「手法論より、モノづくりに集中せよ」スマートニュース西口氏によるマーケティング勉強会シーズン2!【ICCラウンドテーブルレポート】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「手法論より、モノづくりに集中せよ」スマートニュース西口氏によるマーケティング勉強会シーズン2!【ICCラウンドテーブルレポート】

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2019年1月16日の勉強会に続き、6月5日、スマートニュース西口一希さんを講師に迎えて、マーケティングをテーマにしたICCラウンドテーブルを開催しました。マーケティングを取り巻く課題、「N1分析」、ICCサミット登壇者からの質疑応答などの模様をお伝えします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


2019年1月16日に開催した勉強会が大評判となり、再登板が熱望されていたスマートニュース西口一希さん。その声にお答えして、さる6月5日、ICCオフィスにて第2弾となるICCラウンドテーブル、「西口一希氏の『たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング』を学ぼう!」を開催しました。

2019年1月、スマートニュース社にて前回開催の模様

出席を表明したのは、今回30人。みなさん、今年4月に出版されたばかりの西口さんの著書『たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング』で、しっかり予習は済ませている模様です。加えて運営チームメンバーも大勢集まり、ICCオフィスにぎっしりの人数が入りました。


【開催情報】
6月5日(水)
ICCラウンドテーブル 西口一希氏の
『たった一人の分析から事業は成長する 実践顧客起点マーケティング』を学ぼう!
@ICCパートナーズ オフィス

【ご参加いただいた方々 (敬称略)】
會田 武史 RevComm
朝倉 完 株式会社プライムアシスタンス
安藤 正樹 株式会社リクシィ
伊藤 綾 株式会社ビズリーチ
井上 大輔 ヤフー株式会社
占部 伸一郎 コーポレイトディレクション
榎本 純 オリジナルライフ
小原 一樹 シルタス株式会社
柏谷 泰行 ERRORs株式会社
川本 康博 ラクサス・テクノロジーズ株式会社
久志 尚太郎 株式会社TABI LABO
小池 政秀 株式会社サイバーエージェント
小島 亮平 CROOZ SHOPLIST 株式会社
児玉 昇司 ラクサス・テクノロジーズ株式会社
小林 紘子 ベースフード株式会社
重松 大輔 株式会社スペースマーケット
嶋田 光敏 BizteX株式会社
田岡 敬 (株)エトヴォス
高野 秀敏 株式会社キープレイヤーズ
武井 大知 CROOZ SHOPLIST 株式会社
田部 正樹 ラクスル
永田 暁彦 株式会社ユーグレナ
中山 亮太郎 株式会社マクアケ
橋本 舜  ベースフード
濱野 幸介 プリズマティクス株式会社
林 直孝 株式会社パルコ
菱木 豊 inaho株式会社
平尾 丈 株式会社じげん
平田 祐介 Repro株式会社
堀 新一郎 YJキャピタル株式会社
嶺井 政人 個人
深山 陽介 株式会社Sparty
向井 良和 シルタス株式会社
山口 翔 株式会社グライダーアソシエイツ
山口 義宏 インサイトフォース
山下 貴嗣 株式会社Bace(Minimal
山田 敏夫 ライフスタイルアクセント株式会社
若宮 和男 uni’que

意欲満々の参加者たち

前回に続いて参加する方、噂を聞きつけて初参加する方、いずれも期待値は高め。今回、学びたいことをお聞きしました。

ヤフー株式会社 MS統括本部 マーケティング本部長 井上 大輔さん

井上さん「前職の某自動車会社では、我流でCMを作っていました。西口さんから本筋を学びたいです」

ラクサス・テクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 児玉 昇司さん

児玉さん「15秒ないと説明できないものを、どうやったら5秒で説明できるのか学びにきました」(「それは今回のテーマにないでしょ(笑)」と西口さんからツッコミあり)

株式会社Bace 代表取締役 山下 貴嗣さん

山下さん「チョコレートのブランドをやっていますが、お客様をどうロイヤル顧客にするか、そこへの動線をどうするかについて学びたいです」

若宮さん「言葉にできないブランドというものをどう作っていくのかということ、先週ココナラの南さんに西口さんの凄さを滔々と語られたので、予定を空けてきました」

永田さん「今年4月からマーケの責任者にもなったので、学びたいことがたくさんあります。今までサブスクリプション中心で数十万人の顧客を作ってきたのですが、今後ナショナルブランドとして発展していきたい。そのために今日は勉強したいです」

株式会社スペースマーケット 代表取締役社長 重松 大輔さん

重松さん「グーグルのアルゴリズム変更で事業が影響を受けています。そうならないためにどうすべきか学びたいです」

1990年から28年間、マーケティング投資累計800億以上、担当ブランド100以上の経歴をもつ西口さんのラウンドテーブル・シーズン2、ついにスタートです!

マーケティングを取り巻く課題

スマートニュース株式会社 執行役員 マーケティング担当 西口 一希さん

西口さん「マーケティングを取り巻く課題から、まず始めたいと思います。まずは大きな課題として、『オン/オフラインの手法論が先行していること』があると思います。枝葉末節と最適化の話になっていて、自分の商売にどんな意味があるのかという原点に帰らないと、振り回されてしまう。

『分断』というのも、大きな課題だと思っています。マーケティングでいえば、マスとデジタル、販売促進とブランディング、組織でいえば既存事業と新規事業、経営とマーケ、株主と経営者などさまざまなものが、組織の中で分断されていると思います。

会社組織でいうと、経営者、株主はファイナンシャル指標ばかり見てしまう。僕もそうでした。数字ばかりを見てしまい、会議でもお客様の”お”の字も出てこない。でも結局、お客様を動かさないと、PL、BS、キャッシュフローをやっても、その結果の数字は動きません。このあたりが大きな問題かなと思います。

本をお読みいただいている方には改めてになりますが、自分のビジネスで100%のシェアを獲り切れたら、何人になるか答えられる方はいらっしゃいますか? これはものすごく重要です。答えられないのであれば、マーケットの定義ができていないということだからです。

顧客ピラミッドの下の2層、「認知・未購買顧客」と「未認知顧客」は、認知はしているけれども買っていないという層です。もしもそこに意味がないというならば、そもそもの顧客マーケットの定義が間違っています。

どこまでをターゲットにするかというのが、経営にとって最も重要な質問だと思っています。そこを定めないままにグロースなどと言っているのは、根本的な問題があります。

自分の反省も込めて言うと、ブランディング、ブランド・エクイティ(ブランドの価値)などは、下の2層を見て考えるときには不要です。

”いかにもそのブランドらしい広告”というのは、離反した顧客を呼び戻すときには有効です。『覚えていますか?』というリマインダーだからです。一般顧客のフリークエンシーを上げるときにも有効です。ブランドは上の3層を見てビジネスをするのですが、5年〜10年で見ると伸びなかったりする。

その理由は『自分たちはこうでないといけない』ということに、縛られてしまうからです。有名なマーケターの方でもブランド、ブランドと言いますが、僕は論破する自信がある。それをやればやるほど、知っている人にしか効かないのです。それを見ても買わなかった下の2層には、効きません。

ブランドらしさを軸に組み立てたコミュニケーションは、それが効かなかった人にとっては『あの自分に関係のないもの』というリマインドにしかなりません。その人たちに買ってもらうには、それまでやったアプローチを裏切るものを提供しなければいけない。

それをやると、ブランドが死んでしまうという人がいますが、そんなに簡単にブランドは死にません。ブランドの軸は、多少ぶらしながら、動きながら、長期で見ると中心があるという状況を作っていくのですが、みなさん細い枠の定義の中でしか考えられないようです。

結局、経営もマーケティングも顧客不在になっているのが問題です。これをどう顧客ベースに戻すかという話です。この本も、じつはマーケティングについて書いているつもりはなく、マーケティングの担当者と経営者に向けて書きました」

白熱する質疑応答

書籍にはない話題も挟みつつ、トップスピードでプレゼンを進めていく西口さん。そのお話をかいつまんでご紹介しますと……。

<西口さんのプレゼン>

  • 50%の認知しかないブランドは、キャズムの手前にいる
  • 顧客ベースで見たときの戦略は5つのみ
  • インフルエンサー・マーケティングは使う段階、対象が限られている
  • 日本・韓国はNPSスコアと実際購入の相関関係が低い
  • 最近のペイメントサービスへの所感
  • 顧客を9つのセグメントに分ける
  • 割引サービスで、9セグメントの顧客のどこが増えるのか?

  • プロダクトが強いサービスが採るべき手法
  • 顧客のN1分析、事例紹介
  • 創業経営者が絶対的に強い理由
  • デジタルとテレビを分けるのは不毛である
  • 広告(=コミュニケーション)が良すぎると、顧客はブランドを誤って評価する
  • ルイ・ヴィトンはなぜポップアップアーティストとコラボするのか

株式会社パルコ 執行役 グループデジタル推進室 林 直孝さん

  • 9つのセグメントは、簡易のPL作りや組織最適化に役立てることができる
  • 最終的に大切なのは、顧客に対する洞察力である
  • 圧倒的なモノづくりをすれば、コミュニケーションは不要
    (ドラッカーの マーケティングの理想は販売を不要にすることである への言及もあり)

プレゼンでは、前回の勉強会で一緒に登壇してディスカッションを盛り上げてくださった、dofの齋藤 太郎さん、GOの三浦崇宏さんのお名前も飛び出しました。引き続きCo−Creationがあったとのこと、ICCとしてもうれしく思います。

前回のディスカッションの様子

プレゼンの合間にはQ&Aを受け付けました。西口さんの話を、自分のビジネスに落とし込んだときにどうなるのか?と、集まった参加者は質問したくてうずうずしています。

<参加者からのQ&A>

uni’quec 代表 若宮 和男さん

  • どこまでを顧客と定義し、誰をそうしないのか
  • ロイヤル顧客と一般顧客の違いは? どう決めるべきか

オリジナルライフ CEO 榎本 純さん

  • 積極ロイヤルと消極ロイヤルを分けるのはなぜか?
  • 自社のプロダクトが強いというのは、どういうことからわかるのか?
  • toBで決裁権者にヒアリングしにくいときは、どう探ればいいのか
  • 9セグマップのコミュニケーション施策。正しい施策で本当に熱心な顧客化するのか
  • 競合が追いかけてきたときに、どう対応すべきか

株式会社じげん 代表取締役 平尾 丈さん

  • マーケットに出るタイミング。競合がいないときなのか、盛り上がっているときなのか
  • N1分析でパターンが多いとき、何を指標として戦略を立てるべきか

株式会社マクアケ 代表取締役社長 中山 亮太郎さん

  • スマートニュースはとクーポンは一見違う。その間をつなぐべく、どんな顧客体験を用意したのか
  • プロダクトがないデジタルプロダクトの戦法は違うのか?

株式会社グライダーアソシエイツ 上席執行役員CMO 山口 翔さん

  • BtoBでもBtoCとスケールするスピードは同じなのか?

株式会社TABI LABO 代表取締役CEO 久志 尚太郎さん

「書籍に書いていない大事なことは?」という久志さんからの質問にも、しっかりお答えいただきました。

ここではご紹介していない質問もいろいろと出ました。すべてをファクトベースに落とし込んで話を進めるのは、社内のいろいろな人達にわかりやすく理解してもらうため。クリエイティブに無闇にお金をかけることには懐疑的なスタンスで、その根拠となるCM映像も見せていただきました。

参加者たちの感想は

西口さんは、活発なQ&Aの応戦や話題の広がりに「なんだか楽しくなってきた」と、終始笑顔で応えてくださいました。最後まで挙手が続き、すべての質問にお答えいただく時間がなかったのが残念ですが、この続きはぜひICCサミットで! 最後は参加者からの感想の発表です。

株式会社サイバーエージェント 常務取締役 小池 政秀さん

小池さん「ICCのセッションで一緒に登壇させていただきましたが、今日はよりリラックスしてお話しいただけた印象です。どうこれから分解して実行していくか、ヒントをいただきました」

インサイトフォース 代表取締役 山口 義宏さん

山口さん「共感させていただくことが多かったです。きれいなカッコいいブランディングだけでは売れないという現場をたくさん見てきました。本も拝見していましたが、リアリティある数字のマップや考え方を拝見して、理解が深まりました。

『とりあえずカッコよく、素敵な世界観を作れば、数字は後からついてくる』という”宗派”を撲滅したいと思っているので、西口さんという強力なメッセンジャーが表れた!と思いました」

ライフスタイルアクセント株式会社 代表取締役社長 山田 敏夫さん

山田さん「社内でNPS、やずやのCRM、N1分析などいろいろとやっていました。何を一番やるべきかを整理して次に使うかをクリアにして、特化してやっていくものを考えていきたいと思います」

40年の歴史から培われた”やずや通販CRM基幹システム”とは?(マイナビニュース)

山下さん「一番響いたのが、顧客ピラミッドの上の3つの層、赤い三角形のところだけで回してはいけないということです。感覚としてあったのですが、そのとおりだと思いました。どうやって下のキャズムを超えるのかを真剣に考えないと、狭い世界の自己満足したプロダクトで終わってしまう。

ブランドの話で、ハビットをどうハックするかという話でも、同じ問題を突きつけられた気がして、そこをしっかり考えたいです。とても勉強になりました」

株式会社ユーグレナ 取締役副社長 / リアルテックファンド 代表 永田 暁彦さん

永田さん「僕たちの会社で起こっているのは、プロダクトのファンとコーポレートのファンが分断されているということ。何を買うか?から、誰から買うか?へ移行していく段階にあって、それが進んでいくのを目の前の数字で体感しています。

僕は今回の参加者の中でもマーケティング歴が一番少ないと思うのですが、みんなが持っているマーケティングの力が増大すると社会がよくなるという方向に、どうしたらなれるだろうかと考えています。

マーケティングに囚われている人たちを開放したいという想いがすごく強いので、ICCがそういう議論に発展する場になればと思います」

「手法論より、モノづくりに集中せよ」

西口さん「今の永田さんの言葉がすごく響いています。日本はマーケティングだ何だと言い始めてからだめになったと思うのです。70年代、80年代は、わけがわからない創業者が突っ走っていました。真似をしようが何しようが、突っ走ってモノづくり大国になりました。

それがなぜかモノづくりから離れて、手法論へどんどん行ってしまっている。おっしゃる通り、僕もマーケティング論を否定したいのです。モノづくりに集中したほうがいい。いいモノが作れなければ、やめたほうがいいと思うぐらいです。最後、見透かされたようにおっしゃったので、ちょっと嬉しかったです。

若い世代の人たちには、手法論で疲弊してほしくないし、無駄なお金を使ってほしくない。とにかくサービスとプロダクトをエッジを立てて独立性をもって磨き上げれば、たぶん爆発するはずなんですよ。ぶれずにやっていただきたいです」

集まった方々に、熱いメッセージを送って締めた西口さん。集合写真を撮ったあと、参加者が西口さんと話したいと、列をなしたのは言うまでもありません。

西口さん、ご参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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