【NEW】ICC サミット KYOTO 2026 開催情報詳しくはこちら

5.「患者は低リスクの集団から発生する」という原理を発見したジェフリー・ローズ

▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

トップ経営者が、尊敬する偉人の業績を思い入れたっぷりに語る「世界の偉人伝シリーズもついにシーズン3! 全8回シリーズの⑤は、石川 善樹さんがお気に入りの偉人、ジェフリー・ローズについてプレゼンします。予防医学の大先輩であるこの人物、41歳のときに交通事故に遭ってから覚醒したといいます。そして今なお、私たちが誤解している健康・不健康の”思い込み”を覆してみせます。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット KYOTO 2022は、2022年9月5日〜9月8日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのリブ・コンサルティングにサポート頂きました。

▼
【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 10E
世界の偉人伝 (シーズン3)
Supported by リブ・コンサルティング

(スピーカー)

北川 拓也
楽天グループ株式会社
常務執行役員 CDO(チーフデータオフィサー) グローバルデータ統括部 ディレクター
(登壇当時)

山内 宏隆
株式会社HAiK
代表取締役社長

石川 善樹
公益財団法人Well-being for Planet Earth
代表理事

深井 龍之介
株式会社COTEN
代表取締役

(モデレーター)

井上 真吾
ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン
パートナー
▲

▶「世界の偉人伝 (シーズン3)」の配信済み記事一覧


連載を最初から読みたい方はこちら

1つ前の記事
1.シーズン3、最初に紹介する偉人は“最強のベンチャーキャピタリスト”北条政子

1つ前の記事
4.物理の直感を使い、数学の定理を証明したエドワード・ウィッテンの凄さ

本編

【石川 善樹さん選】予防医学の概念を覆したジェフリー・ローズ

井上 次は、(石川)善樹さん、お願いします。

石川 (北川)拓也が物理の話(Part.3~4参照)をするならば、自分は昔、予防医学をやっていたなと久しぶりに思い出して(笑)、ジェフリー・ローズ(Geoffrey Arthur Rose 1926〜1993)を取り上げることにしました。

彼は予防とは何かという、予防の概念を完全に覆した人です。

予防医学の授業は、最初にジェフリー・ローズから習うのですが、ところがこれがあまりにも直感に反し過ぎていて、そこでみんなつまずくのです。

予防医学は病気を予防しようという、極めて単純なことをしているので、なぜ、そんな逆説が生まれ得るんだ、と。

病気を予防しようと思ったら、検査してリスクが高ければ何かしましょう、何も無ければ大丈夫ですというのが、毎年受けている健康診断ですよね?

本当に、そうなのか?ということなんですよ(笑)。

山内 えっ、違うんですか?

石川 ジェフリー・ローズが1994年に『The Strategy of Preventive Medicine(予防医学のストラテジー)』という本を出して、これが予防医学の研究者をびっくりさせたのです。

予防医学界におけるエドワード・ウィッテン(Part.3〜4参照)です、この人は。

交通事故で覚醒し、1秒でも時間を無駄にしないと決意

石川 なぜすごかったかについてお話ししたいと思います。どういう生い立ちだったかというと、イギリスで生まれてお医者さんになりました。そこまでは普通でした。

41歳のときに交通事故にあって、先ほどの写真を見ると、若干目が不自然なのに気づきますか?

片目が義眼なのです。

この事故によってジェフリー・ローズは、自分が生かされているのだという感覚を持つようになりました。

だから、自分に与えられた時間は、1秒たりとも無駄にしないのだと、強く決意したのです。

ここからなんですよ。

山内 偉人感がありますね。

石川 偉人感があるでしょう? 実はジェフリー・ローズは41歳から覚醒します。

井上 41歳からなんですね。

石川 時間を無駄にしたくないとみんな思いますよね?

時間を無駄にしないためには、どこから始めたらいいのかということを、ジェフリー・ローズは僕たちに教えてくれるのです。

根本原理にさかのぼって考える人はとても少ない

石川 根本原理にさかのぼって、そこから始めるということです。

これは、実はイーロン・マスクも全く同じです。

彼は「start with the first principle」ということで、根本原理にさかのぼります。

そこから始めると、無駄にならないのです。

▶イーロン・マスクの成功を支えるシンプルな戦略「第一原理思考」とは(NewsPicks)

井上 「急がば回れ」じゃないですけれど…

石川 本当にそうなんですよ。

イーロン・マスクもジェフリー・ローズも同様に言っているのは、根本原理までさかのぼる人がとても少ないことなんですね。

ジェフリー・ローズは、予防における根本原理とは何かと考えた人です。

彼が発見したのは、これは文章で言われるとパッと分からないと思うのですが、「ほとんどの患者は高リスクの集団からではなく、低リスクの集団から発生する」ということで、彼が見つけたことは「予防のパラドクス」と呼ばれるようになりました。

健康と病気の区別はどこにあるのか

石川 ジェフリー・ローズには、ピッカリング教授(G.W.Pickering)という師匠がいます。

1954年のことですが、ピッカリング教授が、「健康な人と病気の人がいるわけではない。むしろ医学上の幻想ですらある」という、とんでもない発言をするのです。

医者は患者さんを健康なのか病気なのか区別する仕事ですが、そんなものは幻想です、と。

当時は蜂の巣をつついたような騒ぎになったのですが、ではなぜピッカリング教授はこんなことを言ったのでしょうか?

例えば、縦軸に人数、横軸に血圧があって、血圧の分布がこういうふうになっています。

85mmHg以上は高血圧、85mmHg以下は正常といって、もしこういう分布になっていたら、健康な人と病気な人がいるというのはなんとなく分かります。

ただ、実際は血圧の正規分布は、こういう分布になっています。

人為的にいったん85で区切って、上を高血圧、85以下を正常にしましょうとしているのですが、じゃあ、84の人と86の人でそんなに違うのか?という話ですよね。

まずジェフリー・ローズの師匠のピッカリング教授は、血圧の分布は社会で見ると正規分布(※)していると発見した人なんです。

▶編集注:左右対称で平均を中心に左右に裾野を持つ、釣鐘や富士山のような形をしているカーブの分布図。正規分布とは(Albert)

僕らが当たり前のように、「それは正規分布しているでしょ」と思うのは、違うのです。

当時の人はこう誤解していました。

こういうふうに分布しているんだと。

ここまでがジェフリー・ローズの師匠、ピッカリング教授の功績です。

(続)

次の記事を読みたい方はこちら

続きは 6. ビジネスにも応用できる、予防医学の「ポピュレーション戦略」とは をご覧ください。

▶新着記事を公式LINEでお知らせしています。友だち申請はこちらから!
▶ICCの動画コンテンツも充実! YouTubeチャンネルの登録はこちらから!

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/星野 由香里/戸田 秀成/小林 弘美

他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!