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企業文化を浸透させるには何をすべきか?

KLab五十嵐さん、VOYAGE GROUP 宇佐美さん、メルカリ小泉さん、サイバーエージェント曽山さんが登壇した「強い組織/企業文化の作り方」の第二弾です。参加した経営者の方々から大絶賛だったセッションの「その2」の「企業文化を浸透させるには何をすべきか?」を是非ご覧ください。

登壇者情報
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2B
「強い組織/企業文化の作り方」

(スピーカー)
宇佐美 進典  株式会社VOYAGE GROUP 代表取締役社長兼CEO
小泉 文明   株式会社メルカリ 取締役
曽山 哲人    株式会社サイバーエージェント 執行役員人事統括本部長

(モデレーター)
五十嵐 洋介  KLab株式会社 取締役副社長 COO

その1はこちらをご覧ください:強い組織をつくるため必要なこととは何か?


では、続けて曽山さん、お願いします。

曽山 はい。サイバーエージェントは現在 正社員だとグループで3,500名います。

私が直接みているのが今2,000人います。今も人数が増えているというフェーズですね

何に力を入れてるかというと企業文化の浸透ですね。

必ず人数が肥大化すると企業文化の浸透が弱くなるので、その部分に今すごく力を入れてます。

具体的には専門部署として「カルチャー推進室」という専門部署を作りました。

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そこに社長室長の人材を兼務させ、専任メンバーは2人でやっています。会社に対するロイヤリティーの高いママ社員をいれています。

具体的に何をやってるのかというと、大きく2つあります。

1つ目は社内報の運営です。

活躍してる社員をインタビューしたり、あとは社内で行われたイベントや新しい取り組みなどを取材して、どこよりも早くレポートしたりしています。
それを毎週、大体4記事から5記事ぐらいを社内のイントラネット上で出しています。

もう1つは、これまでのケーススタディを全社に配るというのをやってます。

名前は「ヒストリエ」というもので、ネーミングは同じ名前の漫画からお借りしました。

ヒストリエというものは、例えば、「アメーバブログの最初の立ち上げの1年間どうだったか?」とか、「失敗して撤退したあの子会社は何で失敗したのか?」いうのを当時のメンバーに対してプロのライターの方にインタビューしてもらって、生々しいリアルケーススタディで大体A4で8枚ぐらいのボリュームでまとめています。

軽く読めるけど、サラっともしてないぐらいのレベルで毎週1本ずつぐらい出しています。

すでに30本以上の記事を全社に配信していて、新しい(子会社の)社長とか事業部長になるとそれを渡して、必ず「同じ失敗するなよ」と言って、読んでもらうというのをやり始めてますね。

五十嵐 失敗ノウハウのシェアとしてもすごくいいと思いますけど、失敗してしまった人たちも、自分たちの活動がちゃんと注目されてかたちに残っているという「受け継がれる感」がありますよね。

曽山 ロイヤリティーも上がりますね。

やっぱりA4、8ページの一番最後には、インタビューした数人の写真とか、あと、最初に事業プロジェクトが立ち上がると、最初の飲み会とか決起会を大体やるので、その集合写真を掲載します。

5~6年前、もしくはそれ以上前の写真が掲載されたりするので、登場したメンバーのロイヤリティーアップにもなると思います。

五十嵐 挑戦して戦って、結果は上手く出なかったかも知れないけど、ちゃんとその人たちを勇者として讃えていくみたいな意味もあったりするわけですね。

曽山 そうです。

五十嵐 素晴らしいですね。ちなみに、さきほどカルチャー推進室というキーワードが出ていましたが、宇佐美さんの会社にも「Chief Culture Officer」という方がいらっしゃいますよね?

曽山 青柳さんですね。

五十嵐 カルチャーの責任者を置いているという特徴的な制度があると思うんですけど。その内容を教えていただいてもいいですか?

宇佐美 おそらく2010年ぐらいに、まさに業績が悪化して社内の離職率も20%ぐらいに高まったときがあったんです。

五十嵐 そんなに上がったことがあるんですか!

宇佐美 ありました。これではまずいと。業績も悪いし、社内の雰囲気も悪いし、離職率も高いと。

どこからやろうかというようなときに、やっぱりもう一度、会社としての求心力をギュッと集めてやらなきゃいけないというときに、たまたまZapposの本を読んで、「Chief Culture Officer」という、いわゆる社内文化の責任者というものをZapposは作ってるんだと知りました。

それを見て「これだ!」と。

でも、文化を作れる人というのは、やっぱりなかなかいないんですよね。

役職を作ればいいというわけじゃなくて、雰囲気を作れる人、空気を作れる人というのは、結構稀有なんです。

たまたまうち(VOYAGE)の場合には、非常にそういった空気を作るのが上手い役員がいたんです。元々彼(青柳さん)は事業部門を担当していたんですけれども、ある意味すごい肉食の戦闘能力の高そうなサイヤ人的な人物なんですよね。

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曽山 風貌はそういう感じですね。

宇佐美 風貌がそういう感じですね(笑)。

曽山 「VOYAGE 青柳」と画像検索すれば多分出てきますね。

小泉 青柳さんね。めっちゃイケメンですよね!

宇佐美 彼(青柳さん)に最初は人事含めてコーポレートカルチャーという部分を担当してほしいという話をしたときに、彼のほうからは、併せて人事部以外に彼の下に「コーポレートカルチャー室」という文化を推進していく部署と「コーポレートデザイン室」という、会社全体のいわゆるCI(コーポレート・アイデンティティ)を推進するという部署も設置していきたい、という話をもらいました。

単に人事というところだけではなくて、社内のファシリティであったりとか、社内の中のイベントであったりとか、社内報的な活動であったり、そういったものもすべて集約をして、彼が推進していくようになりました。

こういうかたちで取り組み始めて、結果として組織としてもよくなってきましたし、業績としても上手く上がってきたというのがあったかなと思います。

企業文化を作る~独自の「ビジョン」「バリュー」「ミッション」探し

五十嵐 なるほど。皆さんのお話伺っていると、もう明日からすぐにCCO(Chief Culture Officer)を置いて、明推進室とヒストリエを作ろうと、そういうところだけ真似したくなってしまうと思います。

しかし実際のところそのような活動をやっても上手くいかなかった体験を登壇者の皆さんや聴衆の皆さんもお持ちだと思います。

例えば離職率が20%になるとか、そういう状況からどうやって立て直すかを聞いていきたいと思います。サイバーエージェントさんも確か以前はそういう時期がおありでしたよね?

曽山 (そういう時代が)ありました。(離職率が)30%というのが。

五十嵐 (離職率が)30%というときがあって、曽山さんが人事担当になられて。青柳さんと同じく事業を担当されていたところから、人事をみる人、カルチャーをみる人になって、強力に社内の変革というものに取り組んだと思うんですよよね。

一体 何から始めたら、その文化が変わったりとか、離職率が減って社員の定着率が高まるみたいなことが進むのか? ちょっと皆さんがいまいちピンとこないと思うんですよ。

完成形から見てしまっても、焦点が分からないみたいなところがあると思うんですよ。

ぶっちゃけどこから始めるのがいいと思いますか?

宇佐美 基本的には、事業が当たっていれば組織は自然とよくなると思うんですね。

なので、ちゃんと事業をまず当てるというの、まず大前提だと思います。

曽山 それを目を逸らしてはならないと思いますよね。

宇佐美 そこを目を逸らして、組織をよくしようとか、雰囲気をよくしようと、どんなに取り組んでも全部後手に回る。

やっぱりCCOを作ることよりも、ちゃんと事業をどう当てていくのか? どうやって新しくチャレンジをしていくのか?ということをまずベースにやっていくことが重要です。

僕らとしても、2010年から新規事業を始めたわけじゃないわけですよ。

2006年ぐらいから、「事業部制」を導入して、個別の事業部ごとにPL(損益)の責任を持つことにしました。

各事業部制にすると、各事業部ごとに組織的にも新しく挑戦しやすくなる部分があった。

そういった5年間ぐらいの蓄積があり、それでも「良い事業」と「悪い事業」がある中で、主力事業がガッと落ち込んだ時期が2010年ぐらいにありましたが、結果として新しく取り組んだアドテクノロジー事業が大きく成長することで業績も急激に改善したという経緯があります

五十嵐 まず業績をよくしなさいというところがあるわけですね。

小泉 僕がメルカリに参画したのは、創業から半年後ぐらいの時なんですが、入ったときに一番すごくまずいなと思ったのが、「バリュー(会社の価値観)」とかがなかったりとか、会社の共通言語がなかったんですね。

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10人以下の会社だと、Valueは何となく、暗黙的に共通の理解としてあるのですが、中長期的に会社のカルチャーを作っていったりとか、会社の「バリュー」がないのは結構まずいなと思ったんですよね。

「バリュー」がある程度「カルチャー(企業文化)」を作っているところあると思うので、最初に僕ら「Value」を3つ作ったんですね。

「バリュー」を作って満足する会社があるじゃないですか。

僕らこの3つの「バリュー」に一人一人担当役員を決めましたね。

曽山 なるほど〜

小泉 例えば先ほどお話した「Go Bold」という「バリュー」はUS(米国)事業がみてい
る石塚が担当ですし、僕は「All for One」というチームワーク重視のミッションを担当しています。先ほど議論になったCCOのような盛り上げ役は僕が責任を持ちますとなっています。

一人一人の役割を決めて、その責任を持つということを最初に決めました。

曽山 それ大事ですね〜

小泉 標語としてちゃんと馴染んでいくというところをまずしっかり役員としてやっていくところから設計しています。

最後にそれをTシャツにするなど見える化をどんどんしていくことは、最初にやって非常によかったなと思っています。

曽山 確かに。宇佐美さんのところで「360°スゴイ」とかミッションを決められたのも、同じようなタイミングですか?

宇佐美 ビジョンやミッションやバリューは創業時から何回か作ってる中で実は2005~2006年ぐらいの頃に一旦全部なしにしたんですね。

なぜかと言うと、僕は2005年から2010年までの5年間、サイバーエージェントの取締役もやらせてもらったときに、サイバーエージェントを見て、やっぱりビジョンであったり、バリューやミッションの言葉がちゃんと会社の中で息づいている。

逆に言うと、息づいてないビジョンやミッションを掲げてても、これは意味ないなと思ったんですよね。

その当時の僕らの会社の状況で言うと、経営者である僕はビジョンやミッションを語ってはいるものの、全然浸透してない。

ビジョンやミッションを例えば評価制度に盛り込むことはやってはいるものの、やっぱりみんな別にそんなに浸透してないんです。

普段の言葉の中に出てこない。採用のときの口説き文句に出てこない。

そういう部分があって、やっぱり生きた言葉になってないものであれば、掲げる意味がないなと思って、一旦ゼロベースでなくしたんですね。

そこから実は、何が生きた言葉になるんだろうか?と、いわゆる経営理念の見直しみたいなものをやり始めました。

それで、最初はやっぱり「ビジョンがほしい」とよく社員から言われますよね。「うちの会社にはビジョンがない」「ビジョンほしい」みたいな。

曽山 確かに。ビジョン欲求強いですね。

宇佐美 「分かった、じゃあ作るか」みたいな感じで全社プロジェクトをまわしてやっていく中でわかったことがあります。

僕らはいろんな事業部制で様々な事業をやってると各事業ごとのビジョンは作れても、まとめると共通のビジョンは作れないんですね。

言葉に魂の入ったビジョンが作れない。

「総合なんとか企業」とか、そういうふうになってしまうのです。

「総合」とか言葉をつけた時点で、もう言霊が入ってないのですよね。

それで、どのような言葉であれば自分たちが気持ちを乗せて話せるんだろうか?というときに、ミッションでもビジョンでもなくて、まずはバリューだなと。

働く上で大事にしたい価値観。この部分はどんな事業やってても共通しているので。

バリューの見直しから始めて、青柳がCCOになったときに、彼がまず最初に「もう一度価値観、バリューの部分の見直しをしたい」と。

見直しを何回かしていたんですけどまだ自分たちの言葉になってなかったんですね。

つまり、冗長な言葉になっていて普段話しやすい言葉になっていませんでした。
あと、まだ借り物の言葉でした。例えば、リクルートの「自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよよ」のような、僕もすごく好きな言葉ではあるんですけど、借り物の言葉を会社の中のバリューに入れていると社員は白けるんですよ。「あ、これリクルートのやつだよね」と。うちの言葉じゃない。

曽山 確かにパクっちゃうとだめですね。

宇佐美 だから、自分たちの言葉を見つけるプロセスはすごく必要です。CCOを作ったときに最初に社内をもう一回巻き込んで、もう一度言葉探しのプロジェクトを始めました。

その結果、今の経営理念の中の「クリード」と言われてるバリューの部分をまず作ったんですね。

作ったあとに「やっぱりビジョンがほしい」という要望が出てきて、もう一回ビジョン作成のプロジェクトをスタートしました。

結果として、やっぱり今の事業部制を進めている中では全社共通のビジョン作れない、という結論になりました。

なぜなら、いろんな事業をやってると、やっぱりその事業に特化したビジョンは作れるんだけど、まるっとまとめると難しい。

そこでどんな事業をやるにせよ、会社を創ったときに「やるからにはすごいことやろうぜ」という、このスタート地点の気持ちは変わらないので、その想いを言葉にしようということになり、「360°スゴイ」という言葉を掲げるようになりました。これは「ビジョン」のようなゴールを指し示す言葉ではないため、社内ではこの創業時の想いを「ソウル(魂)」と呼んでいます。

曽山 なるほど。お話を聞いてると、このカルチャーを作るのにすごい重要なのは「軸」の明文化なんですよね。

「軸」を明文化して、それを浸透させるという。

これが、明文化してるけど浸透してないところがあったりとか。

責任者を一人一人決めるっていうのは、結構新しいアプローチだな。いいなと思いましたね。

小泉 曽山さんはよく「社内が白ける」と言うじゃないですか。

僕らがすごい必死に考えるんですけど、意外と社員に届いてないんですよね。

やっぱり「白け」が発生するので、結構役員陣の中で競い合ってましたね。

だから、それをどれだけ馴染ませるか、例えば役員発でTシャツ作ったりとか、そういうことをどんどんやってましたね。

曽山 責任を渡すと何か考えますからね。

宇佐美 僕は、サイバーエージェントの役員をやってるときに「なるほど、すごいな」と思ったことの1つが、役員会で「白け」という言葉よく出て来たんですよね。

「いかに白けない制度を作るか?」であったり、「白けないように伝えるか?」ということにかなり議論していました。

例えば、「2駅ルール」という制度を作ったときに、ネーミングに結構議論していましたよね。役員会で制度のネーミングの議論を真剣にするというのは凄いなと思いました。

小泉 いやー。ネーミングは重要ですよね!

宇佐美 結構、僕は衝撃だったんですね。

小泉 ネーミングが一番だと思いますよ。制度の中身よりネーミングのほうが、10倍以上時間使ってますね。

曽山 ネーミングも企業文化にはすごい重要なんですね。

いいネーミングつけると社員にまず浸透すると。そして社員がほかの人に自慢するとパブリシティ効果非常に上がるんですよね。

「家賃補助制度」と言っちゃうとだめなんですよね。これを。

だから、「2駅ルール」とか何でもいいんですけど何か言いたくなっちゃうようなネーミングを付けるというのも企業文化の一つだと思うんですね。

制度を見直すとき~意思決定には社員を巻き込め

五十嵐 皆さんいろんな制度を作ってこられていると思うんですけど、制度の改変とかあるいは廃止みたいな制度のライフサイクル・マネージメントというのも当然やっていると思います。

メルカリさんはまだ新しいからこれからかもしれないですけど課題として取り組まれてると思うんですよね。

老朽化したりとか、あるいはその制度の心を理解しない運用がされてしまって、ちょっと変な社内文化を作ってしまうきっかけになったりと運用の誤りというのが結構あると思うんですけよ。

そういう制度を変えようと思ったりとか、あるいは見直したり、捨てようと思ったりするときとかに、どういうタイミングでどういうことをやってるかとか、何でその制度を捨てなきゃいけなくなったかとか、何か事例があったら教えてもらえないでしょうか?

曽山さん、いかがでしょうか?

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曽山 まず、僕が人事担当になったときに結構人事制度の成果がほとんど上がってなかったんで、それを(サイバーエージェント代表の)藤田に報告したら「あ、それ止めといて」とすぐ返ってきたんですよ。

僕が営業から人事に移って、元々いた人事のメンバーが役員に言われて作ったものを「悪いです」と報告をしたら、「曽山くん、止めておいて」と言われるのすごく嫌なの分かります? これ。

やっぱり新しい制度を作ってスタートしたいじゃないですか。なんですけど、止めるところからスタートするので。

でも、それがすごく重要で、制度を止めると反発が出るんですけど、ほかのことをやれるパワーが出るんですよね。

なので、止めることをどんどんやらなきゃいけない。

上から止めないとだめなんですよ。経営陣とか人事トップが、「あ、それ上手くいってないから止めて」という「止めて」というこの3文字を言えるかどうかはすごく大事です。

形骸化した制度が残っていくと、うちの経営陣は「そういう意味もない人事制度を残す経営陣だ」というふうに言われると社員が白けちゃうんですよね。

なので、新しい制度を出しても、「どうせまたあれも上手くいかなくて形骸化するんでしょ」みたいになりがちなので、捨てることというのはすごく大事です。

ただ、捨てるといのはとても怖いです。結果的に僕らの場合は、1年前に「捨てる会議」という会議を行いました。

五十嵐 捨てる会議!

曽山 はい。捨てる会議。役員1人と社員4人ぐらいでチームを作って、7~8チームで議論するんですよ。

社長の藤田に「今、この制度がイケてないから、形骸化してるから止めたほうがいい」というので提案をするのです。

「捨てる会議」では全部で20個ぐらい捨てられました。

一番象徴的なのが新規事業プラン・コンテスト「ジギョつく」と呼ばれる制度です。

ずっと10年ぐらいやってた制度を止めたことで、「ジギョつく、止めるんですか」と言って内定者とかすごい不安がったんですよね。でも結果として、今はリクルートさんと一緒に新規事業のバトルをやろうという共同プロジェクトができました。

双方50人ずつ社員が参加して一緒に新規事業考えるプロジェクトが生まれたり、「ジギョつく」を止めたことで、何か新しいことを考えよう!という雰囲気が生まれました。

そこは相当意識してやってますね。

「捨てる会議」は、人事制度がたくさん形骸化したらやることをおすすめですよ。

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五十嵐 それは、どういうサイクルで回してるんですか? 年に1回とか?

曽山 とりあえず1回やってみました。

やっぱり制度を捨てると、一方で既得権益の反応がすごい本当大変です。

止めるというのはこんな大変なんだってと思います。

例えば、ごみ箱が1人1個、勝手に自由に置いてたゴミ箱を止めて、大きなゴミ箱を通路のところにを集めることにしました。

なぜかと言うと「臭いから」という、女性社員のクレームがあったので、止めるという決断したんですけど、めっちゃ反発にあってですね。

反発したい気持ちも分かるんですよ。

その中でいろいろ試行錯誤して、「じゃあこのフロア残そう」とか、「やろう」とかって
とりあえず1回止めてみる。「止めてみてまた戻す」とかというのを議論をしています。

既得権益の戦いというのは、始めるのは簡単で止めるのは大変なんです。

五十嵐 止めるときにその既得権益層を説得したりする上で、上の人間がトップダウンで決めると「また思いつきで止めやがって」みたいな感じになったりしないんですか?

曽山 します、します。全然します。

ただ、そういう会議で決まったからとか、あとは意図を説明するとか、あとは人事とか役員はみんな飲みに行って、「何であれ止めるんですか」と言われたら「こうこう、こういう理由だ」というふうに言っていかないといけない。対話ですよね、ここは。

五十嵐 一対一での説明もした上で、ちゃんとPR的に広くいろんなアピール努力もしなきゃいけないんですね。

曽山 そうです。今も「止め中」のものがあるので、ちゃんと対話しなきゃいけないっていうのはあると思います。

五十嵐 でも、その「捨てる会議」に、社員の方を巻き込んで意思決定されてるというのがすごい、いいなと思います。

曽山 それは大事ですね。

いろんな意思決定に社員を巻き込むというのは、ものすごい重要です。

ただ、先ほど宇佐美さんが言ってましたけど。ビジョンを決めるときにチームごとに例えば「ビジョンを決めて」と言って提案させると、ものすごい凡庸になりますよね。

すごい重い決断とかやっぱり最終的には宇佐美さんとか役員で決断されているんですよね?

宇佐美 はい。ただ、参加者感を作るのが大事なので、全社プロジェクトとして社員を巻き込んで、案を出してもらって「じゃあこの中から経営陣の中でいいものを選ぶよ」または「ちょっとランクアップさせるよ」いうふうにやりましたね。

(続)

編集チーム:小林 雅/根岸 教子

続きはこちらをご覧ください:成長企業の福利厚生はどうあるべきか? 社員のミスマッチにどう対応すべきか?

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