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これまでに配信した、経営に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016 から、「優れた成果を実現する経営者の仕事とは何か?」【K16-5A】を10回に再編集してお届けします。10回シリーズ(その2)は、GMO熊谷さんを中心に、創業メンタリティを保ちつつ企業を成長させる経営術を議論しました。ぜひ御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 5A
「優れた成果を実現する経営者の仕事とは何か?」
(スピーカー)
熊谷 正寿
GMOインターネット株式会社
代表取締役会長兼社長 グループ代表
火浦 俊彦
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
会長 兼 パートナー
安渕 聖司
SMFLキャピタル株式会社
代表取締役社長兼CEO
(2016年9月5日より日本GEからSMFLキャピタルへ社名変更)
(モデレーター)
岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
岡島 私も(先に火浦氏が紹介した)「創業メンタリティ」(日経BP社)を読ませていただいたんですけれども、公開企業で言うと、日本企業は企業経年数、つまり平均年齢が61歳だそうですね。
これは、従業員の年齢のことではなく、日本の企業が創業から平均61年経っているということです。
一方で、アメリカは31歳という風に書いておられて、色々なところで言われていますが、やはり、新陳代謝がないのではないかということですね。
GEさん、GMOインターネットさんは、そういう意味では、そういうことを乗り越えて「尖った大企業」としてやっておられるのではないかと思います。
その中で、経営者の方々は何をやっておられるのかということ、1つずつ伺っていきたいなと思っています。
まず熊谷さんに伺いたいのですけれども、普通に経営されていると、恐らく火浦さんが仰っておられたような企業経年、年数が経っていくに従って、やはり成人病みたいなものも沢山出てくるのではないかと思うんですね。
それは、事業ドメインも複雑になっていくということだと思いますし、後は、後出しじゃんけん的な人も沢山入ってくるみたいなこともあるということだと思うのですが、そこは、GMOインターネットさんではどのように防げているのでしょうか。
GMOインターネットさんも含めて上場企業が9社、そしてその時価総額が全部で5,000億円くらいということですし、連結も80社以上ということだと思うので、ずっと経営者マインドみたいなものが損なわれずに来られているのではないかなと思っています。
どんなことをされて現状があるのかということを、少しご披露いただければと思うのですがいかがでしょうか?
「権限の委譲」ではなく「権限の分散」を行う
熊谷 はい、分かりました。
大企業にならないようにする、ということです。
今 社員4,900人でグループ会社は89社、そのうち上場企業は9社ありますけれど、権限の委譲ではなくて、権限の分散を行って、大企業にならないようにするのです。
権限の委譲というのはピラミッド構造じゃないですか。
権限の分散を行うことで結果として経営のスピードを担保しています。
あとは、私共も金融事業などもやっていますので、分散経営することによって、連鎖倒産のリスクを排除したり、様々な分散経営の良いところを採用しています。
ベンチャーマインドも、各社の社長が持っている。
スタッフ数は全体で4,900人ですが、日々1人か2人新規採用が増えており、各社で見ると数百人のポーションですから、これは非常にいいと思いますね。
ただ一方で、分散経営すると悪いところもあるんですけれども、それは仕組みとして排除していくということですよね。
岡島 これは、仕組みというところで言うと、どんな仕組みで排除されているのでしょうか?
熊谷 グループ会社が増えますと、やはりそれなりに手続きが煩雑になったり、見えなくなったりするので、一言で言うとガラス張りにするということですかね。
岡島 それは数字ということも含めてですよね?
ガラス張りと立候補の経営
熊谷 例えばお給料も、全員。
グループ会社が 89社あり、役員も全部で120人いるのですが、役員全員の目標、成果、結果、報酬、全てがガラス張りになっていて、アルバイトさんを含む全スタッフが見ることができます。
あとは、一定の目標設定だったりとか、一定のところは共通化しているんですよね。
岡島 ここは、経営者としてはなかなか悩ましいところではないかと思っています。
評価というのは全てにおいて公平とか公正ということはすごく難しいだろうなと思っていて、ガラス張りにすることによっての皆さんの疑心暗鬼みたいなことはなくなるということだと思うのですけれども、一方では、評価を人がやるというところで「なぜあの人は?」みたいな話になる。
熊谷 ガラス張りに必要なのは、「360度の評価」と「立候補」という考え方なんですよね。
やってくれと言ってできなかったら、頼んだ方が悪いのだけれど、自ら「やる」と言ってやって頂ければ、それは本人の責任ですから。
例えば、GMOインターネットの役員には、私から「役員をやってくれ」と頼んだことは一度もないんです。
私は創業者で大株主ですから、本来の立ち位置としては私が役員を指名するのですが、「やってくれ」と言ったことは一度もないです。
「やりたい」と立候補した人の中から、評価の高い方にやって頂いています。
やって頂いて結果が出ない方には退任して頂いて、また立候補者の中から選ばれた方にチャレンジして頂くというやり方をしています。
岡島 ここがやはり経営者としてオーナーシップみたいなものを持つという1つのポイントですよね。
火浦 そうですね。
要するに大企業にならないようにするということはすごく大事だと思っていて、大企業の中でもそういう「創業メンタリティ」を保とうとしている会社というのは、何をされているかというと、ミニ創業の経験を結構たくさんされているんですね。
なかなか分社できない会社も結構あるんですけれども、ある地域にも会社を作りますとか、あるブランドを立ち上げろとか、ゼロからとにかくやってみろということをやらせることによって、自分が何でもやらなくてはならないというところで「創業メンタリティ」が出てくる。
それから、今お伺いしてすごいなと思ったのは、そこまで透明にして、それに基づいて評価すると、変な恣意性が入らないですよね。
これでできたらいい、できなかったらダメ。
そこに変な恣意性が入ると、日本の大企業というのはそうなんですけれども、ずっとその中で働いているから、今日の敵は明日のボスかもしれないから、この辺ちょっと適当にやっておこうかという風にになってしまいますよね。
そこまで透明にされてしまったら、言い訳も何もないですよね。
その透明性というのは、やはりすごいなと思います。
「権力」で経営をしない
熊谷 会社って、ピラミッドになってくると、社長や部長や課長の(タバコの)火をつける人がたくさん出てくるんですよ。
タバコを持つと、パッと火をつける人がいるじゃないですか。(笑)
そういうゴマすり組織になると、一番ダメなんですね。
ガラス張りで評価をしているとどういうことが起こるかというと、そういうゴマすりなんかがなくなって、結果を出そうとするんですよね。
上長にいくらゴマをすっても、上長に人事権というのがないんですよ。
私自身が人事権を持っていなくて、みんなの立候補の中から自動的に良い人が選ばれる仕組みになっているから、僕にゴマをすっても仕方がないんですよね。
火浦 つまり、権力で回していないということですよね。
熊谷 そうです。
人事権というマネジメントツールを捨てることによるパワーというのがあるんですよね。
岡島 でも、そこにはかなりのコミットメントというか、会社としてのコミットメントがありますよね。
全てを詳らかにするという意味で言うと、経営者の皆さんもいつも見られていて緊張感漂う感じにはなるのではないかと思うのです。
(続)
続きは GMOグループ「スピリットベンチャー宣言」の浸透の仕組み をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
【編集部コメント】
続編(その3)では、企業の価値観や行動基準等を浸透させるには?というテーマでGMOやGEのグループでの取り組みを議論しました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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