強い組織をつくるため必要なこととは何か? – INDUSTRY CO-CREATION

強い組織をつくるため必要なこととは何か?

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KLab五十嵐さん、VOYAGE GROUP 宇佐美さん、メルカリ小泉さん、サイバーエージェント曽山さんが登壇した「強い組織/企業文化の作り方」の記事をいよいよ公開です。参加した経営者の方々から大絶賛だったセッションを是非ご覧ください。
強い組織をつくるため必要なこととは何か? 企業文化をつくっていく上で求められるビジョン、バリュー、ミッションとは? 会社独自の新しい制度の紹介や運用の難しさについてなど本音で議論したセッションを4回に分けてお届けします。

登壇者情報
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2B
「強い組織/企業文化の作り方」
(スピーカー)
宇佐美 進典  株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO
小泉 文明   株式会社メルカリ 取締役
曽山 哲人    株式会社サイバーエージェント 執行役員人事統括本部長
(モデレーター)
五十嵐 洋介  KLab株式会社 取締役副社長 COO

五十嵐洋介氏(以下、五十嵐) 皆さんよろしくお願いいたします。

一同 よろしくお願いします。

“会社を表す”新しい制度

五十嵐 今日のセッションはできる限りお互い掛け合いをしていくというか、お互いに聞きたいことを聞くようににしたいなと思います。

踏み込んだ話をしていただけると有難いです。

会場の皆さん、もし「オフレコ」と言われたら、そこの部分は書き込みとか、ネット上にしたりしないようにというところ、ご配慮いただければと思います。

それでは、さっそく始めていきます。

各社、できるだけ強い組織を作ろうと思っていろいろ奮闘努力されていると思います。

その中で特徴的な「うちを表す制度」とか「最近こんな制度、仕組み作ってみたよ」を1つ、2つぐらいピックアップして、お一人ずつ披露していただくところからスタートできればと思っています。

では、先に宇佐美さんからお願いしたいと思うんですが。VOYAGEさんはかなり一時期、2007年か2010年ぐらいでしたっけ? 1回業績が下降した….

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五十嵐 洋介  
KLab株式会社 取締役副社長 COO
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
大学時代からフリーランスのエンジニアとして活動。大手企業のアプリケーション開発、ネットワーク設計・構築に従事。2000年ヴィジョンアーツ株式会社入社。2003年8月、KLab(ケイ・ラボラトリー、当時)に入社。研究開発部長、開発本部長を経て、2005年6月、取締役に就任。その後コンテンツビジネス事業部長など、事業部門長を歴任し、同社COOに就任。

宇佐美進典氏(以下、宇佐美) はい。2010年ぐらいですね。

五十嵐 2010年のときの業績が厳しくなったときに、その文化を再構築して制度を全面的に作り直したと以前お話聞いた記憶があるのですが、その中で特にVOYAGEらしさみたいなことを表す制度として、重視してるポイントとか何かあったら教えていただけないでしょうか?

宇佐美 現時点に関して言うとやはり採用の部分にかなり力入れてやってます。

特に新卒採用を強化する中で、インターンシップに力を入れています。例えば、無人島で宝探しをするようなインターンシップであったりとか。

五十嵐 インターシップの名前がユニークですよね。

宇佐美 そうですね。無人島で宝探しをインターンシップは「Treasure(トレジャー)」と呼んでます。

いわゆるインターンシップ自体を(学生に対して)ブランド化させていこうという取り組みです。

なぜこのような取り組みをしているかですが、例えば、学生にとっては「ECナビ」というサービスはほとんど認知ないんですよね。

同じように「SSPという業界自体もよく分からない」「アドテクって分からない」と。

そういう中でどうやって会社に興味を持ってもらうのかが、我々としては課題だと思っていました。

そのため、いかに会社名を認知してもらい、興味をもってもらうかではなく、インターンシップの中身やブランド名でバズらせるかということを重視するようになりました。。

そのため、例えば、「Frontier(フロンティア)」とか「Treasure」とか「Sunrise(サンライズ)」といったような「VOYAGE」という会社の名前と何かちょっと関連がありそうなインターンシップの名前を付けています。

そして参加した人が、「Treasureってインターン、すごかったよ」とか。「Island(アイランド)っていう無人島のインターン、すごかった」というのが、ソーシャルメディア上でバズるような、体験型のインターンシップを強化してやっているが特徴だと思います。

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宇佐美 進典  
株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO
1972年生まれ。早稲田大学卒業後、トーマツコンサルティング(現Deloitte Tohmatsu Consulting Co.,Ltd.)にて、業務改善プロジェクト等に携わる。その後数社を経て1999年10月にアクシブドットコム(現VOYAGE GROUP)を創業。2001年にサイバーエージェントの連結子会社となり、2005年から2010年の5年間サイバーエージェント取締役も兼務。2012年にサイバーエージェントから独立し、2014年7月マザーズ上場し、2015年9月東証一部上場。現在、ネット分野に特化した事業開発会社としてポイントを活用した「ECナビ」「PeX」等のメディア事業と、国内最大級のSSP「Fluct」等のアドテクノロジー事業、新卒採用支援事業「サポーターズ」等を展開。インプレスジャパンにて『新・データベースメディア戦略』(共著)、『SNSビジネス・ガイド』 (共著)。

五十嵐 なるほど。いきなり冒頭から突っ込みすぎるのもどうかなと思うんですけど「無人島で宝探し」が気になって先に進むのがちょっと…..

曽山哲人氏(以下、曽山)すごい人気なんですよ。学生の中で。工夫は、どこを意識されてるのか、すごい教えていただきたくて。

無人島に連れて行けば、満足度上がるんだったらね。いくらでも連れていきますよね

小泉文明氏(以下、小泉) とりあえず、電波少年的なノリでね。連れてくように。

曽山 そうそう。何か工夫はあるんですか。

宇佐美 僕も行ったことないんで。分からないんです(笑)

曽山 行ったことない?

宇佐美 僕は行ったことない。

曽山 何か指導したこととかあるんですか? 面白く作るとか。

宇佐美 ないです。人事が自分達で考えて勝手にやっています。大事なのは会社を知ってもらうよりも「何かこの会社面白そう」とか「このインターン面白そう」という「引っかかり」をどう作るかという部分だと思っています。

そういったときに、「無人島」は男の子だったらワクワクするじゃないですか。そういうキーワードですね。

五十嵐 実際、そのインターンシップのゴールは、どういうところに設定してるんですか?

宇佐美 インターンシップのゴールはやっぱり採用ですよね。

五十嵐 もちろんそうだと思うんですけど、当日 参加者たちが無人島で何を成し遂げて、どんな満足感を持って帰ることをゴールとしているのでしょうか?

宇佐美 僕も無人島に僕自体行ったことがないので、実際何をやってるか正直分からない(笑)

ただ、一応僕が、多分こうなんだろうなって僕が想像するところでいくと…..

五十嵐 社長が想像する(笑)。

小泉 新しいですね。

宇佐美 想像するところで言うとやっぱり「あそこのインターン行ってよかった」というふうに単なる満足じゃないんですよね、「面白かった」ではなくて、人に伝えたいと思うぐらいの満足感を持って帰ってもらうこと。

で、思わずツイッターであったりとか、フェイスブックであったりとか、いろんなところで「いやー、あれよかった」と。

例えば(参加した学生の)次の学年の後輩に「あそこのインターン絶対行ったほうがいい」というふうにおすすめされるくらいまでの満足感をどう作るかというゴールにしてますね。

曽山 「Treasure」とか「Island」というインターシップが生まれたきっかけを教えていただけないでしょうか?

宇佐美さんが「作るぞ」と言って人事を集めたのか、役員の中で議論があったのかとか。

宇佐美 我々の場合ですとまず一番最初に「Frontier」という新規事業を考えるというインターンシップやってました。

多分、今いろんなベンチャーさんが行っているのでかなりコモデティー化した方法ですが、この考え方は僕が大学生の頃に「こんなインターンシップがあったらよかったのに」というのがまず原体験ですね。

まず、無人島のインターンシップに関しては人事が「俺、無人島行きたい」というところから始まりました。

曽山 その本人の欲求でもあるんですね。

宇佐美 そうですね。

五十嵐 なるほど。すごいですね。社長が特に把握しなくても作れるぐらいの強い組織を持ってるってことですね。

曽山 任せてるという。

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曽山 哲人    
株式会社サイバーエージェント 執行役員人事統括本部長
1974年神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部英文学科卒業。
1998年伊勢丹に入社、紳士服配属とともに通販サイト立ち上げに参加。
1999年、20名程度だったサイバーエージェントに入社。
インターネット広告の営業担当として入社し、後に営業部門統括に就任。
2005年に人事本部設立とともに人事本部長に就任、2008年から取締役を6年務め、2014年より執行役員制度「CA18」に選任。2015年に人材開発本部、人事統括本部を新設。
 著書に「クリエイティブ人事」、「最強のNo.2」など。

小泉 すごいまとめ方しましたよね(笑)。

五十嵐 (笑)。でも実際問題任せきりにして会社の売りになるブランドが作れる人事って相当すごいですよね。

かなりしっかりした組織じゃないとできないことですから。

あとでその辺りのことも詳しく聞いていければと思っています。

曽山 ぜひ。結構、僕も知らない情報もありました。

小泉 すごいですね。

五十嵐 続けて、小泉さん。

小泉文明氏(以下、小泉) はい。メルカリも採用の観点から説明したいと思います。

僕らの会社の採用活動の特徴はエージェントからの採用の比率が10%以下ですね。大体8%ぐらいでして。

曽山 凄い….

小泉 50%ちかくがリファラル(社員の紹介)ですね。

社員の前職であるとか。もしくは前職のカウンターパートにいた方だとか、友達の友達みたいなところですね。

40%ちょっとぐらいが自社のホームページであるとか、ウォンテッドリーのようなインバウンドの紹介メディアから来ています。

残りがエージェントという感じなんです。

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小泉 文明   
株式会社メルカリ 取締役
早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2007年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任。

僕らが人事でやってるのは、いわゆるエージェントコミュニケーションほとんどやってなくて、半分広報に近いです。

社員の人をどこまで外に出すということをKPIに持っていて、メルカリのメンバーは講演などで話せるメンバーも多いので、どんどん外に出していって、露出回数であるとか、その質であるを重要視しています。

あと、コンテンツも自分たちで書いていまして、それがどれぐらい(ソーシャルメディアで)シェアされているのか?ということもしております。

実は、つい最近も「CAREER HACK(キャリアハック)」という、ある採用系の媒体があるのですが、その編集長がメルカリに転職してきました。

彼は、人事の経験ないんですけどキャリアに関するコンテンツの編集したことある、もしくはライティングしたことある。

彼はメルカリの採用におけるブランディングをするために採用しました。メルカリではコンテンツ作りも力をいれて行っていますね。

五十嵐 なるほど。メルカリさんが新しく発表された制度についてもお話を聞かせてください。先般、「merci box(メルシーボックス)」という素晴らしい制度を発表されたと思いますが、どんな制度か説明いただけないでしょうか?

小泉 そうですね。簡単に言うと、特に産休制度が特徴的なんですけど、産前の10週間と、産後の6カ月の給料を100%保障する、というルールを作りました。

あとは、社員の長期の入院に対する給料の保証も100%やっていたり、全社員に保険を会社で掛けています。

(1名あたりの保険の金額は会場では公開されておりましたが「オフレコ」のため記事ではカットしております)

考え方としては、アップサイドは給料もしくはストックオプションで返します。ダウンサイドの「働けない」という場合は、会社が基本的には全部負担しますという考え方です。

家賃補助とかランチのような制度はやってないんですね。

それらは給料など「アップサイド」の部分で「個人に判断に任せる」という考え方です。

ダウンサイドは「全部会社で負担してあげる」という考え方で設計してますね。

曽山 (一般的に福利厚生の制度として導入されているような)家賃補助とかランチはむしろ、この中では今、外してるんですね。

小泉 全くもって。最初からそこはあんまりやる気がないですね。

曽山 それは新しいですね。

小泉 なので、そっち(家賃やランチ)は「各自でやって」みたいな感じですかね。

五十嵐 普通だと、ランチとかそういうところは会社のほうで負担するけど、死亡保障とかそういうところは、個人のライフプランみたいなところに合わせて、個人任せにするみたいなケースが割と多かったと思うんですけど。そこを、考え方を変えようと思った背景はどういうことがあったのでしょうか?

小泉 そうですね。基本的には(メルカリには)優秀なメンバーがいる前提で、僕らの会社のバリューは「Go Bold」という大胆にやっていこうということを一番大事にしていています。

「どんどん働こう」というのをすごい大事にしてるので、思いっきり働くために不安になってる部分は会社で取り除いてあげようという考え方ですね。

思い切り働いた成果は、どちらかと言うと、給料であるとか、ストックオプションで報いるという考え方で設計していますね。

僕らの会社はストックオプション、全社員に配布しています。カスタマーサポートのメンバーもストックオプション持ってるんです。

五十嵐 サイバーエージェントさんで言う「挑戦と安心」とかに通じる考え方ですね。

曽山 そうですね。ちゃんと明確に分けられてますよね。

五十嵐 すごいですね。保険まで掛けるというのは、ちょっと驚きました。

宇佐美 質問いいですか。保険は掛けられてると社員の皆さんは認識しているのですか?

小泉 してます!

宇佐美 ちゃんと認識してるんですね。それに対して「ありがとう」という気持ちになってるんですか。

小泉 なってますね。

宇佐美 「俺が死んだら、会社がお金儲けるの?」みたいなそういうものではないのですよね?

小泉 保険金は親族に支払がされる前提の設計にしてます。

「これで個人で入らなくてよくなったんですかね、僕」みたいなこと聞いてくる社員もいます。

「いや、それはお前の人生だから。(会社で掛けている)金額で足りるんだったらそれでいいけど、足りない部分は自分で保険に入ってね」という設計にはしてますけどね。

五十嵐 会社が基本的なパッケージとしてのダウンサイドのリスクをヘッジするようなものを用意して、あとは個人でやってくれという部分をちゃんと残してるんですね。

曽山 産休、育休に関する休暇の制度があるじゃないですか。実際に利用するケースがもう増えてるですか。

小泉 実はまだ一人しかいないんですけど。

曽山 でも、それで手を打とうと。

小泉 そうですね。結構女性社員が多いので。

曽山 男女比はどれぐらいですか。

小泉 男女比、大体半々ぐらいですかね。カスタマーサポートが多いので。

曽山 なるほど。女性が多いんだ。

小泉 あれ、実は結構ですね。これ本当オフレコなんですけど ◯◯◯なんですよ。

(制度の運用に関する詳細の説明がありましたらが「オフレコ」のためカットしております)

曽山 それは、運用の妙ですね。

宇佐美 すいません、もう少し突っ込んで聞いていいですか。「merci box」と同様に、以前サイバーエージェントが「macalon(マカロン)」というパッケージで女性向けの人事制度をリリースしていましたが、このように人事制度を単体で出すんじゃなくて、パッケージで出すことの妙と言うか。メリット、デメリットみたいなところって、ぜひお聞きしたいなと思ってたんですけど。

小泉 もう、macalonはネーミングが良いですよね。

僕らも、「merci」と言葉を選ぶのに2週間考えましたからね。

結局、僕らとしては、制度を1個単体で出すと、やっぱりなかなかバリューが出ないので、ネーミング(パッケージ)で出したいよねと考えています。

実はBOXとつけたのも、このあとに実はいくつかまだ追加で考えています。

今回は第1弾としていて、パブリシティを意識したネーミングで制度を作ってますね。

曽山 僕らも、(サイバーエージェント代表の)藤田からは「1個とかじゃなくて、パッケージにしたほうがいいよ」という、一言だけもらったんですよ。

何でかって言うと、話題性やパブリシティのインパクトを考えてと言うのが藤田の意図でした。

あと、人事側でやっぱり気にしたのは、例えばママ向けの休暇制度とか1個だけリリースすると社内で白ける人が出てくるんです。ママじゃない社員が、自分には関係ない制度なんだな、ママだけに手厚くするのね、と。こうなると、事後の対話はとても大変なんですよね。。僕らがmacalonを作ったときには、例えば、産んでない女性のための制度と、あとはパパ向けの制度とかをいろいろセットにしたんです。

なので、1個すごい妙案だと思って発表すると意外なところで社内が炎上するっていう。

これは結構気を付けたほうがいいですよ。

小泉 人事制度、結構難しいですよね。

曽山 難しいです。

五十嵐 ある特定の人たちに対しての優遇策みたいになってしまうということがよくありますよね。例えば、タバコ吸う人だけ恵まれていて、休憩がたくさん取れる、部屋が用意されてるというのも同じような議論ですよね。

曽山 そうそう。根強いですよね、そういうのも。なんで彼らには部屋があるんだっていう。

かといって、部屋を作ってもあなたは使わないでしょう、という。そういう悩みがあります。

五十嵐 パッケージでそういうのをちゃんとバランスを担保して、ダイバーシティにも配慮をちゃんとしていくってのは、人事的にはかなり大事なところですよね。ありがとうございます。

(続)

編集チーム:小林 雅/根岸 教子

続きはこちらをご覧ください:企業文化を浸透させるには何をすべきか?

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