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「事業の柱となる新規事業をいかに生み出すか?」【F17-9B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その5)は、企業内でのチャレンジを生み出しやすい組織づくりについて議論しました。VOYAGE GROUP宇佐美さんが過去に役員を務めたサイバーエージェントでの学びにも注目です。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9B
「事業の柱となる新規事業をいかに生み出すか?」
(スピーカー)
宇佐美 進典
株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長兼CEO
川鍋 一朗
日本交通株式会社 代表取締役会長/
JapanTaxi株式会社 代表取締役社長
松本 龍祐
株式会社ソウゾウ
代表取締役社長
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル
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本編
井上 川鍋さんは歴史の長いタクシー業界で、他にも歴史の長い業界ってあると思うんですけど、宇佐美さんや松本さんの話を聞いて、新規事業を生み出すということについて学びだなと思うことはありますか?
川鍋 一言で言うと文化の違いですね。
だからそちらの文化を持っている人に来てもらうしかないと実感しているんですね。
私も日本交通で16年間やっていて、結局生み出せたサービスは、自分がやった陣痛タクシーとかキッズタクシーとか観光タクシーとかちょっとずつですが、そこに外から来た人が乗っかって、今度5月に陣痛タクシーに絡めてすごいサービスも出します。キッズタクシーもアプリができたりします。
やっぱり元からいた人ではできないですね、発想がないですよ。
自分でもやったらできるなと思っていても、プラクティカルに何をどうやったら良いのかってわからないので、レベルが違います。
皆さんの業界の人たちがそういうオールドエコノミーに来るとやれることがいっぱいあって、そういうのを上手く融合させてやれる環境を作れるかどうかですね。
今でもうちは3階が日本交通の本社なので、3階に行けば、なんかチャラチャラしているといまだに皆思っている。
1階に行けば、向こうは支配的で子会社だと思っているし、両方あるんですよ。
そこを行き来してお互いやりとりしながら、続けるしかなくて。
あとは新しい人たちが来てくれてアプリのダウンロードも圧倒的にスムースになって、配車決定率やスピードも上がってきましたし、新しいことができると体感するしかない、時間が必要ですよね。
井上 文化や環境という話があるんですけど、宇佐美さんの事業でも「人を軸にした事業開発会社」と自らを称されるなど意図的に文化や仕組みを作るということをやられているのかなと思いますがいかがでしょうか?
宇佐美 会社の中にいかにチャレンジする機会を多く作りだしていくかというのは非常に重視しています。
且つ、チャレンジする機会というのは、自分が手を挙げてチャレンジできるようにするという形ですね。
やはりやらせても上手くいかなかったりコミット度合いが弱くなってしまうので、いかに手を挙げてやりたいと言わせるかとか、やりたいと言う人を採用することに注力しています。
会社として「チャレンジしやすい」を発信し続ける
井上 そういう人はどうやったら採用できるんですか?
宇佐美 うちでは新卒と中途採用両方やっていて、年間で計50名から70名採用しています。そのうち新卒で20名弱ぐらい、中途で30から40名ぐらいの比率ですが、基本的に新卒プロパーもしくは若手の中途採用者の方が新しいものに挑戦しやすい傾向はあると思います。
あとは若手の人たちに対して、会社にチャレンジする場があるんだということをいかにわかりやすく伝えていくのかということが大事だと思っています。
と言うのも、当社の場合は、メルカリのようにわかりやすくコンシューマー向けのサービスがあって、このサービスをやってみたいから入って来るというパターンではないんですよね。
残念ながらそういうサービスは今は我々の中にないので。
ですので、プロダクトのイメージを伝えるのではなくて、会社としてチャレンジしやすいんだというメッセージを伝えていくことを重視しています。
社内にバー(AJITO)があるという形にしたり、語りやすい文化をいかに作っていくのか、たとえば人事制度もそうですし、インターンシップを無人島でやるとか、思わず話したくなるようなものを会社の仕組みの中にどう盛り込んでいくのかということが大事だと思っています。
川鍋 役員会を見ていると、いちいち真面目に議論するんですよ。
こんなのダメでしょう、はい終わり、とかはなくて、1個1個の事業のネタもそうですし、買収案件もそうですけど、小さい300万円の出資案件でもすごい議論を戦わせて、宇佐美さんが議論をまとめようとするとまた誰かが、おかしくない?みたいな話をして。
こちらはもういいじゃないと思うんだけど、そういうふうに流されない、違和感を感じたらきちんと言うというカルチャーはすごいなと思うんですよね。
たまに面倒くさいなとか思いながらも、じゃあもう1回議論しましょうとするのは、そういうカルチャーが根付いているから。
新規案件を提案してもきちんと議論してくれるんだろうなという信頼感があると思います。
だからあまり派手じゃないけれども、「働きやすい会社No.1」に選ばれたりしている。
外見の制度もそうですけど、それを本当にきちんとやろうとしていることに僕はすごくびっくりしました。
代表の宇佐美さんでも強権で押し切るということがないカルチャー、ある意味面倒くさいんですけど、練りこまれていると思いますね。
井上 そういうカルチャーを形成するのにはどのぐらいかかっている?元々そうだったんですか?
宇佐美 元々そういう傾向はあったと思いますが、僕自身2005年から2010年まで5年間、当時 親会社だったサイバーエージェントの役員も兼務していたんですけど、自分が作った会社と藤田さんという経営者が作ったサイバーエージェントという会社を2つ同時に見ることができたのが良い経験になりました。
いろいろと気づきもありましたし、片方で上手くいっていることをもう片方で適用してみたり、と独自のカルチャーづくりにも取り組むきっかけにもなりました。
また、2012年にはPEファンドのサポートを受けてサイバーエージェントのグループからMBOしましたが、ここでもファンドの人たちからのアドバイスによって今までとは全然違うカルチャーや経営スタイルが自然と形成されました。
VOYAGE宇佐美さんがCA藤田さんから学んだこと
井上 サイバーエージェント藤田さんから一番学んだこととか、逆に意図的に取り入れなかったことはありますか?
宇佐美 新規事業に関して言うと2つあって、1つは踏み込む時のアクセルの踏みこみ方なんですね。
タイミングもありますけど、信じて踏み抜くと周りが応援し始めるというか。
特に2005年、2006年頃はアメーバがまだ全然立ちあがっていない時期で、最初に藤田さんが何が何でもメディアを自分たちで持たなければいけないんだと宣言して徐々に役員を中心に、藤田さんがそこまで言うんだったらそれを信じてやっていこう、という流れになりました。
藤田さんをどう盛りたててアメーバを上手くいかせるか考えるようになっていった。
トップが強い意志を持って踏み込む姿勢を見せていくのが重要だと感じました。
もう1つは、サイバーエージェントの中で「あした会議」という名称で、役員対抗で新規事業を考えていくという仕組みです。
インセンティブがあるわけではなくて、それぞれの役員がプライドをかけてすべてのノウハウと経験を出す会議&プレゼン大会です。
各役員は自分のチームのメンバーを全社から選んで混合チームをつくって徹底的に経営課題をベースに新規事業や新サービスを議論し、考える。
さらに事業プランだけではなく、最終的には誰に任せるのか、という人事案もセットでプランを作っていく。
この2つは、サイバーエージェントの役員時代に、実際自分自身も当事者として参加し、わくわくしていました。
(続)
続きは 「0→1のプロセスを経験しているか?」が新規事業を任せられるかの判断軸 を配信予定です。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
宇佐美さんがサイバーエージェントに務められてきたご経験があったからこそ、VOYAGE GROUPで仕組みが作れる、というところも大きいと感じました。起業するなら他企業に務めるなんて意味が無いということも言われますが、そうした反証になりますね(榎戸)
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