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3. 吉藤オリィさんが「苦手な名刺交換」のために実践していること

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「人のつながり とは何か?(シーズン2)」全9回シリーズの(その3)は、世界と比較して日本人に顕著な「人とつながること」への主体性の欠如について。会合での名刺交換が苦手だと自称する吉藤オリィさん。そんなオリィさんが実践する“全力で待ち構える”スタイルとは? その秘密は、オリィさんのトレードマークの黒い白衣に隠されていました。ぜひご覧ください!

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 ゴールド・スポンサーのリンクトイン・ジャパン様にサポートいただきました。


【登壇者情報】
2020年2月18〜20日
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 3F
人のつながり とは何か?(シーズン2)
Sponsored by リンクトイン・ジャパン

(スピーカー)

石川 善樹
株式会社Campus for H
共同創業者

井手 直行
株式会社ヤッホーブルーイング
代表取締役社長

岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長

吉藤 健太朗
株式会社オリィ研究所
代表取締役CEO

(モデレーター)

村上 臣
リンクトイン・ジャパン株式会社
日本代表

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最初の記事
1. 全ビジネスパーソン必見!仕事や人生を豊かにする「人のつながり」とは何か?

1つ前の記事
2. 遠慮、謙遜、お陰様…「美徳の精神」が日本人から自信を遠ざけている?

本編

石川 ドイツも、人生で成功するための重要な要素として「幸運」を挙げる人は多いのではないでしょうか?

というのは、英語の「Happy(幸せ)」に相当するドイツ語に「Glück」がありますが、これは“幸運・運がいい”という意味なのです。

幸せや成功は掴み取るものだという概念の国と、このように幸運である・誰かや何かのおかげだという文化の国があるように思います。

▶編集注:本セッションPart2では、仕事で成功するための重要な要素として「幸運」を挙げる日本人のメンタリティーの特殊性が議論されました。

村上 面白いのは、日本とドイツでは労働市場が結構似ていることです。

例えばドイツも長期雇用型で、10年、20年同じ会社で働いていたりします。

また謙虚な国民性だったりと、日本と共通点がとても多いのです。

石川 やはり、似ているのですね。

村上 そうですね。リンクトインでもドイツのカントリーマネージャーと僕は課題感が似ています。

日本人は「人とつながること」への主体性が欠如している?

株式会社プロノバ 代表取締役社長 岡島 悦子さん

岡島 人生100年時代になって働く期間が60年になれば、運が良かったから成功した、悪かったから失敗した、ということも当然出てくるはずです。

そう考えた時に、ここで言う「成功」というのは、“自分から機会を勝ち取りに行くこと”だと思うのです。

私はよく「成果=能力開発×機会開発」と言うのですが、日本人は後者の機会開発に対してすごく受け身で、何なら「自分からしゃしゃり出ること」のようにネガティブに捉える風潮さえあります。

先ほどの謙虚の話もそうかもしれませんが、自分で仕事を取りに行く文化が、すごく弱いなという気がします。

村上 仕事で成功するために重要なこととして世界では3位の「ふさわしい人とのつながり」が、日本では結構下位に来ています。

実際には仕事関係でたくさんつながっているし名刺交換も大好きな国民なのに、「人生で成功するために重要なことは何ですか?」と尋ねると、一旦それらがチャラになってしまうのです。

ここにはやはり、主体性の問題があるように思います。

本来、自分のキャリアを自分でつくっていくためには「誰とつながって」「どこから仕事を取るか」のマインドが必要です。

一方で、待っているだけでそういうものが会社から降ってくる受け身の人は、むしろ「今いる場所でどんな機会をもらうか」を考えるのかなと思います。

井手 ICCサミットに参加しているような方、特に登壇している方からデータを取ると、この「ふさわしい人とのつながり」を重視する割合はバーンと跳ね上がるような気がします。

石川 確かに。そうですよね。

岡島 ここにいる人は外れ値でしょうね(笑)。

オリィさんが苦手な名刺交換のために実践していること

株式会社オリィ研究所 代表取締役CEO 吉藤 健太朗さん

吉藤 私は32歳で、この中では最年少だと思います。

こうした場で年齢で区別するのはどうかという話もあるかと思いますが、やはり自分から名刺交換に行けるかというと、私は行けない派です。

このICCサミットにいらっしゃる方々は、私からすると極めてコミュ力の高い経営者の集まりです。

今、あちらの大会場でリアルテック・カタパルトが開催されていますが、私もどちらかというとリアルテック系で、社長というよりはエンジニアです。

先ほどもランチ時間帯にネットワーキングの枠がありましたが、自分のようにモノをつくっているオタク系の人間の多くは、どのようにして自分から名刺交換を申し込んだらよいのかが分かりません。

皆さんはお気づきではないかもしれませんが、リアルテック系の人間はだいたいリアルテック系だけでかたまって端の方に座り、オタク系トークをしています。

(会場笑)

井手 でも私から見ても、僕を除いたこの3人(村上さん、石川さん、岡島さん)はコミュ力が異常に高い人たちです。

オリィさん(吉藤さん)は確かにそうだと思うのですが、先ほどもお話していて気づいたことがあります。

常にブラック・ジャックみたいな格好をされていて、独特の雰囲気がありますね。

ここを開けると何が出てくるのでしたっけ?

吉藤 パソコンが入っていたり…

村上 そういうオリジナルの黒衣なんですよね。

(左)株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役社長 井手 直行さん

井手 そう!ブラック・ジャックがマントの内側にメスなどを潜ませているように、色々な仕事道具が入っているんです。

実はオリィさん、こういう風貌や仕掛けでこちらから話しかけやすいように持って行っていますよね?

吉藤 そうです。

とにかくコミュ力がないので、18歳、19歳の時にこのままではいけないと思い、自分から行けないのならどうするかを考えました。

そして、全力で待ち構えるしかないと思ったのです。

石川 蜘蛛の巣じゃないですか(笑)。

吉藤 そうそう。これは他者に来てもらうための進化なのです。

来て欲しいのだけれども、来てくれない。ではどうすればいいかというと、突っ込みどころを用意する。

そして一度相手が食いついてくれたら、この黒い白衣から色々なものが出てきて…ここにパンフレットが入っていたりするんですよ。

(会場笑)

「私が作っているものなのですが」という話から徐々に広げていって、最終的に名刺交換につなげるという。

石川 長い!名刺交換までが長い。

井手 石川さんだったら一瞬で終わるやりとりですね(笑)。

オリィさんはその100倍くらいかかるけれども、やはりふさわしい人とのつながりを求めて、自分なりの個性で待ち構えているのですね。

そして、面白いから結局色々と聞いてしまうわけです。

自分から行けないなら「つなぎ役」を頼ればいい

岡島 しかもすごいのは、オリィさんは人の名前や顔も覚えられないのでしょう?

吉藤 はい。

岡島 本人は覚えられないと言うけれど、オリィさんのことを忘れてしまう人はいないのが、彼の独自性だなと思います。

吉藤 小学生の時にも、同じクラスの子の顔と名前を覚えるのがとても苦手でした。

岡島 私と正反対ですね(笑)。

▶編集注:「子どもの頃、学校から配られる名簿を眺めるのが趣味だった」と岡島さんが語ったこちらのセッションもぜひご覧ください。

吉藤 だから友だちが作れずにグループから外れてしまうタイプだったのですが、そういう状況での生存戦略として必死で考えた結果、全力で待ち構える戦略に行き着きました。

ただ一つだけ問題があって、リアルテック系は(相手が)来てくれたら話せるオタクばかりなので、“罠を張っている系”の本当のオタクとは永遠に出会えないのです。

村上 お互いに罠を張って待っているから、何も起こらないのですね(笑)。

井手 だからそういう時こそ、岡島さんや石川さんのような、人と人とのつなぎ役をしてくれる人が必要なんですよ。

村上 そう、“触媒”となるようなカタリストを見つけてね。

吉藤 村上さんもそうですけれども、皆さん懇親会で「吉藤くん、いいところに来た。あちらに紹介したい人がいるんだ」とつないでくださるのがとてもありがたいです。

村上 僕やリバネスの丸幸弘さん、岡島さん、善樹さんはリアルテック系とチャラテック系をつなぐ代表格ですよね。

僕も元々オタクで、オタクが頑張ってコミュ力をつけたタイプです。

昔はどちらかというとオリィさん側で全然自分から行けなかったのですが、結構頑張って今のようになりました。

岡島 面白いことに、ICCサミットで一人ひとりと話をすると、「こういうパーティはすごく苦手で」という人がほとんどで、ネットワーキングが得意だと言う人はあまりいません。

石川 いないですよね。だから、慣れの問題なのではないでしょうか。

岡島 そう。場数だという気もします。

村上 後でこっそりリンクトインで検索して、申請すればよいのだと思います。

石川 まったくですよ(笑)

村上 一応ポジショントーク的に言わせていただきました。

岡島 お後がよろしい感じで。

村上 まだ終わりませんからね(笑)。

(続)

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続きは 4. 日本人が「大好きなことを仕事にできない」のは何故なのか? をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/戸田 秀成

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