KLab真田さん、C Channel森川さん、杉山さん、SFC琴坂さんが登壇した「経営者としての心構え」を3回にわたり公開します。経営者としての決断の時にどのように考えるのか? 厳しい局面のときにどうしたのか?など修羅場を経験した経営者の素晴らしい議論でした。是非ご覧ください。
登壇者情報 2016年3月24日開催 ICCカンファレンス TOKYO 2016 Session 5C 「経営者としての心構え」 (スピーカー) 真田 哲弥 KLab株式会社 代表取締役社長CEO 杉山 全功 Emotion Intelligence株式会社 取締役 森川 亮 C Channel株式会社 代表取締役 (モデレーター) 琴坂 将広 慶應義塾大学総合政策学部准教授(現在)
琴坂将広氏(以下、琴坂氏) 早速開始したいと思います。
「経営者としての心構え」というセッションです。非常に大きなトピックなんですけども、これが実は最も重要なんではないかと。
今回このICCカンファレンスというのは日本を先導していく、そういった人達を集めていくというカンファレンスなんですが、やはりそこに求められるのはリーダーシップ。
そのリーダーシップをこれまで体現されてきた方々がここに登壇していただいていますので、私も1人の質問者として非常に楽しみにしてきました。
あんまり打ち合わせしてないです。全然してないです。ポロリがでるように…
琴坂 将広 慶應義塾大学総合政策学部准教授 慶応義塾大学准教授(SFC・総合政策)。数社の起業を経験の後、マッキンゼー・アンド・カンパニーの日本およびドイツを拠点に主に海外企業の経営支援に従事。その後、オックスフォード大学に移籍し、経営学の優等修士号と博士号を取得。立命館大学経営学部を経て、2016年より現職。フランス国立社会科学高等研究院アソシエイト・フェロー、(株)アピリッツ社外取締役、(株)ユーザベース社外監査役を兼務。著書に『領域を超える経営学』などがある。
森川亮氏 真田さんはポロリ得意ですから。
琴坂氏 集中的に突っ込んだ質問をしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。もし「これ聞きたい」とか「ちょっと待て」っていうのがあればどんどん入っちゃって大丈夫ですので、それに対してもよろしくお願いします。
まず、皆さま非常に著名がな方々ですので細かい経営はどうでもいいんですけども、心構えや哲学、自分はこういう経営者であるという視点からちょっと自己紹介から入っていただければと思っております。まずは真田さんからお願いできますでしょうか。
真田哲弥氏(以下、真田氏)真田です。心構えを絡めた自己紹介。
琴坂氏 そうです、哲学。
真田氏 いきなり難しい。
琴坂氏 こんなのは真田さんでもしたことないはずなんです。
真田氏 僕は学生時代から、学生時代の先輩の言葉で「人生一生自己紹介」という言葉があって、自己紹介のパターンをいくつか持ってるんですけど、この振りは自分のパターンにない自己紹介で…..
琴坂氏 そう、これがポイントなんですね。
真田氏 僕は一生ベンチャー経営者でありたいと思っていて、いい意味でのベンチャースピリッツみたいなものを一生無くしたくないなという想いを今も持ち続けています。
よくベンチャー企業と零細企業、中小企業の違いは何か?という禅問答のような問いがあると思うんですけども、中小企業、零細企業の社長ではなく、ベンチャーの社長であり続けたいなと思いながら経営をしております。
真田でございました。
真田 哲弥 KLab株式会社 代表取締役社長CEO 大学在学中に最初の起業、その後24歳で2度目の起業、短期で急成長を遂げるも、事実上の倒産。1997年株Accessでi modeプロジェクトを主導。1998年に株式会社サイバードを設立し取締役副社長兼CTOに就任。同年、携帯電話の技術開発を行うケイ・ラボラトリーを設立、代表取締役に就任。2004年 社名をKLab(クラブ)株式会社に変更。2011年に東証マザーズ上場後、2012年に東証一部に市場変更。現在はモバイルオンラインゲームの企画、開発、運営を主力事業とし、数々のタイトルを世界各国へ提供しています。
琴坂氏 ありがとうございます。杉山さんお願いします。
杉山全功氏(以下、杉山氏) 杉山です。僕もそういう振りは初めてですね、実は。
どういう経営者でありたいか、いくつかあるんですけども、僕の場合、僕自身が何かが出来るわけでは決してないので、どちらかというと色んな人が出来る人に集まってもらって、チームで何か
を成し遂げたいな とずっと思っているんですよ。
そういった意味ではみんなに助けてもらえる経営者でありたいなというのはありますね。
あとね、僕もすごい昔先輩に言われて、その時は「え?」って思ったんですけど、今は実はやっぱりそうだなと思ってるのが、運のいい経営者でいたい。
これすごいデフォルメしてますけど、もちろん何もしないで運がいいていうことじゃなくて、やっぱり人との巡り合いとか色んなのがあるんですけど、最後に成功するかしないかって微妙な差とかあると思うんですけど、その時に色んな実力があっても上手くいってない人と、なんか上手くいってる人を比べた時に、皆さんがどういう人のもとで働きたいかっていったら、やっぱり運のいい人だと思うんですよね。
杉山 全功 Emotion Intelligence株式会社 取締役 1965年生まれ。関西大学在学中に真田 哲弥 氏(現KLab㈱代表取締役)が設立した学生ベンチャー、㈱リョーマに参画したことが企業家、経営者へのきっかけとなる。 その後多くの会社経営に携わったが、2004年に代表取締役に就任した㈱ザッパラスを2009年に東証1部上場企業に、また同社を退任後、2011年に代表取締役に就任した㈱enishも就任後わずか2年半で東証1部上場企業に育て上げた実績を持つ。 ㈱enish退任後は、㈱サミーネットワークス、㈱アイレップ等の社外取締役を務める傍ら最近はエンジェルとして若手経営者の育成にも力を入れている。
真田氏 運は大事ですよ。
杉山氏 絶対大事、これ。
真田氏 運は大事ですよ(繰り返す)。
森川亮氏(以下、森川氏) 運はどうしたら良くなるんですか?
森川 亮 C Channel株式会社 代表取締役 1989年筑波大学卒、日本 テレビ放送網株式会社入社。 1999年、青山学院大学大 学院国際政治経済学研究科修士課程を修了しMBA取得。 その後ソニー株式会社に入社。 2003年、ハンゲームジャパン株式会社に入社、取締役を経て、2006年10月、 取締役副社長に就任。 2007年10月、NHN Japan株式会社(ハンゲームジャパンより商号変更)代表取締役社長に就任。 同年11月、ネイバージャパン株式会社設立に伴い、ネイバージャパン代表取締役社長を兼務。 2013年4月、NHN Japan株式会社の商号変更により、LINE株式会社 代表取締役社長に就任。 2015年3月、同社代表取締役社長を退任。 同年4月、C Channel株式会社代表取締役に就任。
杉山氏 そういった意味では、自分も運のいい人と付き合う。これ大事です。
森川氏 じゃあこの二人はまさに。
真田氏 運の悪い人と付き合うと、悪い運はうつりますよね。
杉山氏 絶対うつる。
真田氏 いい運はそんなにうつらないんですけど、悪い運は確実にうつりますから、悪い運を持った人達と一緒につるむと絶対に悪い運をもらいますよね。
杉山氏 絶対その通り。
森川氏 何か過去例えば?
真田氏 例えばで言いますと、
杉山氏 真田さん、明後日株主総会があるんでほどほどで・・・
真田氏 ああ、そうですね。
杉山氏 ほどほどに、どうぞ。
真田氏 僕の人生の中で暗黒の8年間という時代があるんですね。
一緒にやってた会社を倒産させて、その次に表に出るまで8年間は、僕は行方不明といわれていて、8年間みんな僕の周りの人達は、きっと東京湾の底に沈んでるんだろうと、忘れ去られた人になってた8年間というのがあるんですけれでも、
杉山氏 忘れてない、ずっと思ってましたよ。
真田氏 その時に知り合う人が、借金にまみれて日々生活していると知り合う人のレベルが日々下がっていくんですね。
そうすると本当に裏目裏目に出ていくっていうことが起こってきて。
僕ね、どうやったら運が良くなるんですかというと、先ほどの杉山さんの冒頭で言われたみんなに助けてもらう、要は性格がいい人が運が良くなるんです。
何故ならば愛されるから、例えばすごい良い儲け話があったとして誰に最初に持っていくかというと、自分が好きな人に持っていくわけですよ。
その人が「これじゃあ俺やるよ、そんないい話」となる。これ運がいいわけじゃないですか。
だから運がいい人というのは人に好かれる人なんですよね。
運が良くて仮に儲かったとしましょう。それを皆さんに還元すると、あの人にいい話を持っていくと還元してくれるからと言ってまたそこにいい話が集まってどんどん循環が良くなる。
森川氏 エコシステムみたいなね。
杉山氏 独り占めしてないってことなんですよね、情報も含めてお金も。
真田氏 それが運がいい人ですね。
これが悪循環が始まると、どんどん悪くなっていきますよね。貧すれば鈍するとかそういう言葉ありますけど。
琴坂氏 真田さんも杉山さんもどちらかというと周りに助けてもらうためにその中核になっていく、みたいなスタイルをお持ちだという理解で正しいですか?
それとも自分で引っ張っていくスタイルでしょうか?
杉山氏 真田さんは両方なんですよ、両方できるんです。
真田氏 僕は割と率先随伴型とか(織田)信長型ですね。
琴坂氏 自分で引っ張っていく側ですか?
真田氏 自分でまずこうだ!と言って、よく織田信長を描いた時に言われることって、最初に1人で馬で駆け出していって、そこから遅れて部下の兵士がみんな慌ててついていくという、僕はそこからスタートしますね。
琴坂氏 ただ杉山さんはそうではないパターンであると。
杉山氏 僕は最初に行ったら真っ先に殺されるタイプですね。
琴坂氏 では森川さんに伺いたいともいます。話が戻りますがご自身の哲学をお話いただけないでしょうか?
森川氏 僕自身は経営してまだ10年ぐらいしか経ってないんですけどその時によってスタイルって変わってきまして、直近でいうと儲かるものをやるというよりは、むしろ難しいんだけど自分がやらないと誰もやらないだろうな、というものを自らやろうという方針で今やってますね。
琴坂氏 それはご自身から率先してやっていかれるようなタイプですか?
森川氏 そうですね、むしろそういう感じかなと思います。
琴坂氏 両面あるとすればどうですか?真田さんが周りに助けてもらう時はどういう時なのか、逆に杉山さんが自分で率先していく時はどんなことがあるんでしょうか。
森川氏 世の中が求めてるものをやれば、当然それを助けたい、助けることによって世の中にとっても自分にとってもいいわけなので、そういうものをやると自然と人が集まってくるんじゃないですかね。
杉山氏 僕が率先してやる場合って、実は過去にもあったんですけど敗戦処理的なところとか。
これは多分トップじゃなきゃできないですよ、きっと。
ちょうど今から10年位前にザッパラスの社長に就任した時に真っ先にやったことって、実はまず僕以外の役員全員辞めてもらったことなんですよ。
琴坂氏 それは自分が責任を取るために辞めてもらったのでしょうか?
杉山氏 責任と、今後のことを考えてってことなんですけど、適性とも考えて。
社員も当時百数十人いたんですけど、一旦半分に減らしてるんですね。
琴坂氏 その時はどうですか。特に経営者の心構えが試される時っていうのは、自分が採用したとか作ったものを自分で畳まなきゃいけない時、そういう時どんなことを感じられるのか、どういう心構えなのか。
杉山氏 多分皆さんそうだと思うんですけど、経営者はある意味前向きなんですよ、楽天家かもしれないですけど。
だから失敗は失敗なんだけどもう既に頭を切り替えてて、失敗だけに目を向けてうーんってなるより、もっと良くするためにこうしなきゃ、に切り替わってるんですよ。
僕なんかだと敗戦処理というか、始めたけど失敗したから止めようという時は全然矛盾がなくて、だって会社のためにそっちの方がいいよね。
森川氏 正しいことをしてるってことですよね、長期的に。
琴坂氏 そこで追い込まれるというよりは、ここでやるべきことが明確になった、みたいなイメージが。
杉山氏 そう、ある意味前向きなんですよ。
琴坂氏 真田さんどうですか、暗黒の8年間でも同じですか?
敗戦処理の時であっても前向きに生きていけるのか。「これはダメだ」とか追い込まれたという気持ちではなくて、作業に集中して事業を立て直すことができるのか。
真田氏 逡巡する期間が一定あるじゃないですか、自分としてはこう作りかえたらこの事業まだ良くなるんじゃないか、とかって思いが残っているタイミング。
で、実際ひょっとしてもっと突っ込んで事業が赤字で上手くいってない時に、選択肢としてもっとお金を突っ込んで回収するとか、もっとお金を突っ込んで広告をするという選択肢と、ここで損切り撤退するという選択肢が常にあるわけですよね。
損切り撤退って本当はしたくないけど損切り撤退するっていう決断はやっぱり自分でしないといけないので、その決断をするまではすごい悩みますよね。
前向きにはなかなかなれなくて、「これでもダメかも分かんないな」っていうことがじわじわと日々の売り上げデータとかを見ながら「うーん、これダメかな」みたいな。
一旦これは損切り撤退だと決断すると、その事業に関わってた一部の人は辞めてもらうしかない、と自分の中で目標を決めるまではものすごい後ろ向きな気分になるんですけど、目標決めていつまでにこの事業を畳んで損失をここまでで食い止めて、そのために人員を何人削減して、みたいな目標がいざ決まれば一気に前向きになれますね。
辞めてもらう話をする時とか非常に辛いですけど、こうしてこれでここまでに縮小しようとか、一旦目標を決めてしまえば前向きになれますよね。
琴坂氏 杉山さん、違和感はないですか?
杉山氏 さっきの逡巡してる期間の話を省いただけで、全く一緒です。
琴坂氏 森川さん、どうですか?
森川氏 結局その経営者って諦めたらおしまいですから、常に前に進むために最善の策が何かっていうことを考えて、まだ意思決定できな間ではさっきみたいに悩みながら、で見えたらそれをやるっていうところだと思うんですよね。
結局 経営って楽しいことよりもむしろ厳しいことの方が多いんだけど、それを乗り越えた時に本当の意味での経営の楽しみみたいなものがあるんじゃないですかね。
琴坂氏 答えが分からないとか迷いがあるってすごいストレスがあることだと思いまして、普通の経営者でない方にはやりたくないことだと思うんですけど、迷いがある、答えがないという時に
どういうふうに答えを出されてますか。
どういうふうな心持でそのうーんっていう期間を乗り越えてるかってことをお聞きしたいんですけども、杉山さんどうでしょうか。
杉山氏 多分色々やるんでしょうね、なんかやってみるんでしょうね。
何にもしないでじーっと籠って1週間過ごすっていうことは多分ないんだろうなと思いますね。
琴坂氏 何やりますか、例えば。
杉山氏 何やるんですかね、思いつく限りのことをやっていくんでしょうね、きっと。
まずアイディア出しとして、人の話を聞きますね、きっとね。
琴坂氏 どんな人ですか?
杉山氏 社内外、外かな、多分そういう時は。
琴坂氏 悩んでる?って聞くんですか?
杉山氏 こうこうこんな時ってどう思います、とか。
琴坂氏 ざくっと聞くと。それに対する発言っていうのは、本当に参考になってますか?それともただ単に自分の思考を整理するだけなのか。
杉山氏 両方あると思いますね。自分がある程度仮説があって、人に聞いてやっぱりねって思う、その確認作業に入っている時と、あとは本当に、多分全く何にもないってことは現実ないんだろうなと思いますけどね。
琴坂氏 どちらかというとインプットするっていうイメージですか?
杉山氏 そうですね。
真田氏 僕よく言うんですけど、判断と決断の違いみたいなものがあって、判断ができない時は決断ができないわけですけども、それでも決断をしないといけない時が経営者にはあって、僕は判断がどっちであれ決断を正しくできるかどうか、という命題があると思うんですね。
即ち、判断の正しさは後にしか分かんないんですよ、それがどうなったかは。
でも今決めないといけない時というのは、自分を信じてこうだとやるしかなくて、こうだって決めた時に大事なことは後ろを振り向かないこと、後悔しないことなので、決めた以上それが結果論として 正しかったといわれるようにその後、最善の努力をしようというふうに頭を切り替えるんですね。
あの時の判断は良かったのかな、右だったのか左だったのか。
もう右って決めた以上、「ほら右でよかっただろう」と後で言わせてやる、っていうふうに頭の中を切り替えるんですよね。
そうじゃないともう分かんないんです。
将来これがどっちにいくかなんて、本来なら判断材料がなければ判断材料ができてから決断をしましょう、というべき時はそういいます。
それによって決断を先延ばしにすることと判断材料が増えることが、どっちにバランスがいくか、判断期間を1か月遅らせることによって起こるマイナスと、1か月遅らせることによって増える判断材料が、マイナスの方が大きい時っていうのがあるじゃないですか。
1か月遅らせても判断材料はたいして増えないけど、1か月遅らせたら赤字や流血はもっと大きくなるよっていう事態の時は、遅らせちゃダメじゃないですか。
琴坂氏 決めるしかないってことですね。
真田氏 そういう時は判断材料揃ってないけど決めるしかない、という結構これが経営者にとって一番きついところなんですよ。
琴坂氏 これきついですよね。こういう時って、Aという選択肢とほとんど同じように見える選択肢でBという選択肢があった場合、どういう選択肢は採る、こういう選択肢は採らない、というイメージありますか?
ほとんど同じように見えるAとBがあった時に、こういうAは絶対取らないとか、こういうBは採るみたいな、そういう判断基準ってお持ちでしょうか。
森川氏 1つはやっぱり分かりやすさが重要だと思いますよね。
やっぱり経営者も1人で仕事をするわけではないので、それを受けて部下の人達もスッと入ってくるものと中々入らないものがあるとしたら、スッと入るものの方がスピード感は出るので、同じものであれば分かり易い方がいいかなと思いますね。
琴坂氏 よりシンプルなものにすると。それは自分のスタッフが動きやすくするため。
森川氏 はい、スピードが速くなりますからね。
結構難しいのが、本当はもしかしたらこっちの方が正しいかもしれないんだけど、その理解とか腹落ちするかどうかで時間がかかっちゃう場合が、結構上手くいかない場合が多いんですよね。
琴坂氏 なるほど、自分にとって同じAとBなんだけども、自分のスタッフとかお客さんになった時にこっちの方がいいっていうような、そういう発想をするということですね。
真田氏 僕ね、AであろうがBであろうが迷うっていうことは、実はその時点における成功確率というのはどっちも五分五分だから、どっちも成功するかもしれないし、どっちもやり方によると失敗するかもしれないんですね。
これをやる時に社内の意見が統一されることというのがものすごい大事で、A派とB派に分かれてしまっている時はだいたい上手くいかない。
俺がAと言ったらみんなAでいくよな、ということを事前にしっかりヒヤリングと根回しをすること。
Bって言うかもわからん、Aって言うかもわからん、それでも俺に一任でやれるなって、少なくてもまず幹部役員のそこが割れたら絶対上手くいかない。
判断材料が無い時は、AでもBでもどっちでもいいわけじゃないですか。それよりも、社内が1つになってそこに向かえるかどうかの方がよっぽど大事なので、その決める時というのは内容で決めないですね、意見が統一できるかどうかで決める。
琴坂氏 そうすると自分の中でAに見えても、それが本当に経営幹部、自分のマネージメントスタッフも同じように見えてるかを確認する、どっちでもいいかってことを確認すると。
真田氏 はい、確認します。
森川氏 やっぱり行動が一番重要なんじゃないですかね。
行動しなければ結果は出ないので、そうすると行動に変わるようなものが一番正しくしやすいような気がしますよね。
琴坂氏 なるほど、どうですか杉山さん。
杉山氏 決断そのものの正しさではなくて、それによっての結果がどうかを考えるのが経営者だと思うんですね。
学術的には多分A案、B案どっちがいいよねとか、計算上は数字でこうだよねと出るんでしょうけど、経営はやっぱりアカデミックな話ではないので、結果それがどうかっていうところまで考えるのが経営者の決断なのかなと思いますね。
琴坂氏 これまでのご経験で、これ実はほとんど独断で決めたとか、反対を押し切って決めた、みたいなことってありますか。
これまでの決断の中で、結構すごい反対意見があったんだけども自分はこうだと信じていたので自分はそれをやったってことって何ですか?
森川氏 僕やったのは、全社員の給与をリセットしたっていうのをやりまして、全部ゼロベースで考えて評価をして給与を変えた。
琴坂氏 過去の実績は問わないと。
森川氏 むしろ未来にどれだけ価値を出せるかってことで評価値を置き換えたんですけど、その時は社内にいて怖かったですね。
琴坂氏 どんな空気感ですか、それは。
森川氏 なんか敵を見るような。
琴坂氏 白々と。
真田氏 それね、やりたくても僕はできなかった。
ベンチャー企業でやっていくと必ずそれをしないといけないタイミングか来るんだよね。
杉山氏 定年の年齢を早くするとかそういう話をされたりとか。
真田氏 ベンチャー企業で「がー」とやっていくと、初期メンバーは古くからいて初期すごい役に立った人で給与上げてあげたくなるからあげちゃうんですよね。
ところがIPOした後から入ってくる優秀なメンバー、東大卒とか京大卒とか優秀なメンバーが入ってくると、初期には役立ったメンバーがもはや役に立たない。
後から入った若いヤツの方が優秀っていう事態が起こっちゃうわけですよ。
多分どこのベンチャーも必ずそうなるんですけど、後から入ってきた人の給料と釣り合わなくなってバランスが取れないっていう事態が必ず来るんですよね。本当その時に1回給与リセットするをやりたいのですが……
でもそれ、(森川さんは)リセットやっちゃいましたか!
森川氏 僕は2人目の社長だからできたっていうのもあるんじゃないですか。
社長になった瞬間に決めたんですよ。前任者否定というよりも、みんな分かってるんだけどやっぱりできない、最初にやらなきゃだめですね。
真田氏 なかなかできないですね。
森川氏 結構きつかったですね。
琴坂氏 そういう時はどのようにコミュニケーションするんですか?
森川氏 基本的にロジカルに考えると、インターネットとかITの世界って変化してますから、過去よりは未来に価値を出せる人の方が重要なわけですよね。
そうじゃないと成長しないですから。
なのでそれはロジカルにはみんな理解できるんですよ。
でも一方で、自分はどうなんだという時に、自分の給与が下がるとなると、僕は未来に価値を出せますよというふうには言うわけですよね。
琴坂氏 そこのエモーショナルな反応に対してどう対応しましたか。
森川氏 ただこれは1人ずつ対応する話ではなくてコンセプトの話なので、それはもうこうすると言い切るしかないですよね、まずは。
真田氏 こと、給料に関してだけは、総論、賛成、各論、反対がいっぱいでますよね。
総論は賛成だけど、俺の給料が下がるのは反対だ、とみんな言わないですか?
森川氏 そこは各役員に任せるという。
(会場 笑)
(続)
編集チーム:小林 雅/城山 ゆかり
続きはこちらをご覧ください:経営者として覚悟とは何か?
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