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参加者は全員CFO! ICCならではの完全オフレコ企画、初開催「グロースCFOラウンドテーブル」

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2月19日〜22日の4日間にわたって開催されたICC FUKUOKA 2024。その開催レポートを連続シリーズでお届けします。このレポートでは、2月20日に初開催されたセッション2E「<完全オフレコ>グロースCFOラウンドテーブル(120分拡大版)」の模様をお伝えします。普段からプレッシャーの大きい立場で、CFOたちは何を課題ととらえ、どんなことを議論したのか。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。


はたして成立するのか?CFOラウンドテーブル

 ICCサミットには毎回新しい試みが投入されているが、今回初開催となる「<完全オフレコ>グロースCFOラウンドテーブル」は、蓋を開けてみなければわからない、特殊な取り組みとなった。 

 何が特殊かというと、会場に集まったのは各企業のCFO(Chief Financial Officer、最高財務責任者)ばかり。パネルディスカッションで議論するのが全員CFOなのはもちろん、聞く人もほぼ全員CFO。肩書にそう入っていなくても、企業の中でCFOの役割を担うような方々ばかりだ。

 招待者に加えて、希望者も募った。参加条件は「シリーズB以降(資金調達 10億円以上)」、加えて参加を希望する理由を明記して申し込み、それがラウンドテーブルの主旨と合致していれば参加となる。最終的には38名のCFOがE会場に結集した。

 ICCサミットの中で、セッションテーマの属性が近い人たちが集まるセッションはもちろん存在する。マーケティングを学びたくて社内で実際にそれを担っている人が集まっていたり、組織づくりのセッションで経営者やCHROが聞いていたり、ものづくりについての悩みや課題を、同じものづくりをしている人たちがラウンドテーブルで相談し合っていたりする。

 今回この会場に集まったCFOは、当然ながら社内で最もファイナンスに精通したプロ。企業にとっての大蔵大臣が集まった会場は、他の会場とは違う異質な雰囲気だ。組織やプロダクト開発の事例共有とは違って、経営の要であり最も重要な秘密でもあるファイナンスを完全オフレコとはいえ、どこまで語れるのか? 一般論や抽象論では議論は深まらない。

セッションの司会進行役を務めたUPSIDER上杉 桃子さん

CFOによるパネルディスカッションでスタート

 最初はパネルディスカッションからスタート。五常・アンド・カンパニー堅田 航平さん、キャディ芳賀 亮太さん、Helpfeel宮長 志帆さん、GENDA 渡邊 太樹さんというスピーカーに、モデレーターとしてUPSIDER 石神 直樹さんが「事業の効率化」の考え方と実行をテーマに議論した。

完全オフレコのため内容は書けないのだが、モデレーターのUPSIDER 石神さんが登壇者たちを驚かせるような実際の事例を投下して、Why(何を大事に)、What(どんな意思決定をして)、How(どう実行したのか)を軸に、スピーカーたちが議論。普通のセッションであればここから盛り上がりそうというところでパネルディスカッションは終了した。

 登壇者たちは、自分たちの事業とファイナンスのフェーズ、何を意識してトップラインを伸ばしているか、社内にどのように伝えているかを率直に話していった。30分ということもあり、参加者たちに、後半のラウンドテーブルの議論のヒントを提供するという趣でもあった。

CFOの課題を6つのテーブルで議論

「友達ベースで集まることはありますが、CFOがこれだけ集まることはないので、いろんな切り口で議論ができたらいいですし、CFOは他の職種に比べて共通の悩みや課題が多いと思うんです。続けられたら、日本のスタートアップのエコシステムの底上げになると思います」

「いろんなCFOの悩みを聞けて、自分がどういう悩みが相対的に多くて、少ないのかがわかりました。キャッシュが回っているのと回っていないのは大きく違うというのと、会社によるかと思いますが、CFOの立場から、カルチャーをどのぐらいいじれるかというのが印象的でした」

 転換の合間に立ち話をしていたSansanの橋本 宗之さんとパネルを終えたばかりの堅田さんに今回のラウンドテーブルの感想である。集まって議論することの意義をそれぞれ見つけてくださっており、応募して参加した中には議論したいテーマをびっしりと書いてきてくださった人もいる。

 ラウンドテーブルでは、パネラーや運営スタッフも参加者に合流して、6つのテーブルに分かれてディスカッション。事業もそれぞれ異なっているのと、クローズドな場でも職業柄のためか最初は慎重で、議論が動き出すには少し時間がかかっているように見受けたが、次第に盛り上がりを見せていった。

ディスカッションの後は、各テーブルから代表者が話した内容を発表。ビジネスモデルがそれぞれ異なる中で、以下のようなトピックで共通会話が生まれ、盛り上がっていたようだ。

  • CFOとCEOとの関係性
  • 40%ルール(「企業の売上高の成長率」+「営業利益率」の値が40%を超えるかどうか。投資家が企業への投資を検討する指標の1つ)を、率で見るか額で見るか
  • 調整後の営業利益をわかってもらえず、M&A直後の減損に反発される辛さ
  • キャッシュフローを市場に伝えていく重要性
  • 人件費の見直し
  • 一時的でも赤字を嫌い、投資が制約されることへのジレンマ
  • コストに対するカルチャー醸成

この場に参加していないCFOの方々でも、おそらくこのトピック、課題感に共感いただけるのではないだろうか?

最後の挨拶でこのセッションを企画、スポンサードしたUPSIDERの宮城 徹さんは、次のように語った。

「今日、このすごい方々に集まっていただくにあたって、準備の過程で改めて2つ気づかされたことがあります。

1つはCFOという立場が、特にややこしいプロジェクトはすべてやってくる、華やかな仕事だけではないこと。なぜこれを自分がやらなきゃいけないんだという量の仕事がたくさんある、そういう役割というのがまずあると思います。

もう1つが環境や常識の変化が早いということ。営業やプロダクトであれば、5年前、10年前の感覚で仕事をしても成果が出せるかもしれないけれども、CFOはどんどんキャッチアップして、来年、再来年はどうなっていくのかを考えて、意思決定していかなければならない。これはすごく大変な業務だなと改めて思いました。

今回のラウンドテーブルのようなクローズドな場所であれば、CFOのこの2つの特徴や課題についてディスカッションができるのではと考えました」

終了後に宮城さんは、「日本の成長産業になっているスタートアップのCFOがこれほど一挙に集まるのは、初めてじゃないかと思います。これをきっかけに、スタートアップのエコシステムを大きくしていく、CFOの情報交換や切磋琢磨できる場が増えていけば、その一助になればと思っています」と手応えを語った。

次回はCXO!? 拡張性のあるラウンドテーブルの仕組み

開催後のアンケートを見ると、「これだけCFOが一堂に会する機会はなかなかなく、交流ができた

」「実践的な内容を共有いただき参考になった」「同じ立場で悩みを議論できて、改めてCFOの役割を深く考えるきっかけに」「取締役の中でも嫌われ者を演じなくてはならない立場。先輩たちの知見に触れ、学びが多かった」と、新鮮さと学びの多さを感じていただけたようだった。

他社のCFOと果たしてどこまで議論できるのか、盛り上がるのかというのは杞憂で、次はこんなテーマを話したい、テーマをもっと絞りたいなど、提案や改善案も数多く挙げられていた。

ICCサミットに参加するような経営者は、社外秘の課題を多く抱え、企業で重責を担っている方々が多い。こういった信頼できるクローズドなコミュニティの中で、その悩みや考え、経験を共有し、議論することで、1企業の学びは産業全体を推し進める学びとなる。

ICCとしては、完全オフレコのセッションの新たな形を発見したラウンドテーブルとなった。今回はUPSIDERにスポンサードいただいたためファイナンスのテーマとなったが、従来のセッションにあるテーマをラウンドテーブルに置き換えることが可能だ。CXOという役割や、課題セグメントでも実行することができるだろう。

次回のICCサミットではどんなテーマのセッション、ラウンドテーブルが登場するのか? 3日間7会場内外で同時に開催されるセッションは、見たいものがバッティングしてしまう、と嬉しいクレームをよくいただくが、次回のプログラムもぜひご期待いただきたい。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/戸田 秀成

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