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ICC FUKUOKA 2023特別プログラム決定! 熊本県南関市「ヤマチク」で、お箸作りの工場見学&箸作りを体験

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ICC FUKUOKA 2022のクラフテッド・カタパルトで優勝した「ヤマチク」をICCが初訪問。プレゼンのなかで紹介されている竹からお箸が作られる工場を見学し、この日行われていたヤマチク主催のイベント「ゆく年くる年」のイベントで、お箸作りを体験しました。その模様をレポートします。ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


朝9時に博多を出発して、熊本県南関(なんかん)市に向けて九州縦貫自動車道をひたすら南下すること約1時間。過去の2回の登壇でICC参加者にはすっかりおなじみとなっている「竹の、箸だけ 株式会社 ヤマチク」の大きなロゴが、左手に見えてきました。

山あいにあるヤマチクの第2工場は、ロゴのある2階建ての建物と、左に手前にある平屋の建物があり、これに加えて別に竹の加工を行う本社工場が車で5分ほど行った先にあります。駐車場に車を停めると、 山﨑 彰悟さんが出迎えてくれました。

この日は2020年から毎年行っているというファクトリーイベント「ゆく年くる年」の初日。そこで箸作り体験もできると聞き、それと工場見学を含めてICC FUKUOKA 2023の特別プログラムにできないか?という下見・相談を兼ねた見学です。

竹を削って磨いて箸を作る工場を見学

山崎さんの運転する車に乗り、まずは本社工場から見学です。

着いたのは、プレゼンで紹介していた場所でした。上の映像で見たままの工程を見ることができます。

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映像で見た場所だ!とまず感動

この日はイベントがあるためか、工場内を工程順に見て回れるように目印が置かれていました。私たちは母娘二代でヤマチクでお箸を作る松原さんと山崎さんに、工場内をご案内いただきました。

重くて太い1本の竹を、お箸のサイズまで小さくするにはいくつもの工程があり、働く方々は、機械を使っていとも簡単に竹を割り、表裏の節を取り、細長い竹の棒を作っていきます。

触ってみてそんなにしっとりしているとは思えない竹ですが、水分量は60%もあるとのこと、三番目の工程では、映像にあった大きなドラム缶を横に倒したような機械に入れて、10%まで乾かしていきます。ここに一体何膳分入るのかという大きさです。

乾かしたあとの長い竹は、お箸のサイズに切って削る工程があり、そのあとはひたすら磨いていきます。

見学していると、高速回転するヤスリにそっと当てて、いかにも簡単そうにお箸の頭の部分の角を取っていくのですが、これが職人の技!

素人のICCチームは、端材の竹の切り口を機械のヤスリで削ってみましたが、力の入れ加減が本当に難しい。削れはするのですが、角がないように丸くしようとしてもなかなか思うようにいきません。

親子二代でヤマチクでお箸を作る松原和子さん(写真左)と松原歩さん

そうして成形したあとのお箸は、再びこの回転する機械に投入されてお互いを打ち合わせるようにしてさらに磨かれていきます。

続いては着色の工程にやってきました。ここではきれいに磨かれたまっさらのお箸と、さまざまな塗料が並び、着色する機械があり、塗られたお箸を乾かしています。

こちらは一斉にドボン!と着色する動画です。

同じ塗料でも色によって特徴があるようで、作業台には扱うときのメモなどがありました。漆琳堂で見た、漆の缶も発見!

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これは別室にあったのですが、頭の部分にだけ色がついているようなデザインのお箸には、それ専用の機械があります。お箸を1本ずつ持ったハンドルが、頭の部分だけをはんこに朱肉をつけるように塗料を付けて、天地をクルッと回転して箱に収めます。シンプルだけど見飽きない動きの機械でした。

そうして着色したお箸は、1本1本立てて乾かします。きれいに揃っているこの頭の形、人間の手で削っているというのは改めて見てみると凄いです。

最後の工程も凄いんです。

台に固定した箱にトンと箸の頭を揃えて合わせて、ヤマチクの帯を巻いていきます

最後の検品を兼ねながら2本を1膳のお箸にまとめていく作業ですが、塗料の欠けなどがないかどうか、お箸の素地の色は合っているかどうか、合わせたときに2本がピタッと合うかどうかをしっかり見極めてから、1膳のお箸として組にしていきます。

フチの黒っぽい部分が欠けているのが見えますか? こういったお箸は商品にできないとのこと

ヤマチクのお箸は、何でも掴めそうな、軽くてしなやかな繊細さにまず感動しますが、テーブルの上に揃えて置いたときに2本がピタッと合うのも快感です。それは人間の目と作業がなし得ているものだと、見学して初めてわかりました。

竹取の翁が竹を切ることから始まるヤマチクのお箸作り。出来上がったお箸はため息が出るような美しさです。純国産の天然竹の箸作りの高い技術やプライドが、作っている人たちの笑顔や温かさと両立することに驚き、カタパルトの登壇前に「壮大な社員自慢をするつもりです」と言っていた山崎さんの言葉が思い出されました。

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だいぶ駆け足で工程をご紹介しており、ここでご紹介している他にも切ったり磨いたりしています。そんなヤマチクのお箸作りを学んだところで……私たちもMY箸作りに挑戦です!

箸作りを体験

「ゆく年くる年」の一貫として、工場の一角には体験コーナーが設けられています。ここで私たちは自分の箸を作ることにしました。

ヤマチクのnoteにもありますが、お箸の持ちやすい長さとは「利き手の人差し指と親指で直角を作り、2つの指の先端を結んだ長さが一咫(ひとあた)。これの1.5倍(一咫半)が、持ちやすい」とのことです。

箸作りにチャレンジ!

18cm、21cm、23cmの3種類から、自分の選んだサイズで制作スタート!

箸作りを教えてくださったヤマチクの古賀さん

選んだお箸は、先細にはなっていて長さこそ揃っているものの、まだ頭の部分は切りっぱなしで、手に持つと角を感じるような状態。その頭の部分や側面を、ヤスリを使って好みの形に仕上げ、着色をして仕上げていきます。

ヤスリでゴシゴシ
ここから先に着色するという決意のバミり
完成!

元の箸の形は、先端こそ細くなっている部分を除くとその他は四角形に近いので、完全に丸くしようとしたり、加工に凝ると、それなりに時間がかかると思います。ICC一行は角をなだらかにする程度で、頭部分を丸くしたり、斜めに削ったりして完成まで30分程度でした。

なお、工場見学中に、竹の繊維の密度は外側が詰まっていて高く内側は低いという話を聞き、頭の部分を斜めに削ってみると、たしかに内側の方が早く削れるように感じました。そうやって密度に差があるから竹はしなることができ、強度があるというわけです。

竹の繊維の密度が見えます。下が外側

今回は素地が透けるような速乾性のアクリルの塗料でしたが、ICCの特別プログラムではもう少し色の濃い塗料を検討中とのことですので、ツアーに参加する方はお楽しみに!

ヤマチク主催の「ゆく年くる年」を見学

お箸作りを終えて、再び「ゆく年くる年」の会場に戻ってみると、人が増えて賑わっていました。全国からいいものを集めたこのイベント、ICCでいうならばアワードのようなもの。食品から衣類から、さまざまなものが並んでいます。2020年から始まったこのファクトリーイベント誕生のいきさつは、こちらに詳しく書かれています。

ヤマチク自社イベントの歴史と、成功の秘訣を分析!「社員が、友人・家族を呼びたいと思えるイベントにする」(note)

会場には、いろいろな素敵なものが並んでいます。藤田金属Tobase Laboなど、ICCアワードにご参加いただいた企業もあり、この翌日は一平ホールディングスの村岡 浩司さんが九州パンケーキを焼きにやってくるとのことでした。

ヤマチクのこれから

その中でもヤマチクのブースはお膝元とあって大充実の品揃えです。足元の赤いテープが気になるので尋ねてみると、なんと今年、この場所にお箸の体験ができるカフェも備える直営店を作るのだとか。商品が並ぶテーブルの場所や、キッズスペースの場所などと、具体的な設置イメージの印をつけているとのことでした。

ICC FUKUOKA 2023の特別プログラム時にはまだありませんが、やがてこの場所が直営店になるのです。

ICC一行が出発するころには、平日の金曜日だというのに、工場前の駐車場は近隣から訪れた人たちの車でいっぱいになっていました。

お箸を作る工場という滅多に見られない場所を見学し、自分でもお箸を作るという体験ができるICC FUKUOKA 2023の特別プログラム。残席はわずかとなっていますが、参加する方にはヤマチクの技術の素晴らしさを体験し、地域に根ざす事業について学べる機会になると思います。ぜひご期待ください。以上、熊本県南関市から浅郷がお送りしました!

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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