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新食材「納豆菌粉」で、低環境負荷かつ高効率なタンパク質生産を実現する「フェルメクテス」(ICC KYOTO 2024)

ICC KYOTO 2024 リアルテック・カタパルトに登壇いただき2位に入賞したフェルメクテス 長内 あや愛さんのプレゼンテーション動画【新食材「納豆菌粉」で、低環境負荷かつ高効率なタンパク質生産を実現する「フェルメクテス」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】アルツハイマー病の治療に光! 新薬で世界規模の課題解決を目指す「Neusignal Therapeutics」が「リアルテック・カタパルト」優勝(ICC KYOTO 2024)


【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

長内 あや愛
フェルメクテス
共同経営者
公式HP | 公式X

14歳からAmeba official Blog「14歳のパティシエは今食文化研究家」を現在まで10年以上更新中。高3時に「世界経済フォーラムダボス会議」のU30起業家コンテスト「Re-Generate Japan」を最優秀賞。慶應SFC総合政策学部在学中、研究を行いながら、復刻再現料理の食事制作・提供の場として2019年8月食の聖地日本橋にて[食の會日本橋]オープン。食文化研究は「和食と洋食の食文化の衝突」をテーマとし、江戸後期から明治期の食を文献から再現に取り組む。持続可能な食文化創造を目指し山形県鶴岡市で高たんぱく新食材「kin-pun」をスタート、ブランドプロデューサーとして奮闘中。慶應義塾大学SFC研究所上席研究所員/株式会社食の会代表/Kin-punブランドプロデューサー/文科省アントレプレナーシップ推進大使/東京MX「堀潤モーニングフラッグ」コメンテーターなど。


長内 あや愛さん フェルメクテスの長内です。

よろしくお願いいたします。

「納豆菌」を培養し食材として大量生産

私たちは今まで確立されていなかったタンパク質の生産を行い、持続可能な食文化を創っていく、世界初の新しいタンパク質食材を作っています。

「納豆菌」そのものを世界で初めて食用に菌株を育種、大量生産し、これを実用化しました。

食品名は納豆菌の粉と書いて、「納豆菌粉」。

発酵タンパクとして作っています。

今まで私たちが食べていた動物性タンパク質、植物性タンパク質に、新たに人工でタンパク質を作ることで、今までの農林水産業の他に「発酵」というバイオテクノロジーと日本の発酵技術で、食糧生産の調達方法の確立にチャレンジしています。

▶️ kin-pun(公式サイト)

パンに入れたり麺に入れたり可能性は無限大

今回皆さんにお伝えしたいのは、この納豆菌粉が食材として可能性が無限大であることです。

皆さん納豆には今まで長い食経験があると思いますが、煮豆に納豆菌を噴霧して発酵したものが納豆です。

納豆菌粉はこの菌そのものを培養して大量に粉末化することで、普段目に見えない菌を食用として実用化しました。

パンに入れたり、麺に入れたり、おいしくさまざまな料理で食べることができます。

タンパク質危機を解決したい

我々がなぜこの納豆菌に取り組むのか。

タンパク質危機を解決したいからです。

2050年には世界で今の2.1倍のタンパク質が必要と言われていますが、今の畜産や農業では足りないと言われています。

さらにこの畜産や農業を続けることで需要を賄おうとすると環境を破壊し続け、コストも増えてしまいます。

タンパク質にアクセスできない人が世界中で増えていってしまうという問題の解決に取り組みたいと思っています。

私自身は食文化研究をしていまして、新食材をいかに生活のシーンに実装していくか、歴史を学んでそれを実装することを専門にしています。

今世界中で起こっているタンパク質、そしてこれから深刻になると言われていることは、実は前の時代にもありました。

江戸時代以前にも明治時代以前にもタンパク質が足りなくなって、健康に対して大変深刻な問題が生じたことは今までも何度もありました。

今この日本において豊かにタンパク質をとれることのほうが、人類の食糧事情の歴史上貴重なことです。

世界の中での話でも、もう少し先の話でもなく、私たちは今取り組まなければいけません。

危機感を持って取り組まなければいけないのです。

▶️ 迫りくるプロテインクライシス(野村総合研究所)

タンパク質を「速く」「大量に」作ることが急務

そこでタンパク質を“速く”“大量に”作ることが急務です。

皆さんの中でソイプロテインとホエイプロテインを飲んでいる方がいらっしゃると思います。

今この日常を豊かにする点においても、そもそも効率よく合理的に日常食の中でタンパク質をもっともっととれたらいいなと思いませんか?

ここでも同じ要件、つまり最も速いタンパク質生産が必要です。

納豆菌はわずか15分でタンパク質が2倍になる

納豆菌を作る理由は、圧倒的な生産効率を誇るからです。

人工で最も速いタンパク質を作ることを実現します。

わずか15分で納豆菌はタンパク質が2倍になります。

タンパク質食材としての納豆菌粉の価値は圧倒的な生産効率を誇るところで、我々は納豆菌を食材として実用化しました。

例えば牛の生産にかかる日数は、私たちが口に入れるまで720日。

大豆は180日です。

納豆菌はわずか5日で私たちの口に入れることができます。

納豆菌は地球上で最も増殖の速い生物、細胞です。

納豆菌を食材として食べることが、最も生産効率が高いタンパク質です。

15分で倍になり、倍々に増えていくのが納豆菌です。

スプーン1杯が15分でスプーン2杯になります。

ということは、1トンの納豆菌と大きなタンクがあれば、15分で2トンになります。

このはるかに生産効率が高いタンパク質生産に取り組んでいます。

環境低負荷の生産が可能

さらにこの納豆菌を食材として見た時に、環境低負荷の生産が可能です。

土地をこれ以上増やさずに、タンクの中で肥料を拡散せずに作れます。

タンパク質を作るためにタンパク質を与えるようなことも必要なく、未使用の大豆、ふすま、米ぬかなどの食品副産物を原料に納豆菌を作ることができます。

畜産や農業よりも環境低負荷の生産が可能です。

このように、タンパク質食材として納豆菌を使うために、菌株の育種と大量生産の技術、ノウハウを独自開発したのが、我々の強みになっています。

生産をして加工して食べる、人類初めての挑戦です。

これを可能にするのは納豆菌の育種研究者、そしてそれを大量生産するノウハウを持った技術開発者です。

※現在大分県の南東部に位置する臼杵市(うすきし)もユネスコの「食文化創造都市」に認定されています。

私自身は、この新食材を生活のシーンにまで社会実装していかなければと思っています。

この研究を社会実装していくことで、皆さんの生活を豊かにするタンパク質を作ることができると、慶應義塾大学発のスタートアップ、食品会社として取り組んでいます。

皆さんのお手元に納豆菌を使ったフィナンシェをお配りしたので、ぜひお召し上がりいただけたらと思います。

▶編集注:プレゼン中に、審査員席にフィナンシェが配布されました。

食材としておいしく、機能性も高い

ここで納豆菌の食材の価値についてお話しさせてください。

まずは高タンパク質食材であることです。

70%以上のタンパク質を含んでいます。

食品としてのおいしさと長い食経験による安心・安全性があり、非動物性の食材です。

皆さんにフィナンシェをお配りしましたが、ホエイプロテインやソイプロテインでは、このような食品としてのおいしさや食感は出ません。

納豆菌の菌タンパク質であるからこそ、この食感が出ます。

ここは一つ強みであります。

また、特有の高い機能性も兼ね備えた食材でもあります。

吸水率が300%以上で腹持ちもよく、保水性もあり、噛み切りやすいと、88.5%の方に購入したいと言っていただきました。

持続可能なタンパク質を世界へ!

地産地消のタンパク質を作ることで、新興国、途上国など、これから世界でも皆さんがたくさん食べることができます。

代替肉ではなく日常食としてタンパク質をとっていただけます。

穀物粉と同様の値段に下がっていくことで、皆さんがアクセスしやすいタンパク質の実現が可能です。

まずは約2,000万トンのタンパク質生産をします。

タンパク質を世の中に、食糧生産の確立へチャレンジすることに、納豆菌で取り組んでまいりたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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