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5. レオス藤野氏が語る「将来価値を予想できるファンドマネージャーの見極め方」

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「上場後に何が起こる? Post-IPOのあれこれ(シーズン2)」6回シリーズ(その5)は、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんが“将来価値を予想できる”ファンドマネージャーのシンプルな見極め方を伝授します。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うためのエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月2日〜5日 京都での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング様にサポート頂きました。


【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 2A
上場後に何が起こる? Post-IPOのあれこれ(シーズン2)
Supported by AGSコンサルティング

(スピーカー)

荻原 猛
ソウルドアウト株式会社
代表取締役会長CGO

川本 寛之
株式会社gumi
代表取締役社長

藤野 英人
レオス・キャピタルワークス株式会社
代表取締役社長

吉松 徹郎
株式会社アイスタイル
代表取締役社長 兼 CEO

(モデレーター)

小林 賢治
シニフィアン株式会社
共同代表

「上場後に何が起こる? Post-IPOのあれこれ(シーズン2)」の配信済み記事一覧

▶本セッションの「シーズン1」は以下のリンクよりご覧いただけます!
上場後に何が起こる?社長に訊くPost-IPOのあれこれ(全12回)(ICC FUKUOKA 2018)


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最初の記事
1. 日本の急成長企業はPost-IPOに伸びる!? 上場企業経営者・投資家が語るリアル

1つ前の記事
4. IPOを目指すベンチャー企業が知っておくべき「IR戦略」

本編

小林 それでは次の質問に移りたいと思います。

今振り返ってみて、上場前にやっておけばよかった、準備しておけばよかったと思うことはありますか?

荻原さん、いかがでしょうか?

荻原 資金調達したお金の使い道を細かく落とし込み、BSやPLにどう反映されるかの議論をしておくべきだったと思います。

このお金をいつまでに、どのように使っていこうという事業計画とセットになったものですね。

あと一番重要なのはエクイティストーリーだと思っており、それを磨くことですね。

小林 確かに成長可能性に関する説明資料で、メニューはたくさん書いてあっても、時間軸がないものがありますよね。

3年後なのか、10年後なのかが分からないような。

gumiはいかがですか?

gumi・川本氏「社内の統率や意思疎通をもっとするべきだった」

株式会社gumi 代表取締役社長 川本 寛之 氏

川本 gumiは上場時、VCや証券会社など、外ばかりを向いていましたね。

その結果、本来すべきだった社内の統率や意思疎通に手が回らなかったという事実があります。

ベンチャーはそもそもないものばかりですから「社内はきっとついて来るだろう」という考えのもと、社長やCXOといった立場の人たちは8割くらいの力を「社外」に使うものだと思います。

しかし、上場することの意味や、起こりうる変化などを社員向けに話しておくべきだったと思います。

これは先ほどの、ストックオプションを持った社員が上場後にいなくなった話とつながります。

上場後の今は、インセンティブの再設計は非常に難しいです。

ですから上場前にすべきだったのは、社内統率と社員教育、そして、人材を見極めた上での役割分担とインセンティブ設計ですね。

小林 確かに、上場後のプロセスで管理体制や内部統制について満たすべき最低ラインは証券会社の方々に指摘をいただくことはあっても、より上のレベルの会社を目指していく上で、より会社の足腰を鍛えていこうという意識を持つことは重要だと思いますね。

吉松さんは、いかがでしょうか?

アイスタイル・吉松氏「もっと勉強しておけばよかった」

株式会社アイスタイル 代表取締役社長 兼 CEO 吉松 徹郎 氏

吉松 自分自身が、もっと勉強しておけばよかったと思います。

僕はよく、上場することを「医者の人生」に例えます。

マザーズ上場は医学部合格、一部上場は国家試験合格に近いと思います。

振り返ってみると、マザーズ上場した際は周りがみんな「良かったな!」と喜んでくれました。

しかし、一部上場した際は、国家試験に合格した際のように「まあ、受かるよね」と言われてしまう。

自分としては「一番努力したのに!」と思うわけです。

そして一部上場するということは、病院でキャリアのある大先生と比較されて「若い先生は使えない」ということになります。

つまり、一部上場すると(ソフトバンクの)孫さんや(楽天の)三木谷さんと同じ土俵で比較されることになるのです。

そこで初めて「自分の会社は、どういう会社になるのだろう?」と考えるのです。

例えば、5兆円、10兆円規模の会社になるのか、それとも企業価値は2,000億円だけれどエッジの効いた会社を目指すのか。

これは、医者になってから大学病院の院長を目指すか、地方の開業医を目指すかを決めるケースと同じだと考えています。

僕自身、上場してからの方が圧倒的に視座が高くなり、「ここがスタートラインだ」と認識できるようになったのが一番良かったことですね。

一方、上場前から高い視座を持っていた人が周りにたくさんいるので、上場前からもっと勉強しておけばよかったと思っています。

自分たちが戦うべき「戦場」をどのように定義するか?

小林 私が資本市場と対話していたころ、ブラックロックという大きな機関投資家がいて、そこのファンドマネージャーに、「アリババとテンセントとAmazonとFacebookとアルファベットの株を持っているけど、なぜわざわざ君の会社の株を買わなければいけないのか説明して。質問はこれだけ。」と言われたことがあります。

国内では有数規模の上場企業であっても、グローバル担当のファンドマネージャーからするとワン・オブ・ゼムです。

いわば、オリンピックの中に放り込まれて、「どの種目でメダルを取れるの?」と聞かれているようなイメージです。

その際は、自分たちはそういう視点で見られているのかと思い、ショックでもあり、刺激にもなりました。

吉松 そういう風に見てくれるのは、ある意味、気持ち良くもあります。

荻原さんの「地方×ネット」の話にもありましたが、僕たちは「IT×ビューティ」の新しい種目を作ったと言えれば、株を買ってもらえる可能性があるかもしれません。

後はそれが、どこまでメジャーなものにできるかを説明する必要があります。

小林 新興企業は、“種目”自体の説明からしなければいけないですよね。

将来価値を予想できる、本物のファンドマネージャーの見極め方

レオス・キャピタルワークス株式会社 代表取締役社長 藤野 英人 氏

藤野 ファンドマネージャーの中には、結果を出している人と、サラリーマンとして仕事をこなしている人の2種類がいます。

新興企業の株を買う人には、儲けている人と、そうではないその他大勢の人がいます。

現在価値しか見ていないファンドマネージャーは、儲けていない「その他大勢」です。

なぜなら、株価というのは将来価値によってつくものだからです。

ベンチャーキャピタリストでもファンドマネージャーでも、将来価値がつくかどうか予想ができる力がある人は儲けています。

自分が経営者だったらどういうビジネスを展開していくかを考え、将来価値を理解できる人でなければいけません。

そういう人というのは、100人のファンドマネージャーがいれば、10人か15人くらいしかいないと思います。

ですが、その10人ほどが市場全体の6割の資金を動かしているのです。

そういったファンドマネージャーを見極める、簡単な方法があります。

例えばこれから皆さんが上場する際に資料を作ると思いますが、「ビジョン」や「理念」については最初に厚めに作ってください。

そのパートを飛ばそうとする人は、現在価値しか見ていない人ですから、数字の話に徹してください。

逆に、そのパートで熱い議論になる場合は、将来価値を見ている人ですから、時間をかけて、将来価値について語ってください。

最初にビジョンや理念、ミッションを持ってくるのは流れとしても自然です。

そこで、現在価値と将来価値のどちらにフォーカスして説明すべきかを判断すれば、お互いストレスもないですしね。

小林 私がIR担当として日本国内を回っていた際、四半期の営業利益についての質問をされ、8割くらいの人が数ヶ月先のことを話していました。

一方、ヨーロッパでは、誰も四半期についての質問はせず、会社についての質問ばかりでした。

藤野 僕のポイントは、最初の数ページでビジョン、ミッションについての質問をし、それをリトマス試験紙にして時間短縮をするということです。

そしてもう1つ、参加者がたくさんいるほど、意思決定ができないのです。

話し合いの場に5人も6人もアナリストが出てくると、なんとなく「おっ、自分の企業は興味を持ってもらえている」と思うのですが、実際は意思決定ができない人の集まりになることも多いのです。

逆に、顔つきの違う1、2名のアナリスト、ファンドマネージャーが出てきた際は、大きなお金を持っていると思ってください。

(続)

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続きは 6.「 個人投資家か機関投資家か、国内か海外か」上場後のIR活動における“優先順位”を考える【終】 をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/上原 伊織/尾形 佳靖/ 戸田 秀成/大塚 幸

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