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「今、マインドフルネスが熱い」【F17-9E】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その3)では、ジンズ井上さんに、JINS MEMEによってマインドフルネスに関するデータを定量化すると何が実現するかについて語っていただきました。是非御覧ください。
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ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9E
「今、マインドフルネスが熱い」
(スピーカー)
井上 一鷹
株式会社ジンズ(当時:株式会社ジェイアイエヌ)
JINS MEME Gr 事業開発担当
川上(全龍)隆史
宗教法人 春光院
副住職
(ナビゲーター)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役
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最初の記事
【新】今、マインドフルネスが熱い【F17-9E #1】
1つ前の記事
【マインドフルネス①】瞑想は”注意の向け方”のトレーニング【F17-9E #2】
本編
川上 最近マインドフルネスで危惧しているのは、即効性や効率性や生産性が上がるとか、15分やったからいきなり集中力があがる、リラックスする等メディアや色んなところで言われていることです。
即効性や、「これは絶対いいんだ」という言い方をしているのが非常におかしいですよね。
世の中に絶対いいものはまず存在しません。一時的に良い悪いは判断できますが、長期的に見た時のデータはマインドフルネスではゼロです。
それを「絶対にいい」と言っているのはまず間違っています。
やっていいけれどセラピスト等スペシャリストの監視下でやることが必要な人も絶対いるにも関わらず、一概に「これはいいんだ、リラックスするんだ」とガンガン言っているのはかなり危険で、新興宗教と変わらないと思います。
科学を確実に無視したアプローチで、それを私はかなり危惧しています。
井上 そこでこのJINS MEMEですね。
川上 そうなんですよ。
小林 宣伝ですね(笑)
▶JINS MEMEに関して詳しくは、【保存版】目の動きを可視化するメガネ型デバイス「JINS MEME」(全3回)をご覧ください。
JINS MEMEで個々人に合ったマインドフルネスを
井上 JINS MEMEを使って川上さんとやらせていただいたのは、マインドフルネスは画一的に誰にとってもいいものはありませんし、どれくらい効果がでるかということを誰も実証していません。
であれば、個々人がやってみた時に、やる前のビフォーとアフターでちゃんとそれが日々の集中力や日々の生活がどれだけ活動的になっているか、という指標を作ってあげると、トライアンドエラーを自分でできるようになります。
朝15分瞑想した方がいいタイプの人と、週末だけ1時間やったほうがいい人ではタイプが違うので、トライアンドエラーをして自分にとって一番いいものを探すためにこのJINS MEMEはあって欲しいという話をしています。
ライフハックの本や記事を読んでこれをやったら絶対に正しいんだ、という短絡的な考え方がたまたま当たる人もいると思います。
しかし、そうではなく、個々人が自分でちゃんと体重を測るのと同じように、あと5キロ痩せるために何をしようかな、という思考を促せればと思います。
小林 人によってタイプが分かれるのですか。
そして、それはデータで分かるものですか。
井上 今既に分かっていることは、朝型か夜型かというのははっきりします。
僕は遺伝子レベルで朝型ではないので、朝無理矢理起きて瞑想しても、ちょっと苦しかったりします。
自分にとって時間帯とか場所を最適化すると全然違ってきます。
小林 例えばお風呂に入って寝ていてもリラックス効果がありますが、瞑想ではなく他の類似することでも同じような効果を実現できるのでしょうか。
川上 リラックスという概念で見ると、お風呂に入っているのもリラックスになります。
例えば、集中という概念で見たらレッドブルを飲んだりカフェインをとると集中力は一時的に上がります。ですから、一時性を強調している人がおかしいというのはそこなのです。
小林 それはマインドフルネスではなくてリラックスだということですね。
川上 リラックスです。
ネガティブな感情だと視野が狭まる
川上 ただ、リラックスは絶対に重要なことで、マインドフルネスで僕がいつも強調するのはリラックスするということです。
人間はリラックスしていないと、ネガティブな感情を抱いているわけです。
ネガティブな感情を抱いている時は自分の注意が一点に集中しますが、ネガティブなことに集中しやすく、悲観的になりやすい。そして悲観的になっていくと、更にビジョン(視野)が狭まっていきます。
ですから、ストレスやネガティブになっている感情をまず治さないとダメだというのが非常に東洋的な発想で、もともとあった考え方です。
西洋的な心理学でいうと、心理学の父と言われているウィリアム・ジェームズが言っていたやり方は、問題を指摘し、そこに焦点を合わせてなんとか治していく、というやり方がありました。
▶ ウィリアム・ジェームズと心理学―現代心理学の源流 藤波 尚美 (著)
川上 今までの西洋心理学ですが、それだと意外と逆に落ち込んでしまう人もいます。
結局問題は過去に起こっているので、それをいくら見つめても改善できないことはできないのではないか、そして、一度現実逃避でもいいからそこから目を逸らしてみて取り敢えずポジティブな感情を持とうよと、というのが今の新しい考え方というか、もともと東洋にあった考え方です。
人間はポジティブな感情を持っている時は物事の全体像を見ることができ、その方が解決策は意外と色々あります。
井上さんは少し前に(経営者の)稲盛和夫さんの話をされていましたよね。
井上 「楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行せよ」ですね。稲盛和夫さんの言葉として、ご紹介しました。
川上 この言葉から考えて重要なのは、楽観的な時は全体像が見えるので、楽観的に構想すると非常にクリエイティブになりやすいですし、悲観的に計画を立てるというのは、やはり一点に集中して計画を立てないとだめだと思うので、それをぶれないようにするということですよね。
でも、ある意味フローな状態にならないと実行してても楽しくないのでそれに持っていくために楽観的に、という考えだと思います。
まとめて、科学的に言ったら稲盛さんの言葉になると思います。
井上 短絡的に言うなという中で恐縮な質問ですが、それはやはり楽観的でも悲観的でも、自分がどっちにいるか分かってその上で逆側にずらす、ということですか?
川上 そうですね、感情というのは一般的に考えるとボトムアップで、周りに起きている刺激によって感情がコントロールされるという考え方です。
しかし、仏教で釈迦が考えているのはトップダウンで、呼吸や生理現象をコントロールすることによって感情がコントロールされるという考え方です。
人間の脳は良くも悪くもシングルコアプロセッサー
川上 それによって、どこに注意を向けるか、ということになってきます。そこが重要になってきて、良くも悪くもシングルコアプロセッサーなんですよね。
悪い意味でいうと先ほどと一緒で、人間は一部しか見えていないのに全体が見えていると思い込んでしまいます。
よく仏教の話しに出てきますが、象と3人の盲目の人間がいてそれぞれが尻尾、牙、鼻と一部を触り、それぞれが自分が触っている感覚で「象はこういうものだ」と言うわけですよね。
尻尾を触った人は、尻尾の先に毛が生えているので象は毛で覆われていると言い、牙を触った人は大理石みたいにつるつるしていると言い、そして鼻を触っている人は象は蛇のようにくねくねしていると言うんです。
それぞれが事実を言っているのですが、結局それは一部の事実のみなのです。でもそれを全体の現実だと思い込んでいて、人間はそれをやってしまいます。
それがシングルコアプロセッサーであることの悪いところですが、逆にそれによってある意味自分の現実は選ぶことができます。
どこ見たらいいの、ということで感情のコントロールができるのです。
井上 JINS MEMEの話に被せたいのですが、アプリのデザインを行っている会社で実際にMEMEを使用してどういう集中をするか検証してみると、10年目のデザイナーは集中が途切れないのですが1年目のデザイナーは急に途切れるんです。
何故なのかヒアリングを行うと、「何のためにやっているのか分からなくなってきました」と言うんです。
デザインは非常に抽象的な仕事なので、10年目の人は最初にこれは何のために、どういうコンセプトでやる、ということの上位の全体像を理解しているので、1つずつを詰めていく時に集中が切れません。
しかし、一部しか見えていない一年目のデザイナーは、この一部に集中できるけれど、途中で途絶えるんです。
やはり視野を広げて全体をちゃんと楽観的に見て、その上で1つずつをやっていくという作業をするためには、マインドフルネスという切り口ではなくても、10年間かけておなじ業務をやってきた人はその能力があって、10年をもしかしたらマインドフルネスは3年とか5年で彼に辿り着かせる1つのやり方なのかな、と見ていて思いました。
今の川上さんの話は僕の中でこの話しとリンクしました。
ビジョンまで考えることで没入できる
川上 それはフローの世界にもなってくると思いますが、フローの状況を起こすためには集中力だけではなく、逆にいうと自分のミッションとは何か、自分が行っていることが社会にどういう影響を与えているのかとか、そこまで考えられている人はフローに入りやすいというか没頭しやすい人です。
▶編集注:フロー (英: Flow) とは、人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態をいう。(Wikipedia)
チクセントミハイが「第三の幸せに到達する法則」だといったのがフローで、結局人間の幸せとはフロー状態が起きた後の満足感、充実感ではないか、という考え方です。
そこにたどり着くために注意力は大切ですが、それだけではたどり着けません。
大きなビジョンが重要になってきて、そういうことに気づかせるのがマインドフルネスなのですが、結局瞑想だけで終わっている人が多いんですよね。
集中力だ、瞑想だ、トレーニングだ、という感じで終わってしまう人が多いのですが、もう一歩先の哲学的なところ、「ワンネスインターコネクション」といって世の中が全て繋がり合っているという考え方が重要になってきます。
(続)
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続きは 【マインドフルネス③】「絶対はない」という考え方がバイアスを外す をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
高校生の頃は、フロー状態によくなっていた気がするのですが、大学に入学して以降、あまりなれていない気がします…。宣伝ですが、ICCのスタッフ活動はフロー状態に私もなれますので、興味を持った方はぜひこちらからご応募ください!(横井)
続編もご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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