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「事業の柱となる新規事業をいかに生み出すか?」【F17-9B】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!8回シリーズ(その4)は、その3に引き続き、新規事業を生み出すプロセスのポイントを議論しました。VOYAGE GROUP で取り組む新規事業の打率と成功要因の分析が面白いです。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー600名以上が参加する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス FUKUOKA 2018は2018年2月20日〜22日 福岡市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2017年2月21日・22日・23日開催
ICCカンファレンス FUKUOKA 2017
Session 9B
「事業の柱となる新規事業をいかに生み出すか?」
(スピーカー)
宇佐美 進典
株式会社VOYAGE GROUP
代表取締役社長兼CEO
川鍋 一朗
日本交通株式会社 代表取締役会長/
JapanTaxi株式会社 代表取締役社長
松本 龍祐
株式会社ソウゾウ
代表取締役社長
(モデレーター)
井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
プリンシパル
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本編
井上 新規事業の種の見つけ方という論点だと、普通は自分たちの事業にシナジーがあるかどうかをまず考えますよね。
川鍋 そのセオリー通りに私はやっているんですけど、全然違う飛び地にものを作っていき、(VOYAGE GROUPは)真顔で本気でやるのを見て、まさにベンチャーってこうなんだと思って。
そこから球数がすごいんですよね、買収なども含めて。
色々なことやって、最終的にお茶をなぜやっているかというと、1人の役員(青柳さん)がそれに入れ込んでいるからという。
結局こうした新しい事業に入れ込む人が何人いるかということなのではないかな、とVOYAGEさんを見ていて思います。
井上 VOYAGE GROUPさんは、どうやって新規事業の種を見つけるんですか?
宇佐美 こちらの資料は、2010年から6年間でいくつの事業に取り組んでどれぐらいの結果が出たのかをデータで出したものです。
73件やって上手くいったと思うのは2件ぐらいと、それぐらいの打率です。
川鍋 真面目にやってしまうところがVOYAGE GROUPっぽいよね。
宇佐美 こちらは、どういうルートで出てきたプランなのかというところです。
上がトップダウンでやったもので、下がボトムアップでやったものになっています。
これを見てわかるように、割とバランス良く、役員主導でこれやりたいという形で始まるものもあれば、会社の中の事業責任者のレイヤーで始まるものもあったり、ビジネスプランコンテストで出てくるもの、上手くいっている事業部の中でスカンクワークとして出てくるパターンなどがあります。
新規事業の「打率」と成功要因をデータで考える
井上 これを見ると、成功率は上の方が高そうに見えなくもないのですが?
宇佐美 そうですね、ちなみに僕が考えたのはこの成功には入っていないです。
2つともアドテクノロジーの事業です。
今、VOYAGE GROUPの売上規模が200億円ぐらいで、30億円、100億円を超えるようなビジネスを作ろうと思うと初期投資が必要になってくるのですが、社内から上がってくるプランだとどうしても小さいものを大きく育てるというふうになりやすい。
あまり最初から大きく勝負をかけてリソース、特にエンジニアを使って開発するというのは難しいんですけれども、役員主導の場合は、自分がコントロールできるリソースの中でガッと人を集めることもできるので、結果として大きく成功しやすいということがあるかなと思います。
井上 資料にあるサブロク会議とかEBIとかはどういった取り組みなんですか?
宇佐美 サブロク会議は、各役員が会社の中から任意でメンバーをピックアップして、役員ごとに対抗戦みたいな感じで会社の事業や経営課題に対して提案をして、その中からやるかやらないかを決めていくというものです。
EBIは、年に2回ぐらいやっているんですが、社内で誰が出しても良いという事業プランコンテストです。
井上 この結果を振り返って、この仕組みをどのようにしていこうと思いますか?
宇佐美 去年(2016年)になぜこのデータを出したかと言うと、色々やってみて今の課題はメディア、アドテクノロジーに続いて大きく成長する3つ目の柱を作らなくてはいけないということでした。
それで、どういうパターンが一番良いのかを過去のデータで検証しようということで出しました。
問題意識としてあったのは、上場前ぐらいから、事業部内事業の比率が高くなっていったんですね。
なぜかと言うと、上場前に大きなチャレンジをするというよりは、小さな改善的なサービスを作っていくというのが多くなってきていて、なんとなく大きなチャレンジをしにくくなっているというのが社内にありました。
大きく成長するためにはきちんと大きく投資をするという意思決定をふまえた上で取り組んでいかなければいけないという仮説があったので、実際にそれをデータで出してみたというところです。
井上 事業の柱とする事業を作るということと、何か新しいサービスをやるということは、やり方が全然違うということなんですかね。
宇佐美 そうですね。
撤退経験=ノウハウの獲得である
川鍋 撤退47件の平均赤字額はどれぐらいなんですか?
宇佐美 ミニマムで累積損失3,000万円ぐらい、高いのだと5億円ぐらい。
川鍋 相当トライしますね、撤退も含めて。
でもそちらの損失よりも、2件の成功がもたらしている利益の方が大きいですよね。
宇佐美 大きいと思いますね。
あと撤退というのはこれだけ見ると失敗にしか見えないですけれども、得た経験が次のチャレンジにつながってノウハウの獲得につながっています。
比率で見ると上手くいっている比率が少ないように見えるかもしれないですけど、結果的に会社全体で見ると成長もできているので、必要なチャレンジだったのかなと思っています。
井上 松本さんは新規事業たくさんやられている中で成功率はどのぐらいなんですか?
メルカリの新規事業を生み出すプロセス
松本 コンシューマー向けサービスが主なので、実際に作る前にディスカッションをしたり勝ち筋見つかって確信を持った上で、UI(ユーザーインターフェース)ベースから手を付ける場合が多いです。
ユーザーの支持については、半分ぐらいは100万ダウンロードいっている感じですかね。
今、お話伺っていて、我々の場合はもう少しモデレートにやっていて、今のところどんなサービスを新規で作るかというのは、私が決めて良いんですね。
今度これをやろうと思いますという報告を山田進太郎(メルカリ代表)にしてプロジェクトキックオフという形です。
その中で僕がやりたいから動画サービスやりますみたいなことはなくて、だいたいメルカリを基準として広がっていき、こんな未来でこんな事業をやっていくべきだよねという大まかなロードマップはマネジメントの中で共有されていています。
その中で市場のパイが大きくて、且つモックベースで勝ち筋もあるというところで候補がいくつかあって、順番にやっているという感じです。
井上 種の見つけ方というところで言うと、メルカリとの事業との親和性もそうですし、パイの大きさとか両方の視点で決めているんですね。
松本 あと特徴的なのは、アプリまでいかないけれどデザイナーがきちんとモックまで作って手を付けていないサービスがいくつもあるんですよ。
そういう形で、最終的なアウトプットが想像できるところでサービスモデルで勝ち筋が見つかれば、あとはシナジーと規模と勝ち筋の3つが重なると「GO(スタート)」という感じですね。
井上 勝ち筋はどうやって測るんですか?
松本 UXという視点で競争優位性があるかとか、我々はアプリが主戦場で、アプリをダウンロードさせて定着するというところにものすごく障壁があるので、その障壁をユーザーが乗り越えるぐらいの利便性や驚きを提供できているか、最終的には定性的な判断をしています。
川鍋 メルカリだったらヤマト運輸の宅急便に組み込めるとかそういうことですか?
松本 アプリとしてこういう機能があったらいいのではないかとか。
確かにヤマト運輸さんとの取り組みはメルカリにとって着実に強みになっています。
ある新規のアプリを作る時、ここを乗り越えるのはアプリのUXと言うよりも、ヤマト運輸さんとこんな取り組みができれば圧倒的に良いサービスだよねと、それが握れそうだったらGOという判断をすると思います。
川鍋 なるほど。
(続)
続きは サイバーエージェント藤田氏から経営者として学んだこと(VOYAGE GROUP宇佐美) をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/横井 一隆/立花 美幸
【編集部コメント】
議論が白熱してきました。VOYAGE GROUPでは、各新規事業のプロセス”出自”が分類されていて、打率や成功要因を分析できる、PDCAのサイクルまで回っているところが素晴らしいですね!(榎戸)
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