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M&A後や組織の急拡大期において、「自分が採用していないメンバー」をどう率い、異なるカルチャーの中で過去の成功体験をどう「アンラーン」させるのか。立ち上げ期の「同質性」から成長期の「多様性」へシフトさせる際の葛藤や、買収先の経営陣との向き合い方を議論。小澤さんや麻野さんらが中心となり、メンバーを変える前に、まずはトップ自らが変化を楽しみ、アンラーンしている姿を見せることの重要性が語られます。
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。
本セッションのオフィシャルサポーターはEVeM、ココナラです。
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【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 5C
最高の成果を生み出すリーダーシップとチームマネジメントとは何か?(シーズン2)(90分拡大版)
Supported by EVeM
Co-Supported by ココナラ
(スピーカー)
麻野 耕司
ナレッジワーク
CEO / CPO
石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事
岩崎 由夏
YOUTRUST
代表取締役CEO
小澤 隆生
Boost Capital
代表取締役
宮川 愛
メルカリ
執行役員CHRO(登壇当時)
(モデレーター)
仲山 進也
仲山考材
代表取締役
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▶『最高の成果を生み出すリーダーシップとチームマネジメントとは何か?(シーズン2)(90分拡大版)』の配信済み記事一覧

仲山 小澤さんはいかがですか?
小澤 名前と顔が一致しなくなるのが、300人くらいですね。
例えばPayPay事業をしていた際は1カ月で3,000人採用したので、いきなり3,000人の壁でした。
(一同笑)
参考にならないですよ。
仲山 50人とか100人の壁と言っている場合じゃないですね(笑)。
買収で問われる「自分が採用していない組織」を率いる覚悟
小澤 例えばZOZOを買収すると、倉庫で働く人まで入れると2,500人規模です。
アスクルもそれくらいです。
ある日、自分の配下の人数が2,000〜3,000人一気に増えるわけです。
1人ずつ採用していくのとは全然違う世界です。
皆さんも、買収をする際はそれを覚悟しないといけないですね。
人数の壁というよりは、自分が採用していない人や組織を管理するという、リーダーシップのチャレンジなのです。
PayPayの例は自分で採用していますが、正直、1カ月で3,000人を採用するのは異常なことですから状況としては近しいです。
ある会社が目の前にいきなりできて、それを1つに束ねて、最速で成功した事例ですね。
やろうと思えばできます。
ZOZOみたいに、ものすごくカルチャーの強いユニークな会社として運営されていたものを、ある日突然創業者がいなくなった状態で運営しなければならなくなると、これは人数の問題というよりも組織マネジメントとしてのチャレンジです。
これは、皆さんは絶対にしなければいけません。
やり方は相手の会社によりますし、自分のスタイルにもよりますが、僕の場合は全く文化を弄りません。
ヤフーでは弄ったかな。
ヤフーはものすごくあたたかい、ゆるい会社で、数字に対する意識が低めだったので、自分の部署だけはものすごく弄りましたが、ZOZOでは弄っていません。
組織によるかもしれませんね。
多分、今後岩崎さんがしなければいけないのは、自分が採用していない人を管理することです。
人事など他の人が良かれと思って採った人が入社してきます。
もしくは、成長のために会社を買わなければいけないかもしれません。
どうするんですか?(笑)

岩崎 もう、ただやるしかないですか(笑)? 少しでもヒントを頂けないですか?
そういう時の常套手段はあるのでしょうか。
ある意味、ある日突然小澤政権になったわけですよね。
弄ろうと思えば弄れる立場なのに、なぜ弄らなかったのか、その理由を伺いたいです。
買収先の経営陣は変えない
小澤 例えば、転職していきなり社長になったケースも同様だと思います。
ここにいる方は起業家が多いと思いますが、皆さんの会社が買収されて、ある部署の管理をしろと言われるケースもありますし、自分で会社を買うケースもあるでしょう。
その時、どうしますか?ということです。
楽天は、楽天イズムを叩き込みますよね。
経営陣のメンバーを一気に変えることもあります。
僕は、そういうケースも見た上で、変えないと決めています。
会社を買った直後や自分が入った直後は、「誰この人?」という状態になるわけです。
ZOZOの時は本当にきつかったです。
「ZOZOを買収した担当取締役、ヤフーの小澤さん、どうぞ」と紹介された時、『ライオンキング』の格好で1,200人の社員の前に出させられたのです。
それで、『ライオンキング』の曲を1曲歌わされるところからスタートしているので、ある意味、新しい攻撃だったと思います(笑)。
▶︎編集注:小澤さんの『ライオンキング』のエピソードはログミーの記事に詳しい。
岩崎 (笑)

小澤 「誰この人?」というスタートで、5年、10年もカルチャーが根付いているところで、それを変えられるわけがないと思っています。
そうであれば社長と、もっと言えば社長とCxOとしか、もう向き合わないですね。
CxOよりも下の階層は、これまで通りのガバナンスをしてもらい、戦略と数字についてだけ合意します。
一休を買収した際も、榊(淳)さんとだけ向き合って、弄りませんでしたが、それで結果が出ているので良いのでははないかと思っています。
仲山 どのエピソードも数字が大きすぎますね。
岩崎 でもやりたいですね、早く。
自分のチームではない人たちをマネジメントするというのは、まだイメージがわいていないので。
寿命のない組織「都市」が成長する理由

石川 昔からよく言われていることですが、個別で見るといろんな企業があるものの、全体として見ると、企業には寿命があるのです。
例えばアメリカの上場企業だと、半減期10年、つまり10年で半分がなくなると言われています。
企業には寿命があるのに、なぜか寿命がないというか、めちゃくちゃ長生きの組織があります。
それは「都市」です。
企業と都市の間には、明確な違いがあります。
全体として見ると、企業は人数が2倍になっても利益は2倍にはならず、1.7倍くらいです。
都市は違います。
人口が2倍になると、全体のアウトプットやイノベーションの数などが、だいたい2.15倍になります。
▶︎ジェフリー・ウェスト:都市および組織の意外な数学的法則(YouTube)
都市は、なぜか加速度的に進化します。
広島や長崎のように原爆を落とされても、復活するのです。
だけど、企業はなぜか加速度的には成長しないし、成長、成熟した後には衰退が待っています。
繰り返しますが、個別で見ると、そうではないこともあります。
企業と都市は何が違うのかという議論があるのですが、根本的な違いとして、都市は変な人、異質な人を受け入れるのです。
企業はどうしても、効率化してしまいます。
利益最大化のために効率化すると、「何人の壁」という話になります。
企業は、異質な人を受け入れづらくなりますよね。
小澤さんですら、多分ZOZOでは、少ししか受け入れていないわけですよね(笑)。
企業は、どうしても異質な人を受け入れづらいので、結果として、長い目で見るとアンラーンが起こりにくくて衰退するということです。
不思議なことに都市は、別に市長がすごいわけではなく、リーダーシップもなければ、マネジメントもされていないのですが、なぜか異質な人同士の交流が起こり続けているから、加速度的にイノベーションやアウトプットが生まれると言われています。
そういう意味では、企業もどこかで異質な人同士の交流が起こり続ける仕組みをつくれば、都市のように成長できる。
M&Aなどで、自社とシナジーがあるところだけではなく、異質なところもどんどん取り入れている企業は、多分都市のような経営をしているのです。
これが企業と都市の違いですね。
企業では、人数が倍になっても倍以上の成果が上がらないのは、短い時間軸での効率性を重視しすぎているからで、長い時間軸での効率性を上げるものは、異質なものの取り込みや交流なのかなと思います。
あえて、リーダーシップをそれほど取らないという都市の性格も、加速度的成長の理由なのかなという投げ込みでした。

仲山 特に、成熟期から衰退期に移行する時は、何か新しいことをまた立ち上げないといけないです。
成熟期には、価値基準のうち、ミスしてはいけないとか効率優先とかのウェイトが大きくなっているから、そのやり方だと新しいものはうまく立ち上がりません。
そういう時に、変なやり方を採る人がいる環境になるとよいということですよね。
石川 組織が大きくなると、社長という感覚ではなく、一旦市長という感覚でいたほうがいいと思います。
市長は、誰が入ってくるか分からないですよね。
犯罪者も含め、いろんな人が来る前提で都市を管理しないといけないわけです。
人間の脳の限界として、1人が管理できるのは150人くらいまでと言われています。
150人を超えたら、社長から代表取締役市長になって(笑)、会社ではなく都市を経営するという感覚を持つほうが、もしかしたらいいのかもしれないですね。
仲山 宮川さん、いかがですか?
初期の加速には「同質性」、成長期の壁には「多様性」を
宮川 面白いですね。
ちょっと話の毛色が変わるかもしれませんが、スタートアップが最初に一気に加速している時は、ダイバーシティはそれほど必要ではないと思います。
早く目標地点に到達するためには、ダイバーシティよりも同質性のある集団で同じ方向に一緒に進むのが重要です。
その後、何人でもいいのですが、壁にぶつかれば、今までと違うシステムを作らないといけなくなり、ダイバーシティや異質なものを受け入れ、組織として成長し、新しい物事のやり方を取り入れなければならなくなります。
そのタイミングが、何人の壁とかフェーズの違いと言われるのだろうと思っています。
ダンバー数(※) という考え方も、その一つだと思います。
▶編集注:ダンバー数とは、人間が安定した関係を維持できる上限(約150人)を示す指標。人類学者ロビン・ダンバーが提唱した。組織において、メンバー同士が「お互いの顔と名前、関係性」を直感的に把握できる限界の境界線として用いられる。

そこから、企業がもっと大きくなった時、パーパスやミッションなど、なぜその企業に入社してくれるかという理由がないと、社員はそれぞれ別の方向を向いてしまいます。
人数が2倍になっても2倍の生産性が得られないことになりますが、そうなった時、価値観として共有するものがありながらも、トップダウンではなくてボトムアップで、いろいろなアイデアが生まれる仕組みを作ることについて、どの企業も悩んでいるのではないかと思っています。
先ほどの都市の話については、あえて異質なものを受け入れることと、どの企業も持っているであろう、ダイバーシティが本当に企業のイノベーションを生んでいるのかという疑問が結びつくと感じました。
仲山 多様性は、短期的な効率性ではないということですよね。
石川 どのくらいの時間軸における効率性なのかによって、適切な多様性の度合いが変わるのです。
短い時間軸の効率性であれば多様性は低いほうがいい、でも本当に長い時間軸だと多様性は高いほうがいいということだと思います。
仲山 麻野さん、今どんなことを考えていますか?
違うカルチャーでの成功体験を捨てさせ、束ねる苦労
麻野 ステージによって違うのだろうなと思っています。
ナレッジワークの日々のマネジメントにおいて、ダイバーシティというものを僕が意識することはないですね。
すべきではないと思っています。
ダイバーシティを意識すべきは、役員が全員60歳以上で、みんな新卒入社の男性で、みたいな大企業です。
スタートアップを始める時は、スタートアップ自体がダイバーシティの塊だと僕は思ってしまいます。
特にナレッジワークを創業してから、前職リンクアンドモチベーションとは全然違い、かなり組織マネジメントに苦しみました。
リンクアンドモチベーションでは、ほとんどみんなが新卒入社だったのです。
自部門の幹部も、10年くらい一緒に働いたメンバーばかりで、なんなら、大学生の時にインターンとして来ていた時から知っているメンバーが幹部なので、統一された価値観が存在し、マネジメントはめちゃくちゃやりやすかったのです。
ナレッジワークはエンタープライズ向けのソフトウェア事業ということで、機能についてのプロフェッショナルを集めており、平均年齢は40歳です。
ソフトウェアを作るので、Googleからリーダークラスを連れて来て、営業をする時はSalesforceから営業を連れて来て、コンサルをするなら、マッキンゼーからコンサルタントを連れて来て、という感じの組織です。
みんなそれぞれ、前職の、全然違うカルチャーにおける成功体験があります。
それを束ねるのにめちゃくちゃ苦しみました。
僕のいるステージでは、一本の軸で多様性をどう束ねるかが大事で、岩崎さんもそういう状況なのかなと思いました。

今回アンラーンというテーマですが、僕は毎月1日に全社員を集めて、アンラーンの話をしています。
毎月1日は、中途入社社員の入社日ですので、全員が30分集まって、新入社員が自己紹介をします。
その後に僕が、新入社員および既存メンバーにメッセージを送りますが、アンラーンの話をします。
いろんな会社での成功体験を持つ人たちが、Googleではこうだった、Salesforceではこうだった、マッキンゼーではこうだったと言いますが、違う方法で勝ってきたので、まとまらないのです。
それでアンラーンの話をして、一旦過去の体験は捨ててくれと。
ナレッジワーク流でしかやらない、ナレッジワークではこうなんだというミッションやスタイルの話をして、これで仕事をしてくださいと伝えました。
トップが楽しんでアンラーンしている姿を見せたい
麻野 どの会社から来ても、皆さん大体苦労します。
前の会社で10年も働いているとその会社に適応しているので、ナレッジワークに入社後、どんなに早くても成果が出るまで3カ月、長くて1年や2年かかる時もあります。
頑張らないといけないので、僕自身のアンラーンの話をします。
僕は20代の頃はずっと人事の仕事をしていて、30代から現場に異動して初めてコンサルタントをした時、アンラーンがすごく必要でした。
30歳でゼロから営業担当になって、自分が人事部だった時に採用したメンバーに営業について教えてもらいながら仕事をしたのですが、それはアンラーンでした。
「今ある土台の上に積み重ねていくだけだと可能性は限定的だけど、今あるものを全て崩して、もう一度大きな土台を作ってその上に積み上げると、麻野はもっとできることが増える」と前の会社の創業者に言われたのです。
それで、人事領域という同じフィールドでしたが、人事担当からコンサルタントになったという変化を経験して、それはすごく良かったと思っています。
17年間、組織人事というテーマで仕事をしていましたが、40歳の時に全て捨てて、今は全く新しい営業というテーマに取り組んでいますので、これもアンラーンでした。
このアンラーンも自分の可能性をすごく広げてくれたので、一時的にパフォーマンスが出ないかもしれないけれど、アンラーンした上に新たに積み上げていこうという話を毎月1日にして、月が始まる感じですね。

今も、SaaSの会社からAIの会社に変わっていく過程も、アンラーンです。
既存社員も含めてアンラーンするんだ、変わるんだという話を常にしていますね。
ダイバーシティから何かが始まることもあると思いますが、リーダーがアンラーンすることが一番大事だと思っていますので、今も、僕自身がSaaSの勝ちパターンを捨ててAIの勝ちパターンにアンラーンすることがめちゃくちゃ大事だと思っています。
組織を運営する上でも、事業を運営する上でも、僕はアンラーンが大事だと思っていますので、今日のテーマはすごく良いなと思います。
僕自身も常に、リーダーとして体現したいと思っていることですね。
仲山 リーダーが変化は当たり前だと思っていてアンラーンを体現すると、全社ミーティングなどで今までと違うことを言ってメンバーがざわざわするというか、頭の上にはてなマークが浮かびがちです。メンバーのアンラーンについてはどうでしょうか。
麻野 まずリーダーがアンラーンすることが大事だと思いますが、組織はなかなか変わらない部分があると思います。
いろんな方法がありますが、僕が大事にしているのは、僕自身が楽しそうにアンラーンをすることです。
「SaaS is dead」という環境だからと言って悲壮感を持って仕事をするのではなく…、変わってもっと大きなこと、新しいことができるチャンスでもあるわけですから。
もちろん、組織をアンラーンさせるためにすべきことは無限にありますが、中でも僕は、僕自身が楽しんでアンラーンしている姿を周りに見せることがめちゃくちゃ大事だと思っています。
(続)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成



