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ICCサミット FUKUOKA 2020 AIカタパルトに登壇いただいた、ニューロープ 酒井 聡さんのプレゼンテーション動画【コーデ検索からトレンド予測まで!ファッション業界のインフラAIを目指す「ニューロープ」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2020は、2020年8月31日〜9月3日 京都市での開催を予定しております。参加登録などは公式ページをご覧ください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2020 プラチナ・スポンサーの日本アイ・ビー・エム様にサポートいただきました。
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【登壇者情報】
2020年2月18〜20日開催
ICCサミット FUKUOKA 2020
Session 8B
AI CATAPULT 注目のAIスタートアップが勢揃い
Sponsored by 日本アイ・ビー・エム
(プレゼンター)
酒井 聡
株式会社ニューロープ
代表取締役
公式HP | STARTUP DB
ファッションに特化したAIをファッションEC、メーカー、メディア、商社等にSaaS提供するスタートアップ、ニューロープの代表。リコメンデーションやパーソナライズ、トレンド分析、需要予測、オペレーション支援など、ドメインにフォーカスしてバーティカルに取り組む。2018年東洋経済誌の「すごいベンチャー100」選出。九州大学芸術工学部でアートとサイエンスを学んだ後、2009年より㈱マイナビでマーケティング、広告、エディトリアル、オペレーション、営業支援等を担当。2012年より㈱ランチェスターでウェブアプリ・スマホアプリの企画、情報設計、デザイン、開発のディレクション、運用に携わり、2014年に同社設立。中小企業診断士、グラフィックデザイナー。
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▶「ICC FUKUOKA 2020 AIカタパルト」の配信済み記事一覧
酒井 聡さん ニューロープ(NEWROPE)の酒井です。よろしくお願いします。
「ファッションはもっと遠くに行けるったい。」
僕はここ福岡の出身なので、本日は博多弁を織り交ぜながら進めていきたいと思います。
ニューロープは、アパレルの専門家の知識やモデルさんのセンスを一つひとつ人力でデータ化し、それをAIに学習させることで「ファッションに特化したAI」を様々な企業に提供しています。
おかげ様で、多くの企業にご利用いただいています。
アパレル業界では、毎年13億着が廃棄処分されている
まずはじめに、なぜこのようなAIが必要とされるのかについてお話しさせてください。
アパレル業界における「13億」という数字。何を示していると思われますか?
これは、日本で毎年燃やされている服の数です。ものすごい数の服が燃やされています。
13億着が燃やされると、どうなるでしょうか?
儲からないのです。儲からないことによって、様々な問題が引き起こされます。
例えば、手に負えられないほどの環境負荷がかかったり、土日も頑張っていらっしゃる販売員さんの年収が250万から300万円にとどまる原因にもなっています。
いまだに日本初のラグジュアリーブランドとして成功した例がほとんどないと言われるのも、先行投資や初期投資が必要とされるためです。
原因は、膨大な商品数と複雑なサプライチェーン
そもそもなぜ13億着も燃やされなければならないのか、その理由を4つにまとめました。
1つ目の理由は、商品の種類がチカッパ(とても)多いことです。
このパンプスは10色展開で、サイズは0.5cm刻みで8バリエーションあります。
単純に掛け算すると、この1商品だけで80種類あるということです。
2つ目の理由は、自社ECやECモール、店舗に在庫が分散していることです。
10店舗あるとしたら、先ほどの靴の場合80種類×10店舗=800足が最低ロットとなり、かなりの在庫を持つ必要がでてきます。
3つ目の理由は、日本にはシーズンがあるため、それを逃したら売れないというタイムリミットがあることです。
極めつけは、ファッションアイテムのサプライチェーンが、非常に長く複雑なことです
さらに、店舗に並ぶ6か月も前に工場に発注する会社が、今でも多数存在します。
これらは全て、多様性を担保しつつ、リーズナブルで価値あるものを作るために行っていることなのですが、逆に業界の問題にもつながっています。
変数が多すぎるため、結果的に生産されたファッションアイテムの3分の1を廃棄しなければならない状況になっています。
画像認識AIで、アパレル業界の課題解決に取り組む
こうした問題には、日本のファッションベンチャーも様々な切り口から取り組んでいます。
ニューロープも、ファッション特化型AIで、アパレル業界に新たなインフラを創り出したいと考えています。
我々の強みは、画像認識AIです。
こちらにあるようなファッションスナップを一瞬で解析し、「ここにトップスがあります」「カーキ色で、フリル袖がついていて、ブラウスですね」という認識をタグ付けします。
これができるのも、オペレータが6年以上かけて人力で入力し作成した教師データがあるからです。
AIはそれを学習することで、認識精度を上げています。
我々は、このAIを様々なプロダクトに入力し、企業にご提供しています。
①画像検索・コーデ提案によるパーソナライズ支援
我々のサービスは、次のように大きく3つのカテゴリーに分けることができます。
1つ目は「パーソナライズ」です。
MAGASEEK(マガシーク)さんにご提供した画像検索の機能は、ユーザーが自分の好きなインスタグラマーのスナップを選んでアップすると、AIが一瞬で解析し、類似アイテムを探し出すというものです。
またitSnap(イットスナップ)さんには、記事中のスナップと類似のアイテムを自動検索し表示するマネタイズ支援サービスをご提供しました。
その他にも、店舗でのデジタルサイネージを使った接客の支援しています。
②画像解析・柄生成等によるクリエイティブ支援
2つ目は、AIによる「クリエイティブ」の支援です。
FLAG SHOP(フラッグ ショップ)さんでは、AIが「このトップスにはこのボトムスや靴が合いますよ」とスタイリングの提案を行い、顧客が複数点買いするのを促しています。
その他にも、様々な柄をAIに学習させ、それを元にオリジナルの柄を作成するというプロジェクトも手がけています。
③SNS上のトレンドデータを分析、需要予測&改善提案
3つ目が、現在最も引き合いの多い「マーケティング」支援サービスです。
次のようなInstagramやTwitter上のスナップを一つひとつAIで分析し、「今世の中ではこのような色、素材、丈がこのくらい登場しています」という内容が分かる定量データを企業へご提供しています。
また、企業の過去の売上データを分析し、商品情報を全てタグ付けしながら、700種類程度の特徴で商品を分類しています。
そして、それを元に統計的な予測を行います。
例えば、新しく作ろうとしている商品に関するデータをこの予測モデルに投入すると、樹形図をたどって需要予測を出したり、販売に関する改善提案を示してくれたりします。
こちらは、現在5社と研究開発を進めながら精度を向上させているフェーズです。
AI×Fashionは相性抜群。多国籍チームで世界市場を狙う
我々は、これをやりきれるのでしょうか?
現在、ドイツ、ポーランド、アメリカなどから優秀なエンジニアを招聘し、エンジニア中心の多国籍チームを作っています。
ご提供するSaaSは、最低月3万円からお使いいただけます。
ですから儲かる前の企業でも導入しやすく、ワンタグで簡単に使用できるので、多くの企業様に導入いただいています。
現在はアジアを中心にマーケティングを行っていますが、これから10年で2倍以上になると予測される120兆円のアジア市場も視野に入れ、展開を進めているところです。
また我々は、ファッションにAIを適用することでデータを蓄積し、またそれをAIに投入して育てていくという循環を作っています。
AIは、人手で捌ききれないほどのデータを抱えたファッション業界と非常に相性が良いので、ここから様々なAIを作っていきたいと考えています。
AIが産むプロフィットを、次のクリエイションの原資に
最後に、AIとクリエイティブの関係についてお話ししたいと思います。
私自身、絵画や純文学や音楽が大好きで、クリエイターを尊敬しています。
ファッションも、好きなものの一つです。
コンセプトを考える人がいて、デザイナーがいて、リテールで売るという流れの中で、人にしかできない部分とAIが得意な部分とがあると思うのです。
売れるものはきちんと売り、売りにくいものは作らないのではなく適正量を作って欲しい人にきちんと届け、売り切る。
そしてきちんとプロフィットを残し、そのプロフィットを次のクリエイションに充てていきたいと考えています。
毎年13億着燃やされている洋服をどこまで減らせるのか。
1億着減らせるだけでも、すごいことだと思います。
我々1社だけではできないと思っており、皆様のお力添えをいただきながら業界を少しずつ変えていきたいと思っています。
以上、ニューロープでした。ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/尾形 佳靖/フローゼ 祥子/道下 千帆/戸田 秀成
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