日本からイノベーションを生み出すには? – INDUSTRY CO-CREATION

日本からイノベーションを生み出すには?

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「皆さん素晴らしい事業をやっていらっしゃり、「Yahoo!ショッピング」さんも頑張っておられますけれど、海外で成功したモデル、例えばアリババモデルをを持って来るなんてあるじゃないですか。黒船ではないイノベーションを興して頂きたいなと思うんですよね。」
「日本は課題先進国って言われていますよね。特に、少子高齢化、医療の問題という点では、これから世界に起こり得る現実が今の日本にある訳ですから、こういった問題に対して情報技術を用いて課題解決をしていけば、日本発で世界の役に立つようなソリューションができるのではないかと以前から考えています。」

トップリーダーが「新しい成長分野を創る経営とは何か」のその3の「日本からイノベーションを生み出すには?」を是非ご覧ください。

登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 5A
「新しい成長分野を創る経営とは何か」
(スピーカー)
川鍋 一朗     日本交通株式会社 代表取締役会長
川邊 健太郎   ヤフー株式会社 副社長執行役員 最高執行責任者
田中 良和     グリー株式会社 代表取締役会長兼社長
(モデレーター)
岡島 悦子     株式会社プロノバ 代表取締役社長
(質問者)
鈴木 健       スマートニュース株式会社 代表取締役会長 共同CEO

その1はこちらをご覧ください:新しい成長分野を創る経営とは何か
その2はこちらをご覧ください:イノベーションと既得権益


川邊 既得権益の話は、し始めたらきりがないので、話題を切り替えて我々も他のテーマの質問を受けてみましょうか。

岡島 この破壊的なイノベーションの種をベンチャー業界がやっていくというのもあるし、既存のプレイヤーがどう取り込んでいくかということも話してきた訳ですが、一旦会場に開いて、また戻ってきたいなと思います。

会場の方々でご質問がありましたら、いくつかお聞きしたいと思います。

それでは、(スマートニュースの)鈴木さんお願いします。

質問者1(鈴木氏) イノベーションですか。

やはり、(日本は)黒船モデルが多すぎると思うんですね。

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鈴木 健 (Dr. Ken Suzuki)
スマートニュース株式会社 代表取締役会長 共同CEO
1998年慶応義塾大学理工学部物理学科卒業。2009年東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。情報処理推進機構において、伝播投資貨幣PICSYが未踏ソフトウェア創造事業に採択、天才プログラマーに認定。著書に『なめらかな社会とその敵』(勁草書房、2013年)。東京財団研究員、国際大学グローバル・コミュニケーションセンター主任研究員など歴任し、現在、東京大学特任研究員。
2006年4月 株式会社サルガッソー設立、代表取締役社長就任。
2012年6月スマートニュース株式会社(創業時社名:株式会社ゴクロ)に共同創業者として参画、取締役に就任。2014年6月 代表取締役会長共同CEO就任。SmartNews米国版ローンチのため米国法人SmartNews International. Inc.を設立、Presidentに就任し、2014年10月 日米のニュースを同時に楽しめるSmartNews 2.0を日米同時リリース。海外メディアとの連携を進めながら、世界中の良質な情報をなめらかに発信中。

皆さん素晴らしい事業をやっていらっしゃり、「Yahoo!ショッピング」さんも頑張っておられますけれど、海外で成功したモデル、例えばアリババモデルをを持って来るなんてあるじゃないですか。

黒船ではないイノベーションを興して頂きたいなと思うんですよね。

海外で上手くいっていると、社内を説得しやすいので、日本市場でもやりましょうという話になりますが、そうではなくて、全く新しいことをやろうとして頂きたいなと思うんですよ。

やはりインターネットを通して世界をよくする訳じゃないですか。

「やりましょうよ!」という雰囲気はあるようですが、具体的に何かそういうことを考えたり始めたりしていらっしゃるのでしょうか。

川邊 日本は課題先進国って言われていますよね。

特に、少子高齢化、医療の問題という点では、これから世界に起こり得る現実が今の日本にある訳ですから、こういった問題に対して情報技術を用いて課題解決をしていけば、日本発で世界の役に立つようなソリューションができるのではないかと以前から考えています。

Yahoo! JAPANも「Yahoo!ヘルスケア」があったりだとか、ソフトバンクグループ全体でいうと色々な事業をやっていて、少しずつはそういうものを創ってはいますね。

時差を有効活用しながら、世界に輸出できるようなサービスをやっていきたいという風にも考えています。

ドライバーとしては、課題先進国である日本の市場を使えるでしょうということですね。

岡島 医療であるとか少子高齢化といったところに対して…

川邊 あとは人手不足。

岡島 労働力供給に関する話ですよね。

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田中 私が思うに、アメリカのものをそのまま持って来ればいいというものは相当少なくなってきますよ。

昔からすると、相当少なくなったなと思いますね。

Airbnbでさえも、アメリカや中国からユーザーが来るという流れがあれば、ネットワーク効果で世界統一プラットフォームになってしまいますけれど。

日本の旅行会社がそこそこ頑張っているように、グローバルで統一されるかどうかというのは、旅行の分野では必ずしも分からない訳で、そういった意味でも、アメリカのものをそのまま持ってくればよいというのは少なくなっているな、という印象の方が強いです。

そもそも法律からして全く違うので、そのまま持って来たら捕まってしまうことが大半で、そういった意味でも少ないのかなと思っています。

川鍋 イノベーションで世界を変えるというのは結果論であって、最初から世界を変えにいくぞというのは、ベンチャーキャピタルの投資先としては意味があると思うのですが…。

例えば、我々は今、陣痛タクシーというのをやっているんですよね。

妊婦さんが出産予定日を登録しておくと、雪が降っても、その期間は絶対に優先して配車することになっています。

このサービスを始めて4年ですが、都内の妊婦さんの6割が登録してくださっていて、その内、実際に2割の方が陣痛タクシーを利用して病院に行き出産されているんですよ。

マーケティング魔術を全く使っていなくても、知らぬ間にそうなっていたんです。

これを今アプリ化しようとしていています。

陣痛タクシーの利用がきっかけになって、出産後の退院時、そしてその後の通院時、定期検診時、そして子どもが大きくなったら、今度は小学校から塾に連れて行く際のキッズタクシーの利用に繋がるんですよね。

UBERなんかにはできないのが、例えば圧倒的にきめこまやかな見守りサービスです。

マーケットサイズはそんなに大きくないかもしれないけれども、非常に研ぎ澄まされたセグメントの、非常に際立ったニーズがあるので、これは無料化できると思っているんですよ。

例えば、ベネッセもそうですし、そのオムツなどの外の業界からの広告費を頂いて、それを提供することによるチャイルドシートなんですよね。

それで、全部無料にできる。

そうすると、無料子どもタクシーのようなものがきっとできるはずで、そういったものをアプリも絡めて、非常にスムーズに滑らかにやっていくという。

田中 AirbnbとUBERの話が出ますけれど、Airbnbの方が強烈にグローバルにネットワーク効果を発揮していて、ローカルで強いAirbnbってあまり無い感じがします。

タクシー業界では、例えばシンガポールやインドでの事例にあるように、そうはいってもやはり物理的に拠点をおさえているサービスが相当あるんですよね。

個々にローカルで勝ちきるということもありだと思うのですが、日本には打倒UBERぐらいの勢いでやる人があまりいないのは、どうしてなんでしょうか。

川鍋 仰る通り、例えば東京のAirbnbへのニーズは、要するに東京以外のローカルではない人たちのニーズなんですよね。

ところが、タクシーへのニーズは、95パーセント以上がローカルの人たちのニーズなんですよ。

そうなると、ローカルなコンテンツがあればあるほど、ローカルプレイヤーが本当は勝てるはずで、UBERは全世界を股にかけて移動する人たちのプラットフォームであって、それは多分ここにいらっしゃる方々にとってはとてもフィットするんです。

岡島 グローバルかローカルか、といった話ですよね。

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川鍋 グローバルかローカルかという話ですね。

そして、要するに、私に度胸がない、それだけですが。(笑)

「いや、川鍋さんがもう少し資金調達をしてやればいいんじゃない?」よく言われるんです。

先程も、うちのアドバイザーの(ビットアイル・エクイニクスの)寺田航平に、「メルカリくらい頑張らなきゃダメだぞ。メルカリは160何億円の資金調達をしているのだぞ」とけしかけられました。

川邊 (スマートニュースの)鈴木健さんの質問に関して付け加えると、3〜4日前のことですが、これは日本発としていいのではないかと発見したことがあるんです。

G1サミットで、鈴木健さんも入って皆で議論をしていた時、基本的には今、アメリカが強くて、シリコンバレーに世界の優秀な頭脳が集まってすごいもの創っているから勝てないのだという話になりました。

けれども、倫理の壁を越えられない問題というのがあるんだなということを発見したんです。

シンギュラリティの話をしていた時に、キリスト教や一神教系の人たちには、人工知能は人間の風下に立たなければならないとか、二足歩行ロボットを創るなんて禁忌だといった考え方がどうしてもあって、そこから思考停止ししてしまうということに気付きました。

岡島 神の主権のような話ですよね。

川邊 そう、人間を超えようとするものに対して。

我々にはアトムもあって、鈴木健さん的に言うと、風の谷のナウシカや寄生獣もあって、人間とそういうものが同格で融合してもいいのではないかみたいな。

岡島 多神教ですしね。

川邊 そうです。

倫理観というか、「ユルさ」を持っていて物事を平気に乗り越えられるので、彼らが思考停止してしまうようなものだけをやる手もあるのかな、と。

だから、彼らの一神教で超えられないものを平気で創る日本人は、その分野においては結果的に勝つことができるかもしれませんね。

岡島 それは道徳という意味ではなくてですよね。

何というか、受容性のようなお話でですよね。

川邊 そうです、受容性ですね。

向こうは「それやっちゃいけないでしょ」と思っている訳だけれども、こっちは「それやっていいでしょ」と思っていて。

やはり、やってはいけないと思っている人たちがやるより、やった方がいいと思っている人たちがやった方が、いいものができるに決まっていますよね。

自然とそうなると思います。

だから意識的にその分野を日本から出していくというのがよいのではないかと思います。

岡島 日本では、ゼロかイチかに決めなくていいという、ある意味ダブルスタンダートのようなものが許されますよね。

川邊 ガラパゴス化しているから、日本にいる限りは気にならないのでしょうね。

とあるキリスト教の方とお話した際に、鈴木健さんと私が当たり前だと思っていたことが(キリスト教の方にとっては)駄目だということが分かり、我々は無自覚だということに気付いたことがあります。

ですから、彼らがやらないところを狙って我々がどんどんやっていけば、日本はすごく出てくると思います。

岡島 そこに何らかの種があるかもしれないですよね。

川鍋 IPS細胞なんかには、そういうコンテキスト(文脈)があったんですかね。

川邊 不老不死のような考え方が、あったのかもしれないですね。

神に与えられた命なんだから、神に返せよみたいな考え方がない、というのはあったのかもしれないですね。

シンギュラリティもそうで、我々は人工知能が人間を超えてもいいと思っているんですよね。

岡島 黒船の話と近いかもしれませんが、やはりシリコンバレーなど、アメリカで見ていても、「Young and small always win」みたいな起業寿命みたいなものがありますね。

アメリカで色々なものが生まれて、それが日本に来ているというよりは、起業年数が少ないところが勝っていっているようなところもあるのではないかなと思っています。

創業20年のYahoo! JAPANさんのように、企業年数が長い企業も増えている中で、そういう中から新しいものを産むことが難しくなっているのか、それともYahoo! JAPANさんやグリーさんなんかは、そこを乗り越えていけるのか。

先程の鈴木健さんのご質問にもありましたが、「いやいや、黒船じゃないものを創りましょうよ」と言った時に、こちらの2社さんが段々と守るものが増えてきている企業になってくると難しいのか、それとも日本型ということなのか。それはどうなのでしょうか。

川邊 やはり、放っておくと、維持することが目的になってしまいますよね。

例えば、Yahoo! JAPAN社内では、20年続いたから、この先100年続く会社を目指そうという風になる訳ですけれど、利益共同体になってしまうと、普通は皆そう思ってしまうんですよね。

だから、やはり無理矢理にでもチャレンジするというルールを入れないと、どうしても何となく維持する方向になりますよね。

長い歴史がある会社では、チャレンジする想いだとか、もっと大きくしようというシナジー論であるといった、心の持ちようを設定することが一番大事かなと思います。

岡島 言葉にすると陳腐化してしまうのですが、結局は、経営者のリーダーシップ、つまり、トップが何を決めるかということとすごく関係がある気がしています。

今あるものを守りたいのか、それとも少し面白いよねということをやってみるということなのか。

田中さん、いかがですか?

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田中 まず、日本のネット企業、上場企業のうち、時価総額が1,000億円を超えている会社が一体何社あって、それらに一体どれくらい危機感があるかということですよね。

Yahoo! JAPANもそうですけど、楽天やDeNAやミクシィも含めて、大半が1990年代にできた会社で、そもそも2000年以降に生まれた会社がとても少ないんですよ。

ですから、はっきり言いますと、2004年創業の私としては、2000年以降に会社を創って大きくすることはかなり難しいと考えています。

川邊 先行者利益がありますからね。

田中 異常な先行者利益が既にあり、そこを乗り越えていかないといけないんですよ。

できないと言う意味ではなくて、これは大変難しいことをやっているんだという自覚がないと。

これは相当難しいのですが、俺はやるんだということでやらないと生きることもできないと思っています。

2010年代、2016年に至っては、更にここからYahoo! JAPANや楽天を巻き上げることの難易度がどれだけ難しくなっているのかということについて、自覚してやらないといけないと思っています。

そして、これだけのウェブに転ずるバブル、スマートフォンバブルを経験した結果、大した会社や製品がこの日本からはほとんど生まれなかったな、ということを自戒も込めて悲しく思う所でして。

アメリカではFacebookやGoogleやUBERなども沢山生まれた訳ですが、日本からそういう会社が何個生まれたかというと、我々も含めて、生まれなかったという現実がある訳じゃないですか。

この数年間はスマートフォンもありましたけれど、スマートフォンだけでやって、営業利益が500億円、1,000億円出た会社はゲーム以外でいくと何があるんだという話になってくる訳ですよね。

あれだけバブルバブルと言っていたのに、実はスマートフォンですごく利益が伸びた会社はあるのでしょうかね。

そういった意味では、これくらいの変化がもう1回来るということは相当難しいので、それでも挑戦するんだという意気込みや自覚を持ってやるということが大切だなと思っています。

(続)

編集チーム:小林 雅/Froese 祥子/藤田 温乃

続きはこちらをご覧ください:破壊的イノベーションを生む組織とリーダーとは?


2016年9月6-7日開催予定のICCカンファレンス KYOTO 2016 「ICC SUMMIT」に本セッションの4名の登壇者が登壇を予定しております。ライブで議論に参加する価値を是非感じてください。

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