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6. 組織へのバリュー浸透のために経営陣・マネジメント層がすべきこと

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「最強の組織戦略 ~メルカリ・ラクスルのすべて~」9回シリーズ(その6)は、メルカリ小泉さんが語る“最強の組織論”です。メルカリの組織設計・採用・評価といった全ての人事制度は、3つのバリューに基づいているそうです。そのバリューを社内に浸透させ、カルチャーを醸成するための工夫とは? ご注目ください。

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2020は、2020年2月17日〜20日 福岡市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2018のダイヤモンド・スポンサー Motivation Cloud(リンクアンドモチベーション)にサポートいただきました。

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【登壇者情報】
2018年9月4〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 2B
最強の組織戦略 ~メルカリ・ラクスルのすべて~
Sponsored by Motivation Cloud(Link and Motivation Inc.)

(スピーカー)

小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役社長 兼 COO
〔現 取締役President(会長)〕

松本 恭攝
ラクスル株式会社
代表取締役社長CEO

(モデレーター)

麻野 耕司
株式会社リンクアンドモチベーション 取締役 /
モチベーションエンジニア

「最強の組織戦略 ~メルカリ・ラクスルのすべて~」の配信済み記事一覧

※本セッションの内容は、2018年9月当時の情報に基づくものです。現在の各社の状況とは異なる可能性がございますので、ご留意ください。


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最初の記事
1. ベンチャー企業HR担当必見!メルカリ&ラクスルの組織戦略を「モチベーションクラウド」で徹底解剖!

1つ前の記事
5. マネジメント不全症に陥った急成長中のラクスルが実施した「ミドル育成研修」とは?

本編

麻野 組織変革においては、このような「5M」があると思っています。

まず上位の概念として、事業戦略(Message)と組織風土(Motivation)があります。

そして、これらをつなぐための要素として、人材開発(Membering)、理念浸透(Mission)、人事制度(Monitoring)が存在していることが大事です。

多くの場合、事業戦略と組織戦略をバラバラに考えてしまうので、うまくいきません。

これについて、小泉さんにお話し頂きたいと思います。

小泉 ……何か、ラクスルはすごいね(笑)。


小泉 文明
株式会社メルカリ
取締役社長 兼 COO
〔現 取締役President(会長)〕

早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2007年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任、2017年4月取締役社長兼COO就任、2019年9月取締役President(会長)就任。また2019年8月より株式会社鹿島アントラーズFCの代表取締役社長にも就任している。

僕を含め、メルカリには2回目の起業メンバーが多いので、組織の成長フェーズにおいて何が起きるかがあらかじめ分かっていました。

ですから、人事制度を作ったのは社員が15人の時でした。

麻野 早いですね。

小泉 そこは僕らの唯一の強みかなと思います。

メルカリ組織診断はAAA!維持困難なランクを保つには

小泉 人事制度をつくって5年ほどですが、今は連結で1,000人を超える会社です。

毎年、社員数が2倍になっています。

3カ国で展開していますが、日本だけで1,000人近いですね。

数字は、順調に伸びています。

麻野 組織状態は非常に良く、モチベーションクラウドでは「AAA」の評価です。

通常、すごい勢いで社員数が増えるとスコアは落ちていくものですが、メルカリはそれを維持しています。

モチベーションクラウドのユーザー企業がいらっしゃれば、この成長スピードでAAAを維持するのがいかに難しいかはご理解頂けると思います。

そして特にスコアの高い項目が、理念戦略、事業内容、人的資源です。

この3つのポイントが維持されている状態を、どうやってつくっているのでしょうか?

メルカリは「3つのバリュー」を中心に全戦略を設計

麻野 まず、事業戦略と理念からお願いします。

小泉 はい。メルカリは、ミッションとバリューに徹底的にこだわっています。

バリューは次のとおりです。

「Go Bold ー 大胆にやろう」

「All for One ー 全ては成功のために」

「Be Professional ー プロフェッショナルであれ」(現在は「Be a Pro」に改定)

これ以外のことは基本的に考えていないので、人事戦略においても、この3つのバリューを大事にします。

ありがたいことに、最近は社外の方でもこの3つのバリューを言えるくらい浸透しているかなと思います。

組織の設計、採用、評価など、全ての制度はこの3つのバリューに基づいて、ゼロから考えています。

バリューは、ミッションや事業と紐付かないと意味がない

小泉 ミッションとバリューの関係性、ビジネスとバリューの関係性において非常に重要なことは、ビジネスの特徴とバリューをリンクさせなければいけないということです。

僕らのビジネスは、CtoCで、かつグローバルです。

かつ、1社しか勝てないcompetitiveな難しいビジネスをやろうとしているからこそ、「Go Bold」というキーワードが入ってくるのです。

例えば、ラクスルのビジネス内容だと、このバリューにはなりません。

また、経営者が自分の好みや行動規範を社員に押し付けた形のバリューを選んでしまうことがあります。

そうなると、バリューが事業やミッションと紐づいているという感覚を感じられなくなるので、社員は「いまいち、よく分からない」となってしまいます。

社員には、言葉に共感してもらい、行動してもらわなければいけません。

人間は4つ以上のことは覚えられないといいます。

僕ら経営陣も4つ以上を刷り込むことはできないと思ったので、バリューはこの3つにフォーカスしました。

バリュー浸透のために経営陣がするべきこと

麻野 ラクスルもメルカリも、こうした理念設計がすごくしっかりされていますよね。

小泉 大事なことは、経営陣がバリューを言い続ける、もしくは体現していくことです。

例えばマネージャー研修でも、一番最初に「メルカリのマネージャーに求めることは、バリューを言い続けること、バリューに基づいて行動すること」だと言います。

それさえ行っていれば、マネージャーとして評価できます。

しかし逆にそれができないと、「不幸な未来」しかありません。

ですから、口を酸っぱくしてバリュー、バリューと言っています。

そのための表彰制度もありますが、メンバーが1,000人規模になると表彰がインフレ化していくので、僕らの場合、人数が増えたとしても、表彰するのは1人か2人にしています。

マネージャーから経営陣に向けてプレゼンをしてもらい、そのバリューに経営陣が共感できたものを表彰します。

メディアやパネル議論を通じ、バリューの浸透度を高める

小泉 全社員がメッセージとともにバリューに共感できるというのが目的です。

また、オウンドメディアであるメルカンで発信し、社外の人もメルカリという会社について理解できるよう活用しています。

ルールをなるべく作らず、現場に考えさせるようにしています。

ルールを作るとしても、バリューに基づいて、その必要性を議論します。

メルカリでは、ウィークリーで全社定例ミーティングを行っていますが、そこで「マネジメント・ディスカッション」というものを行っています。

例えば、人事制度を変える時は、執行役員がモデレーターとなり、概要と背景を僕と代表の山田進太郎がパネルディスカッションをする形です。

麻野 今みたいな感じでしょうか?

小泉 そうです、社内パネルディスカッションは、よく行っていますね。

同時にQ&Aシステムを使用して、質問があればその場で書き込んでもらいます。

社員はそれに「いいね!」ができるので、「いいね!」が多い質問から順に答えていきます。

つまり、経営側が何を考えているのかを社員の前でパネルディスカッションをするのです。

プレゼンテーションスタイルだと「上から下に」という形式になってしまいますが、パネルディスカッションだとインタラクティブになるので、お勧めです。

麻野 僕もメルカリで、モチベーションクラウドに関しての報告をパネルディスカッション形式で行いました。

小泉 そうそう、麻野さんにも一度、参加してもらったんです。

麻野 例えば、「最近、採用のレベルが下がっていると思いますが、どう思いますか?」というような「それ聞く!?」というような質問にまで、僕が答えるという(笑)。

小泉 (笑)。

麻野 確かに、とてもインタラクティブだと感じました。

小泉 そういうスタイルをとることで、なるべく組織の透明性を高め、経営陣がバリューに基づいて行動し、考えていることを伝えるようにしています。

麻野 バリューを浸透させるために使っているパワーがすごいですよね。

事業がうまくいっていたり、業績が伸びていたりすれば、理念を浸透させようと考える経営者は多いと思います。

逆に、「今は事業が大変なので、理念どころではない」という企業の場合、絶対に浸透しないと思います。

なぜならその場合、経営者の中で、業績が上がることと理念が浸透することが分断されているからです。

しかしラクスルとメルカリは、「理念やバリューを浸透させれば業績が伸びる」と思っているからこそ、力を入れているわけですよね。

つまり、業績伸長につながるバリューを設計しなければいけないと思います。

小泉 社員が経営陣を信じるかどうかについても、バリューの共有にかかっていると思います。

社員から経営陣への評価がぐらつく可能性もあるので、経営陣の思いを1つに収斂させるためにも、バリューの設定が大事です。

※本セッションの内容は、2018年9月当時の情報に基づくものです。現在の各社の状況とは異なる可能性がございますので、ご留意ください。

(続)

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続きは 7. 成長組織の人事施策は、“ウェブサービスをつくるように、A/Bテストを行いながら”運用しよう をご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸

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