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ICC KYOTO 2024 ソーシャルグッド・カタパルトに登壇した、サンカクシャ 荒井 佑介さんのプレゼンテーション動画【行き場のない若者に、居場所と仕事の支援で社会参画を応援する「サンカクシャ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2025は、2025年2月17日〜 2月20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはICCパートナーズです。
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【登壇者情報】
2024年9月2〜5日開催
ICC KYOTO 2024
Session 11A
ソーシャルグッド・カタパルト – 社会課題の解決への挑戦 –
Sponsored by ICCパートナーズ
荒井 佑介
NPO法人サンカクシャ
代表理事
公式HP | 公式X
2008年よりホームレス支援や子どもの貧困問題に関わり始める。 生活保護世帯を対象とする中学3年生の学習支援に長く関わっていた経験を通じて、高校進学後に、中退、妊娠出産、就職で躓く子達を多く見たことから、2019年にNPO法人サンカクシャを立ち上げる。サンカクシャでは、15歳から25歳前後までの親や身近な大人に頼れない若者の居場所作りや進路就職のサポート、住まいのサポートを行なっている。2024年度、第34期東京都青少年問題協議会委員を務める。
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荒井 佑介さん NPO法人サンカクシャ 代表理事 荒井 佑介と申します。よろしくお願いいたします。
私たちの「サンカクシャ」という名前の由来は、若者の社会参画を応援したいという気持ちを込めて名前をつけました。
「若者支援」をテーマに、活動しております。
近年、「トー横キッズ」「闇バイト」という言葉が、ニュースに頻繁に取り上げられているかと思いますが、現在私たちは、そういった課題に取り組んでおります。
▶️新宿・歌舞伎町 “トー横キッズ”(NHK)
日々、「死にたい」「帰る場所がない」というような若者が本当に行き場を失っている状況ですので、本日はぜひそのような課題について知っていただけたらと思っております。
活動のきっかけは、ホームレスの男性との出会い
少し自己紹介を兼ねて、NPO法人サンカクシャの立ち上げのきっかけや経緯をお伝えいたします。
始まりは2008年、私は18歳でした。
こちらは、新宿駅にある商業ビル、ルミネ新宿の地下1階の階段です。
偶然そこを歩いていた時に、突如、目の前でおじさんが座り込みました。
「大丈夫ですか」とお声がけしましたら、「俺はホームレスだ」とおっしゃって、その後、なりゆきで3時間ほど、おじさんの身の上話を聞く流れとなりました。
その結果、少し仲よくなってしまいまして、おじさんから「また来週も話さないか」と誘われ、毎週そのおじさんとおしゃべりするという不思議なイベントが、私の活動のきっかけです。
リーマン・ショックが起こった時期でしたので、ネットカフェ難民や若者ホームレスが数多くいらっしゃいました。
この頃から、若者の住まいや居場所のなさという課題がありました。
「なぜ、自分と同じような20代の方々が路上生活をしているのだろう」という関心を持って、私は活動に取り組んできました。
現在に至るまで16年ほど、日本の貧困問題に取り組んでおります。
当初は若者のホームレス問題、次に、子どもの貧困や学習支援などに取り組んできました。
そして、その子どもたちが高校へ進学したあとも支援が本当に足りていないため、現在は、おおよそ15~25歳の方々の支援が、NPO法人サンカクシャの主な活動です。
2019年に設立しましたので、その立ち上げから、ちょうど5年ほど経ったところです。
現在、「居場所作り」「仕事」「住まいの支援」のサポートという3本柱で、東京で活動しております。
父親から暴力を受けていた男性のケース
若者と一口に言っても想像しづらいかと思いますので、具体的にひとり、ケースを紹介したいと思います。
彼は、サンカクシャにつながった当時は18歳で、格闘技をしている体格のよい父親から、教育の一環として、暴力を受けながら育てられてきました。
木刀などで殴られていたため、常にあざだらけでしたが、一方でそのように育てられてきた彼は、「言うことを聞かせるには、暴力を使えばいい」ということを体感していたので、学校などでトラブルを起こし、問題児扱いをされていました。
彼はそうした問題行動が多かったため、親から見放されて「お前は、もう家に帰ってくるな」と言われ、友人の家に泊まったり、公園で寝泊まりをしたりするような状況でした。
このような場合、養護施設もありますが、10代後半になると、保護されずに支援を受けられないため、その年代の子どもたちの行き場が本当にないというのが現状です。
そういった経緯で、彼はサンカクシャにつながってきました。
私は、このような若者を、「若いから働けるだろう」「頑張ればいいじゃん」と「自己責任」として片付けていいのだろうかと疑問に思っております。
親から暴力を受けて育つと、人と関わるのがとにかく怖くなってしまいます。
「この人は、自分に危害を加えてくるのではないか」と思ったり、また、否定されて育っているため、とにかく自信がなかったり、何かに取り組む、生きていく意欲がない、そのような精神的影響の問題が、支援の難しさとしてあります。
働く前の支援:孤立し相談できない若者に居場所を提供
現在、こういった子どもたちがどれほどいるかと言いますと、学校にも家にも職場にも「居場所がない」と回答する若者は約1.9%の22万人ほどいます。
不登校の子どもが約30万人で、そちらに匹敵するほどの人数ですので、「トー横キッズ」などは、本当に氷山の一角ではないかと思っております。
このような若者たちに対して、私たちは、居場所の運営を行っております。
現在、深夜に、「死にたい」といった相談も多いため、深夜帯の居場所も開放しています。
ありがたいことに、イケア・ジャパン株式会社が、内装の提案と家具の寄付をしてくださって、私たちは運営することができております。
また、シェアハウスの運営もしております。
「今日の寝床がありません」といった相談が、本当に毎日のように寄せられてきています。
現在、シェアハウスは、3拠点・22部屋を運営しており、これまでに、約80人の若者に、住まいを提供してきました。
そのようにして、安心できる居場所を提供することができれば、すぐに働けるかと言いますと、そうではありません。
先ほど、お話しさせていただいたように、生きていく意欲がなかったり、元気がなかったりするためです。
そのため、各所へ連れて行って、生きる活力を高められるようにしています。
先日バンジージャンプへ連れ出したところ、怖がりつつ一歩踏み出して飛んだ若者が激変しまして、もしかするとバンジージャンプが最適なのではないか、と思っているところです(笑)。
働く支援:50社から働く体験機会や就労サポート
また、仕事のサポートも行っております。
すぐに就職することは難しいのですが、現在、約50社から仕事の体験の機会をご提供いただいております。
一昨年(2022年)には、Apple Japanと連携させていただき、就労支援プログラムなどを実施しています。
このような形で安心できる居場所を提供し、バンジージャンプをして(笑)、意欲を回復し、働く体験を通じて自信が回復することで、最終的にはサンカクシャから離れて独立していく、というサポートを行っております。
設立5年で約450人の若者をサポート、約半数が自立
その中でも特に、働く手前の支援が、非常に重要ではないかと思っています。
こういった一連の支援には、1人あたり、約3年の時間と350万ほどのお金が必要です。
これまで設立5年で約450人の若者をサポートしてきて、その約半数が自立しています。
本年2024年、事業予算規模が約1億円の組織となりました。
目の前に立ちはだかる「闇バイト」の存在
これまで活動してきた中で、このままでは本当にまったく問題解決が追いつかないと思っていることがあります。
なぜかと言いますと、ライバルの存在が大きいと感じているからです。
私たちのライバルは、「闇バイト」の事業者だと思っております。
なぜなら、若者は住まいや生活に困るとSNSで情報を調べることが多く、また、そういったSNSは若者を搾取したい「闇バイト」などの悪徳業者も積極的に活用しているからです。
若者は、そういった業者に吸い込まれていってしまうため、業者は積極的に若者をキャッチすると儲かりますが、逆に、私たちがキャッチすると赤字の垂れ流しになってしまうという構造があり、勝つことができないと実感しています。
新会社で約400億円分の雇用作りを目指す
しかし、電車に乗っていた際に偶然、「令和5年の特殊詐欺の被害額は年間約450億円」という広告を見て、ピンときました。
私はその分の仕事を作ればいいのではないかと、こちらにマーケットがあると思ったのです。
そのため、私は、NPO法人のサンカクシャだけではなく、新しく株式会社サンカクシャを設立して、約400億円分の若者の仕事・雇用作りしようと思っています。
現在、キッチンカー事業やハウスクリーニング事業、ドライバー配送事業などを、次々と形にしていこうと取り組んでおります。
とにかく、若者を雇用して育てていくという循環を作っていこうと思っております。
ぜひ、若者ができる仕事を紹介していただけたり、連携させていただけたりすると嬉しいです。
若者の居場所作りや犯罪の減少、人手不足の解消といった、これらの課題を同時に解決していく取り組みを、この貧困問題の現場から届けたいと思っております。
ご清聴、ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/中村 瑠李子/戸田 秀成