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ICC KYOTO 2025のセッション「地方創生を実現する新しい街づくりとは?(シーズン3)」、全7回の④は、ふるさと五島列島で地域ブランディングに携わる、五島列島なかむらただし社中村 直史さんが登場。福山 雅治さん×長崎の取り組みや、地元での活動を紹介します。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット FUKUOKA 2026は、2026年3月2日〜 3月5日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターは EVeM です。
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【登壇者情報】
2025年9月1〜4日開催
ICC KYOTO 2025
Session 7E 地方創生を実現する新しい街づくりとは?(シーズン3)
Supported by EVeM
(スピーカー)
岡住 修兵
稲とアガベ
代表取締役
石田 遼
NEWLOCAL
代表取締役
中村 直史
五島列島なかむらただし社
代表 / クリエーティブディレクター
中川 淳
PARADE
代表取締役社長
(モデレーター)
岩田 真吾
三星グループ
代表
各務 亮
電通
クリエイティブ プロジェクト ディレクター
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▶『地方創生を実現する新しい街づくりとは?(シーズン3)』の配信済み記事一覧
岩田 各務さんはちゃんとしている方なので、予めスピーカーの皆さんにセンターピンとは何か、送ってくださいと、メールで連絡してくださいました。
回答をくださったのが、今までの3人です。
(会場笑)
各務さん、送られてきたセンターピンを見て、グッと来ているところがありますよね。
各務 そうですね。数日間、ずっとこのことを考えていますね。
岩田 満を持して、(中川)淳さんは、さらに新しいシナリオを?
ビジョン、ポジショニング、コンテンツが不可欠、PARADE中川さん
中川 淳さん(以下、中川) メールを見落としていて、何も用意していなかったのですが。
(会場笑)
1つ前のローカル・コネクテッドのセッションで、すごく頭がうわっとなったので、それを準備代わりに、やらせていただきます。
改めまして、中川です。

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中川 淳
PARADE
代表取締役社長
1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通株式会社入社。2002年に株式会社中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長、2018年に会長に就任。「日本の工芸を元気にする!」を掲げ、工芸業界初のSPA業態を確立し、経営コンサルティング・教育事業を展開。2025年2月に会長を退任。現在は、「中小企業経営」や「ビジョンとブランディング」を軸とした企業支援に取り組む。また、志あるブランドを世の中に届ける共同体「PARaDE」を発足し、企業やブランドのビジョン・思想を「ライフスタンス®」として提唱し、新しい経済の形を生み出している。2015年「ポーター賞」、2016年「日本イノベーター大賞 優秀賞」受賞。「カンブリア宮殿」「SWITCH」などテレビ出演多数。著書に『経営とデザインの幸せな関係』(日経BP社)、『ビジョンとともに働くということ』(祥伝社)などがある。
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中川政七商店を2月に辞めて、かろうじて無職ではなくPARADEという会社をやっています。

(スクリーンショット 00:31:40)
中川政七商店を辞めた話は、コテンラジオの特別編で全3回にわたってしています。
▶新しい朝がきた!老舗ベンチャー 中川政七商店の事業継承【番外編#115】(歴史を面白く学ぶコテンラジオ)
▶社長として 会長として 中川政七商店のリーダー論【番外編#116】(歴史を面白く学ぶコテンラジオ)
▶大切なものを大切に 中川政七商店が見据える次の一手【番外編#117】(歴史を面白く学ぶコテンラジオ)
岩田 私もちゃんと聞きました。
中川 ありがとうございます。面白いので、ぜひご視聴いただければと思います。
スピーカーのお三方はちゃんと地域と向き合ってこられている方だと思いますが、僕はあまり地域に向き合ってきていなくて、工芸と向き合ってきました。
工芸の産地で、疑似的に向き合ってきたという立ち位置で、だからこそ冷静さはあるなと思っています。
ローカル・コネクテッドのセッションの燕三条はものすごく関わりが深いのですが、センターピンというのは、要は何が勘所かということだと思うので、エリアブランディングはこの3つが掛け合わさって、初めて成せることなのではないかと思います。
それが、「ビジョン」と「ポジショニング」と「コンテンツ」です。
ビジョンは、言い換えるとゴールみたいなものです。
中村さんの、楽しんでやることがいい、成功を目標にしないというのも、ある意味ゴールの設定ですが、そういうことが成されずに進むことが、わりと多いなと思います。
地方創生には色々事例がありますが、何をゴールとして設定しているのかが分からないままの事例がたくさんあるなと思っています。
そこをはっきりさせておいたほうが、いいのではないかなと思います。
最近のミッション、ビジョン、パーパスブームもそうですが、言葉だけがあって、ふわっとしていて、何も起こりません。
仕事は日々数字とつながって動いているから、僕はビジョンをちゃんと定量化すべきだということを言い続けています。
それも、この辺の勘所かなと思います。
コンテンツは、岡住さんから、プロダクトがいいというお話(Part.2参照)がありましたが、プロダクトもサービスも両方とも良さがあると思います。
プロダクトは拡散力があるけれど、サービスはそこに行かないと味わえないから、中川政七商店ではプロダクトを全国で販売していますが、奈良本店にやはり行きたくなるのです。
同じものしか売っていませんが、奈良まで来てもらえるので、このコンテンツの束が地域の強さでもあると思うので、そこも大切です。
3つの要素がかみ合った燕三条
中川 一番大切で忘れられがちなのが、ポジショニングで、これが抜けています。
言い換えると、これは戦略でもありコンセプトということでもあると思いますが、燕三条がなぜああいう風になったのか、当事者たちがコメントをしました。

僕が客観的に外から見ている立場として答えを解説すると、三条市に国定(勇人)さんという市長がいました(※就任期間は2006〜2020年)。
彼は非常にビジョナリーで、三条は刃物の産地なので、イギリスのシェフィールド、ドイツのゾーリンゲン、日本の関という世界の3Sと呼ばれる刃物産地を市長になってから周ってみたけれど、一番若い職人は70歳ぐらいだったということです。
ゾーリンゲンは高齢化が進み、70歳ぐらいの職人しかいなくて、3Sと言われているけれど、いずれなくなるみたいな。
燕三条には大量生産技術がもちろんありましたが、基礎技術として鍛冶がありました。
3Sに三条は入っていないけれど、たまたま頭文字がSなので、もしかしたらもぐりこめるのではないかという大きなポジショニング戦略があった上で、じゃあ基礎技術の包丁をなんとかしようということで2011年に僕らが呼ばれて、庖丁工房 タダフサをリブランディングして上手くいきました。
▶包丁の消費文化を塗り替えろ!中川政七商店との経営戦略会議が生んだ「幸せなものづくり」 タダフサ(三条ものづくり学校)
国定さんのビジョンとポジショニング戦略、コンテンツ作りと時を同じくしてスノーピークが出て、SUWADAもあり、タダフサが新興として上がってきて、この流れをより太くするために、次に山田遊が入ってきて、工場の祭典として束でいきました。
▶燕三条 工場の祭典2025(工場の祭典)
これがかみ合ったから、今の燕三条があると思っています。
僕が呼ばれて行った時は、燕三条で包丁の仕事があまりなくてみんな暇でしたが、今はもうめちゃくちゃ忙しいです。
これは、国定さんのそれがあったからなのではないかと思って、この3つ(ビジョン、ポジショニング、コンテンツ)かなと思いました。

小樽とニセコは土俵もポジショニングも違う
岩田 当事者だけでは分からないところを、時間軸を持って見ているのがさすがで最高でした。
ちなみに、「地方創生」という言葉を、スッっと「エリアブランディング」という風に言い換えられていますが、このエリアブランディングは、どういう意味ですか?
地方創生とは、エリアブランディングですか?
中川 えっ、違うのですかね。
岩田 いや、分からないです。
どういう意味合いで、おっしゃったのかと思って。
中川 地方というのは、何らかの土地、エリアじゃないですか。
創生というのは、元気になる、要は、人がたくさん来たり、なんだかんだ賑わうことを、いかにつくるかという効率的な手法としてのブランディングだと思います。
ポジショニングやコンセプトが大切なのも、行政などがお金をかけて代理店とかに発注してたくさんやるけれど、結局そんなに人が来ませんよね(笑)。

岩田 (笑)
各務 痛いなあ(笑)、淳さん…。

(会場笑)
岩田 各務さんは、京都の仕事は個人で受けていらっしゃるのでしたっけ?
各務 はい、ライフワーク的に。
中川 各務さんが、どうこうというのではなくてですね。
岩田 そうそう、一般論として。
中川 伝わりやすくするための手法としてのコンセプトがあるわけじゃないですか。
そういうものがなく、うちには美味しい食べ物がありますよ、いい自然がありますよと言うのだけれど、それはどこにでもあるから、差でも何でもなくて、ポジショニングを一切考えていないのですよね。
僕がよく出す事例ですが、北海道の札幌に到着して、そこから1〜2時間ぐらいの距離で行ける観光地というと、小樽、ニセコがあります。
でも小樽とニセコの戦い方は全く違いますよね。
小樽は札幌に着いてから1〜2時間圏の富良野などとの争いで、どこに来てくれるかの引っ張り合いですが、ニセコは全く違いますよね。
北半球の高級スキーリゾート地として、アスペン(アメリカ)やサンモリッツ(スイス)、そういう色々なところがある中で、ニセコがどう選ばれるかですよね。
そもそも土俵が違うし、ポジショニングが違うのです。
それがなく、うちにはこんないいものがあります、ここに来てくださいとみんな言いますが、勝てるわけがないのです。
「地方創生」は国の政策
岩田 ブランディングという言葉にしたからこそ、ポジショニングという言葉がすごくちゃんとつながったなという感じがします。
(中村)直史君が言っていることは、ビジョンが違うということなのかもしれませんが、どうでしょう?
直史君も電通のコピーライターでしたが、エリアブランディングが地方創生であって、プロセスであるみたいな。
直史君が言っているのは、プロセスだと思うのですね。
要するに、こういう風になったら成功、こういう風になったら失敗みたいな目標設定をしない日常がいいという、プロセスを重視しているように感じましたが、この言葉に対してどう感じたのか聞きたいです。
中村 このセッションの前に、「地方創生」の定義を調べました。
今ももう一度調べましたが、「地方創生とは、日本の急速な少子高齢化による人口減少と東京圏への人口集中を是正し、地域ごとの特色を活かして活力ある持続可能な社会を日本全体で目指す国家的な政策です」と。
だから、国の政策なのですよね。
その先にもう少しあって、「地域の仕事、人、結婚、出産、子育て、魅力ある地域の4つの柱を中心に、経済の活性化、地域コミュニティの強化、生活環境の改善など、包括的なアプローチで取り組まれます」ということは、アプローチの話ですよね。
そういう話で言うと、エリアブランディングは、地方創生の中の重要な一つの要素ということなのかもしれないですよね。
岩田 なるほど、そんな感じの認識であっていますか?
中川 はい。
岩田 分かりました。
ビジョンを定量化すると共通認識をつくりやすい
各務 (中川)淳さんに、先ほどのことでお伺いしてもいいですか?
ビジョンの定量化ということについて、もう少し聞かせていただきたいのですが、先ほどのセッション(ローカル・コネクテッド)でも、印象的だったのが、「ロマンとそろばん」の話でした。

直史さんがおっしゃっていること、石田さんがおっしゃっていることが一見相反するように聞こえますが、実際はそのバランスをどこでつくるのかということなのだと思います。
ロマンとそろばんのバランスを考えるときに、どう定量化すればいいのか、ヒントがあればお聞かせいただきたいのですが。
中川 ビジョンをつくるときに、抽象度が高い大きめの言葉になりがちだと思いますが、背負えるギリギリの範囲にしておいたほうがいいと思います。
それがビジョンをワークさせるためのコツだと思いますし、それを数字に置き換えるのは非常に難しいのですが、分かりやすくするためにも、みんなの共通認識をつくるためにも、数字に置き換えたらいいと思っています。
先ほどのセッションで、南相馬市のOWB(旧小高ワーカーズベース)の和田(智行)さんがおっしゃっていたかと思いますが、1,000人を雇う1社ではなく、10人を雇う100社、これは文言としてどのようなビジョンを掲げられているかは、セッションでは分かりませんでしたが(※) 、それを数字に置き換えた形ですよね。
▶編集注:OWBのビジョンは「1,000人を雇用する1社に依存する地域から、10人を雇用する100社が躍動する地域へ」。OWB株式会社Webサイトより)
これは分かりやすいし、共通認識がつくりやすいです。
岩田 必ずしも金額やお金だけではないということですか?
中川 もちろんです。
先ほどのセッションの燕三条の町工場濃度ランキングとかは、僕はめちゃめちゃいいなと思っています。
ダントツ1位みたいな。

あれをキープし続けるとか、さらに伸ばすというのは、面白いなと思うのですよね。
GDPがどうとかというだけの話ではなくて、普通の企業経営においても、ふわっとして結局機能しないというのはよく起こることなので、みんなの解像度を上げるためにも、定量化は一つのポイントなのではないかと思います。
(続)
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美


