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「リアルテック・ベンチャーが世界を変える」7回シリーズ(その4)は、半導体受託生産ベンチャー、コネクテックジャパンを率いる平田勝則さんの解説パートです。同社が保有する世界初・世界唯一の超低温半導体実装技術「Monster PAC」は、IoTの世界をどう変えるのでしょうか? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット KYOTO 2019は2019年9月3〜5日 京都開催を予定しております。
ICCサミット FUKUOKA 2018のシルバー・スポンサーとして、内田・鮫島法律事務所様に本セッションをサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2018年2月20-22日開催
ICCサミット FUKUOKA 2018
Session 10D
リアルテック・ベンチャーが世界を変える
Supported by 内田・鮫島法律事務所
(スピーカー)
粕谷 昌宏
株式会社メルティンMMI
代表取締役
平田 勝則
コネクテックジャパン株式会社
代表取締役
福田 真嗣
株式会社メタジェン
代表取締役社長CEO
(モデレーター)
永田 暁彦
株式会社ユーグレナ 取締役副社長 /
リアルテックファンド 代表
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▶「リアルテック・ベンチャーが世界を変える」の配信済み記事一覧
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最初の記事
1. 注目リアルテック・ベンチャー「MELTIN」「メタジェン」「コネクテックジャパン」は世界をどう変えるのか?
1つ前の記事
3.「平均寿命=健康寿命=120年」大学発“便”チャー・メタジェンが腸内デザインで目指す病気ゼロ社会とは
本編
永田 次はコネクテックジャパンですが、コネクテックの技術は半導体の「実装」にあり、先ほど80℃での実装というのは極めて秀でた技術であるという話でした。
▶編集注:本セッションでは、メルティン、メタジェン、コネクテックジャパンが開発する技術について、「自社の技術が最終ゴールに近づくと、世界がどう変わるの?」を解説いただいています。
では、その技術の先にあるものは何でしょうか?
平田さんの答えは、「すべてのモノにCPUが実装される」と書いてあります。
これはどういう意味なのか、その技術によってどのような世界が訪れるのか、平田さんにコメントをいただきたいと思います
超低温の半導体実装技術で、日本をIoT大国に
平田 僕たちが2009年に起業した当時は、「デザインレベル0」と呼ばれた時代でした。
今皆さんがスマホで普通に使っているCPUであったり、メモリであったりというのが、実は今から8〜10年前に原型が登場しました。
これをデザインレベル0と呼んで、どんな未来を実現したいかをチップ屋たちが考え始める時でした。
ちょうどその頃に実装屋として世界を回って、未来について考えている人々の話を聞いていたのは、僕たちだけでした。
なので、今まさに何か突然IoTが登場してチップが必要とされ始めたのではなくて、当時の危機感が今の流れに繋がっているのです。
そのチップ屋たちが一番考えていたのは、5ワット、10ワットのCPU・GPUも含めて、そういったものが「服」に無数についているような状態です。
先ほどのサイボーグもそうですし、例えば腸内の管理、コントロールといったら、紙おむつにもセンサーチップが付いていたら常に便の情報が取れますよね。
福田 おっしゃる通りですね。
平田 だから僕たちは、いい社名を付けたなと思うのですが、「コネクテック(connectec)」できるんですよね。
今あるものと、あるものを結び付けるというところですが、温度が80℃になると、例えば、従来出来なかったPETフィルムへのCPU実装ができるようになります。
我が国は、PET材をリサイクル材だけで賄える世界有数の超循環型PET社会を作っています。
今や石油を輸入して、わざわざPETを作るためのプラントというのはほとんどありません。
今まで生産されたPET材がリサイクルに回り、ほぼまた100%回っているという状態なんですね。
簡単に言うと、PETの山、つまり鉱山があるようなものです。
ところがPET材はこれまで、飲料業界にいらっしゃる方には恐縮なのですが、水ものを入れる器ぐらいでしか応用が効かなかったり、100円傘ぐらいしか役立てることができませんでした。
ということは1平方センチメートル、あるいは1平方メートル当たりの単価も安い、そういうマーケットになります。
ところが、これから僕たちが80℃で半導体を実装できるようになると、PET屋さんがIoTで主戦場になりえます。
IoTは600兆円市場に成長するよとか、CAGR(年平均成長率)十数%超えますよとか言われています。
センサーに至っては今CAGRが38%ぐらいです。
なにせご存知のように、IoTは皆さんのような方がどんどんセンサーを使ってくれます。
GPU 1個に対してセンサーがたぶん1万個ぐらい、これを取りまとめてやっていくような社会になるだろうと思っています。
しかし今までは、PETとかポリウレタン屋さんはその市場に入れませんでした。
我が国が強いところには入れなかったのです。
しかし、僕たちがこの壁を突き抜けることで、皆さんにビッグチャンスを提供することができます。
だからすべての物にCPUが実装されるということは、イコール、我が国の石油精製から基礎材料学、加工材料、それの製造技術と、要はこの国の総力が発揮できる最大のビッグチャンスに繋がりうるのです。
それを僕たちは、80℃という温度の壁をぶち抜くことで、皆さんに富と幸せという言い方はちょっと恐縮ですが、サイボーグを買ったり装着したりできるような年収とか、腸内のことにお金をかけられるようになる社会が提供できるのではと思います。
やはり何か生業がなくてはいけないという中では、そういうことも実現できるのかなと思っていて、すべての物にCPUが、というような極端な言い方をしました。
やっとバイオの人たちに一矢報いるような話ができました(笑)。
(会場を指して)さっきから会場の後ろの方でうちの社員がずーっと、「マイク持たないんですか社長」という目でずっと見ているんですよ。
(会場笑)
一応、こんな感じでいいのでしょうか?
永田 ありがとうございます。
半導体実装における「温度の壁」をいかに超えるか
永田 バイオの人たちという意味で言うと「41℃」の話もあるのではないでしょうか?
(写真左)株式会社ユーグレナ 取締役副社長 / リアルテックファンド 代表 永田 暁彦 さん
41℃というキーワードは、我々が最高にテンションが上がってくるキーワードだと思うのですが、ぜひその話もお願いします。
平田 僕たちが半導体実装における「温度の壁」を超えられた最大のポイントは、常識の逆をいっているからです。
シリコンにメッキで電極端子を作ってそれを熱と力で付けるという、1957年にIBMが発表したやり方を常識として、世界中が50年以上ずっとそのやり方で続けてきました。
その端子をシリコンではなく、基盤側に付けれたらどうなるのだろう、というところから話が始まりました。
美術印刷などの濃淡とか陰影というのは、実は凹凸の高さであったり、径の広さで人間の目をごまかして、濃淡、陰影を感じさせています。
実はそのサイズが、半導体に関しても一緒だということに気づきました。
経歴にも少し書きましたが、ずっと若い時から、鉛フリーをはじめ世界がやったことのないことばかりに取り組んできたので、僕は生産技術を自分の業界で見つけらないんです。
だから必ず異業種を見て回ります。異業種仲間はとても多いです。
皆さん、イオンの総菜コーナーのポテトサラダ、今なぜ±0.1グラムでコントロールできるか分かりますか?
±0.1グラムでコントロールできるようになったから、歩留まりが上がり、消費者には安く提供でき、イオンは利益が上がり、廃棄不良が減りました。
半導体にも同様の例があります。
イメージセンサーをガラス張りにするときに、従来はガラスが載らず、外れることが多いのでガラスをたくさん使っていました。
ガラスの8割は載らないので、残った2割でガラスが付くようにやっていました。
それがポテトサラダのトルクコントロールの技術を半導体に応用すると、材料利用率は100%になりました。
それで一気にイメージセンサーを安くできるようになったという経緯があり、今回もそういうアプローチを利用しました。
美術のインクというのは柔らかいですよね。
なので、そのまま美術の生産技術を持ってきて、インクと同じ電気が流れる材料を入れてみただけです。
美術印刷を乾燥させるのに、200℃、300℃は使いません。
この考えでいくと、我が国は世界最高のエポキシ樹脂の技術がたくさんあります。
こういうのを組み合わせていって、私みたいな人間が科学屋に「やれ、やれーっ」と声を掛けていくと、意外と皆さん「いいの練れました」と持って来てくれたりします。
そのような国勢が、我が国にあります。
エポキシの世界は“アロンアルファ”さんの世界とも似ているのですが、80℃を切ることは可能だと思っています。
そして、可能だと思いますと言った瞬間に、アメリカやヨーロッパから、色々な医学分野の方が、どっと押し寄せてきました。
僕たちエレクトロニクス屋が、41℃という線はイケるんだということに気づくわけです。
それで今、一生懸命、41℃での半導体実装の実現へ向けて研究しています
41℃の半導体実装で「体内サイボーグ」が可能に?
平田 そしてこれができれば、先ほど粕谷さんが言われたようなサイボーグを、体内に入れることも考えられます。
もし仮に何かしらのセンサーや、それこそタンパク質を使ったバイオセンサーみたいなものを体内に入れて、そこにシリコンの通信チップが実装できれば、それが体内で動いている間はずっと観察できるようになります。
それこそ、『攻殻機動隊』の世界です。
首にプシュンと入れて、グーっとこうマイクロメカが走り出すみたいな、そんなことになれば面白いなと思って、今は嘘みたいな話である41℃の実装を実現させたいなと思い、「プロジェクト41」というのを立ち上げました。
尾原 和啓さん(以下、尾原) 粒度は結構捕捉できるんですか?
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尾原 和啓
IT批評家、藤原投資顧問書生。京都大学院で人工知能を研究。マッキンゼー、Google、iモード、楽天執行役員、2回のリクルートなど事業立上げ・投資を専門とし、経産省 対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザー等を歴任。現在13職目 、シンガポール・バリ島をベースに人・事業を紡いでいる。ボランティアでTED日本オーディション、Burning Japanに従事するなど、西海岸文化事情にも詳しい。著書は三作全てAmazon電子書籍で総合一位を獲得。「モチベーション革命」(幻冬舎)、「ザ・プラットフォーム」「ITビジネスの原理」(NHK出版)近著は「アフターデジタル」(日経BP, 藤井氏との共著)。Campfireでのオンライン講義も実施
*15/6/11 Kindleランキングにて、書店はABC六本木、渋谷Book 1st 6/15調べ
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平田 それも可能だと思います。
半導体は今ナノメートルの世界で戦っているので、例えば腸内細菌の大きさというのは……。
福田 1マイクロメートルぐらいですね。
平田 ですよね、なので腸内細菌の方が大きいわけです。
僕たちは今、ナノメートルで配線を切る世界で戦っているので、もしここの常識のボーダーを外せば、色々な可能性があるはずです。
例えばですが、TSMC(台湾を本拠地とする世界1位の半導体受託製造企業)の配線をやっているエンジニアが、メタジェンに出向したとしましょう。
1年ぐらい出向すると、段々と頭に腸内細菌の世界が入ってきますよね。
そうすると、「そのぐらいの大きさなんて簡単だ」という世界になるわけです。
ですから、それぞれの業界にある常識の線に対し、業界・業種を超えていくと、その常識の線を超えるのは意外と可能なのではないかなと思います。
それが、この国は特に全部揃っています。
尾原 これが可能になれば、腸内細菌のサイボーグ化も可能になるということですよね。
永田 そうですね。41℃での半導体実装技術により、サイボーグ技術の体内実装が可能になるという話がありましたが、まさ「問2」の質問に入ってくれました。
「技術の組み合わせによる新たな発想」です。
今や、生命科学とかエレクトロニクス、医学といった縦切りの世界というのは超ナンセンスです。
皆の頭の中に複数の分野の最新知見がインプットされている状態でコミュニケーションすることでこそ、新しいものが生まれるのではないでしょうか。
そこで、ここからは「自分のところの技術を君のところに持ち込むと、こんな成果があるよね」みたいなことを話していきたいと思います。
(続)
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続きは 5. サイボーグの動力源に生物的エネルギーは有効か? 異分野融合から生まれるイノベーション をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/本田 隼輝/浅郷 浩子/尾形 佳靖/戸田 秀成/鈴木ファストアーベント 理恵
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