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熱狂的なユーザーが収益の大半を生み出す仕組みを作ろう【F17-8B #6】

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「コミュニティの「世界観」をどう作り上げるのか?」【F17-8B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その6)は、サービスの売上を支えるヘビーユーザーをどう創るか?等を議論しました。コミュニティマネジメントがビジネスとなる為の素晴らしい議論です。是非御覧ください。

ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。


【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 8B
ネットメディア&コミュニティの「世界観」をどう作り上げるのか?

(スピーカー)

青木 耕平
株式会社クラシコム
代表取締役

堀江 裕介
dely株式会社
代表取締役

松本 龍祐
株式会社ソウゾウ
代表取締役社長

(モデレーター)

小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

「コミュニティの”世界観”をどう作り上げるのか」の配信済み記事一覧

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【本編】

青木 「北欧、暮らしの道具店」では、オフラインのイベントなどはほぼしていません。

しかし、広くオフラインという意味では、顧客に荷物が届くという状態がそうですので、「リトルプレス」という小さめの雑誌のようなものを隔月で2誌発行し、全ての顧客に届けています。

(リトルプレス”オトナのおしゃべりノオトvol.10「脱・不機嫌」”)

これは宝島社さん等がポーチなどのおまけを付けて雑誌を売っていますが、顧客はポーチが欲しいから雑誌を買うのか、雑誌が欲しいからポーチを買うのかという購入の動機付けを曖昧にしているところがあると思います。

これと同じで、新しい雑誌が出るタイミングで何か良い商品がないかと探して頂けることもあり、おまけの雑誌を欲しいのか、商品が欲しいのか、動機付けのポイントを少し曖昧にしています。単純なEコマースとしての価格比較や便利さの比較をされないようにしているのがオフラインといえばオフラインの施策かもしれません。

小林 堀江さんは如何ですか?

オフライン施策は、深い熱量のあるユーザーに有用

堀江 僕たちはこれまでオンラインに頼ってきていたので、まさに質問させて頂きました。

小林 オフラインというと料理教室や料理体験フェスティバルというような発想になると思いますが?

堀江 単純に考えると30人くらいのユーザーを呼んで料理教室を実施するのは非効率なのですが、今日本で一番流行っている料理サイトや外食サイトの中で投稿している人は稀です。食べログでもおそらく数万人単位です。

そういったときに50人の料理イベントを開いてそのうちのユーザーの殆どがユーザー投稿してくれるのであれば相当割に合うのではないかと思います。

つまり、熱量の高いユーザーを生むのであればペイすることになります。

ただし、インストールベースで考えると、1インストール300円として50人だったら1万5千円の効果にしかなりません。

1投稿者を獲得するのにオンラインならば100万円かかる、1万分の1しか投稿者にならないというデータがあれば、もしかしたらオフラインで投稿を直接呼びかけていった方が、実は投稿者の獲得コストとしては非常に良いのかもしれないと考えていたところです。

松本 コミュニティ化するために、僕が参考にしているのは「Yelp」なんですが、「Yelp」はまさにその方法を取っています。

KPIとしては各地域に彼らの定義で言うスーパーロイヤルユーザーを都市毎に何人増やすかを目標にコミュニティマネージャーがカフェでお茶会をしたりしているようです。

堀江 食べログ等は各地方に出向いてユーザーとコミュニケーションを取っています。

普段投稿している人はそこまで数がいないため、投稿者の奪い合いになるとも聞いています。

そのため、投稿者に対する営業や接待が行われている状況です。

つまりオフラインの施策というのはブランディングの施策というより深い熱量のあるユーザーにとっては非常に有用な施策なのかと思います。

15%の人が売上の半分を支えている

小林 青木さんのところは売上に占めるロイヤルカスタマーの比重は高いですか?

青木 「訪問するユーザー」と「購入するユーザー」の数の乖離が大きいです。

全てのアクセスの内の半分は、過去に20回以上訪問してくださった顧客のアクセス数です。

売上もほぼ同じ割合で、20回以上アクセスしている顧客への売上が全売上の半分くらいになっています。

つまり20回以上来てくれる様な顧客が純増しているか数字で見ています。

さらに、年に何回も買う顧客はとても少ないです。平均が年に1回くらいで、2回以下が全体の86%くらいで、3回以上買う人は15%くらいですが、15%の人が売り上げの半分を占めています。

もともと購入する人が千人の内4人くらいです。更にその内の10分の1くらいの人の売り上げが全体の売上の半分くらいを占めていることになります。

訪問する人はたくさんいますが、我々の売り上げを支えているのは本当に少ない人たちです。

ただし、その少ない人たちを中心に何かをしようと考えているわけでもなく、とにかく価値観の合う顧客に来ていただき皆にフラットに接します。そうすると一定数の方が購入してくださるようになります。

ただ数字として重視しているのは、20回以上来ている顧客が確実に増え、それに伴い売り上げが増えていればそれは堅い売上で、急に上下するものではないということなので、そこを重視しています。

小林 堀江さんそこに対して如何ですか?

ヘビーユーザーといかにコンテキストを共有するか

堀江 ソーシャルゲームに似ていると思いました。ソーシャルゲームも80〜90%の売上は上位20%くらいのユーザーが作っています。

最近の流行りでいうと投げ銭型のライブ配信動画等がありますが、中国の製作者の方に聞いたことがあります。

ライブ動画も非常に近い構造でトップ層の課金者がとんでもない金額を課金していて、昨年1番課金した方は二桁億課金して、その方だけからの金額だけで上場できるレベルだそうです。

アジア圏であり、キャバクラの文化に構造が似ていて、欧米だと受け入れられないものです。

中国のアプリなのですが、これでもシェア1位のアプリではありません。一部はユーザーに還元されますが、非常に大きな利益です。

1人が巨大な利益を生んでいます。ヘビーユーザーに対して如何にホスピタリティを高めるのが大事かという話です。

僕らも有料課金をすることを考えますが、その有料ユーザーが会社の利益を生み出していくことを考えると、その設計については予め理解しておくべきことだと思います。

青木 やはり、ヘビーユーザーと運営者側がいかにハイコンテクストを共有するかということが非常に大事だと思っています。

そのコンテンツを使ったマーケティングをする中で、コンテキストを共有していない人にも刺さるコンテンツにした方が短期的な成果は非常に出ます。

例えば、我々も色々なコンテンツを出しますが、クラシルさんが実施されているレシピとか、部屋片付け術等はほどんど全ての方に関係があるコンテクストが低いタイプのコンテンツなので結果は如実に出ます。

しかし、会社でこうやって仕事をしています、という話であれば、良く来ている顧客以外は楽しめません。相当なハイコンテクストを共有していないといけないわけです。

最終的に僕らの収益を支えているのはハイコンテクストを共有している人たちなので、ローコンテクストを入り口に、どうやってハイコンテクストに共感してもらえるようにスライドしていくのかを計画的にやっていく必要があります。

閲覧数が増えるという効果は上がるけれども、それが収益に繋がらないという場合に良くあるのは、短期的な収益を目指してローコンテクストだけを大量に撒いて、ハイコンテクストに結びついている顧客が全然増加していなかったという状態です。

こういうことが問題になることがあるので、そこをとても意識しています。

ヘビーユーザーをエバンジェリストにする

小林 松本さんは如何ですか?売り上げはヘビーユーザーに依存するという構造ですか?メルカリ本体もそうかもしれませんが。

松本 メルカリアッテについてはまだ課金が始まっていない状態なのですが、アクセス頻度ではスーパーヘビーユーザーがいます。まだ弊社自体サービスが始まってあまり時間が経っていないこともありもう少しフラットです。

ただし、コミュニティ機能を作ってみると、コミュニケーションという特性もあり、今までよりもユーザー分布のカーブがきつくなった印象はあります。

ハマった人は毎日サイトを使っていますしね。

コミュニティに関してはヘビーユーザーは他の人を啓蒙して引っ張ってくれる存在です。最近は我々がオフラインで直接コミュニケーションする、ユーザーイベントを行っています。ヘビーユーザーに会ってヒアリングするのと同時にエバンジェリストとして、他の方に配っていただけるノベルティを渡したり、我々の希望する使い方をお伝えして、より伸ばしていこうとしています。

小林 ありがとうございます。

残り15分程になったので、会場からの質疑応答を始めたいと思います。

(続)

続きは 【終】「クラシル」「北欧、暮らしの道具店」「メルカリアッテ」が重視するKPIとは? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸

【編集部コメント】

あるレジャー施設をクライアントに仕事をした時に驚いたのですが、通常の人は年に1~2回行けばいいような施設も毎日のように足を運ぶお客さんが少なからずいるそうです。ロイヤルカスタマーとの関係構築は、ホットなテーマですね(榎戸)

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