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「ファンを創るプロダクト・サービス」のセッションの「後編」を公開しました。オイシックス高島さん、ウォンテッドリー仲さん、クラシコム青木さん、スマートエデュケーション池谷さん、そしてNewsPicks編集長の佐々木さんの議論を3回に分けて掲載しました。「後編」は最新テクノロジーとどのように向きあえばよいのか? 人材採用や育成はどのような考え方で行っているのか? などの議論です。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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【登壇者情報】
2016年3月24日開催
ICCカンファレンス TOKYO 2016
Session 3C
「ファンを創るプロダクト・サービス」
(スピーカー)
青木 耕平 株式会社クラシコム 代表取締役
池谷 大吾 株式会社スマートエデュケーション 代表取締役
高島 宏平 オイシックス株式会社 代表取締役社長
仲 暁子 ウォンテッドリー株式会社 代表取締役CEO
(モデレーター)
佐々木 紀彦 株式会社ニューズピックス 取締役 NewsPicks編集長
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【前の記事】
【本編】
佐々木 最新テクノロジーを上手く使えれば使えるほど、やはりファン作りにもすごく役に立つというところがありますでしょう。
高島 コマースは少し遅いのです。やはり、ネットというのはいつもコミュニケーションとゲームあたりがテクノロジー的には早くて、コマースには遅れてやってくる。
昔、来そうで来なかった仮想空間、セカンドライフとか、そういうものもあるので、そんなに先行的にやる必要はないけれど、他のコミュニケーションツールとか、ゲームとかで行けるようになってきたものを、後発的に、しかしコマースの中では先発的にやるくらいがちょうど良いのではないかと思っています。
青木 バーチャルリアリティなのかとか、これまでのいろいろなことかというのは別として、そのテクノロジーの使われ方のコンセプトというものが少し偏っていると思っています。
Eコマースを取ってみると、amazonと楽天というものがあるわけです。amazonというのは究極的に人間を不要にするAIロボットのようなコンセプトのテクノロジーの使われ方だとして、楽天の方はラジコンロボットみたいに人間のできることの一部しか代替できないけれど、安価で標準化されているシステムです。
そのAIロボットとラジコンロボットの間に、本当はモビルスーツというものがあるはずなのですね。
つまり、中に乗っかるニュータイプという人の知覚と能力を拡張するというシステムの使われ方というものがあるはずです。
カリスマ店員に、ビックデータはいらない
高島 それは要するに渋谷の「109」のカリスマ店員のようなものを乗っけたらすごいことになるというようなシステムの使われ方というのはもっとあって良いと思っていて、それが結構究極的にできているのが「WEAR」かなと思っているのです。
あれに結局ショップ店員がすごく投稿していて、「ジム」のような量産型のモビルスーツかもしれないけれど、少なくとも一人のショップ店員が人間として、レーザービームをぴょんぴょんやっているよりは、遥かにパフォーマンスする。
そういう意味で、よくeコマースの業界でシステムの話をやるとオペレーションの自動化をして人間をいらなくしようとか、ビックデータで解析してオススメのものをレコメンドしようという話になるのですが、カリスマ店員というのは自分のお客様に対して何が売れるのかはもうわかっているのです。
ビックデータはいらないのです。みんなメモ帳とかに書いている。そして、それをLINEで自分の客に、こんなものが入ったよと言って出しているのです。
そして、昔、今はどうかわからないですが、「109」に出店しているとあるブランドで、50坪くらいのところで年間15億円売っているというのです。
すると、そこには店員がいっぱいいて、在庫を店員が手で補充して、メモ帳に取ったカスタマーデータを下にLINEでコミュニケーションしてモノを売って利益が出ているなら、この子たちを最大化することを考えた方が良い。
この子たちがいらなくなるようにシステムに代替させるのではなく、この子たちの価値を最大化するシステムを開発した方が、全然意味があるのではないでしょうか。
先ほど人間というシステムはすごいというお話が出ていましたが、こんなすごいシステムを放棄するのではなく、人間というシステムをコアパーツに置いたトータル的なシステムというものはもっとあって良いと思います。
だから、LINEのメッセージをもらった子とかがすごく喜んでいるのです。お客さんなのですが。
メルマガがめちゃくちゃ喜ばれて、他の人に自慢されているという状況です。だから、それをやるには、もうパーソナライゼーションされた、いろいろな塊になった、例えば10万件のメルマガのリストがあるうちに、それをものすごく細分化して、ガチャガチャみたいにボタンを押したら30通単位くらいに分かれたパーソナライズのモノを送ったら、3人買うというような感じです。
30通送れば3人買うのを、一人のカリスマ店員が一日3通書いてくれれば、10件売れて、だいたい売上で10万円強くらいになる。
すると、その店員のコストが1万円くらいだとして、粗利4割くらいだったら全然ペイする。
だとすると、何故そういう方向でテクノロジーを使わないのかなという不思議な思いはあります。
ウチにめちゃくちゃエンジニアリソースがあったら、そういうのを作りたいというのはすごくあります。
ですが残念ながらそういうリソースがないので、ここにいる誰かが作ってくれないかなということで言っているのですが。
人間的な関係構築をネットを通じてできれば、ファンづくりに繋がっていく
佐々木 今度、FacebookのメッセンジャーのBOTのようなものが出るかもしれないという話がありますが、ああいうのはそれと近い感じでしょうか。
青木 ですから、そういう方向へどんどん行っているなとは思うのです。
だからやはり先ほどの教育はリアルがないと完結しないとわかってきたりとか、いろいろなことがある中で、やはり人間という存在もシステムのコアパーツとしてもう一回再評価されるべきだと思うのです。
要するに、人間というシステムは高度なのに結構安価なのです。ものすごい安価。ですから、このシステムを、システムの一部として、どう使っていくのか。
WEARで言うと、いわゆるレコメンデーションのエンジンとかはないのですが、ユーザーが自分のトップページをフォローしたりリフォローしたりでパーソナライズできるわけです。
それはユーザーの頭をリコメンデーションエンジンみたいにして活用しているということでしょう。
だから、そういうことがソーシャルメディアの中ではすごく行われているので、eコマースの中でもそういうシステムの使われ方というものをしていくのが、やはりもっと人間的なリレーションをネットを通じてできることで、ファン作りに繋がっていくということになっていくのではないでしょうか。
佐々木 面白いですね。その意味で、人間とシステムをどう上手く繋げながら、どうファンを作るか。
最初に高島さんに伺った質問にも重なりますが、どのようにして人材、従業員の人たちみんなにそういう意識をつけるか、どのようにしてリーダーを作るか、というところで最後は人になってくると思います。例えばオイシックスは奥谷さんという、MUJIアプリを作った話題の方を引き抜いたり、ドクターシーラボから西井さんを引き抜いたり、人材面ですごく面白い動きをしてらっしゃいます。
最後みなさんに採用面、どう人を採用したり育てたら、ファンづくりに上手く役立つような会社ができるのか、仕組みができるのか。その人材戦略からのファンづくりというのを聞きたいと思います。高島さんからよろしいでしょうか。
ファンをつくる人材を育てる
高島 すごいずっと大きな課題に悩んでいます。
まず二つ話をします。採用に関しては、ウチはストーカー採用というのをやっていまして、偶然奥谷さんが飯を食べている場所にいるというようなことを結構何度もやるのです。
気持ち悪いのですが、「またまた偶然だね」ということを何度もやります。
このように結構狙いを定めたらストーキングする。
女の人を二股かけると怒られますが、採用で何人くどいても褒められることしかないです。このように良いと思った人に対してはストーキングしています。
それから、社員をどうするかというのは非常に難しいのですが、僕らがやっているのは体感させるということをすごく重視しています。
僕らで言う現場というのは、畑とお客さんの食卓、両方があるのですが、食卓側は私だけではなくて、多くの社員がお客様のご自宅を訪問して、お客様のリアリティを浴びるように感じるということをやる。
それから半年に一度だったでしょうか、システムとか経理とか全部畑へ行かなければならなくて、農作業をやらなければならないのです。
それで結構リアルに働かされるのです。4時間、5時間。収穫とかではなくて、雑草取り4時間とか、ビニールハウスの撤収5時間とか、そういうことをやって、一緒にご飯を食べて、農家さんとか農家さんの家族が、どういう思いでモノを作って、どういう思いでオイシックスと取引しているかということを聞く。
そういう体感を通して、自分なりの価値観を一人一人の中に落とし込んでいくということを今のところやっています。
佐々木 奥谷さんは何故採用されたのですか。
高島 いや、面白い方だなと思って。なんと言えば良いか、ウチの会社特有の事情なのです。
社長が何役(どんな役割)かというところで、僕は結構マーケティングの経営者なのです。
ITに強い経営者とか、財務に強い経営者とか、サービスに強い経営者、オペレーションに強い経営者といろいろあると思いますが、マーケティングをやっている経営者なのです。
でも、そろそろ経営をしなければならないかと思い始めてきて、マーケティングを僕の代わりにやれる人を増やすべきフェーズかと思った時に、シーラボの西井とMUJIの奥谷というのが、ちょうどいる会社の中で卒業されるタイミングで、僕らの会社のニーズに合っているので、何としても来てもらいたかった。
そして、結構半年以上かけてくどきました。西井とかは世界旅行をするのですが、世界旅行中ずっとストーキングをして、南極へこれから行ってきますという時も、スカイプミーティングでさせてくださいということで南極の手前でミーティングをするとか。
そういうふうにして追いかけて、来てもらいました。本当にそういう感じで採用をして、来てもらってすごく良かったです。
ヴィジョンに共感するのが一番大事
佐々木 仲さん、どうですか。採用面で。
仲 ヴィジョンに共感するということが一番大事なのだと思っています。
そこで三つあるということを結構言っています。一つが成長実感、もう一つが共感、そしてもう一つが自律なのです。
そして、共感は、会社のやり方とか方向とか全部納得しているとかということが重要なので、シャワーのように同じことを言う。要するに布教活動です。
みなさんもやっていると思いますが、同じことを毎回ひたすら毎週ミーティングやランチで言う。何のためにやるのか、どういうふうに私たちはやるべきなのかとかを繰り返す。100回繰り返すとやっと覚えてくれるという感じです。
そして、それができると、意思決定、判断ができるようになってきます。お客さんが不適切なバナーを出してきて、でも500万円払うと言ってきているときに、それを受け入れるか断るかというようなことを末端の社員もできるようになるのです。
方針のようなものをシャワーのように浴びせているとそうなります。すると、自分に意思決定権があるという状況ができるので、オーナーシップを持ち自律的に働けますね。
あとは成長実感というのは、これは新卒を採用した時に苦労したのですが、自分のレベルに合った仕事というのがないと、すごく簡単すぎて飽きてしまうか、オーバーウェルミングになっていっぱいいっぱいになって辞めてしまうか、どちらかです。
そこはFacebookのレイヤーみたいなグレイド制のようなものを参考にして、ICというのですが、IC1~9というように作って、そこで合った仕事をマネージメントできる仕組みなどを作って、「自律」、「共感」、「成長実感」というところで上手く回ると、仕事でこういう人を増やすということに共感もしているし、その方向へ向かってサービスを作っていけば自分がやりたいことをやれるし、というようなことを考えて、組織作りをやっています。
ユーザーがファンになり、社員になる
佐々木 池谷さんどうでしょう。ファンとか、そういうものを作る担当者を雇ったりするのでしょうか。
コミュニティマネージャーみたいな言い方をするかもしれないですけれど、そういうところも含めて、人材のところはどうでしょう。
池谷 先ほどのクラシコムさんのお話がやはりすごく良くて、中長期的に20年、30年会社をやっていくつもりがあるので、そこまで行くとやはりウチのプロダクトを使って大人になった人ができてくるし、そういう人たちが入社したいという形になるのが良いのかなと思っています。
今も結構デザイナーさんとかが多いのですが、ウチのユーザーさんで入社する人は結構多いのです。
「子育てしていて助かった」「今までやはりアプリって大したことはないと思っていたけれどすごかった」なので入社したい、というように。
これはものすごく良いマッチングですね。
なので、やはりこれが究極かと思います。ウチも今までアプリとかたくさん出していますが、一切広告をかけたことはないですし、同じく採用に関してもそうなってくるのが最善かと思っています。
ただ、直近はやはり、とは言え増やさなければならないので、そこは先ほど仲さんがおっしゃった想いとかヴィジョンになってきます。
ウチの場合ユニークな会社ですから、「子供×ICT」とかって現状ほとんど競合がいないような状況なのでわかりやすいですから、そこをもう思う存分伝えて、入りたいという人を入れて行きたいと思っています。
あとはエンジニアさんも同じだと思っていて、もちろん今のマーケット市場から見ると採るのが難しいという気もしますが、そこもやはり妥協せずにそういうふうにきちんとやっていくことが結構重要だと最近強く思うようになってきました。
佐々木 最後青木さんお願いします。
コミュニティの中心へ行きたいとみんなが思うような状況をどう作るか
青木 先ほども少し申し上げたのですが、多分僕が一番時間を使っていることってやはり採用で、おそらく年間の時間で言うと、下手すると半分くらいは採用に使っているのではないかと思います。準備なども含めてですが。
そして、そのほとんどすべてが年一回一括採用というのをやっているのですが、そこで最低500人集める。自社サイトだけで。
そして、その中から5人くらいの規模感で選ぶ。
ですから少なくとも母数を集めて、しかも自分たちのサイトでしか募集しない純度なのにそこから100分の1くらいのところを選ぶということを実現するための準備というのをしているのです。
そして、この中途なのに1年に1回しか採用しないのは何故なのかというと、中途採用で随時採用していくとどうしても500分の1ということは無理なのです。
だいたい1ヶ月くらいの募集期間があって、そこへ応募した人を一気に見るので、500分の1ということができる。
随時とかだとどうしても数十分の1とか、10分の1とかになってしまう。それから入ってくるタイミングがばらばらになると、新卒の良さである「期」というのがなくなってしまうのです。
要するに、フォーマルな役職だけではない、先輩後輩の上下関係が、発生するというのは、社会が機能するためにはすごく重要なことだと思っています。
ですから、ウチは全部中途採用なのですが、今8期くらいになるでしょうか、そういう期が全部あって、何期の時には先輩が誰だったというような話が、年齢はそれぞれ若干差はあるのですが、そういうのがあるのです。
「フィロソフィー」で割合バシッと純度が高くて、その中のトップ1%を採っていて、かつ、ピーター・ドラッカーが「機能する社会の中で位置と役割がみんな明確でなければならない」と言っていますが、役割というのは中途でも出せるのですが、位置という部分においては役職をつけない限りはなかなかできないので、ここに先輩後輩という縦軸の位置というもの、ポストというものを作ると意識をしています。
そして、それをやることによって、コミュニティとして、ものすごく魅力的なコミュニティの中心に会社というものができると、お客さまからの見え方としては、いわゆるロイヤルカスタマーのもう一歩先が入社という感じでしょう。
ただ見にくるだけの方、買うという方、何回も買うという方、買った先に入社までしたいという方、という形の中でそれはグラデーションはあれども、まるまる一個のコミュニティとして見ていて、でも中心へ行きたいとみんなが思うような状況をどう作るか。
するとやはりこの中心が一番ハッピーでなければならない。
ですから、真ん中の部分をいかにハッピーにするかというところで、どういう採用をするかとか、この採用をどういうふうに結果として組織化していくかということを考えて行っているという感じです。
お誕生日会をやってあげる人がサービスつくりに向いている
高島 一個追加していいですか。
佐々木 どうぞ。
高島 たいしたことではないのですが、すごく有効だと思っていたことを一個思い出しました。
サービスを作る人としては、お誕生日会をやってあげる方が、やってもらう方より、向いている人が多いと思うのです。
サプライズを仕掛ける方が好きという人。そして、僕は結構面接とかで聞く。それはそうと、ウチの社内で結構重視しているのは、社員の誕生日でサプライズをさせるという企画をするというカルチャーを作っています。
するとそのカルチャーの中で、まず目の前の上司について、「じゃあお前今度幹事ね」ということになると「じゃあどんなサプライズを考えているんだ」と、必ずサプライズを問われるのです。
それを一生懸命考えて、サプライズして、上手く行ったり行かなかったりするのですが、これはサービスを作るすごく良い訓練になっていて、ではあのサプライズを今度お客さんにサプライズするとしたらどうなるのというふうに考えさせやすい。
すると会社の雰囲気もよくなる。社内のお誕生日会のカルチャーがあると、結構自動的に人が育つというふうに思っています。小さなことですが。
佐々木 ありがとうございます。それでは、ここでみなさんから質問をいただきたいと思います。ご質問のある方はいらっしゃいますか。
ファンづくりのKPI設定とは?
質問者1 ネットプライスの小谷と申します。本日は貴重なお話をいただきましてありがとうございます。当社もeコマース事業をやっておりまして、特に当社の場合、顧客との絆作り活動だとか、ファン作り活動に最近重きを置いて、会社経営をしています。
その中で、ファンというところに関しては、結構数字に置き換えるのが若干難しい領域なのではないかと思っています。
当社がKPIとして置いていますのはいくつかありまして、リピート率だったりとか、ロイヤルカスタマーの構成比であったり、年間購入金額だったりとか、NPS(ネット・プロモーター・スコア)だったりとか、諸々あるのですが、各社さんでどのようなKPIを設定されて追われているのかという部分を教えていただけるとありがたいです。
高島 おっしゃるように長期的なライフタイムバリュー(LTV)はどれくらいだかとか、リピート率がどれくらいだかとか、そういうことはやっているですが、結構それは活動と直接的にリンクしない。
いろいろ頑張ってみて、半年後や1年後に様子を見てみようというふうになってしまいがちで、活動そのものに意味があったか直接的にわかりにくい場合が多いのです。
ですから、長期的な指標を見るのですが、同時に短期的な指標を見る。そうして、直接的に改善活動が結果をだしているのかを見るようにしています。
例えば、年間にいっぱい買っている人というのは、最初の8週間の過ごし方がすごく大事だということがわかっています。
その最初の8週間である特定の、例えばある特定の豚肉を買うかどうかが年間にすごい大きな差があるということもわかっています。
そして、その豚肉は最初の4週間で一回も買わないと、その後豚肉を買う確率も極めて下がるということもわかっています。
すると、いかに最初の4回で豚肉を買っていただくかということがすごく大事なのです。
すると、その4回の買い物で豚肉を買った人率というのをずっと見ていて、4回のうちで豚肉を一回でも買った人の率を上げていくということになると、自分たちの普段の活動と指標が一致してくるのです。
ですから、長期的なものは持つのですが、長期的なものに繋がっている短期的なものは何だろうかということを何か探して、それを活動上のKPIにしているということをしています。
総接触者数がちゃんと増えているかどうか
青木 KPIという言い方になるかはわからないですが、冒頭でも申し上げたことを言います。サイトにとにかく20回以上過去に来たことがある人。これをユニークユーザー・ベースで見ていて、だいたい今の僕らの総アクセスの6割くらいの人たちが過去に20回以上来た人ということになっているのです。
この全体からの割合と絶対数。要するに全体の割合は変らず、絶対数が伸び続けているかということは一応気にはしています。
同じサイトへ20回以上来ているというのはもう結構異常な状態というか、もうよほどの常連客ということになりますので、そういう方たちが買っているかどうかはほとんど気にしていません。
僕らの場合は広告事業を少し前から始めているので、最終的には買いたければ買ってくれるというサービスがあるよというふうにしたいと思っていて、もう来てさえくれれば良いよというふうにここから3年くらいでなって行こうとやっているので、買ってくれるというのは付加サービスみたいになれば良いなと思っています。
買うという体験が面白いから買うというような。ですから、繰り返し来てくれるということを気にしています。
もう一つ、今はサイトの数字だけでは見られない世の中になってきて、要するにソーシャルメディア上でのコンタクトの母数の方が、サイトに来る母数の方が圧倒的で、10倍以上差がある。
総接触者数と僕らは呼んでいるのですが、ソーシャルメディアだとか、メールマガジンだとか、あらゆる立ち位置における総接触者数がちゃんと増えているかどうか。そういうことを見るようにしているという感じです。
高島 今のはすごく興味があるのですが、その場合コンテンツを作るのというのは、コンバージョンとか全然見ていないのですか。
青木 ほとんど見ていないですね。コンバージョンは3ヶ月ぶりに見たら「あ、上がってた」というような感じです。
高島 では、良いコンテンツは、繰り返し訪問したくなるコンテンツが良いコンテンツ、という位置づけですね。
青木 そうです。例えば、普通のeコマースであれば、500円の商品と3万円の商品があったとして、500円の商品は簡単に作って3万円の商品はリッチに作るというのがいわゆるコンバージョンを軸にしたコスト管理だと思うのです。
ぼくもも見ていてたまにビックリするのですが、500円の商品で何故動画を作っているのだということが起きている。
それはファッション紙もeコマースも結局商品を面白く見せるということにおいては変らないメディアなので、面白く見てもらうということの方が優先度が高い。
それは500円なのかとか全然気にしていない。ですから、50個しかないし、そもそもこのあと二度と入荷しないような商品にもものすごくコストをかけてコンテンツを作ったりする。
「何でこれ、モデルを雇っているの」というようなことが起きている感じです。
高島 それは直接的な指標としては何を見ているのですか。リピート訪問でしょうか。
青木 最終的にはトータルの売上ですね。あとは先ほど言った、20回以上の訪問者数というのが、割合を変えずに絶対数が伸び続けているかどうか。
ファンづくりに向けた意気込み
佐々木 時間となりましたので最後少し20秒ずつくらい、ファン作りのために今年はこれをやりたいということを一言ずつ言っていただいてもいいですか。仲さんからどうぞ。
仲 これをやりたいというわけでもないのですが、ビジネスというのはすごくフェアな世界だと思っていて、誰にゴマをすらなくてもユーザーにさえ気に入られればイニシアチブを取っていける、勝てるゲームなのです。
だから、ユーザーの方を向いて、今後もユーザーのみなさんのために良いものを作っていこうと思っています。
佐々木 池谷さんお願いします。
池谷 先ほど申しましたが、将来的に一部機械化とかロボットになるのかもしれませんが、教育はやはり人ありきだと思っています。
そこを最近発見してやりがいを感じているので、そこでどうにかエデュケーションでNO.1になりたいと思っています。今日はありがとうございました。
佐々木 青木さんお願いします。
青木 僕らはいつも事業をやる時に、「何でやってるの」と聞かれるときに、「みんなで幸せになりたいから」と言っているのです。
僕だけがスタンドアローンで幸せになれるのだったら、すごく良いのですが、結局僕もそんなに神経が太くないので、身の回りで働いている社員が不幸だと、一人ではなかなか幸せになれない。
社内が幸せでも、お客さんが幸せではなかったら、それは事業として成り立たないので結果的に不幸になる。
本当に自分たちがドミノ倒しのように目の前にいる人を幸せにするにはどうしたら良いかということを考えていって、最終的に僕が一番幸せになれたら良いなと思っています。
佐々木 高島さんお願いします。
未来のお客さんを見て脱皮していく
高島 また最後に不規則発言をしようと思うのですが、U2の話をして良いですか。
佐々木 どうぞ(笑)。
高島 U2というのは、アルバムを出す度に、音楽を変えているのです。今までいたファンから大批判を受けながら、アルバムの売れ行きをどんどん増やしている。
そして、ファン作りと言った時に、今いる人のことを見るのか、未来のお客さんを見るのかというのはすごく大事です。
ただ、どこかでU2が自分たちをどんどん脱皮させていったような話というのはサービス側にはある。
今いるお客さんを満足させるのは簡単だし、本能に従っているのだけれど、どこかでU2が脱皮したような脱皮を、われわれもしなければならないのではないかと思っています。
佐々木 素晴らしいまとめをありがとうございます。それではみなさん4名のゲストの方に拍手をお願いします。
(完)
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編集チーム:石川 翔太/小林 雅
【編集部コメント】
最後までお読みいただきありがとうございます!他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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