【NEW】ICC サミット KYOTO 2026 開催情報詳しくはこちら

飛行船による成層圏プラットフォーム(HAPS)の開発で、安価かつ高品質の地球観測データ取得を可能にする「SkySense」(ICC FUKUOKA 2026)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

ICC FUKUOKA 2026 リアルテック・カタパルトに登壇した、SkySense アドディン パヴェルさんのプレゼンテーション動画【飛行船による成層圏プラットフォーム(HAPS)の開発で、安価かつ高品質の地球観測データ取得を可能にする「SkySense」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは 慶應イノベーション・イニシアティブ です。

【速報】放射性廃棄物を抑える核融合で、持続的な電力供給に貢献する「LINEAイノベーション」がリアルテック・カタパルト優勝!(ICC FUKUOKA 2026)


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 7A
REALTECH CATAPULT リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Sponsored by 慶應イノベーション・イニシアティブ

アドディン パヴェル
SkySense
代表取締役CEO
公式HP | 公式X

カザフスタン出身。2008年に文部科学省奨学金を受給し、留学生として来日しました。東京工業大学(現・東京科学大学)でロボット工学を専攻し、修士課程を修了。優秀修了者として日本機械学会「三浦賞」を受賞しています。
その後、安川電機およびソニーリサーチにて10年以上にわたりロボットハードウェアの研究開発に従事し、発明者として国際特許3件を申請しています。飛行船技術への関心と、地球観測分野における高品質データ需要の高まりを背景に、2024年1月にSkySenseを創業しました。


アドディン パヴェルさん SkySenseのパヴェルです。

よろしくお願いします。

“地球観測用飛行船”のスタートアップ「SkySense」

皆さん、ジブリ(Ghibli)はお好きですか?

嫌いな人はあまりいないかと思います。

ジブリの作品には、よくこういうものが出てきます。

「飛行船」です。

私は飛行船が好きで、自分で乗ってみたくて、飛行船をつくるベンチャーを立ち上げました。

ただ、つくるだけでは普及しないので、みんなから必要とされるものを開発したいと思って、こんな事業に至りました。

SkySenseは、飛行船を開発し、それを成層圏まで打ち上げて地球観測を行うスタートアップです。

私はカザフスタン出身で、留学生として日本に来てから10年以上、ロボットの開発をしていました。

その後、日本国籍を取得して、SkySenseを設立しています。

衛星・航空撮影の課題を解決する「HAPS」

弊社が対象としている地球観測の分野では、従来から「衛星」と「航空撮影」によるデータが、さまざまな用途で使われています。

例えば、森林調査、固定資産評価、地図の作成や更新、災害対応などのアプリケーションが多数存在します。

そして、この2種類のデータには、それぞれ長所と短所があります。

「衛星」は、比較的安く高範囲の撮影が可能ですが、撮影頻度や解像度が足りないケースが多いです。

一方、「航空撮影」は、解像度が非常に高いものの、撮影範囲が狭くコストも特大です。

このように、すべてを満たすデータが存在せず、さまざまな用途で課題が発生しています。

そこで、我々はいわゆる「成層圏プラットフォーム(HAPS)」というものを開発して、約20kmの高度に配置することで、このすべての要件を満たせるデータを提供していきます。

まずHAPSは高度が低いため、高解像度の撮影が可能です。

そして、地上に対して静止状態になりつつ自由に動けるので、いわゆる定点観測を任意の場所でできるようになります。

また、製造・運用コストが低く、打ち上げ時の爆発リスクがなく、一度打ち上げてからまた地上に戻して、メンテナンスやアップグレードが可能です。

完全無人、6カ月以上滞空する飛行船を開発中

このようなHAPSを実現するために、我々は打ち上げてから6カ月以上滞空する飛行船をつくります。

成層圏で稼働することになるため完全に無人であり、太陽光発電と電気推進のみで運用可能になります。

最終的には静止画だけでなく、6Gなどを用いて、リアルタイムの観測まで実現します。

そして、このような飛行船を1基ではなく全国に展開することによって、いつでもどこでも地球観測ができるサービスを展開していきます。

そうすることによって、高解像度の撮影を広範囲でリアルタイムに行うことができ、そのデータを従来の航空データの1/5以下の単価で提供できます。

この事業が成功する理由はたくさんありますが、主にこの2つになります。

まず、従来の地球観測データに課題が発生していて、HAPSによるデータの需要が高まっている状況です。

また、HAPSをつくるために必要なさまざまな要素技術の成熟度が上がってきているので、技術的にも実現可能になっています。

JAXAが飛行船プロジェクトを技術移転

弊社のこれまでの実績ですが、まずJAXAが2000年代に取り組んでいた飛行船プロジェクトの技術移転を受けて、開発を進めています。

昨年(2025年)度は、「JAXA航空イノベーションチャレンジ」に採択され、東工大発ベンチャーとしても認定を受けました。

また、KDDIの「MUGENLABO UNIVERSE」というプログラムの中で共同PoC(概念実証)を実施した際に、その費用をすべて提供していただきました。

今年度は、「ICTスタートアップリーグ」に採択され、その中で推進機の開発が完了しています。

係留気球を用いた高度500mからの実証実験に成功

2025年のPoCでは、飛行船の挙動を模擬するために、いわゆる係留気球を用いて500mの高度から地球観測の実証実験を行いました。

その際に、上空であっても安定した高解像度撮影や夜間観測に成功しています。

このように、航空撮影並みである10cm以下の地表解像度を達成すると、船舶、自動車、人間まで検知可能です。

そして、特殊な画像改善処理を用いることで、一般的な光学撮影ではこれまでできなかった夜間観測まで可能にしました。

2026年に1次試作機の試験飛行を予定

飛行船の開発状況ですが、すでに推進機と推進システムの開発が完了しており、今年中に一次試作機の試験飛行を実施する予定です。

現在、我々はシードラウンドで資金調達中であり、これから試作と実証を段階的に進めていきます。

2029年までに商用機を完成させ、いわゆる機体認証を行うことによって、全国において運用できるようになります。

商用機の機数を増やして、全国と海外に展開していきます。

現在開発中の小型実証機が完成すると、定点観測に関する実証実験が可能になります。

ただ、この実証機ではまだ成層圏に到達しないため、成層圏から高解像度のデータを取得するプロジェクトを別途進めています。

そちらは、大手のデータソリューション企業と共同で実施します。

データ提供と機体提供によるビジネスモデル

弊社の主なビジネスは、HAPSを自社で運用して、それによって得られたデータを提供していくことです。

通信や防衛用途などにおいては、HAPS機体そのものの貸出も行っていく予定です。

HAPS全体の市場はかなり大きくなっています。

その中でまずデータを提供することによって、地球観測の顕在市場と潜在市場ともに広く獲得できる見込みがあります。

HAPS機体を提供することによって、通信や防衛関連市場にも参入できます。

成層圏から、日本のデータ取得のあり方を変える

弊社の売上は、基本的にHAPSの機数に比例して増加していきますが、機数が少なくても全国の案件を受注できます。

コストがかかると思われがちですが、実は運用する商用機が3基に達した際に、黒字化を達成する見込みです。

SkySenseには航空技術の専門家、宇宙ビジネスのエキスパート、そして機体認証の経験者が集まっているため、この事業を成功させるためのすべての要素が揃っています。

我々は確実に純国産のHAPSをつくり上げ、飛行船が再び人の役に立つ時代を実現します。

ぜひ日本が成層圏を制覇する未来を一緒につくりましょう。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

カタパルトの結果速報、ICCサミットの最新情報は公式Xをぜひご覧ください!
新着記事を公式LINEで配信しています。友だち申請はこちらから!
過去のカタパルトライブ中継のアーカイブも見られます! ICCのYouTubeチャンネルはこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/正能 由佳/小林弘美/戸田 秀成

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!