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「注目ベンチャー経営者が考える次の一手」【K16-3D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その6)は、登壇する注目ベンチャー経営者に、今後の事業展開についてお話し頂きました。モデレーターのグリー田中さんとの議論に注目です。是非御覧ください。
ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 3D
「注目ベンチャー経営者が考える次の一手」
(スピーカー)
菅野 圭介
ファイブ株式会社
代表取締役社長
高橋 飛翔
ナイル株式会社
代表取締役社長
瀧口 浩平
株式会社メドレー
代表取締役社長
水野 雄介
ライフイズテック株式会社
代表取締役CEO
(モデレーター)
田中 良和
グリー株式会社
代表取締役会長兼社長
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最初の記事
【新】ICCの新シリーズは注目イケメン起業家を特集!【K16-3D #1】
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「経営者として選択に迷ったときの判断基準とは?」注目イケメン起業家の意思決定【K16-3D #5】
本編
田中 それでは次の質問へ移ります。
今までのお話を聞きながら、事業内容などについてもお話いただいたので、続いて今後どのように事業を展開していこうと考えているのかお伺いしたいと思います。
水野 まず国内に関しては、中高生に対するプログラミング教育の提供については独占的な状態でやらせていただいているので、今後も丁寧に伸ばしてきたいと思っています。
海外については、どの国でもプログラミングが必修化される傾向にあるので、2020年まではそこが勝負だと思い、特にアメリカとインドを中心に攻めてみようと考えています。
田中 変な話ですが、日本国内で更なる成長の余地もあると思いますし、細かい状況は分かりませんが、改善の余地もまだあるのではないかと推察します。いきなりインドとアメリカを攻めるというのは、一般的なベンチャー論でいうと「危ないベンチャー」の典型のような気がしますが大丈夫でしょうか。
水野 そうなんですか?危険でしょうか。
ベンチャー企業が海外へ挑戦するタイミング
田中 自信があるということなのか、どうしてもやってみたいということなのか、どのように考えているのでしょうか。このように尋ねられることもあるかと思いますが。
水野 国内に関しては、しっかり任せられる者がいるので、そこは任せていきたいと思います。
0から1を作るフェーズよりも、1から10を作るというフェーズに入ってきていると思うので、経営陣にも、1から10を作る方が得意なメンバーがいるのでそこは任せていき、確実に成長させていきます。
同時に、5年後、10年後へ向けた投資をしていかなければならないと思っているので、海外への事業展開も行っていきたいと思っています。少し危ないかもしれないですけれど。
田中 よくあるベンチャー論としては、大体の場合において、成長するタイミングで競合が現れます。
今たまたま競合がいないだけで、うまくいけばいくほど必ず競合が現れます。
競争環境が激化しないとすれば、余程特別な状況でない限り、絶対に競合が現れるに決まっています。
となると、激烈な国内競争に巻き込まれた時に、海外に投資している場合なのかという話になっていくのではないでしょうか。
海外展開というのは、通常すぐに結果が出るものではありません。
そうなると補給線が断たれて、海外事業をやっている場合ではないという判断が下され、国内に回帰することになります。
その頃には後から追いついてきた国内でしか事業を展開していない競合の方がむしろ良くなり始めていて身動きが取れなくなるというのが、よくある一般的なベンチャーの国際展開です。超一般論ですが。
国内の利益という”補給線”が断たれるリスク
水野 先輩のアドバイスを聞いていると、海外展開は得策ではないということですね。アドバイスをいただいたので、もう一度考えたいと思います。
田中 弊社も海外展開をしていますが、普通にやるならば、イメージとしては国内で出ている営業利益の1、2割程度の投資が限界かと思います。
国内での利益が変動した時に、国内で出している利益を海外へ湯水のように投資していくことになると、それを疑問視する声、国内に投資すべきだという声が増大するはずです。
そのため補給線が断たれやすいので、取れるリスクというのは株式投資のようですが、国内で出ている営業利益のうちの一定割合までとするのが一般論かと思い、弊社の場合もある一定内に収めています。
一定内に収めておけば、5年、10年を見据えて成功を目指すというアプローチが取れると思っています。
さもないと、3年やってみてだめならやめてしまおうということになりがちです。
簡単には成功しないとなると、持続的にやり続けることのできる規模で投資をしていくことがひとつのポイントであると、自分なりに考えて実行しています。
水野 ありがとうございます。
田中 いえいえ。それでは瀧口さん。
瀧口 弊社は課題解決型の4事業を行っていますが、医療を提供するのはあくまでも医療機関なので、医療機関のバリューチェーンを強く意識して事業を展開しています。
事業としては非常に単純で、医療機関、介護事業所、保育園など、医療福祉系の事業者をできる限りたくさん顧客にしていき、人材採用やその医療機関に合った患者集め、運営の効率化などに資するサービスをコツコツ作っていくようなものです。
ローテーションがスケールを生む時期をどう乗り越えるか
田中 ご意見番のようになってきていますが、瀧口さんの業態は、一般的にサラリーマンとしても優秀だっただろう人が多く入ってくるフィールドだと思います。
ビジネスというのはある地点から、ローテーショナルに同じことを繰り返す業務がスケールを生むという時代があると思います。
スケールを生む業務というのは、ある意味退屈というか、頭の良すぎる人からするといつまで同じことを繰り返さなければならないのだと感じるだろう業務を、1万回、10万回繰り返さなくてはならないこともあります。
そのため、いわゆる優秀な人の中には、そのような同じことの繰り返しに対して、仕事として価値を見出せなかったり、苦手だったりする人もいるので、会社を拡大し続けていくためには、そういった繰り返し業務に邁進できる人も含めて、うまく分けて採用していかなければならないと思います。
皆が優秀だと、会社が少し伸び悩んだだけで空中分解したり、労働市場で引く手あまたなことから、求心力と同時に遠心力も働きます。
同じことを繰り返すのは自分の仕事ではないと言い出す社員が出てくることも起こりがちなので、今事業展開の話を聞いていて思ったのですが、これから急成長する中で、そのような事態も生じるのではないかと心配していますが、いかがでしょうか。
瀧口 退屈な仕事でも楽しくやる方法はきっとありますし、人によって楽しいと思う仕事は意外と違うので、事業や組織単位によって、人の採用やマネジメントの仕方は色々変えてみています。
例えば、電話で売れる位わかりやすい製品の場合は、セールスとしては提案営業のような面白みがないんですよね。そこについては、シェア100%を目指すゲームのような感覚で取り組めるように工夫しています。
ひたすら淡々と編集作業をこなしていくという形の仕事では、ひとつの作業にユーザーの人生が付随していることを意識してもらいたいので、「気持ちを込められる人」というタイプの社員を採用するようにしていたりですね。
社員が飽きちゃう、というのと同じくらい、経営者が飽きちゃうのも問題なので、同じような会社、同じような組織ばかりを作らないというのは、ちょっと邪道ですが刺激策としていいですよ。
「このチームは男子校のような感じでやってみよう」だとか、こっちは「インテリ女子高風の組織にしてみよう」だとか、楽しみながらやっています。
こういう邪道なことをしてると、自分自身の引き出しが増えてきたなと思いますし、飽きている様子の社員がいたら、カラーの異なる組織に移すことでまたフレッシュな気持ちを取り戻させられたりしています。
田中 今まで様々な経営論を聞いてきましたが、「男子校」、「女子高」という手法は聞いたことがないですね (笑)。
さすが瀧口さん、イノベーティブな手法ですね。ありがとうございました。それでは飛翔さん、お願いします。
高橋 弊社も国内を着実に伸ばしつつ、海外展開を頑張ろうというスタンスなのですが、私個人としては、新規事業をやりたいという気持ちが最近メラメラと沸き上がってきています。
それこそ先ほどの話にあったように、同じことをずっとやり続けていると飽きてしまう可能性はあるわけで、そして自分もアントレプレナーの端くれなので、オペレーショナルなことをひたすら頑張っていると、徐々に気持ちが萎えていくようなところがあります。
全く別の切り口で、世界を変えるようなことをやりたいという気持ちが今フツフツと湧いてきており、事業のアイデアをずっと考え続けているところです。
田中 やはり政治に興味があるということで、政治事業とか、そちらの方向はどうですか?
高橋 政治事業……事業にはならないですね(笑)。
でも政治は、今結構面白いですよね。
安倍さんが総理になって、大変面白い政治になったと思っています。自分が出る気は別にないですけれど。
田中 安心しました (笑)。
次の新しい事業はこういう方向でいこうと、例えば新しいアプリを作ろうとか、むしろリアルをやるぞとか、既に何か決めていますか?
プラットフォーム依存の事業はもうやめよう
高橋 ひとつ考えているのは、プラットフォーム依存系の事業はもうやめようと思っています。
それこそ、多くのウェブサービスが、SEOや、Facebookのアルゴリズムなど、トラフィックのあるプラットフォームに相当に依存してしまっていますよね。でも、例えばAirbnbを例にとると、1度あの体験をしたら、また再度Airbnbを使いたいということになる。
そのくらい強烈な、これをやったら誰しもがまた使うだろうというものを今度は作りたいと思っています。
田中 私も、「今から事業をするなら何をしますか?」と聞かれることがよくあります。
そういった意味では私も、コミュニティサイトやゲームなど、後からついてきた部分もありますが、大きなトレンドの中で仕事をしているというか、事業を作っているタイプなので、世間や多くの人とは逆行した意見かもしれませんが、世の中の流れには逆行していないことをやっているつもりです。
先ほども話した通り、動画くらいしか可能性がなさそうな反面、動画も果たしてビジネスとしてどのくらい規模があるのか、YouTubeなどは勝手にやってもらうとして、ベンチャーを立ち上げたとして、どれだけキャッシュとしてお金になるのでしょうか。
可能性がないということではなく、まだ分からない部分が多い中で、皆がこの分野に進出してきて、全員が儲けを出すことができるくらいに果たして儲かるビジネスなのかというのがテーマだと思うのですが、そういった意味で、飛翔さんから見て儲かりそうな新規事業は何でしょうか。
高橋 今興味を持っているのは、マイクロファイナンスです。
詳細は略しますが、社会課題を解決することにつながるという観点で、いろいろ調べているところです。
田中 ありがとうございます。それでは菅野さん。
デザインとクリエイティブを統合する広告・メディア会社はまだ少ない
菅野 動画については、私は伸びると思っています。
田中 弊社でもやってますので、回してください (笑)。
菅野 私たちは今そこに徹底的にフォーカスしてやっており、現在、大体2,000万人のリーチがあり、動画、映像を毎月約5億回届けています。
おそらく国内では最大規模になりつつあるのですが、この数字はまだまだだと思っていて、グローバルプラットフォームと伍してモバイルの映像流通で一番になることを本気で目指していきたいなと。
更に言えば、いわゆる広告テクノロジーの会社やメディア事業では、デザインとクリエィティブを統合している会社が意外と少ないです。
アメリカでは、メディア会社がクリエーターやデザイナーを抱えて、広告や記事コンテンツをどんどん作っていくというトレンドがありますが、
私もこの方向を目指したいと思っています。
映像をモバイル向けに一番うまく作れる、かつディストリビューションもできる、というところに高い価値があると考えているので、いろいろあるとは思いますが、チャレンジしていきたいと思っています。
田中 動画が儲からないと言っているわけでは全くないのですが、イメージが重要だと思っています。
日本にある業態があったとして、そこから創出される営業利益はいくらなのか、そこに対して参入している人は結局、ビジネスを山分けしているに過ぎないので、100億を山分けしようとしているのか、1兆円を山分けしようとしているのか、また10人で山分けするのか、1万人で山分けするのかによって、難易度や取り組み方が異なってきます。
そういった意味で、100億、1,000億、1兆というのはあくまでも比喩表現でしかないのですが、動画ビジネスというのはどのくらいの規模なのでしょうか。
例えば、ネイティブゲームが日本でも成長していますが、大よその総利益額が確定している中、参入者が増えていかない以上、むしろ減っている以上、1社あたりの利益は増加傾向にあるというのがマクロ的メカニズムだと思います。
動画というのはどの程度の利益が出るもので、つまり現状の参入者数は過剰なのか過少なのか、過少であれば、まだまだ参入する余地もしくは伸びる余地がありますし、過剰だとすれば、マーケットは大きいものの1社あたりの利益水準は低下することになります。
そういう意味で、動画ビジネスというのはどのくらいの利益水準のもので、どのくらいの利益を生む会社が、何社くらい生まれるのだろうかと考えているところです。
菅野 弊社が属しているのはメディア事業というよりは、広告市場です。
そしてメディア事業も、広告売り上げに依存するケースが多いと思います。
数字で言うと、去年の数字ですが、スマートフォン全体の広告市場が大体3,000億円~4,000億円くらいで、これはバナーだったりアフィリエイトだったりと、既に顕在化しているマーケットです。
そこは徐々にリプレイスすることができると思いますし、実際やっています。
加えて、これまで「インターネット広告」と呼ばれていたものから、「インターネット」という言葉を付かなくすることが我々の仕事だと思っており、「広告」業界にしたいのです。
それは何かというと、テレビのCMなどを初めて映像のフォーマットで取り込んでいけるということです。
そうなってくると、テレビCMのマーケットは2兆円の規模があるので、それが10%リプレイスされるだけで、2,000億円となります。
田中 逆に言うと、これから参入してもまだまだ儲かるということですね。
菅野 そうは言っていないです! (笑)
田中 それが裏返しの質問につながっていると言いますか、逆に、最近メディアベンチャーはあっても動画ベンチャーがあまり増えていない気がします。
恐らく、世の中の見立てとしては、総利益額と参入の数が、ある程度均衡ないしは一致しつつあるというマクロ的なメカニズムの結果、動画ビジネスそのものに対する参入が最近それほど増えていないのではないかと思うのです。
読みが違ってもしもっと儲かるのであれば、より多くのベンチャーを立ち上げた方が、より儲かるという考え方もあるのではないでしょうか。
菅野 そういう意味でいうと、競争は更に激しくなっていくと思います。それは覚悟しています。
田中 ありがとうございます。これまで様々なお話をお伺いしてきましたが、最後に質疑応答に入りたいと思います。
(続)
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続きは 【最終回】人生はカネじゃない? 注目イケメン起業家たちが語る経営と人生 をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/鈴木 ファストアーベント 理恵
【編集部コメント】
続編(その7)では、会場からの質問を受け付け、各登壇者に、「イグジット(売却やIPO)」の考え方や、今後の意気込み等についてお話しいただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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