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ICC KYOTO 2025 スタートアップ・カタパルトに登壇いただき、見事優勝に輝いた、ASTRA FOOD PLAN 加納 千裕さんのプレゼンテーション動画【捨てるより儲かる「かくれフードロス」のアップサイクルで、食品の循環エコノミーをつくる「ASTRA FOOD PLAN」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
▶【速報】生産加工の“かくれフードロス”をアップサイクルで解決する「ASTRAFOOD PLAN」がスタートアップ・カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2025)
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Sponsored by EVeM
加納 千裕
ASTRA FOOD PLAN
代表取締役社長
公式HP | 公式X① | 公式②
1987年埼玉県生まれ。女子栄養大学を卒業後、ロック・フィールドで惣菜の製造・販売、榮太樓總本鋪で菓子の商品企画・新ブランドの立ち上げなど、一貫して食品企業のキャリアを積む。父が創業したベンチャー企業で、過熱水蒸気技術を活用した食品関連事業に参画。2020年8月ASTRA FOOD PLANを設立。独自の乾燥技術「過熱蒸煎機」を開発し、食品残渣や規格外農作物などをパウダー化した『ぐるりこ®』を販売。「かくれフードロス」解決に取り組む。
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加納 千裕さん 皆さん、おはようございます。
トップバッター、大変光栄でございます。
ASTRA FOOD PLANの加納です。

私事なのですが、最近仕事を頑張りすぎて離婚になりました(笑)。
今日は絶対に負けられません。
皆さん、よろしくお願いします。
年間2,000万トン超の「かくれフードロス」とは?
突然ですが、皆さん、「かくれフードロス」を知っていますか?

皆さんが知っているフードロスは、売れ残りの製品のロスを指しますが、かくれフードロスは、生産から加工の工程で出ているものです。

なんと、年間2,000万トン以上も発生しているのにあまり知られていないので、「かくれフードロス」と名付けました。
例えば、食品加工工場で発生する野菜の端材。

ここ京都の、お漬物である千枚漬けの工場でも大量に発生しています。

他にも、さまざまなかくれフードロスがありますが、そのほとんどは産業廃棄物として、大きなコストをかけて廃棄されているのが実際のところです。

特に、都市部では廃棄コストが高いのが特徴です。

もったいなかった「かくれフードロス」が新食材に
そんな、もったいないかくれフードロスを、独自の乾燥技術で食品パウダーにアップサイクルする取り組みをしているのが、私たちASTRA FOOD PLANです。

食品パウダーは1kg1,000円以上で販売できますので、高い環境性と経済性の両方を叶えることができます。
「過熱水蒸気」に懸けた父の思いを引き継ぐ
ASTRA FOOD PLANは、2020年に創業した、埼玉県のスタートアップです。

食品を、わずか10秒で乾燥、殺菌できる過熱蒸煎機を開発し、特許を取得しています。
コア技術は、100℃を超えた、超高温の過熱水蒸気で、主にオーブンなどの調理器に使用されている技術です。

私の父(加納 勉さん)が20年以上前に過熱水蒸気を使って事業に取り組みましたが、残念ながら全て失敗に終わってしまいました。
娘の私が思いを引き継ぎ、新たに開発して出来上がったのが、乾燥機の過熱蒸煎機です。

過熱蒸煎機の動画をご覧ください。

こちらは、玉ねぎを乾燥させているところです。
みじん切りされた玉ねぎが装置の中に自動で入っていき、400℃の過熱蒸煎機と熱風で舞い上げていきます。
完全に乾くとてっぺんまで持ち上げられ、隣の部屋に移って、装置の外に出てくる仕組みです。
装置に入れてから出てくるまで、たった10秒しかかかりません。
スピード・コスト・殺菌能力・価格で高い優位性
過熱蒸煎機の乾燥がどれだけ速いかは、皆さんが知っているフリーズドライと比べるとよく分かると思います。

廃棄コストよりも安いエネルギーコストを実現しています。
さらに、乾燥と同時に殺菌ができることで、菌数が多い残渣にも対応ができる装置と言えます。
過熱蒸煎機は生産能力別に5機種ありまして、最大モデルは1日数トンの原料を乾燥させることが可能です。
フリーズドライの大型機が数億円することと比較すると、食品加工装置としては決して高くない価格です。
真ん中の機種は、牛丼チェーンの吉野家の工場に既に導入されています。

「捨てるほうが安かった端材」が全量アップサイクルへ
吉野家の工場では玉ねぎの端材が大量に発生していまして、これまではその全量である、年間約250トンが廃棄されていました。
きれいで、まだまだ使えそうな端材なので、私も初めて見た時はびっくりしたのですが、なぜ捨てていたかと言うと、捨てるのが一番安かったからです。

この課題を解決したのが、過熱蒸煎機です。
全量アップサイクルを実現しました。

ビジネスモデルとしては、私たちが玉ねぎの端材を引き取っているのではなく、過熱蒸煎機をレンタルしていただいています。

吉野家がパウダーを製造し、出来上がったパウダーを当社が買い取り、さまざまな販路で販売させていただいています。
吉野家のレンタルコストは、パウダーの販売でペイする仕組みになっているので、捨てるよりも儲かる、地球にも優しいwin-winのビジネスモデルになっています。
▶吉野家ホールディングス東京工場、「過熱蒸煎機」の運用を開始 2024年3月1日(吉野家フォールディング巣)
「循環型」を意味するパウダー「ぐるりこ」
レンタルではなく、過熱蒸煎機を売り切るビジネスモデルもあります。
こちらは、直近2カ月で販売したお客様の事例です。

そんな過熱蒸煎機で製造するアップサイクルパウダーは、総称で「ぐるりこ」といいます。

循環型を表す「ぐるり」と粉の「こ」を組み合わせた造語です。
皆さん、覚えてください。
市販に比べ135倍の香り!「タマネギぐるりこ」
ではここで、お手元の「タマネギぐるりこ」の袋を開けて、香りをかいでみてください。

いかがでしょうか。
▶編集注:プレゼン中に、審査員席に「タマネギぐるりこ」が配布されました。
香ばしいオニオンの香りが、非常に強く感じられると思います。
市販のオニオンパウダーの、何と135倍も香りが強いのです。

栄養価が高いことも特徴です。

乾燥時間が短いので、熱によるダメージが最小限になるためです。
ご家庭での使い方をご紹介します。
もう玉ねぎの皮を剥いたり、涙を流して切ったり、飴色になるまで炒めたりする必要はありません。

カレーやスープ、ハンバーグなどに使えば、時短調理になります。
また、異常に納豆に合うので、ぜひお試しください。
さて、このようにASTRA FOOD PLANは、過熱蒸煎機の提供とぐるりこの販売の両方を行っており、それぞれ連動した事業になっています。

ぐるりこのto C事業では調味料ブランドを展開しており、フード & ドリンク アワード(※ICCサミットのプログラム)でも提供しておりますので、ぜひお越しください。

「ホップぐるりこ」など素材は無限
業務用製品も、さまざまなメーカーにご利用いただいています。

採用の決め手はエシカルであることではなく、香りの強さです。
玉ねぎ以外にもさまざまな取り組みをしておりまして、クラフトビールのVERTERE、ユーグレナとの共同プロジェクトでは、ホップの搾りかすをぐるりこにしてもう一度原料に使った、アップサイクルホップビールを商品化しました。

▶使用済みアロマホップが、香るビールにVERTERE×ユーグレナ×ASTRA FOOD PLAN、ホップ再利用ビール「サステナブルホップビール」をMakuakeで発表(PR TIMES)
ホップぐるりこは、クラフトサケの原料としても使用されています。

このように、ぐるりこにできるかくれフードロス素材は、無限にあるのです。

国内外でポテンシャルのある市場
日本のかくれフードロスのたった0.5%をぐるりこにするだけで、1,000億円の市場規模になります。
さらに、かくれフードロスは世界中にあります。
間違いなくポテンシャルのある市場と言えます。
ぐるりこの販路については、現在は、高付加価値で重量単価の高い食品から展開していますが、単価が安くても使用量の多い食品以外への展開も、既に視野に入れています。
低コストで大量に乾燥させられる過熱蒸煎機は今後、かくれフードロスの資源としての利用可能性を高めていきます。

飼料化については既に大手飼料メーカーと取り組みを始め、補助事業として着手しています。

ポテンシャルは大きいけれど、まだまだこれからのアップサイクルフード産業を創るために、私は何だってします。

ぐるりこの受託製造拠点を立ち上げます。

スペシャリティ食品事業として、代替コーヒーを開発しています。

美味しいものが、もうできています。
アップサイクルプロジェクトに伴走する、コンサルティング事業を展開し始めています。

仲間を増やすために、アップサイクルフード協会を立ち上げます。

食のサーキュラーエコノミーをともに実現しよう
私が思い描く、食のサーキュラーエコノミーの実現のためには、もっともっと多くの仲間が必要です。

新しい産業を一緒に創りませんか?

私は人生を懸けています。
応援、ご協力お願いします。

ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成


