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ICCサミット KYOTO 2023まで約1カ月あまりとなった7月24日、恒例の企画となったプレイベント「カタパルト必勝ワークショップ& 公開リハーサル」が開催されました。Part.1は過去の優勝者4名がレクチャーするワークショップ、Part.2はカタパルトの登壇を控えたプレゼンター22名のリハーサルとメンターによるフィードバックが行われました。今回の各カタパルトにはどんな方が登壇するのでしょうか? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回300名以上が登壇し、総勢1,000名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2023は、2023年9月4日〜9月7日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
ICCサミット開催前の恒例イベント
ICCサミット開催直前の恒例イベントとなった「カタパルト必勝ワークショップ&公開リハーサル」。今回は過去の4人の優勝者からプレゼン準備のためにしたことを共有&質疑応答というワークショップと、次回カタパルトに登壇する22名の公開リハーサルという構成で7月24日ICCオフィスで開催された。
冒頭では、ICCサミットの理念や行動規範を言語化した現在構想中の「ICCスタンダード」をもとに、代表の小林 雅がスピーチ。社会に新しい価値を提案しようと日々奮闘している挑戦者たちを笑わないこと、挑戦する人たちの応援者であること、全員対等、真剣に取り組むことが、選手宣誓のように伝えられた。
カタパルト優勝者がプレゼンの組み立て方を解説
第1部の必勝ワークショップは、過去のカタパルト優勝者を4名迎えて、プレゼンを作るにあたってどんなことをしたか、何に留意したかなど、優れたプレゼンを組み立てるまでのノウハウと考え方を共有するというワークショップ。第2部の公開リハーサルのメンターたちも加わり、質疑応答も飛び交った。
2020年〜2023年の優勝者たち4名は、歴戦の猛者とあってチームワークもバッチリ。自分のプレゼンの特徴を自己申告していたので、それと合わせてご紹介しよう。
「わかりづらい事業・トラクションを言えないプレゼン」、アダコテックの河邑 亮太さん
ICCサミット FUKUOKA 2020 スタートアップ・カタパルト優勝
ICC FUKUOKA 2022 カタパルト・グランプリ5位に入賞
製造業の検品作業というニッチな分野で独占的かつ高い技術を有するアダコテック。事業の性質上、不良品検出のデータをプレゼンで提示することができないハンディをプラレールなどの動画を使い工夫。審査員の心を捉えるだけでなく、母親に「初めて何の事業か分かった」と言ってもらえたそうだ。
「過去のカタパルトの全動画を見て使えるところを探しまくり、『最初はわかりやすく・最後はエモく』を意識しました。私たちの事業は専門性が高く普通に説明すると伝わりません。ペインの深さ・市場の大きさ・勝てるロジックを訴え、自分たちにとって大切な数字を何度も伝えました」
「涙担当・右脳プレゼン」SOZOW 小助川 将さん
・ICC KYOTO 2022 カタパルト・グランプリ優勝
・ICC KYOTO 2021 ソーシャルグッド・カタパルト優勝
・ICC FUKUOKA 2021 スタートアップ・カタパルト3位
スタートアップ・カタパルト3位に入賞時、事業は目標未達、加えてコロナ禍もあり、リアルからオンラインへ事業をピボットするというタイミングだったSOZOW。しかし教育を変えて子どもの可能性を無限大にするという訴えで、毎回会場を感動の渦に巻き込み、現在力強い成長を続けている。
「オーディエンスの年齢に刺さる問いを立てる。自分ごととして考えてもらうため、それを伝えたあとは2.5秒置く」。優勝プレゼンを振り返りながら、事業紹介を5分に収め、残る時間はメッセージという絶妙な時間配分と、情報量大目ながら1スライド1メッセージを保つ余裕に、他の登壇者たちも舌を巻いていた。
「口下手、人前に出るのが苦手でも万全の準備で成果が出た」、Oh my teeth 西野 誠さん
・ICC KYOTO 2022 カタパルト・グランプリ5位
・ICC FUKUOKA 2022 新企画 – D2C&サブスク カタパルト優勝
・ICC FUKUOKA 2021 スタートアップ・カタパルト5位
「スタートアップがプレゼン初体験だったので、過去の登壇者の経験が書かれたnoteを読みまくりました。そのときが5位で、次で優勝できたのは、事業の自信の差だと思います。登壇の時期は決まっているので、そこに事業の山を持ってくるようにしました」
今やプレゼン強者となったOh my teeth西野さんは「ピッチ大会優勝時、あえてやらなかったこと」のリストを公開し、「すべてを自分でやらない」「チームメンバーに意見を求めない」「シンプルさにこだわらない」など、あえて逆説的なTIPSを紹介し、不安でいっぱいの登壇者たちを力づけた。
「1年前のワークショップで最下位グループから奮起して優勝」yuni内橋 堅志さん
・ICC FUKUOKA 2023 ソーシャルグッド・カタパルト2位
・ICC KYOTO 2022 スタートアップ・カタパルト優勝
プレゼンのリハーサルに来た初回は、20分間プレゼンし続けていたyuni内橋さん。伝えたいことを毎日の犬の散歩中にメモり、伝えたいことを全て言語化、その後プレゼンの構成に落とし込んで削るサイクルを繰り返したそうだ。元々早口だが、スピード調整は50回以上したという。
「自分の感覚を大事にして、嘘くさい言葉がないようにしっくりくるまで削り、練習で強弱の付け方や楽しく喋れるスピードを探しました。心に残るプレゼンは、最後にどんな世界を作りたいかなど、何かメッセージを伝えている。そのために最後は必ず30秒残るように調整しました」
それに同意したのは”涙担当”小助川さんで、「登壇者のレベルはみんな高い。だから何で差分を作るかといったらここだと思います。みなさんも心の中に伝えたいメッセージが何か絶対にあるはずです」と、集まった次回の挑戦者たちに訴えた。
河邑さん「真剣にやればやるほどリターンが多い」
小助川さん「企業の活動は、自分の事業を伝えることの連続。それを磨くことは本当に大きなプラスになる」
西野さん「1カ月間集中して、プレゼンに向き合う時間はすごくいいこと。人に頼って、動画を送ってプレゼンを見てもらい、フィードバックをもらったりして学びが多かった。事業においてもいい機会になった。ぜひこの場を活用してほしい」
内橋さん「このワークショップから、ちゃんと準備しないといけないと思い、その後練習した1カ月間が、僕の人生で一番大切な1カ月だったと思っている。ICCは、いい意味でめちゃくちゃ切磋琢磨する場で、そんな場を他に知らない。それを本当に大事にしてほしいと思います。
最初に僕が伝えようとしていたのは社会課題の解決でしたが、ここで山代 真啓さん(GrowthCamp)にビジネスの話も入れたほうがいいとフィードバックをもらって、それを入れていいプレゼンになった。相談できる人が周囲にいないという人、僕でよければみなさんの相談に乗ります!」
ワークショップの最後にメンターたちが強調したのは、プレゼンを磨くことがいかに事業のためになるかということ。多忙なスタートアップの経営者たちがかなりの時間をプレゼン作りに使っていたのには驚きだが、4人はその重要性に疑いの余地がないようだった。
この動画は、今回登壇する予定の人たち全員に共有されている。ここで結果を残したいと思っている人にとって、プレゼン初心者から優勝までのプロセスがわかる、重要な知見が詰まっている内容だ。
7分間のプレゼンで自分の人生を切り拓け
最後にICC小林は、こう伝えた。
「皆さんは非常に可能性があります。カタパルトに出たからといって事業内容が変わるわけではないですが、伝え方が違うだけで、事業は100倍くらい伸びます。それは、今までそういった努力を本当にしていなかったからです。
本当にやりたいことは何なのか、原体験はなにか、事業の特徴をわかりやすく伝えると何なのか、生涯かけてやりたいことは何なのか、それを照れずにすらすら言えるようになると、こんな会社に入りたいとか、支援したい、投資したいと言われるようになります。たぶん皆さんも実感すると思います。
皆さんはまだ、やっているようでやっていない。恥ずかしがって努力していないからです。
今回はプレゼンの時間を7分間で切ってしまいます。その時間でしっかり自分の事業をプレゼンできる人がいる一方、言いたいことも伝えきれずに無惨に終わったら、それがあなたの会社を、社員を、自分の家族を守ることになると思いますか?
自分の人生を切り拓かずして、誰が助けてくれますか? それは自分次第です。
その努力をせずして、支援が弱いとか、投資してくれないとか言ってはいけない。まず自分が素晴らしいプレゼンをして、それを精一杯社会に問う。そういうことをして、社員やお金を、集めていけるわけです。
あなたのビジネスは儲からないとかスケールしないと言われている人、そんなあなたに、できることがあります。真面目にプレゼンすることです。
そうすると誰かが支援してくれたり、皆さんの人生を変える恩人になります。世の中には、支援しようという物好きな人がいるんです。カタパルトの動画を見たりして、道端で声をかけてくれたり、支援してくれたりします。
だからぜひ頑張っていただければと思います」
第2部 公開リハーサル
約2時間半のワークショップが終わり小休憩のあと、続いては22組による公開リハーサル。前出内橋さんの発言の通り、この日エントリーした22名はこの時点でのプレゼンで3つのグループにレベル分けされ、グループごとに相互投票と順位発表を行った。
この相互投票の目的は、競争原理によるレベルアップに加えて、審査員の立場を体験することで、新たな視点を獲得するところにある。第1部に続いて、他人のプレゼンはどんなところが優れているのか? 審査員はプレゼンの何を見て評価するのか? ここから「ともに学ぶ」体験は始まっている。
今回、プレゼンのフィードバックをするメンターは前回から倍に増えて、アニマルスピリッツ朝倉 祐介さんやDIMENSIONの宮宗 孝光さん・ 鈴木 修さん、 千葉道場ファンド廣田 航輝さん、リブ・コンサルティング権田 和士さんが加わった。GrowthCampの山代さん、ICC小林は続投。6時間に及ぶ壁打ちの仲間が増えて嬉しそうにしている。
メンターにはスタートアップに積極的な投資を行うファンドで実際の審査員もいて、プレゼンのフィードバックに加えて、カタパルト当日は聞けないような事業に関する質問や、アドバイスも多く伝えられ、目利きのアドバイスが聞けるというまたとない場にもなった。
公開リハーサルスタート!
グループAは、7月24日の時点でプレゼンの完成度が高いグループ。長い夜の景気づけとばかりに、1番目の登壇者Tippsyの伊藤さんから試飲の日本酒がメンター席に配布された。カタパルトの会場運営を担うスタッフたちにとっても貴重なリハーサルの機会となる。
ICCサミット当日は、スタートアップやリアルテックなど、7つのジャンル別にカタパルトを開催するが、この公開リハーサルはレベル別なだけでオムニバス状態。さまざまな事業が見られる面白さもありながら、どんな事業にもフィードバックできるメンターたちも凄く、これだけで見応えのあるイベントになっていた。
グループA
※()内は投票の順位と点数
このグループで優勝したのは、次で登壇3回目、カタパルトの最高峰カタパルト・グランプリに挑むハイヤールーの葛岡 宏祐さん。ここで勝つだけではなく、本番でも優勝したいと豊富を語った。なおもとはグループCだったTOWINGの西田さんは、時間の都合でこのグループに参加したが遜色のないプレゼンを見せた。
グループB
グループBが始まる前に、今回メンターとして初参加するアニマルスピリッツ朝倉さんに感想を聞いた。
「プレゼンは1人で作ってているものではなくて、こうやって皆のいる前でも練習して、一緒に作り上げているなんて知りませんでした。ここから1カ月でもっとブラッシュアップしていくんですよね。こんなメンターたちが1列目に並んで、僕だったらやりたくないです(笑)。
結構知っている企業があります。アニマルスピリッツとしては、国を守る・地球を保つ・フロンティアを拓くというのを掲げていて、それに関する事業の方々もいて、すごく興味深いです。今日のほうがまるで本番みたいな熱気ですね!」
このグループで優勝したのは、ものづくりのクラフテッド・カタパルトに登壇する日本草木研究所の古谷さん。非常に緊張していたというが、語る事業の世界に引き込まれた人が多かったようだ。
グループC
ここまでで見たプレゼンは16組。メンターの先陣をきって発言していたDIMENSIONの宮宗さんは「皆さん本当にすごい! 僕だったら彼ら彼女らの年齢でこんなすごいプレゼンはできないですよ」と感心しきり。時折「事業をラップしてみたら?」などと言い出す小林を止めるのも宮宗さんの役割だ。
「プレゼンターの皆さんそれぞれの個性がありますから、それを活かしたほうがいいと思って」
自らの事業の知見をからめ、第三者として初めてプレゼンを聞いたフラットな立場でアドバイスするメンターたち。フィードバックを続けるうちに、こちらも自然と役割分担しているようだ。
最後のグループは6組。すでに22時を回っている。
グループCで優勝したのは、クラフテッド・カタパルトに登壇するCARTA矢田部さん。グループBに続いて、今回のクラフテッド・カタパルトは熱い戦いになりそうである。
怒涛の8時間強を走りきったメンターたち。緊張してぐったりとした様子のプレゼンターたちとは対照的に、最後の記念撮影も元気いっぱいに決めてくださった。これが経験の差なのかもしれない。
自分の事業や情熱をいかに伝えたら、自分を理解してもらえて心を動かせるのか。プレゼンを練ることを通して考え尽くすことができたら、それは事業や戦略、施策の一つひとつに筋を通し、活路を拓く。これが前半のワークショップで過去の優勝者たちが口を揃えた、プレゼンに時間を投資する意義なのだろう。
今回初開催となるガーディアン・カタパルトも含め、ICC KYOTO 2023のカタパルトは7つ。1年前の内橋さんのように、最初は最下位のグループにいて、本番まであと1カ月という期間に驚くべき進化を見せるプレゼンターもいる。こうした学び合いの場や心強いメンターたちを得て、1人でも多くそんな挑戦者が世の中に飛び出すことを願ってやまない。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/赤石 仁/戸田 秀成