【最終回】「200年後も続く会社へ」ユーグレナの行動指針 ”ユーグリズム”とは?【K16-9E #4】 – INDUSTRY CO-CREATION

【最終回】「200年後も続く会社へ」ユーグレナの行動指針 ”ユーグリズム”とは?【K16-9E #4】

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特別対談「ユーグレナに学ぶ真の経営チームとは何か?」【K16-9E】のセッションの書き起し記事をいよいよ公開!4回シリーズ(その4)は、ユーグレナの行動指針である「ユーグリズム」と今後目指す目標についてお話頂きました。出雲さんと永田さんの「あ・うん」の議論を是非御覧ください。

ICCカンファンレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級の招待制カンファレンスです。次回ICCカンファレンス FUKUOKA 2017は2017年2月21〜23日 福岡市での開催を予定しております。

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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 9E
特別対談「ユーグレナに学ぶ真の経営チームとは何か?」
(出演者)
出雲 充
株式会社ユーグレナ
代表取締役社長
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ
取締役 財務・経営戦略担当
(聞き手)
小林 雅
ICCパートナーズ株式会社
代表取締役

その1はこちらをご覧ください:ユーグレナの誕生-ライブドア堀江氏の支援と取締役・永田氏の参画【K16-9E #1】
その2はこちらをご覧ください:「創業チームに認められたい」ユーグレナ永田氏の葛藤と解脱【K16-9E #2】
その3はこちらをご覧ください:「ユーグレナ is 出雲充」永田氏が語る広報戦略【K16-9E #3】


小林 竹内さん 何か聞きたいことありますか。

ユーグレナのビジョン・バリューの共有方法

竹内氏 経営陣や組織の皆さんが、日々どんな話をしているかをお伺いできればと思います。

昨日までのインタビューでLITALICOさんとかアカツキさんの話があったんですけど、LITALICOさんは社員や経営陣が定期的に「社会をどうしたいか」という話をする場を設けていると言っていて、アカツキさんでは経営陣も若手メンバーがキックオフ等をやるために、「アカツキってどんな会社だっけ」ということを話し合う場を設けていると話していました。

参考資料
①:LITALICOのすべて(2)当事者意識と自浄作用が働く組織の創り方
②:「“らしさ”を考え続ける」アカツキ塩田氏が意識する社内の「口癖と雑談」

素敵な会社というのはその会社ならではの、日々話している言葉とか世界観があるのかなと思っているのですが、ユーグレナさんにもそういうのがあるんでしょうか。

小林 経営者のタイプ的にはLITALICOの長谷川さんと近いですよね。

ビジョン(ミッション)・オリエンテッド、これをやりたい、実現したいことに対してピュアに行く、という感じですよね。

その情報発信に関して一貫性があってぶれない。

ぶれていると、「ぶれてるよ」と他のスタッフに言われて「あ、そっか」と戻ってくる。

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永田 これは適切な発言かどうか分かりませんが、出雲はどちらかというとインナー(社内)に対してよりアウト(外部)に対しての方がすごく強いんです。

出雲が外で語っていることが社内に返ってくるという作用はすごく大きいと思います。

求められる戦略論みたいな話しで言うと、人材採用は僕らメディア等は使わず、基本的にホームページの採用ページに来る人しか採用しないんです。

それで年間50人ぐらい採用するんですが、そうなると元々僕らに対する理解度が高く、自分たちのフィロソフィーを分かってくれている人しか入ってこないじゃないですか。

社内の中身を構成している人をそういう状態にするというのはすごく大きいと思います。あとは例えば、名刺入れはバングラディシュでマザーハウスさんに作ってもらった同じ物をみんな使っていますが、常にユーグリズムというのが入っていて、これは会社のメンバー全員で作ったものです。

【参考資料】
 ユーグレナ社創業10年目、創業のきっかけの地バングラデシュで作るマザーハウス特注名刺入れを作成しました

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僕が常に感じているのは、ファウンダーは200年後死んでるかもしれないけど、カルチャーは多分従業員の人たちに連綿と残るものだと思っていて、それを創ろうというのは僕の意識としてはすごくあります。

ユーグリズムが10個あります。

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毎週の朝会はそれを全取締役が1人1個ピックアップして話をするとか、横の人を見ながら誰が一番僕たちのフィロソフィーに合っている人かというのを半期ごとに表彰するとか、半期ごとの全社説明会で「僕たちこういうことを元々やるべきだよね」という話を必ずする、というようなことは意識づけてやっています。

【参考資料】
 設立から10年の節目で策定 ユーグレナ社員の行動指針「ユーグリズム」とは?

小林 出雲さんは、対外的には主語がミドリムシで、ミドリムシのことを語っていると思うんですが、社内向けにはどういう会話をされているんですか。

また集会等ではどんな会話でまとめたりするんですか。

出雲 会社では全然違いますよ。

外で発信する時にタイミングが致命的に重要、ということは無いんですよね。

でも中は、常に状況が変化していて、そのタイミング、次の3ヶ月、次の半年、次の1年間、次の10年間、色んなスパンの中でやらなきゃいけないことが多すぎるので、その順番はやはりある程度自分が示すようにしています。

上手くいくようになると、人は全部やりたがるんですね。

どんなにいい組織でも放っておいてシンプルになるとか、放っておくとあまり使わない物を捨てるっていうことはないんです。

これいつか使うかもしれない、というものを永遠にしまって、どんどんあまり使わない物が増えていくので、社内での私の一番の仕事は、「これはしばらく使わない。もしかしたら3ヶ月後に必要になるかもしれないけど、もしそうなったら3ヶ月後に買ってこよう。使うか分からないものを置いておく方が無駄だから、これは捨てましょう」と言うことです。

それは仕事の優先順位でも何でもそうですが、整理整頓をします。

どうしても何か貯まりますが、誰もあまり捨てようという話はしないんです。

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小林 ありがとうございます。何かまた逆に質問とかありますでしょうか?

永田 今回、インターネット業界というよりはテクノロジーサイドも混ぜてというのを意識されているのかなと思っていて、多分意識すらしなくなるのが最も求められる状況だと思うのですが、僕らが1つ自負があるのは、研究開発型の企業として、しかも若いメンバーで大学発ベンチャーできちんと黒字化して東証一部に上場したということです。

普通ではあまり出来ていないことを達成しているという中で、インターネットサイドにいる人たちから見て、僕たちがどうやったらもっと社会的に融和していくのか、ミックスされていくのか、というのはすごく興味があります。

何故かというと、発揮されている能力はそれぞれだと思っていて、もっと相互に活かせるところもあると思っているので、そこはすごく自分としては興味深いところです。

小林 今回開催してみて思ったんですが、やはり出会いの質で大きく変わると思っています。

食品をやっていたら食品の人達と仲良くなるのは当たり前ですが、それ以外の方々と会って仲良くなるかというと、基本的には難しいんです。

それをいかに仲良くするか、それは個人的に仲良くなるのでもいいんですが、そういうところをやることが非常に重要なんですが、仲良くなるためにお互いを知るということはすごく重要だと思っています。

例えば今回だとIBMの基礎研究所所長の福田さんみたいな、多分出雲さんは普段全く会わないような人と対談していると、「なるほど、そういうことなのか」と理解しながら出来ると思うんです。

多分登壇するとそのようなお互いを知る機会が増えると思うので、そういうのを増やしていくのが一番いいと思います。

そうすると連鎖をしていくというか、今回もそうなんですが、出雲さんは過去登壇して面白くて反響が良かったから、この人の話は面白いなという印象があったので、石川 善樹さんと対談したら面白いだろうな、と思ったりしてやると実際面白いわけです。

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【参考資料】
 石川善樹さんと出雲充さんらが登壇した「強いメンタルを持つ人間の行動は何が違うのか?」もぜひご覧ください。

面白いなと思うと色んな人が聞きにきてくれて、声をかけてくれたりするじゃないですか。

そういうのをやっていくとシンクロしていって、より広がっていくと思います。

それによって初めて色んなフィードバック、例えば今は燃料や食品ですけど意外にもっと違うアイデアが出てくるかもしれないですし、そういうのはバイアスが必ずかかっているので、意外と見知らぬ人からアイデアをもらうことってありますよね。

そういう機会があるともっと産業は広がると思っています。

シュンペーター(経済学者)の新結合ではないですが、予想外のところから「ああ、こうか」という形のをやるのは非常によくて、(ICCカンファレンスの)「カタパルト」というイベントで審査員として永田さんはドンピシャの分野があるかもしれませんし、全く違う人が「こんな会社あったんだ」というふうになるかもしれません。

できるだけクロスするコミュニケーションや接点を作って複合化していくと、ものすごく新しい価値が生まれる気がします。

出雲 言うのは簡単ですが運営するのは大変ですから、ずっと続けてくださいね。

小林 ではまとめということで、最後に何か聞きたいことありますか。

ユーグレナが今後目指す目標は?

竹内氏 今目指しているものはバイオジェット燃料の開発、まずはバングラデッシュから栄養失調をなくしていくこと、そして人々の健康を実現していくこと、色々あると思いますが、その中で社員が今これだって話してるもの、みんなの核となっているものは何ですか。

出雲 (沈黙)。

小林 言いたいけど言えないとかですか。

永田 違いますよ。

出雲の沈黙がある時間を超えたら僕がしゃべる、という二人の「あ・うん」のタイミングががあるんです。

(会場 爆笑)

出雲 バイオジェット燃料ですね。

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小林 面白いですね。

永田 出雲は今の戦略とかを語るのは本当に好きじゃないんです。

(会場 爆笑)

竹内氏 失礼しました!

出雲 いえいえ、失礼な質問だというわけではなく、今のは小林さんの仕切りが悪い、仕切りが間違っているんです!

(編集注:「そんなことはない!」と小林が主張しています。)

僕に聞かれても困るので。

それを作った人(永田)がいるんだから、あとでゆっくり聞いてください〜。

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編集注:翌日のセッションで「バイオジェット燃料」に関する話を永田さんが話をしております。後日 配信する予定です。

永田 今日も社会起業家の「カタパルト」(8分間でプレゼンテーションする企画)がありましたが、(出雲さんが)AIESECをやっていたので、貧困と地球環境を何とかしたいとなったら通常はNPOになる、というのはありそうな発想じゃないですか。

僕たちが重要視しているのは3つの能力で、「稼ぐ能力」、「開発する能力」、「人に知られる能力」というのが、ものすごく重要だと思っています。

僕は「ファンクション(機能)」という言葉が好きなんですが、人と地球を健康にするという目標を達成するために必要な機能を全部ベースアップしていくのはやはりすごく大切なので、食品事業で稼ぐと食品の会社と言われますが、全然違うんです。

来年CAPEX(設備投資)で何十億円もかかるバイオ燃料設備を建てるんですが、それができるのはこっち側(食品事業)で稼いでいるからで、それをやってるメンバーはみんな分かっているんです。

%e5%ae%9f%e8%a8%bc%e3%83%97%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%83%88出所:ユーグレナ社 2016年6月 個人投資家向け説明会の説明資料のP23 参照

人と地球を健康にしたいというフィロソフィー(哲学)に合意して入ってきて、今ミドリムシ食品を頑張って売っているんだけど、この稼いだお金がバングラディシュの問題や地球環境の問題に経営がきちっと使ってくれるというコンセンサスがあることが意味があると思っています。

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なので、次が何かというよりは、一番遠い未来に置かれている目標に向かって今何をしなければいけないかというのがそれぞれのファンクションごとに明確になっていて、それが全力且つ120%且つ最新で一番のことをやっているか、というのを突き詰めるのが僕らの仕事で、それを総合値としてのメッセージとして(代表の)出雲が出していて、僕はそれを具体的な戦略に因数分解できるかという話だと思っています。

それは正に目の前でやってることだと思っているので、社内のことで言うと、食品事業で売上はずっと毎年売上2倍で成長していますが、来年も増やすぞということは当然です。

%e3%83%a6%e3%83%bc%e3%82%b0%e3%83%ac%e3%83%8a%e6%a5%ad%e7%b8%be出所:ユーグレナ社 決算発表資料「2016年9月期決算説明及び2017年9月期の方針について」P3

なぜかというと重要なファンクションだからだし、研究開発も一緒だし、広報も人事もみんな一緒なんです。

僕が一番この会社で幸せだと思うことは、出雲がずっとここに掲げている「人と地球を健康にする」ということに対して、今がどういう意味を成しているかということを、全員で共有しながらやっていく。

しかもそれを数値として定量できることに意味があると思っているので、今お客様が何人いるのか、売上がいくらあるのか、株価がいくらなのか、株主が何人いるのか、ということをきちんとKPIを追いながら、それでいて理想論を追求している、というのがすごく幸せだと思っています。

小林 ありがとうございます。

最後に、2人で対談は初めてだったと思うのですが、感想を聞かせてください。

永田 出雲はとても頭が良く色んな能力があるんですが、敢えてキュッと絞って一方向にメッセージを出していくパワーがあると思っているので、「何で今ユーグレナ社はこうなっているのか」ということについては、僕が説明責任を負っていると思います。

「未来はどうなっていくのか」に関してが出雲のミッションになる、という役割分担が今日改めて明らかになったと思います。

常に未来が先にあって現在を割り戻しているので、そういうフォーメーションだというのが話す順番、内容からも改めて出ていて、面白かったと思います。

小林 ありがとうございます。

最後に出雲さん、いかがでしたか。

出雲 今 192人で人と地球を健康にするために全員頑張ってくれていますが、私もなかなか会社にいる時間が取れなかったり、永田や鈴木や福本とゆっくり話す時間は年に数回しか取れません。

今日京都で1時間一緒にいられて良かったなと思います。

そういう機会を作っていただいて、すごくいいタイミングでもあって、本当に感謝しています。

小林 相思相愛の素晴らしい対談でした! ありがとうございました!

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(完)

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/城山 ゆかり/戸田 秀成


【編集部コメント】

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ICCパートナーズ(ICC Partners Inc.)は産業を共に創る経営者・経営幹部のためのコミュニティ型カンフ ァレンス「Industry Co-Creation(ICC) カンファレンス」の企画・運営および新規事業創出・アライアンスなどのアドバイザー業務を行っています。