LEXUS宮田工場見学ツアー&福岡天神Garraway Fで語られた「CRAFTEDな考え方」とは?【活動レポート】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

LEXUS宮田工場見学ツアー&福岡天神Garraway Fで語られた「CRAFTEDな考え方」とは?【活動レポート】

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昨年12月、私たちICCパートナーズは次のICCサミット開催地、福岡を訪問しました。その目的は、登壇企業の皆さまや運営チームメンバーと共に行く「LEXUS宮田工場見学ツアー」と、次回サミットのパーティ会場となる天神「Garraway F」でのイベント開催です。LEXUSブランドを体現する“CRAFTED”を体感するとともに、福岡の魅力を再発見するツアーになりました。本レポートでは、2日間にわたる今回の福岡出張の模様をお届けします。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください

大好評、ICCサミット LEXUS宮田工場見学ツアーとは?

トヨタ自動車九州 宮田工場

LEXUS宮田工場(正式名称:トヨタ自動車九州 宮田工場)は、全世界のLEXUS車の6割以上を生産する世界有数のトヨタ自動車の生産拠点です。1年前のICCサミット FUKUOKO 2019にて宮田工場見学ツアーを開催したところ、参加された方々から「モノづくりの考え方が変わった!」「経営者なら絶対に行ったほうがいい」といった高評価をいただき、たちまち大人気企画となりました(編集チームによる体験レポートは以下をご覧ください)。

【LEXUSのモノづくりの真髄を体験】LEXUS生産ライン 見学ツアーを一足早く体験してきました!

本レポートでは、ICCサミット期間外では初となる「LEXUS宮田工場見学ツアー」の模様とともに、福岡の起業家の方々をお招きして開催したイベント「CRAFTED MEETUP NIGHT」の様子をレポートします。

1日目:福岡空港集合、宮田工場を目指して出発!

初日の集合場所は福岡空港。本日のツアー参加者は計8名。ラクスル福島さん、inaho菱木さん、のぞみ藤田さんら5名に加えて、地元福岡から参加の資さんうどん佐藤さん、JR九州小池さん・中嶋さんは現地合流です。

ラクスルの福島広造さん・小林悠真さん、inahoの菱木豊さん

宮田工場見学ツアーは1日2回(午前・午後)、1回につき8名という少人数制のプログラムです。今回は、東京・関西からの移動を考慮して、1日目午後と2日目の午前・午後の計3回のツアーが組まれました。

宮田工場までの移動手段は、LEXUS側が手配してくださった貸し切りバス。皆さんいい笑顔です!

行ってらっしゃませ!

私たちICCパートナーズは翌日の午前・午後に分けて参加(引率)予定のため、本日は空港でのお見送りのみ。皆さん、どんな体験をされるのでしょうか? 参加者の皆さんが宮田工場に行かれている間、私たちICCパートナーズは次回ICCサミットのパーティ会場となるWITH THE STYLEでの打ち合わせなどを行いながら、今夜のCRAFTED MEETUP NIGHT に備えます。

そして……

次回ICCサミットの新パーティ会場「Garraway F」に到着

天神イムズ「Garraway F」

突然ですが夜になりました。私たちが訪れたのはGarraway F(ギャラウェイ・エフ)と呼ばれるトヨタ自動車九州運営のコワーキングスペースです。天神地下街直結のファッションビル・天神イムズのB1階に入居しています。

ICCサミット FUKUOKA 2020では、ここを会場として「九州クラフテッド・トークセッション」と題したトークイベントを実施予定。今夜は、そのプレイベント的な位置づけとして、日頃からGarraway Fを利用している福岡の起業家の方などにお集まりいただき、特別なミートアップを開催しました。

名付けて「CRAFTED MEETUP NIGHT Supported by LEXUS」

まずはじめに、トヨタ自動車九州の植野直亮さんから、ここGarraway Fについてご紹介いただきました。

Garraway Fは、九州と世界をつなぐイノベーションの場

トヨタ自動車九州 ビジネスプロデューサー 植野直亮さん

植野さん 「私たちトヨタ自動車九州は1991年にできた会社で、従業員は1万人1千人を超えるトヨタの国内第二の拠点です。世界のLEXUSの6〜7割はここ九州で生産されており、LEXUSの故郷でもあります。

ご存知のとおり、自動車業界は100年に一度の大変革の中にあります。トヨタ社長の豊田章男も『自動車をつくる会社』から『モビリティカンパニー』にモデルチェンジすると言っていますが、グループ一体となって未来に挑戦しているところです。

そんな中、トヨタ自動車九州では2019年1月、ここ九州から新たなイノベーションを生み出すことを目的とした次世代事業室をを設立しました。そして誕生したのが、ここGarraway Fです。Garraway Fは、九州・福岡を拠点に活躍する感度の高い人に私たちトヨタ自動車九州を仲間に入れてもらい、Co-Creative、協同協創を実行する場です」

ラウンジとして、イベント会場として、多目的に利用可能

上記の写真のとおり、本日のGarraway Fは大満員!ラウンジスペースとしてはWiFi完備・フリードリンクで1時間500円から利用可能で、その他毎週のように、こうしたイベントが開催されているそうです。天神イムズが2021年度中の閉館を予定しているため期間限定のスペースとなりますが、福岡天神でラウンジやイベント会場をお探しの方は、ぜひご検討あれ。

植野さんによると、「Garraway F」の名前は17世紀のロンドンにあった「Garraway Coffee House」というコーヒーハウスに由来するそうです。当時のコーヒーハウスには多様な人々が集い、そこからは新聞、ジャーナリスト、保険会社、郵便会社など、新たな事業が生まれたと言われています。そうした場になって欲しいという思いと、Fukuoka、Future、そしてフランスパリのインキュベーション施設Station Fの「F」をとって、Garraway Fと名付けられたのだとか。

植野さん 「GarrawayFは、2019年6月、まさに令和の幕開けとともにスタートしました。人々が美しく心を寄せ合う中で、文化が生まれ、育つ。そういった思いを込めています。本日はぜひ楽しんで行っていただければと思います!」

Garraway Fではさらに、「ものづくりDX」「町いちばんのモビリティ」「町をつなぐMaaS」をテーマに福岡の起業家の方々からビジネスアイデアを募るオープンイノベーション・プログラム「ひらめきスプリント」も実施しています。こうした地域密着型のプログラムはまさに、LEXUS宮田工場を持つトヨタ自動車九州ならではの取り組みですね。

トヨタ九州協働協創プログラム「ひらめきスプリント」(Garraway F)

LEXUS宮田工場で学んだ「CRAFTEDな考え方」を議論!

そして!お待ちかねのトークセッションは、先ほどまで宮田工場見学ツアーに参加されていた、資さんうどん佐藤さん、ラクスル福島さん、JR九州小池さんによるパネルディスカッション。

題して「CRAFTEDな考え方 〜レクサス九州宮田工場体験レポート〜」

45分のセッションの模様を、ダイジェストでお届けします。

株式会社資さん 代表取締役社長 佐藤 崇史さん

佐藤さん 「北九州発祥のうどんチェーン資さんうどんの佐藤です。私は今プリウスに乗っているのですが、LEXUSの工場を見学して思ったのは『早くLEXUSに乗り換えたい!』ということです」

冒頭から会場の笑いを誘う佐藤さん。

佐藤さん 「私は前職でも飲食業の社長をやっていて、その前はファーストリテイリング(ユニクロ)に10年ほど勤めていました。モノづくりには色々な角度から関わってきたのですが、今日は『LEXUSはここまでモノづくりにこだわるのか』と驚きの連続でした。本日はよろしくお願いします」

続いて、高校まで福岡で暮らしていたというラクスルの福島さん。

福島さん 「LEXUSの工場見学で感じたのは、『テクノロジー』と『匠』がお互いの良さに気づくことで、両極を極められるのだということです。

ラクスル株式会社 取締役COO 福島 広造さん

私たちラクスルはチラシやパネルをEコマースで作っている会社ですが、印刷業界のパートナー企業の方々とテクノロジーの導入や自動化を議論すると、どうしても対立軸が生じてしまいがちです。でもLEXUSのように、価値観やコンセプトといったより高次元のレベルで共通項を持てれば、テクノロジーと匠は融合できるんだと確信を持てました」

佐藤さん 「塗装工程として、昔やっていたのに今は省かれている人手のかかるプロセスをLEXUSでは復活させているという話がありました。LEXUSの工場では様々なテクノロジーが導入されていますが、それが人の仕事を奪うのではなく、効率化のために省かれてしまったけれど本来必要だった工程に再び手間をかけられるようになったと言えますよね」

福島さん 「そうですね。ラクスルでもテクノロジーで目指すべきは『1.5』、つまり半自動化だと言っています。全自動の時代はワクワクしますが、それが訪れるのは10年後かもしれません。その間に世の中にインパクトを生み、人々の体験を変えるためには、人とテクノロジーの得意不得意を見極め、融合させることにヒントがあるのではと思っています。

それはまさに、トヨタのハイブリッドなんですよね。いきなり電気自動車にするのではなく、その両方の価値を融合させながら磨いていくのが、日本らしい進化の在り方なのかなと感じました」

「完璧」と思えるレベルに達しても、なお学び続ける姿勢

佐藤さん 「あと、今日現場の方々に色々と伺ってすごいと思ったのは、宮田工場の7,000人の従業員の方々、パートナー企業も入れて8,000人の全員が、目指すモノづくりに一生懸命コミットされていることです。何が皆さんのこだわりや誇りにつながっているのですかと聞いたら、『お客様の声をみんなで見る。それを真面目にやってます』と言われました。

私たち資さんうどんも、昔からお客様からのいい声も悪い声も、現場のスタッフから幹部まで全員がすべてに目を通すようにしています。それが一番応えるし、モチベーションにつながります。LEXUSも、やっぱりそこが原点なんだと再認識しました」

福島さん 「工場見学のあと設計やブランディングを担当する方とディスカッションさせていただいた際、これほど完璧に近い工場でも、まだ貪欲に学ぼうとされていることに驚きを感じました。

私もこれまで国内外の工場を見学してきましたが、現場の方から改善にむけた質問を次々とされるのは初めてでした。彼らにとっては私たちがどのようなインプットをもたらすのか未知なはずなのに、そこすらもユーザー接点の場だと捉えて学びにしていこうというカイゼンマインドセットを感じましたね」

博多シティなどの駅ビルをはじめ、福岡の街づくりを広く手掛けるJR九州の小池さんも、宮田工場で働く「人」に感じた印象を語りました。

JR九州 事業本部 まち創造担当部長 小池 洋輝さん

小池さん 「塗装ラインと組立ラインの2つの工程を見学させていただきましたが、現場で働く方々を見て感じたのは、皆さん黙々と色々な作業をされているのですが、そこに『気が満ちている』ということです。

我々の商業施設でもよく言うのですが、気が満ちている店舗は絶対に繁盛しています。今回工場で出会った皆さんからは、そこで働くことのプライドや、自分たちのすべてがお客様につながっているんだという意識を感じました。そうした人材教育をどう引き継いでいるのか、非常に興味を持ちました」

ブランドのストーリー。誰が、何を、どう語るか?

ディスカッションの方向は、LEXUSのブランディングの話に。

福島さん 「ブランドとは一般的に、いわゆるハイブランドから始まり汎用的な広がりを見せるに従って、その力は弱まっていきます。アパレルブランドがよい例です。しかしLEXUSはその逆で、汎用ブランドのトヨタからハイブランドのLEXUSが生まれたのはなぜなのだろう?というのが、私の率直な疑問でした。

本日お話を伺って分かったのは、LEXUSでは、『ユーザーから分からない傷も絶対に見逃さない』『修理の時しか見えないような場所にも塗装する』といったこだわり自体がストーリーになっていて、それを皆が話し合うことで強いブランドが形成されているということです。

これはおそらく日本ならではのハイブランドの作り方で、次世代のブランディングだなと感じました」

小池さん 「ストーリーという点で言うと、これほどのブランドだと伝えたいことがたくさんあり、かと言って全部のストーリーをお客様に伝えようとすると押し付けがましくなりますよね。LEXUSのブランディングでは、その距離感をどう設計されているのでしょうか」

ICC小林 「星賀さん、この辺りいかがでしょうか?」

ここで、日本国内におけるLEXUSのブランディング戦略を担当する、Lexus Internationalの星賀さんがフロアから解説してくださいました。

Lexus International 星賀 統貴さん

星賀さん 「色々な方とお話しする中で我々が意識しているのは、小池さんが仰ったようにストーリーは押し付けるものではない、ということです。その一方で、多くを語らないことのジレンマもあります。セールスのスタッフからは「もっと(LEXUSの良さを)語って欲しい」と言われることもあります。それは内部向けのセミナー等で伝えていくことになりますが、そこには大事な前提があります。

それは、まずはプロダクトやサービスそのもので惹きつけるべきであって、ストーリーはその上でお客様により親しみをもって理解していただくためのものに過ぎないということです。例えば「塗装」ならば、車の外観を見た瞬間に理屈抜きに『美しい』と思っていただけなければ、ストーリーを語る資格がないということです」

まさに、本トークセッションのテーマである「CRAFTEDな考え方」。最後に、お一人ずつコメントをいただきました。

小池さん 「これからの時代は、ブランド体験をストーリーとして伝える時代です。社内の企画で私がよく言う三原則があります。『お客様の期待値を超えるものか』『(お客様が)誰かに教えたくなることか』『自分たちじゃないとできないことか』。そしてそれらは全て『分かりやすいか』。サービス側から押し付けがましく伝えるのではなくて、お客様が自らが話したくなるかどうかが成功につながります。その上で、自分たちをいかに引き上げてお客様の期待値を越えて行けるかが重要なのだと学ぶことのできたツアーでした」

福島さん 「私たちラクスルは『所有』ではなく、遊休資産を活用した『シェア』の時代のことを考えています。そうした時代を突き詰めたときに、実は所有の価値は残ると思っています。テクノロジーと匠の融合のように、今後は所有とシェアの明確な分離がなされつつも、その両者が共存する世界があるのではと感じました」

佐藤さん 「LEXUSのエンジニアの方とも話させていただきましたが、元々は設計と製造は別々だったけど、製造から設計にどんどん人材を引き込んで、今はそれが当たり前になったということでした。これって、仕事のやり方のイノベーションが起こっているんだなと感じました。チャレンジすることでイノベーションも起こるし、ファンもついてくる。自分たちもそこを目指したいなと思います」

45分のセッションはあっという間に終了。LEXUSが掲げる「CRAFTED」の考え方、そしてそのストーリーを裏打ちするスタッフの方々の誇りや探究心が伝わってくるパネルディスカッションでした。佐藤さん、福島さん、小池さん、ありがとうございました!

住吉酒販×DAT. の共演で「九州の美味しさ」を体験!

イベント後半は、立食形式のパーティです。乾杯の前に、本日のパーティフードを手掛けていただいた高松さんから、お料理に関するご紹介をいただきました。

DAT. 高松 謙太郎さん

高松さん 「DAT.(ダット)の高松と申します。私たちはケータリングビジネスとコミュニケーションビジネスをやっておりますが、飲食に関わる仕事というのは生産から消費までさまざまなモノづくりの人たちが関わる、まさにICCのコンセプト“Co-Creation”に通ずるところがあるのではと思います。

本日のドリンクは、九州にこだわって住吉酒販さんにお願いしました。さらに、普段はケータリングを行っていないお店にもご協力いただき、パリでミシュランの二つ星をとって次の活躍の場を福岡に移したRestaurant Solaさん、そしてJR九州の「ななつ星」でカレーを提供するジョルジュマルソーさん、イタリアンオードブルのフローリッシュさんに美味しい料理をご提供いただきました。

それでは、本日のドリンクのラインナップについて庄島さんから解説いただきます」

そしてついに真打登場、ICCサミット FUKUOKA 2020では「田中六五」の白糸酒造の酒蔵見学ツアーもコーディネートいただく、住吉酒販の庄島さんです。

福岡っ子が愛する地元の日本酒、白糸酒造「田中六五」の酒蔵を見学してきました【活動レポート】

住吉酒販 代表取締役 庄島 健泰さん

庄島さん 「うちは一言でいうと、世界で一番九州のお酒が好きな酒屋です。地元の人たちに九州のお酒の魅力を伝える活動をしています。

九州を1つの島として見ると、こんなにお酒の文化が多種多様な島は世界に類を見ません。稲作が盛んな北部は日本酒を作りますし、南部では芋などの穀物を使って焼酎などの蒸留酒を作ります。単体のお酒ではなくて、そういったことを伝えることで、九州と世界がつながると思っています。

本日のドリンクメニュー

今日特に皆さまに飲んでいただきたいのが、焼酎屋の作るウォッカや山椒のジンをつかったハイボールです。百年の孤独の自家樽熟成ハイボールもご用意しています。どれも本当に美味しいです。彼らがなぜ今スピリッツやウィスキーを作っているかというと、その工程や手法をもって、焼酎文化を次の世代につなげていきたいと思ってチャレンジしているのです。

うちのハイボールと、田中六五の新酒の生酒も用意しておりますので、しこたま飲んでください」

住吉酒販が工夫をこらしたオリジナルドリンクの数々に、日本酒のきき酒イベント「SAKE Spring」を手掛けるのぞみの藤田さんも大注目です。

彩り豊かなケータリングフードの数々

ハイボールにぴったりの特製ジャーキー

「ななつ星in九州」の絶品カレーはおかわり続出の美味しさでした

満員の会場内を見渡していると、何やら壁側を向きながらヘッドセットを被る怪しげな人たちが目に入りました。

のぞみ藤田さん、ラクスル福島さんが観ているのは、前回のICCサミット KYOTO2019でも人気だった、360度視野のLEXUS宮田工場VRツアーのようです。

ICCサミット、会場内のCo-Creation(展示)スペースを一挙ご紹介!【ICC KYOTO 2019レポート#14】

VRゴーグルを装着している藤田さんと、この後VRを体験しに来られたinahoの菱木さんに、本日の工場見学の感想を伺いました。(宮田工場内にある、4,600トンのプレス機内部をVRで観ながらお話いただいています)

藤田さん 「勉強になったなと思ったのは、ブランドとはどこかに合理的でないものを盛り込まないといけないんだなということです。例えばお客様の目に入らない部分にも塗装するとか、合理的に考えたらやらないような理論を超越した思い、情熱、哲学がストーリーになり、ブランドを形成するのだなと。

あとは工場の皆さんの飽くなき挑戦、無限の挑戦を感じました。工場の環境を工夫をしてクリーン&サイレントな職場になったからこそ、今まで上がらなかったような異音に関するレポートが増えたと。そこには無限の進化があるのだなと恐怖すら感じましたが、そこに正面から向き合って改善しようと思っているのがすごいですね」

菱木さん 「福島さんも仰っていたとおり、これまでこんな工場は見たことがありません。自分たちはファブレス(自社で工場を持たないこと)で農業用ロボットを作っていますが、検品は自分たちでやります。これまで『この基準でいいよ』と思っていたレベルを、グッと視座ごと上げられた気がしました。

また工場で働く人たちがどのような気持ちでLEXUSを作っているかが映像になっているが良かったですね。自分たちも、エンジニアがどう思ってinahoの仕事に取り組んでいるのかムービーを作ってみたいなと思いました」

2日目:ICC参加企業の皆さんと工場見学&ラウンドテーブル!

2日目は、私たちICCパートナーズも午前の部・午後の部に分かれてICC参加企業の皆さんや運営チームメンバーと一緒に工場見学ツアーに参加しました。小林&尾形は2回目以降となるため、午後の部の参加企業の皆さんのツアーを引率させていただく形で同行しました。

午後のツアーにご参加いただいたのは、小橋工業から小橋正次郎さん、松原克彦さん、中谷公紀さんの3名と、日本農業の内藤祥平さん、そして地元福岡からはグッデイ(嘉穂無線ホールディングス)の柳瀬隆志さん、グッドラックスリーの井上和久さんの計6名です。

コーディネートは星賀さんにご担当いただきました

星賀さん 「本日は、LEXUSの塗装工程と組立工程をご覧いただきます。工場見学が終わりましたら、こちらに経営企画の者が参りますので、ぜひ感想などをディスカッションできればと思います」

世界に50以上あるトヨタの自動車工場のうち、LEXUSの生産が許される工場はここ宮田工場含めて数カ所のみ。いよいよ宮田工場ツアーの始まりですが、工場内はビデオや写真撮影はNG。工場見学の詳細については、特別に写真掲載をお許しいただいた前回のレポートをご覧いただきたいと思います。基本的には同じ行程ですが、実際のツアーでは工場内は専用のトラムに乗って安全に移動します。

工場見学のあとは、前日のトークイベントでも話題に挙がった、トヨタ自動車九州の方とのディスカッションタイムです。同社の青木さんにお話を伺いました。

トヨタ自動車九州 経営企画部 青木さん

青木さん 「本日は遠いところお越しいただきありがとうございました。もしよろしければ、本日LEXUSの工場を見学いただき気づいた点や疑問に思った点、アドバイスなどをいただけると幸いです」

1999年にトヨタ自動車九州に入社し、2018年まで一貫して生産管理系の仕事に従事されてきたという青木さんは、「こうした場での意見交換が、我々の工場を変えるチャンスにつながるかなと思っております」と話します。トップバッターとして手をあげたのは、創業110年の農業機器メーカー・小橋工業社長の小橋さん。

「対話」から生まれるLEXUSの最高品質

小橋さん 「宮田工場で行った改善を愛知や北米の工場に横展開するときや、逆に海外の工場で先行して行ったことを宮田工場に取り入れるのは、どのように行われているのでしょうか?」

青木さん 「トヨタには元々、改善事例を自分たちの工場で留めるのではなく、他の工場にも紹介して、取り入れる横展開の習慣・文化があります。

LEXUSも同様です。LEXUSは車種によってカナダや米国ケンタッキーでも生産されていますが、どこの工場でつくっても同じ品質にするには、やはりお互いが会話しないとモノづくりはできません。我々が現地に行ったり、逆に来てもらったりして双方に学び合って共通品質をつくっています。それを、製造だけではなく開発の段階からやっているのが特徴です」

続いて質問したのは、嘉穂無線ホールディングスの柳瀬さん

嘉穂無線ホールディングス 柳瀬 隆志さん

柳瀬さん 「実は私の両親はLEXUSに乗っていて、私はBMWに乗っています。乗り心地が全く違うというか、目指している方向性も全く違うかと思います。私としてはそれぞれ乗ったときの『楽しさ』に違いがあるように感じています。結局は好き嫌いになるのかなとも思うのですが、その辺りの差別化はどうお考えでしょうか?」

この質問には、LEXUSの星賀さんが答えます。

星賀さん 「私たちもまさに“乗り味”と表現していて、仰る通り突き詰めると感覚的な好き嫌いの領域になってきます。私たちが意識をしているのは、むしろその統一感です。

つまりSUVでもセダンでも、同じ“乗り味”を感じられるかどうか。LEXUSでは「すっきりと奥深い走り」と表現していますが、それを官能的に評価する熟練ドライバーがいます。お客様から届く声を販売店や我々から随時フィードバックしつつも、最後は彼らが走り込みを行って開発メンバーと一緒に“乗り味”を整える作業をしています。

そうした数値化できない作業の蓄積と改善が、LEXUS全体としての“乗り味”の統一感を高め、他社とは違う『楽しさ』につながると考えています」

松原さん 「お客様やドライバー以外に、製造現場からの要望や生産要件が設計側に反映される仕組みはあるのでしょうか?」

小橋工業で製造部長を務める小橋工業の松原さんの質問は、さすが製造側からの視点です。

青木さん 「製造時にやりにくい作業や荷重がかかる作業が生じる場合は、製造側から『これでは私たちのモノづくりができません』とフィードバックを行い、設計段階でその潰し込みを行います。その段階は過ぎたらもう設計の変更ができないわけですから、細心の注意を払って行われます」

改善は、「徹底的な観察」と「向き合うこと」から生まれる

内藤さん 「私たちの会社では、2018年から青森のリンゴ工場のオペレーションを行っています。製造現場の経験者がいない中でスタートし、箱詰めコストやミスを低減させるべく日々改善を行っているのですが、工場のオペレーション改善における“イロハ”のような考え方はありますか?」

日本農業 内藤祥平さん

青木さん 「基本となるのは現場での『作業観察』です。非効率な作業はないか?やり辛さはないか? を徹底的に観察します。現場で従事している方々はたとえ作業のやり辛さがあったとしても、毎日やることでそれに慣れてしまうことがあります。しかし、上長の人など第三者がしっかりと観察していると『やりにくそうだな』『同じ動作を二度やっているな』などと次第に気づいてきます。それが改善の第一歩です。

もう1つは、作業を効率化できた時に『労働強化』と捉えられないようにすることです。『今まで10個つくっていたものを20個つくれるようになった。でも給料は倍になるわけじゃない』と不満が出てきてしまいがちです。

そうではなくて、『以前より作業が楽になったから20個つくれるんだ』と思っていただく必要があります。最終的にはそれは会社の利益として皆さんの給与にも返ってくるわけですから、『改善は労働強化ではなく、自分たちの生活を豊かにしてくれる行為なんだ』というマインドチェンジが起こると、改善は大変進みやすくなります」

内藤さん 「宮田工場では、現場の方からの改善アイデアが工場のオペレーションにも多数実装されているとのことでしたが、そうしたアイデアが出やすくなる文化・風土づくりの工夫は何かありますか?」

青木さん 「提案が実際に採用されることはもちろん必要ですが、私たちは、改善案にしっかりと向き合うことを心がけています。例えば部下が改善提案を上げてくれたら『今は出来ないけど、こういうふうに暫定改良しよう』とかですね。さらにその改善案が優秀であったら、わずかですか報奨金を出すことも行っています。自分の職場をよくしよう、という文化が少しでも根付けばという思いですね

ここで気をつけてなければいけないのは、改善にもルールが必要だということです。作業者が『こうやったらいいんじゃないの?』と勝手にやり方を変えてしまっては、工程がバラバラになり品質が保てなくなります。ですから作業を改善するときは作業要領書というベースから変えるルールがあります」

働きがい、働きやすさ、仲間の存在

次に質問したのは、地元福岡を拠点としてアプリ開発やブロックチェーン・サービスを展開するグッドラックスリーの井上さん。地方における人材確保についてです。

井上さん 「高い品質を維持するためには熟練工の方々の存在が前提になっていると思うのですが、仮に彼らに辞められてしまうと損失が大きいかと思います。実際のところそうした方々は定着しているのか、それとも実は流動性があったりするのでしょうか?」

グッドラックスリー 井上和久さん

青木さん 「概念的にいいますと、九州というロケーションで働く場所というのは限られています。苅田などの工場を含めるとトヨタ九州では1万人規模の従業員が働いていますが、そうした大きな母体で一定の給与水準・福利厚生のもと働ける機会はそう多くはありません。そのおかげもあってか、離職率は高くない職場だと思います。

熟練したスタッフが辞めてしまったら手痛いのではというのはそのとおりで、私たちは1つの工程を1人のスタッフしかできない状況はなくすようにしています。1人で3〜4工程を担える、逆に1工程について4人は出来る人間がいる、という仕組みを持たせています。

待遇がよければ人材が定着するかというとそうではありません。やはり働きがいがあり、働きやすく、仲間がいることが大切ですので、そうした点も重要視しています」

こうして、40分ほどのラウンドテーブル・ディスカッションは瞬く間に終了となりました。青木さん、星賀さん、ありがとうございました!

◆ ◆ ◆

以上、2日間にわたって開催されたLEXUS宮田工場見学ツアーとイベントの模様をレポートいたしました。見学ツアーの内容を直接お伝えすることは叶いませんでしたが、ツアーに参加された皆さまのコメントから、LEXUSのモノづくりの真髄“CRAFTED”を大いに感じ取っていただけたのではないでしょうか。

今回のツアーの中で、LEXUSの星賀さんが「JR九州さんも巻き込みながら、福岡の皆さまと新たなモビリティの取り組みを色々と進めています」と話されていたのですが、その第一弾とも思える企画が、先日発表されました。

LEXUS CRAFTED JOURNEY 〜 レクサスとクルーズトレイン「ななつ星in九州」で匠を感じる旅

次回ICCサミット FUKUOKA 2020でも、開催地の福岡を舞台に、九州の“CRAFTED”を学び、体験する様々な特別プログラムを開催予定です。ご参加予定の皆さま、どうぞご期待ください!

最後になりましたが、今回の見学ツアーやイベントに参加いただいた皆さま、開催のご協力いただいたトヨタ自動車九州とLEXUSの皆さまに、今一度御礼申し上げます。ありがとうございました!

(終)

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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/浅郷 浩子/戸田 秀成

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