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4. 組織に熱狂を取り戻す「お祭り型リーダーシップ」と「文化祭経営」

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パーパスやミッションといった「理屈」や「正しさ」だけでは、人は最後まで走りきれません。創業期の泥臭さや熱量が失われ、組織が優等生化してしまった時に有効なのが「お祭り型リーダーシップ」や「文化祭経営」。小澤さんの「お祭り型リーダーシップ」や岩崎さんの「祭りマネジメント」など、オフラインでの繋がりを通じ、会社にもう一度強烈な求心力を取り戻す手法を紐解きます。石川さんが語る、幸福度と組織のあり方の関係も見どころです。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回500名以上が登壇し、1,200名以上が参加する。そして参加者同士が真剣に議論し、学び合うためのカンファレンスです。次回ICCサミット KYOTO 2026は、2026年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターはEVeMココナラです。


【登壇者情報】
2026年3月2〜5日開催
ICC FUKUOKA 2026
Session 5C 
最高の成果を生み出すリーダーシップとチームマネジメントとは何か?(シーズン2)(90分拡大版)
Supported by EVeM
Co-Supported by ココナラ

(スピーカー)

麻野 耕司
ナレッジワーク
CEO / CPO

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

岩崎 由夏
YOUTRUST
代表取締役CEO

小澤 隆生
Boost Capital
代表取締役

宮川 愛
メルカリ
執行役員CHRO(登壇当時)

(モデレーター)

仲山 進也
仲山考材
代表取締役

『最高の成果を生み出すリーダーシップとチームマネジメントとは何か?(シーズン2)(90分拡大版)』の配信済み記事一覧


小澤さんは「お祭り型リーダーシップ」を発揮

石川 今の小澤さんの話を聞いて、思い出したことがあります。

日本人がどうやってリーダーシップを以て都市をマネジメントしようとしたのか、歴史を振り返ってみると、鎌倉時代が面白いです。

鎌倉時代、武士という人たちが初めて日本各地を統治するようになったのです。

戦乱の時の武士と、天下泰平の時の武士は、役割が違いますよね。

戦乱時は、刀を振り回していればいいのですが、天下泰平時にそれを各地でしてもうまくいくわけがないので、「こういうことを大事にしなさい」という51ヵ条として書かれた御成敗式目(1232)という、日本最初の武家法がありました。

御成敗式目は、第1条が一番大事です。

法律や定款でも、大体何でも第1条が大事です。

武士が地域や街を統治する時の第1条に何が書いてあったかと言うと、「お祭りを盛んにしなさい」と書いてあるのです。

御成敗式目 貞永式目 現代語訳全文 (玉川学園)

お祭りは、全員対等ですよね。

ICCスタンダードでも、「全員対等、全員真剣」とあります。

今でもそうですが、お祭りになると、その地域だけではなく、他の地域からも人が突然やって来ますよね。

PayPayで3,000人が突然やって来た、みたいな(笑)。

年に1、2回お祭りをする、そしてそのお祭りを作るプロセスにおいて、人はものすごく仲良くなるのです。

小澤さんのことは詳しくは知らないですが、「爆速」という言葉やPayPayの話などを聞いていると、お祭り型リーダーシップだなと思います。

仲山 (「すごい豆まき」という)豆まきイベントとか。

石川 お祭りを作るのが、ものすごくうまくて。

社長だからとかは関係ないですよね、お祭りってそういう場ではないので。

昔の日本人はよそ者や知らない人を統治する際、祭りから入っていったと。

理屈からは入らなかったのです。

これは結構重要なことではないかなと、今日小澤さんの話を聞いて、改めて思いましたね。

岩崎 祭りマネジメント、めちゃくちゃ分かります。

うちの会社は、祭りしかしないです。

ホモサピエンスは、なぜか大きい音に興奮しませんか?

私は、クラブはあまり好きではなくて全然行かないですが、なぜあれほど人が集まるのかと言うと、大きい音にテンションが上がるからだろうなと。

ライブでもそうですよね、ドーンという音から始まって、みんながワーッと興奮する。

あの熱狂は作れるという感覚を持っています。

麻野 祭りマネジメントにめちゃくちゃ興味を持ったのですが、会社で、どんな祭りをしているのでしょうか?

YOUTRUSTの祭りマネジメント

岩崎 日常の祭りと、きちんとした祭りがあります。

日常の祭りは、社内にめちゃくちゃ大きい銅鑼を置いていて、何かあれば鳴らしなさいと伝えています。

良いことがあれば、鳴らさないと怒られるのです。

「あの件、銅鑼鳴らした?」とマネージャーが怒られるという。

仲山 小さい例だと、どういうものがありますか?

岩崎 例えば、入社を決めた人が出たとか、契約を頂いたとかですね。

ちなみに、我々は発注や契約を頂くことを「ご期待いただく」と表現します。

大きい音が鳴る会社は何かうまくいっているような気がしてくるのです、不思議なことに。

それが日常で行われると、「このチームは楽しいかもしれない」と思って、あまり休まなくなってくるのです。

我々の会社では、毎週月曜の朝にオールハンズということで全員集めます。

130人くらいの規模なのでまだ全員集まれるのですが、声出しをして解散という形です。

それから、年に1回、総会と合宿を行います。

そこではとにかくどんちゃん騒ぎで、窒息するのではと思うくらい、カラオケの部屋に人をぎゅうぎゅうに入れてパーティをしています。

こういう祭りマネジメントですね。

石川 学生時代もそうでしたよね、普段話さないような人でも、文化祭や体育祭になると途端に話す。

ですので、やはり異質な人と出会うという意味においても、祭りはすごく機能するのだと思いますね。

創業の熱狂が失われたら「文化祭経営」を

小澤 まさしく、我々が心がけているのは「文化祭経営」です。

少しテクニカルに話しますが、文化祭は、終わりがあるのが良いところです。

つまり、「当日」があって、その日に向けて盛り上げて、パンと終わらせることが重要なのです。

イベントは、それがとても良い点です。

ただ、会社の経営とは切り分けて考えなくてはいけません。

会社の経営は、終わらないですよね。

会社の経営自体はやらなければいけませんが、従業員向けに、要所要所に文化祭を作ってあげるのです。

例えば、「この日には売上をものすごく積み上げよう」でも構いません。

僕らの場合、11月11日を「いい買い物の日」として100億円を目指しました。

くす玉を持って行った時にワーッと湧いて、そのために準備した人たちが泣くことがありました。

そういう状況を作るため、起伏のない経営に対し、文化祭や体育祭を行います。

文字通り、体育祭をすることもありますが、体育祭のようなものや文化祭のようなものでいいのです。

それは、期限があって、一定期間準備をして、結果が分かるものです。

「うまくいったかもしれない」ではなく、このラインを絶対に超えるという数字に対して、それを大幅に超えた時、その瞬間的、爆発的喜びを作るようにしています。

仲山さんや(小林)正忠さんは覚えているか分かりませんが、楽天には忘年会があって、私の部署は、それに対する異常なまでのコミットメントを見せました。

凄まじいコミットメントだったので、翌年以降、他の部署もどんどん盛り上がっていって、文化が出来上がっていくという状況がありますよね。

僕は、会社ではそういう文化祭みたいなものはしたほうがいいと思いますし、それは、都市経営に対する文化的なラーンだと思います。

アンラーンする必要はない、一体化させるための普遍的な何かがあるので、僕は絶対に、テクニカルに取り入れるべきだと思います。

新しい会社では、最初の2、3年は文化祭として熱狂を保ちます。

ただ、文化祭的熱狂は終わります。

いけいけどんどんの立ち上げ期は、本当に楽しいし、嬉しいですからね。

でもそれが終わった時には、テクニカルに文化祭を作ってあげてください。

今はパーパスなどの理屈が優先されている時代

仲山 昨年(2025年)、善樹さんが、「人間を理解するとは何か?」のセッションで話されていた内容です。

すごく良かったので、撮った写真から写しました。

4.「まつり」が人類のもめごとを解消し、結束へと導く

岩崎 一緒に歌うのは大事ですよね。

仲山 6番目は「祭る」ですよね。

石川 人類が他の動物と違うのは、やはり大規模な集団を作れるという点です。

他の動物が大規模な集団を作れないのは、仲良くなるための手段が毛繕いだからなのです。

毛繕いは1対1でするものですし、すごく時間もかかります。

人類は、毛繕いはもちろんですが、ここに書かれているような行動を順番に獲得していったと言われています。

お笑い芸人であれば、何百人も何万人もいけるかもしれませんが、一緒にワッハッハと笑えるのは、3人が限度です。

あるいは、歌う。

子どもの頃、人と一緒にたくさん歌いませんでしたか?

合唱をすると、不思議と一体感が出ませんか?

あれは脳内に、エンドルフィンという結束を促す物質が出ているからです。

お葬式も、仏式であれば般若心経や南無妙法蓮華経のお経を上げますよね。

一緒に歌っていると、どんどん仲良くなるのです。

友だちをつくるベストな方法は「一緒に歌って踊って泣く」 (LIFEHACKER)

先ほどガーナの話をしましたが(Part.1参照)、踊るのもそうです。

今、SNSを開くと、踊る動画ばかり出てきませんか?

踊る姿を見ることは、脳にとってすごく気持ちいいのです。

そういうふうにできているということですね。

スライドの1、2、3は直接的にすることが多いですが、4(感情に訴える物語を共有する)は、人から人に伝えるものです。

こんな嬉しいことがあった、悲しいことがあったというのは人から人に伝わるので、だんだん規模が大きくなります。

それでようやく5で、一緒に飲み食いする、です。

自然界においては、一緒に飲み食いするというのは極めて不自然ですよね。

奪い合いが基本なので。

人間はなぜか、一緒に楽しそうに飲み食いする行動を獲得するのですが、それは、1、2、3、4をしてきたからなのです。

逆に言うと、いきなり一緒に飲み食いして仲良くなろうとは思わないほうがいいですね。

共に笑ったり歌ったりした後に飲み食いするから仲良くなるわけですが、1から5を一斉にするのが、6の祭りなのです。

日本という国をずっと象徴しているのが天皇家ですが、ここまで長く続いている理由の一つが、権力を手放したことです。

政治力や経済力、武力を手放したのです。

そういう力を持っているから、天皇という地位をめぐって争いが起こると考え、かなり早い時期から、天皇家は祀りに特化しました。

国体や植樹祭などを含む、四大行幸啓という4つの行事がありますが、今も天皇陛下はそういうビッグイベントで祀ることをされますし、日々の生活の中でもずっとされています。

とはいえ、人間はやはり動物なので、この1から6をきちんと行い、7番目以降に多分、理屈の話が出てくるのだと思います。

ミッション、ビジョン、どういう意味なのか、という話です。

今の時代、あまりにもパーパスなどの理屈に振りすぎてしまっていて、小澤さんの言う文化祭経営というか、もっと情緒に訴えるようなことが疎かにされています。

仲山 3人で笑うことをし忘れたまま、その先を進めようとしているから。

石川 ということではないかなと思いますね。

オフラインだから泣いているメンバーに寄り添える

岩崎 ホモサピエンスとして逆らえない習性がありますよね、だからこそ結束できる。

人間というのは、目の前の人と脳みそを同期させられる生き物だという言い方をしている人がいました。

例えば、目の前の人が泣いていたら、もらい泣きしてしまいますよね。

それはホモサピエンスだけだそうです。

私がそれを聞いてから絶対にやらなくなったのは、リモートワークです。

会社として、週3は絶対に出社するルールですが、私は週5で出社しています。

リモートワークになると、脳のシンクロ率がめちゃくちゃ下がるらしいのです。

想像してみてほしいのですが…、メンバーとオンラインで1 on 1をしていて、目の前のメンバーが泣き出したとしても、私は正直、手元で別のことができると思います。

でも、オフラインだとそれは絶対できないですよね、「私まで泣けてきた」と肩を抱くと思います。

それを経て、結束が強くなるのだろうと思います。

ですので、私は徹底的にアンチリモートワークです。

「ホモサピエンスにリモートワークは無理」だと言っています。

フルリモートの会社もあると思いますが。

日本人のWell-being向上に一番貢献したヒットメーカー

石川 余談ですが、僕はWell-beingをずっと研究していまして、日本が過去半世紀で一番幸せだった時代がデータとして出ており、それは1996年なのです。

1995年に阪神・淡路大震災と地下鉄サリン事件があって、Well-beingや幸せ度がガクンと下がるのですが、1996年に、現在までの間での最高値を記録しているのです。

その次に高かったのが、東京オリンピックのあった1964年です。

東京オリンピックよりもすごい祭りが、1996年にあったということですね。

調べてみると、カラオケ産業が一番儲かっていた時なのです。

つまり、笑って歌って踊っていたんですよ!

何を歌って踊っていたかと言うと、小室哲哉さんですね。

(一同笑)

小室 哲哉さん以降は宇多田 ヒカルさんなどが登場して、歌が難しくなったのです。

それで、歌は、歌うものではなく聴くものになっていったという。

だから今のところ、日本人のWell-beingに一番貢献したのは、小室 哲哉さんということで、まだ誰もその記録を抜けていない(笑)。

麻野 いや、これでいろんな疑問が解けました。

元サイバーエージェントの方と話した時、生まれ変わっても絶対に新卒でサイバーエージェントに入りたいと言っていました。

どんなマネジメントなのか聞くと、日中は数字について強めにフィードバックされることもあるが、夜にみんなでカラオケに行ってミスチルの『終わりなき旅』を肩組みながら歌ったら、「もう全部最高!」となると言っていて。

どういうことなんだろうと思っていたのですが、石川さんのこれで説明できるということですね。

前職でも、年末に全社カジノ大会というものがありました。

役員がディーラーをして、チームに分けて、優勝したら賞金が出るのですが、盛り上がっていたのです。

で、自分の会社で提案をしたのですが、大体、DeNA出身の役員にロジックで詰められて却下されてきました。

岩崎 本当にすみません(笑)。

麻野 でも、「何でカジノ大会が要るんですか?」と言われて、却下されてきましたが、これで説明できます。

石川 今おっしゃった通りで、本当に、終わり良ければ全て良しなのです。

だけど、その終わりの設定が大事です。

一日の仕事の終わりとか、小澤さんが言うような経営の中での一旦の区切りや終わり、この終わりの設計がめちゃくちゃ大事なのです。 

多分サイバーエージェントは、文化として、一日の仕事の終わりの設定がうまいのでしょうね。

「カラオケに行ってお祭り」だけでは組織は良くならない

小澤 このままだと、皆さん明日から、カラオケに行ってお祭りをやるのでは(笑)。

(会場笑)

僕は、それはファクトとして、絶対に良いと思いますよ。

ただ、1枚めくってくださいね。

お祭り自体に意味があるということですが、それを1枚めくると、みんなで共通の目標を目指して期限を設定して何かをやり遂げる、仕事以外のところでものすごくコミュニケーションを取るということです。

この、1枚めくったところの意味がとても重要です。

僕がヤフーに入社して最初に行ったのが、部署を超えてチームを編成して、1カ月間、全員で営業活動をして競い合う、全員営業コンテストみたいな企画でした。

要するに、部署関係なく、同じ競技をする、期限を決める、成績を出す。

勝った人とは、こちらがお金を出して一緒にご飯を食べに行きました。

買収もイベントです。

買えるか買えないか、あの会社を買ったらどうかとみんなで議論するし、TOBも、成立すればわっしょい!で、誰が行くのかという話をするのも、お祭りなのです。

前職では、少し社内が盛り下がってくると、「何か買おうぜ!」となっていました。

(一同笑)

「カラオケ行こうぜ!」もありましたが、そういうことを本気でしていたのです。

ですから皆さん、1枚めくってくださいね。

そうしないと、毎晩カラオケに行ってしまいそうなので(笑)。

(続)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/戸田 秀成

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