【NEW】ICC サミット FUKUOKA 2024 開催情報詳しくはこちら

良い「しつもん」をするためのトレーニングをしよう(石川善樹×マツダミヒロ)【SP-YI3 #3】

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!

これまでに配信した、石川善樹さんご登壇記事を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス TOKYO 2016 から、異分野対談「予防医学者 X 質問家」
を4回に再編集してお届けします。石川善樹特集3(その3)は、マツダミヒロさんがなぜ「質問家」となったのか、問いを立て続ける人とはどのような人なのか等を議論しました。ぜひご覧ください。

▶ICCパートナーズではコンテンツ編集チームメンバー(正社員&インターン)とオフィス/コミュニティマネジャーの募集をすることになりました。もし興味がございましたら採用ページをご覧ください。

ICCサミットは新産業のトップリーダー600名以上が集結する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。


登壇者情報
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 2E 異分野対談「予防医学者 X 質問家」

(スピーカー)
石川 善樹
株式会社Campus for H 共同創業者

松田 充弘
マツダミヒロ事務所 代表取締役

(聞き手)
井上真吾

「異分野対談『予防医学者 X 質問家』」の配信済み記事一覧

連載を最初から読みたい方はこちら

最初の記事
【新】「自己紹介とは何か?」から始まる異色の対談を特集!(石川善樹×マツダミヒロ)【SP-YI3 #1】
1つ前の記事
「普通とは何か?」を考えることから新たな知識が生まれる(石川善樹×マツダミヒロ)【SP-YI3 #2】

本編

司会者 お二人の話の中で、「問」の本質というところがありました。当たり前のところに「問」を設定して、すごい法則が見つかったというような。

多分 松田さんも毎日問いを考えていく中で、「問」をどういう形で考えるかというところにも興味があるのですが、その問をセットすることによって得たいことと言うか、何を思って毎日問いを考えられているのでしょう?

問いを作ること自体が目的ではない

松田 その問を作ること自体はあまり意味がないというか、問を作ろうということが目的ではない。

ですから、そこの答えはなかなか出ないのですが、何かしらの関心ごとがあって、その関心ごとの解決に一歩近づく度に「問」が出るだけなのだと思うのです。

石川 そうですね。自分の関心ごとからしか「問」はでないですから。

松田 ただ、中には「問」が浮かびにくい人と、浮かびやすい人がいると思うのです。

それは多分いかに関心を持てるかだと思うのですが、多分石川さんは自然に関心を持てるのだと思うのです。

でも、なかなか「問」にたどりつかない人は、どのようにすると関心を持てると思いますか。

(ICCカンファレンス KYOTO 2016 での登壇時)

石川 実は僕も、「問」に関してはかなりトレーニングをしたのです。

というのも、学者というのは基本的に、クエスチョン、ソリューション、プレゼンテーションという三つしかやっていないのです。

最初はソリューションから学ぶ。と言うのは、何が解けるのかということをいっぱい知らないと、「問」が生まれにくいというのはある。

だから、解き方をまず習うのです。そして、次がプレゼンなのです。プレゼンというのは、学者の場合は論文の書き方ですね。

そこでプレゼンまではよく習うのですが、クエスチョンだけはあまり習わない。だから、解いたり、プレゼンするのはスキルアップが容易なのですが、クエスチョン、問の立て方だけは体系化されていないのです。

そこで、僕が見て思ったのは、問を立てるのが上手い人というのは、ロジックがすごく弱いということです。

ロジックに強い人というのは、やはり物事を因果で見やすい人なのです。でも、問というのは因果ではなくて、相関で見なければならない。相関、パターンです。

一見繋がっていないようなパターンでも何か似ている気がすると。そして、因果で繋がっていないからおかしいということになって、「問」がポロポロ生まれてくるのです。

ですから、理屈よりも直感、かなり感覚的に生きている人の方が「問」を立てるのに良いと考えられている。それが、僕が留学していてすごく学んだことでした。

そして、直感的、感覚的な人というのは、喜怒哀楽が激しい人なのです。女性は結構――こうパターン化して言ったら怒られるかもしれませんが――直感で生きているのです。

彼女たちは直感で物事を捉える。だから、喜怒哀楽が激しいというか、様々な感情を自由自在に経験することというのが、実は「問」を生み出しやすいのではないでしょうか。

だから、例えばダウンタウンの松本さんは、いろいろなことに怒っていますでしょう。その怒りを笑いに変えているのですが、そういう観点で見ると、僕はあまり怒りという感情は持たない。

それによって何か見れなくなっているものがあるなとは思った。政治に対して怒りを持つと、政治のことについて知りたくなりますでしょう。

怒りを持たないと、興味を持たないことについては知ろうとしない。そういう意味で言うと、「問」を生むためには情緒が豊かであることが必要なのでしょう。

松田 なるほど。身近なことに関心を持つためには、元々感情的に生きているというところが必要だと?

石川 そうですね。いろいろな感情でもってそこを見るということです。そこは気をつけています。

司会者 松田さんは質問家になられて身の回りのことについての関心度合いが向上したということはありますか?

松田 それはとてもあります。

司会者 それは何が変ったのでしょう?

松田 視点が変ったのだと思いますよ。

どんなポイントから見るのかというところです。多分同じものをずっと同じところから見ていても同じにしか見えないが、少し違う角度から、違う方向から見てみると、何でこういう形をしているのか、こういうアプローチになっているのか、という見方が変ってきたのではないかと思うのです。

司会者 何故変ったのでしょうか。やはりベンチャーをやられていたところから、少しフリーになってというところからなのでしょうか?

自分との対話を繰り返すことの意味

松田 しかし、質問をし始めた頃は、そうではなかったのです。

質問を始めた頃は、質問を作るのが大変だった。そして、作っていくうちにどういうプロセスがあったかと言うと、自分とたくさん対話をするわけです。

そして、その対話が増えれば増えるほど、先ほど出たような「何で僕たち生きているのだろう」というような問も出てくるわけです。

石川 先ほどそれが顕著だった。最初に「自己紹介してください」と言われた時です。自己紹介など、僕らは多分死ぬほどやってきている。

でも、「自己紹介ってね……」というふうになる。おそらく、その度に毎回ゼロから考えているのです。パターンでやっていない。

松田 そう。パターンでやらない。

石川 その自己紹介と言われて「ウっ」と止まるというのが質問家の本質なのだと思います。

だから、面倒くさいけれど毎回ゼロから考えるというのがあるのではないでしょうか。

松田 それはすごくあります。たとえば講演なども、多い時だと月25回くらいやっていたのです。

それくらいやっているともうパターン化できるわけです。最初これを話して、次これを話して、と作った方が絶対に効率は良いのですが、毎回、今日は何を話そうかということを考える。

結果的には同じになるのですが、毎回それをするというのはありました。

石川 それは多分すごく面倒くさいのですよね。

例えば自己紹介とは何かということをいちいち考え始めると生きていくのがすごく大変なのです。いちいち躓いているから。いいから進めよと自分でも思うのですが。

松田 しかし、生きづらいと感じますか?

石川 はい、めちゃくちゃ面倒くさいです(笑)

ただ、最初は面倒くさいと思うけれど、結果楽しかったりする。

だから、プレゼンも同じなのです。毎回ゼロから考える。そして、結局一緒になるのですが、納得感はありますよね。

松田 そうですね。納得感があります。

司会者 異分野対談ということで私、ハっと思ったことがあります。

ずっと経営コンサルティングの仕事をしていたのですが、(元GEのCEOだった)ジャック・ウェルチの言葉で「経営の最大の過ちは、間違った問に答えることである」というものがあるのですね。

そして、経営というのは正しい問を立てることが最も重要である。ああ、なるほどなと思う。

みなさんおっしゃられることと言うのは、研究者として、あるいは人生としてというのもあるかもしれないが、ビジネスをやっている方々にとってもすごく重要なポイントなのではないかと思うのです。

「正しい」とは何か?

松田 僕は今のを聞いて、「正しい」とは何を言っているのかというところにまず疑問を持ちます。

石川 スウェーデンの専門の大学でウプサラ大学というところがあるのですが、そこに教育憲章というのがあって、こう言っているのです。「自由に考えることは素晴らしい、しかし正しく考えることはもっと素晴らしい」と言っているのです。

そして、正しく考えるというのはある程度「型」なのですね。つまり、自由に考えるより先にまず型を身につける必要がある。

良い問とか正しい「問」というのはまず型があるのです。そして、今の時代はあまり型を学ばずに、面倒くさいことを放っておいて、いきなり我流でやる人が多いのではないでしょうか。

だから、ジャック・ウェルチなどもきっとそうだと思うのですが、「正しさ」の型とかが絶対にあると思うのです。それは多分ご著書に書かれているのではないでしょうか。

松田 そこでどこまでベースを取り入れるかによると思うのですが、多分経営に正解というものはないと思うのです。

でも、その経営者の中の正解はあると思うのです。だから、その経営者なりの正しさとは何かということをまずアウトプットというか自分の中で再現した上で、その正しいということを常にしていくのがすごく重要だと思います。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 「解を急ぐよりも問を深めよ」-立ち止まって問うことのススメ(石川善樹×マツダミヒロ) をご覧ください。

平日 毎朝7時に公式LINE@で新着記事を配信しています。友達申請はこちらから!
ICCの動画コンテンツも充実! Youtubeチャネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/石川 翔太/井上真吾/渡辺 裕介

【編集部コメント】

続編(その4)では、問いを作る為に大切なことや、「問いとは何か?」という問い等について議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

更新情報はFacebookページのフォローをお願い致します。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!