがすごく我々にとってすごく異質なものだということがわかりますね。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/城山 ゆかり
続きは 【名言】「100年先を見て責任を取る」太宰府天満宮・西高辻氏が語る決断の仕方 をご覧ください。
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【編集部コメント】
続編(その3)では、太宰府天満宮の西高辻さんと春光院の川上さんに、100年先を見据えてどんなアクションを起こしているかについて議論して頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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