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7.賢治の思想で世界へ挑む!ヘラルボニーが描く「岩手」のイーハトーブ

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「岩手チーム」としてヘラルボニーが登場!宮沢 賢治の「イーハトーブ」の思想を深く継承し、盛岡市との強力な連携のもと、障害のある作家のアートを通じて世界へ発信する挑戦を語ります。地域を単なる場所ではなく「根幹」であり「哲学」であると位置づけるその圧倒的なビジョンと、新しい価値を切り開く姿勢を、ぜひご覧ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは中小企業基盤整備機構です。


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 6E 「ローカル・コネクテッド」(シーズン4) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!
Supported by 中小企業基盤整備機構

プレゼンター/メイン・スピーカー/モデレーター 一覧

(プレゼンター)

① 青森エリア(青森県)

中村 公一
クロックアップ
代表取締役

▶メイン・スピーカー

古井 茉香
Senbay
代表取締役

堀江 洋生
アワイ合同会社
代表社員

② 上諏訪エリア(長野県)

東野 唯史
ReBuilding Center JAPAN
代表取締役

▶メイン・スピーカー

宮坂 勝彦
宮坂醸造
社長室室長

③ 鯖江エリア(福井県)

内田 徹
漆琳堂
代表取締役

▶メイン・スピーカー

江澤 藍莉
SOE
RENEW事務局長

山田 美玖
SOE
工芸宿SUKU運営

④ 盛岡エリア(岩手県)

松田 文登
ヘラルボニー
代表取締役Co-CEO

▶メイン・スピーカー

板垣 崇志
一般財団法人ヘラルボニー財団
理事

(モデレーター)

荒木 珠里亜

白井 智子
CHEERS
代表取締役

『「ローカル・コネクテッド」(シーズン4) – ICC地域コミュニティを盛り上げよう!』の配信済み記事一覧


宮沢賢治のイーハトーブの実現を目指す「岩手チーム」

松田 文登さん(以下、松田) カタパルト・グランプリ(同時刻に行われていたICCサミットの代表的プログラム)が裏番組と言われるくらいの熱量で、岩手・盛岡から、どんな取り組みをしているのか、ヘラルボニーを中心にお話しさせていただけたらと思います。


松田 文登
ヘラルボニー
代表取締役Co-CEO

ゼネコンにて、被災地の再建に従事、その後、双子の松田崇弥と共にへラルボニーを設立。4歳上の兄・翔太が小学校時代に記していた謎の言葉「ヘラルボニー」を社名に、福祉を起点に新たな文化の創造に挑む。ヘラルボニーの国内事業、主に岩手での事業を統括。岩手在住。双子の兄。Forbes JAPAN「CULTURE-PRENEURS 30」選出、第75回芸術選奨(芸術振興部門)文部科学大臣新人賞 受賞。著書「異彩を、放て。―「ヘラルボニー」が福祉×アートで世界を変える―」。

この方をご存知の方は、どのくらいいらっしゃいますか?(挙手を促す)

花巻市ホームページより

さすがですね、宮沢 賢治さんです。

▶︎宮沢 賢治(花巻市)

ちょっと大袈裟ですが、今、岩手と言えば、宮沢賢治、大谷翔平、ヘラルボニーとなっており、挑戦を頑張っております。

宮沢賢治が目指した理想郷、イーハトーブ。

イーハトーブとは宮沢 賢治による造語で、賢治の心象世界にある理想郷で、岩手県をモチーフとしたドリームランドです。

宮沢 賢治が目指したイーハトーブ岩手を、ヘラルボニーが本気で実現していく、そんな未来を作りたいと思っています。

ヘラルボニーとは、私の4歳上の重度知的障害のある兄(翔太さん)が書いた謎の言葉をそのまま会社名にしたものです。

▶︎「障害=欠落」を変えるブランドへの挑戦! 支援的な福祉から、持続可能なビジネスを作るアートIPカンパニー「ヘラルボニー」(ICC KYOTO 2024)

「イーハトーブ」や「クラムボン」などの謎の言葉と同じです。

兄も、未だにこの謎の言葉が大好きです。

障害のある作家に存在する「謎の宇宙」

松田 障害のある方のアートには謎が多く、謎の宇宙が存在している豊かさがあると思います。

今日来ていただいた板垣 崇志さんは、ヘラルボニーの原点であるるんびにい美術館のアートディレクターで、現代版の宮沢 賢治だと私は本気で思っております。

るんびにい美術館ホームページより

円をずっと描き続ける作家、点を打ち続ける作家、ストロークで描き続ける作家などがいて、その多様な宇宙の豊かさを本気で社会に表現するのが岩手の役割だと思っています。

地方から世界に発信して、どんどん盛岡に来てもらう流れを作っています。

八重樫 季良さんという作家をご紹介します。

▶︎ヘラルボニー 駅舎をジャックしたアーティスト八重樫季良に迫るドキュメンタリームービー「描き、続ける。」公開(ADF Webmagazine)

彼は、幾何学模様の非常に美しい作品を描き続けていますが、ずっと落書きだと思われていました。

ヘラルボニーが最初に契約した作家ですが、地元の駅舎をステンドグラスのようにアートで彩るプロジェクトを行ってから、作家として本当に変わっていきました。

本当に美しい作品が街を彩っていきましたが、この八重樫 季良さんは3年前、64歳でこの世を去ったのです。

季良さんの両親は、ダウン症のある息子がいることを知られたくないと、彼を隠すことを決めたので、小学校にも通っていませんでした。

でも妹さんは違ったので、彼女は学校から画用紙とペンを持ってきて、季良さんは色を塗って何千枚とアートを描き続けました。

お父さんが大工だったようです。

当時はアートとして見られていないので、作品は一切残っていません。

親御さんの価値観や概念が変わったので、彼のお葬式は、非常に美しい展覧会のようで、棺の中でヘラルボニーのネクタイを締めて葬ってくれました。

彼は、知的障害やダウン症を越えて、八重樫 季良という一人の作家に変わっていったと思います。

季良さんの周りに人が集まってくる、そんな岩手が作られていて、多様な人たちの生き方を変えていけるのが岩手なのだろうと思っています。

2023年に盛岡市と包括連携協定を締結

松田 盛岡市とヘラルボニーはまちづくりの包括連携協定を結んでいて、街にヘラルボニーの作品が当たり前にあるという状態が作られていっています。

ヘラルボニーと盛岡市、多様性を尊重する「共生社会の実現」を目的に包括連携協定を締結(PR TIMES) 

1,000万缶を販売したサバ缶もお手伝いしたり、岩手県のブランド米を今作っていたり、南部鉄器唯一の人間国宝を抱える創業400年の鈴木盛久工房とともに美しい鉄器を作ったり、南部せんべいと一緒に新たなお菓子ブランドを作ったりしています。

ヘラルボニーホームページより
岩手の新ブランド米「白銀のひかり」ロゴマークにヘラルボニー契約作家・小林覚氏の描き下ろし作品を起用!(PR TIMES)より
ヘラルボニーホームページより
ヘラルボニーホームページより

また、コーヒーの仕事を通じて世界を変えている20人に日本人で唯一20人選ばれている人(長澤一浩さん)が盛岡にいるのですが、さまざまな豆を掛け合わせて誰もが飲みやすいコーヒーのドリップバッグをNagasawa COFFEEと一緒に作っています。

盛岡の人気店「Nagasawa COFFEE」監修のヘラルボニーオリジナルブレンドコーヒーとアートコースターの発売決定!(PR TIMES)より

川徳という盛岡唯一の百貨店に旗艦店であるISAI PARKを出店しており、ガラス面が全てヘラルボニーの作品になっています。

カフェ、ギャラリー、物販、ショップが当たり前のように併設されている場所を、あえてここに作りたいというのが原点にあった思いでした。

テープカットには、知事や市長はもちろん、作家や私たちの兄も来てくれました。

初日には多くの方が来てくれて、作家の周りに人が集まってリスペクトが生まれる動線がありました。

地域は「根幹」であり「哲学」

松田 地域は、私の根幹であり、哲学です。多くの人たちに盛岡に来てもらう仕組みを作っています。

ラッピングされた電車やバスが走っていて、宿泊料の一部を障害のある作家へ還元する取り組みをしているホテルがあり、盛岡駅に着くと「いろどりゆたかな盛岡へようこそ。」という看板があります。

こういう盛岡にすることで、多様な人たちが生きられる状態を作っています。

今年のふるさと納税はぜひ、盛岡市に、ヘラルボニーにお願いできたらと思います。

▶︎アートを身にまとう 〜ヘラルボニーのふるさと納税〜(ふるさとチョイス)

また、わらび座という劇団と一緒に、宮沢 賢治の世界を体験できる舞台を全国で公演しています。

イーハトーブシアターホームページより

宮沢 賢治とヘラルボニーを組み合わせた、クラムボン(『やまなし』 )、『どんぐりと山猫』や『鹿踊りのはじまり 』など、本当の豊かさは何かについての舞台(イーハトーブシアター【真昼の星めぐり】the Musical )です。

この舞台を作った思想の根底には、私の叔父が宮沢賢治記念館の館長であったということがあります。

賢治の言葉に着想を得てアートを描く作家だけでなく、すべての障害のある人の尊厳を肯定する社会を目指しヘラルボニー財団を作りました。

ヘラルボニー、「兄が幸せな社会」を目指してーヘラルボニー財団を設立(PR TIMES) 

「愛か、自由か、勝利か、成長か、やすらぎか。完璧か、豊かさか、圧倒か、絆か、ぬくもりか。」、100年先の理想を描くヘラルボニー財団ということで、私たちは流行りとして終わらせる気は全くなく、文化として残り続ける形を本気で作っています。

重度の障害のある方、また、もしかしたらアートを描くことすらも難しい方も、ここでなら当たり前に生きられるよう、ソフト面を変えられるのが私たち岩手だと思っています。

ヘラルボニーの世界への挑戦

松田 世界に向けての挑戦もしています。

るんびにい美術館の作家である小林 覚さんが板垣さんと一緒にフランスのカンヌに行って、ゴールドを受賞することができ、世界の人が注目してくれています。

ヘラルボニー、世界最高峰のクリエイティブの祭典・カンヌライオンズにて「Glass: The Lion for Change」ゴールドを受賞(PR TIMES) 

イーハトーブを目指せることが、ヘラルボニーが在る意味であり、意義であり、価値であり、哲学なのではないかと思います。

いろんな人たちが多様性とフラットであることを感じられる世界を作れるのではないかと、本気で思っています。

賢治の思想を受け継ぎ、イーハトーブを岩手から広げる

松田 これは、障害のある方の一票が軽視され、投票権が使われていない現状を受けた、岩手日報との取り組み「#CAREVOTE」です。

ヘラルボニー、知的障害のある人の投票における課題を可視化し、選挙に参加しやすい環境をつくるアクション「#CAREVOTE」を提唱(PR TIMES) 

ヘラルボニーホームページより

障害のある方が当たり前に生きられて幸せを感じられる状態を作ることが目的で、投票率が上がっています。

「やさしい投票ガイド」というものも作っており、岩手から全国各地に広げていきたいと考えています。

声を出せなくても書けなくても、指差しすることで投票するというもので、ハードではなくソフトを変えれば投票ができるということです。

岩手でダウン症のある息子さんが「やさしい投票ガイド」を使って人生初の投票に臨み、投票所の入口でガイドを示しながら、自分の意思を係の方に伝える姿に感激したと、親御さんから連絡をいただきました。

こういった取り組みを、岩手を拠点にして挑戦していきたいと思っています。

宮沢 賢治がすごく大切にしているのが「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という思想で、私たちもこれをずっと大切にしていますし、「障害者」という人物はこの世に一人も存在しない、才能は披露してはじめて才能になると強く考えています。

この写真の真ん中にいる、私の4つ上の兄が重度の知的障害を伴う自閉症なのですが、兄の豊かさと幸せを本気で作っていくイーハトーブを、岩手から広げていきたいと思っています。

ぜひ、皆さん、イーハトーブ岩手でお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

今日はありがとうございました。

白井 松田さん、ありがとうございました。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成/小林 弘美

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