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2. 遠慮、謙遜、お陰様…「美徳の精神」が日本人から自信を遠ざけている?

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「人のつながり とは何か?(シーズン2)」全9回シリーズの(その2)は、仕事に関するグローバル調査で浮き彫りになった、日本人女性特有の“自信のなさ”の原因を探ります。「成功したのはチームのおかげ」「運がよかっただけです」そうした謙遜が美徳とされる文化が日本人から自信を遠ざけている、という説が飛び出しました。皆さんはどう思いますか? ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 ゴールド・スポンサーのリンクトイン・ジャパン様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 3F
人のつながり とは何か?(シーズン2)
Sponsored by リンクトイン・ジャパン

(スピーカー)

石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

(モデレーター)

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

「人のつながり とは何か?(シーズン2)」の配信済み記事一覧


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1つ前の記事
1. 全ビジネスパーソン必見!仕事や人生を豊かにする「人のつながり」とは何か?

本編

村上 今岡島さんからOECDの学力調査の話がありましたが、子どものときはグローバルでも上位にいる日本人が、仕事への意識では圧倒的な最下位に落ち込んでしまっていることが分かりました。

▶編集注:本セッションPart1では、リンクトインが発表した「仕事で実現したい機会」に関するグローバル調査結果について、その概要が解説されました(英語原文はこちら)。

大学受験のシステムや、就職のタイミングで日本型雇用に押し込められることなどが影響しているのかもしれませんし、少子高齢化や男女格差の問題が今回の指標に反映されてきているのかもしれません。

ここからは、日本と世界との差について、調査結果をもう少し詳しく見ていきましょう。

日本の女性は、男性より仕事に悲観的で自信がない

村上 調査では男女別に質問しています。

その中で高学歴・高所得層の方々に「自信」の度合いを質問したところ、面白い結果が得られました。

一般的に、全世界共通でその層の方々は自信に満ち溢れていることが分かりました。

仕事上で成功して、年収も高くて、十分な教育も受けているので、楽観的で自信がある人が多いのです。

しかし日本だけ、この層の女性に自信がないことが分かりました。

日本の男性はグローバルと同じで楽観的で自信を持っているのですが、同じようなポジションの日本の女性は「私は自信がありません」と答えているということです。

しかも、自分への自信のみならず、ほぼ全ての項目において悲観的だったのです。

実際のところ日本はまだ男性優位社会なので、その中でもポジションがあって高所得の女性というのは相当頑張ってこられた方です。

にも関わらず、全然自信満々になれていないということでした。

岡島さん、これをどう読み解きますか?

「美徳の精神」が日本人から自信を遠ざけている?

株式会社プロノバ 代表取締役社長 岡島 悦子さん

岡島 まず前提として、世界レベルで男性と女性の自信の度合いを比較してみても、女性のほうが自分を過小評価する傾向があります。

インポスター症候群(※)という心理学用語があるのですが、そういった傾向があるのは事実で、特に日本ではそれが顕著なのだと思います。

▶編集注:インポスター症候群(Impostor Syndrome)とは、実績や実力があっても自信が持てず、自分を過小評価してしまう心理傾向のこと。社会的に成功した人たちの中に多く見られると言われる。

そしてこれは脳の問題ではなくて、どちらかというと育てられ方、育った環境に起因するとされています。

例えば「同調圧力」です。何かが上手くいった時に「アレはオレがやった」と言ってまわる“アレオレ詐欺”的な日本人は諸外国に比べるとに非常に少ないですよね。

日本では「チームでやりました!」となりがちです。

そして「みんなのおかげです。私は自信がありませんから…」などと言っているうちに、本当に自信が無くなっていくのです。

村上 言霊(ことだま)的な話ですかね?

岡島 かつ、そう言っていると挑戦する機会にも出会えないので、いつまで経ってもトラックレコードができず、確固たる自信がなくなってしまうというサイクルに陥るのだと思います。

井手 直行さん(以下、井手) 彼女たちは本当に自信がないのでしょうか?


井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

ニックネームは『てんちょ』。国立久留米高専を卒業後、電気機器メーカー、広告代理店などを経て、1997年ヤッホーブルーイング創業時に営業担当として入社。地ビールブーム終焉の後、再起をかけ2004年楽天市場店の店長としてネット通販事業を軸にV字回復を実現。2008年より現職。フラッグシップ製品『よなよなエール』を筆頭に、個性的なブランディング、ファンとの交流にも力を入れ、現在まで15期連続増収増益、クラフトビール国内400社の中でシェアトップ。『ビールに味を!人生に幸せを!』をミッションに、新たなビール文化の創出を目指している。

実際には自信があるのに、日本は「自信がない」と言うことが良しとされる文化だからアンケートでもそう回答している、ということはないのでしょうか?

岡島 両方あると思います。

村上 日本では「チームでやりました!」のような謙遜が美徳としてありますよね。

石川 ありますよね。

岡島 一方で「『R25』をつくったのはオレだ!」みたいな人って50人くらいいるじゃないですか。

村上 そう言っている人、50人くらいすぐに挙げられる気がしますね(笑)。

吉藤 ここで言う「自信」というのは、そうした“アレ・オレ”のことなのでしょうか?

石川 漢字の通り、そうだと自ら信じているのではないでしょうか。

事実はどうであれ、「アレをつくったのはオレだ」と信じているのです。

岡島 過去の自分に対する「自己肯定感」と、未来に対して“やれそう”と思う「自己効力感」で言うと、後者のことを言っているかもしれないですね。

新しいものが来た時に、自分ならやれそうかな?みたいな。その意味での「自信」ですよね。

村上 そうですね。

人生で成功するために「一生懸命働く」のは万国共通

村上 また、このデータもとても興味深いです。

「人生で成功するために重要なことは何ですか?」という問いに対して、日本でも世界でも圧倒的にナンバーワンだった回答は、「一生懸命働くこと」でした。

これは納得ですよね。成功するためには頑張って働きましょうと。

2位は、世界では「変化を喜んで許容すること」というものでした。

変わり続ける世の中にどれだけ自分がついていくかが、成功につながるのだということです。

3位は、「ふさわしい人とのつながり」です。

日本語にすると人脈になると思うのですが、恐らく広義には「ネットワーキング」で、例えば特にアメリカでは、転職の際に70%の人が知り合いのいるところに就職します。

やはりリファラル経由が非常に多いんですよね。

ですから、そういったチャンスに導いてくれる人とのつながりは、キャリアにとって大事だと考えている人が多いことが分かります。

他には「機会均等(社会的平等)」や「学歴」なども、人生で成功するための要素として重視されていることが分かりました。

「成功したのは運がよかったから」と言いがちな日本人

リンクトイン・ジャパン株式会社 日本代表 村上 臣さん

村上 しかし日本では、何と2位に「幸運」という回答が挙がっています。

人生で成功するためには、運が重要、運任せであるというのです。ちなみに世界では「幸運」は9位でした。

吉藤 海外の人のほうが神様などを信じているような感じがしますけれどもね。

村上 日本人はキャリアに対して主体性よりも外的要因任せの傾向を持っていることや、日本型雇用と海外のジョブ型雇用の差が出ているようで、非常に面白いですね。

最近大学生と話す機会があり「就職活動をしていて不安なことはある?」と聞くと「配属はどのように決められるのですか?」という質問が返ってきました。

「この会社のここに惹かれるのだけれども、その部署に配属されないとなると結構ドキドキします」と。

新卒の世界では「配属ガチャ」という言葉があって、要はどこに配属されるか運任せであり、当たりはずれが激しいというのです。

一度そのガチャを引いてしまうと数年間はそこにいなくてはならないので、その結果、“はずれ”を引いた人たちが転職する第二新卒のマーケットが非常に大きくなっています。

実際に、日本では新卒3年以内に会社を辞める人は全体の5割に及びます。

石川 そんなに辞めるのですか?

村上 そうです。実はそんなに辞めているのです。

配属先が自分に合わなくて、このままいても能力が発揮できないからキャリア形成ができない、そう思って転職してしまうという、マッチングの問題があります。

これは、昇進や役員に引き上げられるタイミングなど、色々な局面であると思うんですよね。

会社勤めをしていると「どうして?あいつは昇進したのに…」と思うことも正直あると思います。

そして残された者同士で「あいつは運がよかったよね」などと言ったり、「オレは運がよかったんだよ」というのはよく見かける光景ではないでしょうか。

そんな背景がこの結果として出ているのでは、というのが個人的な意見です。

「よなよなエール」がファンから支持されるのは……

井手 そういう部分もすごく多いかなと思いつつ、私がこのデータを見た時に思ったことがあります

それは、成功した経営者や実績を残した方ほど「日本の文化では謙虚が美徳とされているから、上手くいっても『運が良かったからだ』と思いなさい」とおっしゃっているということです。

「成功したらそれは自分の力ではなくて、運が良かったからだと思いなさい。失敗したらそれは運が悪かったのではなく、自分に原因があると思いなさい」と。

村上 成功された経営者のインタビューなどを読むと、それに近いことをおっしゃっている方は多いですよね。

石川 ちなみに、よなよなエールがビール業界で一定の地位を得られたのは、なぜでしょうか?

井手 それはひとえに、ラッキーだったからでしょう。そして上手くいかなかったことは、私の不徳の致すところです。

石川 これですよ。

村上 まさにですね!

井手 創業から8年間赤字の期間があり、その後15年連続で増収増益中です。

すごいですねと言われるのですが、まだ15勝8敗です。

8敗もしていてまだ負けがこんなにある。「いえ、まだまだです」といつも思います。

やはり日本人なので、そう言ってしまうところもあるような気はしますね。

石川 なるほどね。

井手 けれども、ご指摘のとおり受け身という面もあるかもしれませんね。

(続)

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続きは 3. 吉藤オリィさんが「苦手な名刺交換」のために実践していること をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/戸田 秀成

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