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ICC KYOTO 2022 STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門に登壇いただき見事優勝した、yuni 内橋 堅志さんのプレゼンテーション動画【年間1億枚廃棄される寝具を、永遠に循環する資源に! 粗大ごみと再生素材の課題を解決するyuni「susteb(サステブ)」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
本セッションのオフィシャルサポーターはノバセルです。
▶【速報】サステナブルビジネスが隆盛!寝具の回収と再生で循環型社会を創る yuni の「susteb(サステブ)」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2022)
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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by ノバセル
内橋 堅志
株式会社yuni
代表取締役
実家が寝具メーカーのAIエンジニア。高校在学時から実家の寝具事業の手伝いを始め、寝具の廃棄問題に関心を持つ。その後京都大学工学部を卒業し情報学研究科に進学、AIの研究に従事。在学中に産総研やNIIで研究を行ったり未踏プロジェクトに採択されるなど精力的に活動。2019年末に、寝具とソフトウェアエンジニアの特殊なキャリアを活かして、寝具業界の課題解決ができないかと考えyuniを創業。寝具をはじめとする綿・羽毛・ウレタン製品の回収と再生素材化を行う「susteb」をリリースし、多くの法人・自治体と連携を進める。2022年末には初の直営再生工場を山梨県で稼働開始予定。再生素材を使用した自社ブランドのxSleepとRBRTHも、D2C系ビジネスコンテスト「MASTERPLAN vol.3」で優勝するなど高く評価されており、「素材の廃棄がない世界」の実現に向け事業を進めている。サウナとAPEXと柴犬が好き。
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内橋 堅志さん 皆さん、おはようございます。
株式会社yuni代表の内橋 堅志と申します。
私たちは、素材の廃棄をなくし、日本を廃棄大国から資源大国へ変えるというビジョンを持ち、寝具のお引き取りと再生に取り組むスタートアップです。
機械学習のエンジニア出身、寝具メーカーの2代目
まずは、私の自己紹介をさせてください。
私はもともとIT企業で働く、機械学習のエンジニアでした。
そんな僕が、なぜ寝具の再生事業を始めたのか。
その理由は、こちらの写真に写っている、僕の実家です。
僕の実家は寝具メーカーであり、高校生の頃から2代目としてここで働き、育ちました。
そして、寝具業界のとある課題に非常に衝撃を受けたのです。
それがこの「お布団の死」という課題です。
皆さん、今日、これだけは絶対に覚えて帰ってほしい。
皆さんにとっても、身近な問題なのです。
年間1億枚、国民1人あたり1枚の寝具が焼却廃棄されている
こちらの、車が並んでいる写真は、何の写真か分かりますか。
これは、実は寝具の焼却処分場へ続く車の列なのです。
皆さんの中で、焼却処分場に行ったことがある方はいらっしゃいますか?
もしいらっしゃれば、手を挙げて頂けますか。
はい、ほとんどいらっしゃらないですね、ありがとうございます。
(一同笑)
でも皆さんが捨てられている寝具は実は全て、ここに行き着くのです。
僕はここに何度も行ったことがあるのですが、その度に思います、「なぜ、こんなに勿体無いことをするのだ」と。
焼却処分をすれば、灰と二酸化炭素になって、埋め立てて終わりなのです。
このように、焼却廃棄されている寝具は、年間1億枚です。
つまり、およそ1人1枚の割合で捨てているのです。
皆さん、一人一人がこの問題に加担している当事者なのです。
そして皆さんも現場に行くと、きっと僕と同じことを思うはずです、「こんなことは、なくさなきゃいけない!」
これが、僕たちが解決したい課題です。
寝具のリサイクル率はたった2%
しかも、これだけ捨てられている寝具は、実は、天然素材の宝庫なのです。
それにもかかわらず、アパレルのリサイクル率37%に対し、寝具のリサイクル率はたったの2%です。
アパレルの約20分の1しか、再生されていないのです。
廃棄予定の寝具をお引き取り・再生し、資源に変える
私たちは、寝具の廃棄をただなくすだけではなく、寝具を莫大な資源へ変えていくというビジネスモデルを持っているスタートアップなのです。
この理想を実現するために、僕たちがやるべきことは、引き取って再生素材化し、社会で活かし、さらにまた引き取るという循環を作り出すことです。
そこで作ったのが、廃棄される寝具を回収して、素材として再生するサービス、susteb(サステブ)です。
どの自治体も寝具の廃棄に困っている
このサービスについて説明するために、僕らが目指す循環の最初のステップである寝具を集めるところからご説明します。
皆さん、寝具が一番集まっているところはどこだと思いますか。
実は、自治体の廃棄待ち倉庫なのです。
実際に聞いてみると、どこの自治体も寝具の廃棄に困っていたのです。
これらの寝具を全てお引き取りしますと我々が言うと、とても驚かれて、喜ばれました。
結果、サービス開始からすぐに、多数の自治体と連携することができ、現在も全国の多数の自治体から相談を受けて、全てを受け入れることができなくなっている状況です。
全国に、本当にたくさんの需要があったのです。
これが、開始してすぐに分かったので、このサービスはいけるのではないかと僕は思いました。
さらに、皆さんの自宅に伺ってお引き取りしたり、全国の提携店舗への寝具の持ち込みを可能にしたりしました。
▶あなたのいらないを、誰かの欲しいに。自宅にいながら不要な寝具の回収・リサイクルができる、サステナブルなものづくりを実現する新サービス「susteb(サステブ)」をリリース。(PR TIMES)
これらを10カ月ほど行っていると、総引き取り枚数は10万枚、月間のお引き取り枚数は1.5万枚を超え、新聞にも取り上げて頂けるようになり、業界内の知名度も上がっていったのです。
再生プロセスをゼロから構築、自動化
これはもちろん良いことなのですが、こうして集めてきた寝具も再生できなければ、何の意味もないのです。
従来、圧倒的に手間がかかるためにほとんど捨てられていた寝具です。
私はエンジニアとしての経験を活かし、マテリアルリサイクルのプロセスをゼロから構築し、オートメーション化しました。
寝具の素材は本当に多様ですが、それらを選別し、素材ごとの再生プロセスに分解しています。
そして、我々の特許技術を含む洗浄滅菌を経て、素材として再生されるのです。
再生素材のコストを40%減、再生率90%にすることに成功
これにより、高価になりがちな再生素材ではありますが、他社素材と比較して40%のコストダウンを実現しています。
そして、お引き取りした寝具の再生率は、アパレル再生他社の3~9倍である、90%にもなります。
皆さん、回収をたくさんしても一部しか再生できないようでは、ビジネスモデルとしては成り立たないのです。
僕たちは、価格や再生率といった、最重要なメトリクスでイノベーションを起こすことに成功しているのです。
そして最後、再生したものを新しく製品として世に出し、それをまた回収して再生していくことにより、循環を完成させます。
自社ブランド品も100%再生を前提として製造
私たちは、再生素材の販売のほか、他社とのコラボ製品や再生素材を使用した自社ブランド製品を販売しています。
それらを使用後、廃棄するのではなく、sustebで、全て簡単にお引き取りできる仕組みを構築できているのです。
これまでは、廃棄せざるを得ない構造や製造方法が取られてきたのです。
それに対して我々は、再生を前提とした製造を行うことで、再生率100%を目指しており、従来の廃棄前提の寝具ではなく、再生することを前提とした、全く新しい寝具を作っているのです。
回収1枚の利益率は45%
これがビジネスとしてうまくいくのか?
結論としては、めちゃくちゃうまくいくのです。
その秘密は、お引き取り時に利益が出せる構造にあります。
そもそも、なぜ僕たちに寝具を預けてくれるのかというと、焼却処分よりも僕たちに預けるほうがコストを低く抑えられるからです。
引き取り依頼をする方が合理的なのです。
そして僕らは、お引き取り費用を頂いた段階で再生コストをペイし、素材の販売前に既に利益を出すことができているのです。
また、回収した1枚あたりの売り上げは2,349円で、利益は1,059円です。
これらはもともと、焼却処分される予定だったものですが、決してゴミではないのです。
大きな価値に変えられるのです。
そして、利益率は45%にもなります。
なぜ、これほど高い利益率になるのか。
それは、お引き取り時に再生費用を頂くモデルで、かつ、再生した時点で利益が出ていて、さらに、素材が手元に残るからなのです。
それらの素材を、自社ブランド製品や加工製品として、あるいは再生素材単体で販売することで、さらに利益を出していくことができるのです。
自治体と連携して再生工場を全国に
最後に、これから僕たちがどう成長していくかについて、お話をします。
処理能力向上のため、全国の自治体と連携し、その土地土地に直営工場を作っています。
現在稼動中の兵庫県西脇市の工場に加え、来年、山梨、茨城、大阪で、直営工場の稼働が開始するのです。
私たちは、焼却処分場の代わりに再生工場を全国に展開し、その土地土地で自治体と連携したローカルな素材循環を、まさに今、作っている最中です。
売上計画です。
自宅や法人からのお引取りも加えると、3年後に、年間150万枚の寝具を再生し、売上50億円を達成することが現実的に目指せます。
しかし、それでも年間廃棄のうち、1%のシェア獲得という結果にすぎないのです。
僕たちは10年後、全体の20%のシェアを獲得し、年間1,000億円を売上を作っていきます。
そして今、年間で廃棄されている寝具は1億枚ですが、皆さんのご自宅や倉庫に眠っている寝具は、実は12億枚もあるのです。
これはもはや、採掘可能な資源と同義なのです。
僕らはこれらを採掘し、さらに大きな市場を開拓していきます。
僕らの未来に焼却処分場はいらない
皆さん、僕の早口のプレゼンを、めげずに聞いてくださって、ありがとうございます。
最後にお伝えしたいのが、焼却処分場です!
これはもはや、なくてもいいものなのです。
負の遺産なのです。
皆さん、僕らが作る未来に、こんなものはいらないのです。
なくしましょう!
審査員の皆さん、一緒に登壇する皆さん、そして今日聞いてくださっている皆さん。
皆さんは、未来を選ぶ力を持っている方々なのです。
僕は必ずやり遂げます。
皆さん、こんな僕をぜひ、応援してください。
株式会社yuni、代表の内橋 堅志でした。
ご清聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸