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これまでに配信した、経営に関する議論を総特集いたします。今回は、ICCカンファレンス KYOTO 2016 から、「優れた成果を実現する経営者の仕事とは何か?」【K16-5A】を10回に再編集してお届けします。10回シリーズ(その8)は、会場からの質問を受け付け、GEが行った価値観の変革やチームの親密性といったテーマを議論しました。ぜひ御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016
Session 5A
「優れた成果を実現する経営者の仕事とは何か?」
(スピーカー)
熊谷 正寿
GMOインターネット株式会社
代表取締役会長兼社長 グループ代表
火浦 俊彦
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
会長 兼 パートナー
安渕 聖司
SMFLキャピタル株式会社
代表取締役社長兼CEO
(2016年9月5日より日本GEからSMFLキャピタルへ社名変更)
(モデレーター)
岡島 悦子
株式会社プロノバ
代表取締役社長
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【前の記事】
【本編】
岡島 もう1問ご質問を伺いましょうか。お願いします。
質問者2 DeNAの小林と申します。
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小林 賢治
株式会社ディー・エヌ・エー
執行役員 経営企画本部長
2005年、東京大学大学院人文社会系研究科修了。同年4月、独立系戦略コンサルティングファームである株式会社コーポレイトディレクションに入社。2009年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。執行役員ヒューマンリソース本部長、ソーシャルメディア事業本部ソーシャルゲーム統括部長を経て、2011年6月、取締役に就任。その後、Chief Game Strategy Officer等を経て、2015年6月より執行役員経営企画本部長としてコーポレート部門を牽引する。
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弊社も現在、グループ経営についていろいろと試行錯誤しているところなので、そういう意味では、課題に対して先進的にタックルされている皆さんのお話を、大変興味深く聞かせていただきました。
特に安渕さんにお聞きしたいのですが、GEはずっと「Growth Value」でやってこられたのを、先般「GE Beliefs」に切り替えられましたね。
それに合わせて評価体制、「9Blocks」も大きく変えられたという記事を拝見しました。
企業の価値観を変え、且つ評価体制も変えていくというのは、特にGEのような大きな企業では相当大きなインパクトがあると思うんですよね。
トップがどういう危機感を持ってそこまで踏み込もうと思われたのかという点と、どうやってそれを実際に現場に浸透させていかれたのかということを、お聞きしたいなと思っています。
変化に対応するスピード感
安渕 はい、手短に回答致します。
なぜそういうものを変えたかと言うと、危機感からですね。
昔の「Growth Value」を見て頂くと、外部思考であるとか、包容力であるとかいった比較的定性的な言葉が並んでいます。
しかし、世の中の変化のスピードがすごく速くなった。
GEと言えどもベンチャービジネスに負ける日が来るかもしれない。
或いは、自分たちの持っている技術がどこかで全く違う技術に代替されてしまうかもしれない。
だからよりスピード感を持ってやっていかなくてはならない、よりお客様の変化についていかなければならないということで、それを全く変えました。
2番目は「Stay lean to go fast (より速く、だからシンプルに)」というのですけれども、これはスピード感を非常に強調している訳ですよね。
失敗を奨励したり、そういうことで大きく変えていこうというのが、その大きな背景です。
それに合わせて、評価方法というのはアイディアは良くても、長年同じ方法をやっているとそれ自体が普通になってきてしまうんですよね。
例えば、70パーセントの人が常に9つのブロックの真ん中にいるとします。
その人たちは、毎年自分がどこにいるかというのを予想できてしまいますよね。
そこに何の学びがあって、それによって人がどうやって成長させられるのだろうかと。
人事評価がそもそも人を成長させたり育成するためのツールなんですよね。
ですから、それを変えて、もっとコンスタントなフィードバックをして、とにかく変わってほしい良くなってほしいということを、会社としてやろうという風に変わってきた、それが背景です。
岡島 そうやって伺っていると、GEさんは、「選択と集中」ではなくて「取捨選択」、つまり捨てるということがすごくお上手で、これはなかなかすごく難しいことではないかなと思っています。
慣性の法則みたいなものがどんどん効いてくるので、捨てるのはものすごく難しいですよね。
それは、採用の時に、変化に対する耐性がある人達を採っているのか、何がその秘訣なのですかね?
安渕 下からと上からと両方ある訳ですけれども、上からの方を言うと、ボードメンバー(取締役)ですよね。
GEにはボードメンバーが16人いますけれども、15人が社外(取締役)です。
一番長い人は17年くらい務めています。
今のCEOが15年目ですから、つまり、それを選んだ時のボードメンバーも残っているということです。
会社の長期的サクセスにコミットして、CEOを選んでサポートするというのが仕事ですから、要するにCEOが16人いるようなものなのです。
岡島 日本企業ではそれはなかなか難しくて、私も幾つか社外取締役や指名委員会なども務めているのですが、やはりそれが機能するような形となると、かなりのコミットメントが必要ですよね。
しかもGEさんの場合には、125年で9人くらいしかCEOがいらっしゃらないのだとすると、すごく長期政権ですよね。
皆さんで育てていくという、社外の人達のコミットメントも半端ではないということですかね?
安渕 だからボードメンバーは、長期的に会社の成長にコミットするとはっきり書いてあるんです。
そうではない人はボードメンバーになってはいけない。
ボードメンバーも指名委員会が選びますから、どういう人がこの会社の長期的成長にコミットしてくれる人なのだろうか、この人はどういうエクスパティーズを持っていて、どんなことをやってくれるのかということで、ミックスを選んでいくということなので、そこの強さというのはすごくあると思います。
岡島 もう一つだけ安渕さんに伺って、お三方にコメントを頂きたいと思います。
これも聞きにくい質問なんですけれども、三井住友フィナンシャルグループに入られたGEキャピタル、改めSMFLキャピタルさんは、今後このイノベーションや変化の仕組みみたいなものをキープしていけるのかという、嫌らしい質問なんですけれども。
安渕 いえいえ、三井住友フィナンシャルグループとして、なぜ日本の金融事業をプレミアムを出して買うかということですよね。
5,000億円くらいというのは、資産が増えたと言っても、全体から見ればそんなに大きな金額ではない訳です。
なぜ買うかというと、そこには資産とかだけではない何かがあるという風に、三井住友フィナンシャルグループが思っているからなんですね。
それは、GEキャピタルの持っているノウハウですとか、色々なスピリットです。
だから非常に面白い実例を一つ挙げると、我々を4月1日に買収して、5月に大きな会議があったんですが、その時に親会社が突然発表したのが、我々も今日から「さん付け」カルチャーにしますということだったんですね。
親会社自身にも変わろうという意思がすごくあって、自分たちとは異質なGEキャピタルを、そこにどうやったら上手く殺さずに取り込めるかということを考えているという、今そういう状況にあります。
岡島 ありがとうございます。
もう1問くらい質問まだいけるのではないかと思うのですが、もしご質問がありましたらお願いします。
経営チームの親密さの秘訣は何か?
質問者3 モブキャストの藪と申します。
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藪 考樹
株式会社モブキャスト
代表取締役社長CEO
1970年東京都生まれ。株式会社ベルパークに入社後常務取締役営業本部長として事業を急拡大させJASDAQへの上場を果たす。その後モバイルコンテンツビジネスの将来性を確信し株式会社モブキャストを設立。12年6月東証マザーズに上場を果たし、自身2社目の上場を実現した。上場後も世界70億人をワクワクさせるというビジョンを達成するため、代表取締役CEOとしてモブキャストの舵取りを行う。著書に『世界70億人をワクワクさせる「バカの知恵」』(プレジデント社)がある。
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熊谷さんに質問をさせて頂きたいと思います。
今年、御社の西山さん(副社長)と「なぜ企業は成長できないのか」というパネルをご一緒させて頂いて、GMOさんの仕組みの深さや広さについてすごく勉強させて頂き、これからも参考にさせて頂きたいと思いながら、今日もお話をお聞きしていました。
西山さんとお話をしていてすごく不思議だったのは、御社ほどの規模のグループの経営メンバーが、どうしてあんなに仲良しなのかというところです。
それは他社には絶対ない部分だと思い、興味を持っていましたので、それについてお聞かせいただければと思います。
熊谷 藪様、どうぞよろしくお願いします。
西麻布で毎晩飲むことです。
(会場 笑)
というのは半分冗談、半分本気でして、やはり、これもまた幹部同士が仲良くなる仕組みとしてあるからなんです。
まずは、皆がフェア(平等)に扱われているということがすごく重要なので、先ほどのガラス張りですよね。
目標設定から評価から、全部がお互いに見えているということです。
そこのところは、疑心暗鬼になったりする必要はないということですよね。
更に、方向性が皆一致して、「夢・ヴィジョン・フィロソフィー」を共有していますから、同じ方向の同志じゃないですか。
とは言いつつも、人間ですから色々な問題が起こるのですけれども、昼は昼で激論を交わし、夜は夜で定期的に全員で「飲みニケーション」を図るような仕組みを持っています。
例えば、「飲みニケーション」ですと、私が2か月に1回主催して、幹部全員を集めて誕生会をしています。
全員が肩書きを外して膝詰でご飯を食べながら飲んで語るという、そういう仕組みですね。
うちのグループ幹部全員が、「愛目線」なんですよね。
叱咤激励する時も、怒ってやるのではなくて、育ってもらいたいという気持ちでお互いに叱咤激励するという「愛目線」を絶えず持っています。
「愛目線」を持っている人以外は、先ほどもお話にありましたけれども、そういう人以外はもうご遠慮下さいという考え方なんですよね。
今幾つか申し上げたようなことが複合的に絡まって、皆の仲が良いのだと思います。
以上で藪さんのご質問の回答になりましたでしょうか?
ありがとうございます。
岡島 ありがとうございます。
(続)
続きは 「Say Do Ratio」-自分が言ったことをトップ自らがちゃんとやる をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/Froese 祥子
【編集部コメント】
続編(その9)では、「優れた成果を実現する経営トップの仕事」について、SMFLキャピタル安渕さんとベイン火浦さんからメッセージを頂きました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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