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ICC FUKUOKA 2022のセッション「伝統や産業をアップデートするクリエイティビティとは?(90分拡大版)」その⑤は、まさにそれに取り組む当事者たちが集結!このパートでは、自宅と別荘、ホテルを兼ねられる見たこともないような物件を作る、NOT A HOTEL濵渦 伸次さんが登場。前例のないこの事業が生まれた経緯とは? ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションは、ICCサミット FUKUOKA 2022 プレミアム・スポンサーのNOT A HOTELにサポート頂きました。
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【登壇者情報】
2022年2月14〜17日開催
ICCサミット FUKUOKA 2022
Session 5C
伝統や産業をアップデートするクリエイティビティとは?(90分拡大版)
Sponsored by NOT A HOTEL
(スピーカー)
国見 昭仁
株式会社2100
CEO
佐々木 紀彦
PIVOT株式会社
代表取締役社長/CEO
佐藤 祐輔
新政酒造株式会社
代表取締役社長 CEO
中川 政七
株式会社 中川政七商店
代表取締役会長
濵渦 伸次
NOT A HOTEL 株式会社
代表取締役CEO
(モデレーター)
岩田 真吾
三星グループ
代表取締役社長
各務 亮
THE KYOTO
Creative Director
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1. 企業の存在意義を拡張するビジネスデザインとは?
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4.日本の工芸をアップデートする中川政七商店の取り組み
本編
各務 では、デザインとテクノロジーで不動産業界をアップデートされている濱渦さん、よろしくお願いいたします。
作る前に売るという逆転の発想
濵渦 伸次さん(以下、濵渦) はい、NOT A HOTELの濱渦です。
よろしくお願いいたします。
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濵渦 伸次
NOT A HOTEL株式会社
代表取締役CEO
1983年生まれ、宮崎県出身。国立都城高専電気工学科卒業後、2007年に株式会社アラタナを地元宮崎で設立し、SaaS型 Eコマースプラットフォームを展開。2015年に株式会社ZOZO(旧スタートトゥデイ)に売却、ZOZOグループに参画し、同グループの技術開発を担う株式会社ZOZOテクノロジーズ(旧スタートトゥデイテクノロジーズ)の取締役を兼任。2020年3月に退任。2020年4月1日、テクノロジーを活用し、自宅(別荘)とホテルをアプリで切り替えられる「あたらしい暮らし」を展開するNOT A HOTEL株式会社を設立。
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スライドの最初に建築家と書いてしまったのですが、そもそも、僕らが何をしているのか分からないとよく言われます。
一言で言うと、銀行は大好きなのですが、お金を貸してくれなかったのです(笑)。
僕は、ホテルをやりたかったのです。
僕は2015年にZOZOに自分の会社を売却し、そこから5年間、ZOZOで働いていました。
一緒に働いていた大ボスが宇宙に行くと言って会社を辞めたので、僕も好きなことだけをやりたいと思い、ホテルを運営しようと思ったのです。
僕は宮崎の生まれなのですが、国定公園にもなっている青島という場所を宮崎市から借りて、今このホテルを作っています。
一部屋500平米ほどで、室内は200平米ほどの大きさです。
このパースを作って銀行に持っていくと、「こんな宮崎のホテルに人が来るわけがないし、お金は貸せない」と言われました。
「一棟を30平米くらいに分けるなら、お金を貸す」という感じでしたが、それだとホテルとして面白くならないと思い、ホテルではなくて、この建物を良いと思ってもらえるオーナーにまず買ってもらえれば、資金調達ができると考えたのです。
そこから、NOT A HOTELの事業が始まりました。
この建物はパースの段階で売れたので、買ってくれたオーナーが使わない時は僕らがホテルとして運用する形です。
通常ホテルは、数十億円をかけて建てるのですが、建てた後に稼働率を上げていくモデルで、それは大きなリスクだと思いましたので、モデルを逆転させました。
建てた段階で投資回収を完了、在庫リスクがない
濵渦 銀行がお金を貸してくれなかったことも、良い方向に働いたと思っています。
パースの段階で売っているので、建てた段階で投資回収は完了しているわけです。
そしてオーナーが使わない時だけ稼働率を上げていく仕組みなので、在庫リスクがないモデルです。
ホテルではない新しいモデルだと言いましたが、実はNOT A HOTELというのはヤケクソでつけた名前であり、ビジネスモデルなのです(笑)。
実際は1年くらいかけて、パースを作ってサイトを準備し、去年9月末に販売を開始し、最初の24時間で10億円ほどの売上になりました。
それから4カ月が経ちましたが、売上は30数億円にまでなり、在庫は2割弱の状態で、既に着工しています。
2022年の9月に建つ頃には、投資回収ができていることになります。
僕らは追い込まれたので、新しいアップデートをせざるを得なかったというのがきっかけということになりますね。
これは、SUPPOSED DESIGN OFFICEの谷尻誠さんと吉田愛さんのデザインです。
この建物は8億円で、売り出してから最初の24時間でほぼ売れました。
▶1棟8億円「住めるホテル」NOT A HOTELのオンライン販売開始、年30日だけ使える共同購入も(DIAMOND SIGNAL)
僕らは富裕層向けビジネスをしていると思われるのですが、そうではなくて、僕が作りたいものを作ったら結果的に高くなってしまっただけなのです。
周りは木に見えますが、木ではなく鉄です。
コールテン鋼を使っていて、全溶接できる会社が福島に1社だけあるのですが、溶接する鉄だけで原価が1億円かかりました。
それで坪単価が750万円になったので、結果として坪1,000万円で売るしかなかったのです(笑)。
社員はみんな反対していたのですが、「自分が楽しいこと、好きなことをやりたい」から始まったので、この値段になったのは僕のせいです。
これは、ワンダーウォール代表の片山正通さんによるものです。
▶HIROO – NOT A HOTEL EXCLUSIVE
これは、DAIKEI MILLSの中村圭佑さんと一緒に浅草で作っているものです。
▶ASAKUSA – NOT A HOTEL EXCLUSIVE
一人の建築家だけと仕事をするのではなく、それぞれの土地に合った建築家を選定して建物を作っています。
岩田 ありがとうございます。
今回ブースも出展されていますよね、軽井沢の建物がめちゃくちゃかっこいいと思いました。
もう販売を開始しているのでしたっけ?
濱渦 販売は来年からですが、前もって公開することで希望者を募り、販売開始時にすぐに売れて着工準備ができる状態にする、というのが私たちのマーケティング戦略です。
岩田 頑張って貯金しようと思います。
濱渦 (笑)。
絶妙に微妙な場所でチャレンジできるのが強み
岩田 先ほどから、産地に実際に見学に行くという話が出ていますよね。
NOT A HOTELの場合、その地域にはなかったような新しいホテルができると、それは地域のアップデートにもなり、今まで来なかった人が地域に行くようになると思います。
地域との連携を含め、それについてどう考えていますか?
濱渦 実は、それが裏にあるテーマです。
僕は宮崎出身なので、まずは宮崎にNOT A HOTELを作りました。
岩田 実は先日、青島に行きました。すごく良かったです。
濱渦 すごく良いところなのです。
また、那須の大田原にもNOT A HOTELを作っていますが、どちらも、絶妙に微妙な場所なのです。
青島なんて、知らないですよね。
岩田 行かないと、良さは分からないかもしれないですね。
濱渦 その地域の人にとっては最高の場所であっても、一般的には軽井沢や沖縄の方が良いですよね。
絶妙に微妙な場所でも、僕らはパースを作るだけで販売できるので、チャレンジができるのです。
パースを作った上で、欲しい人がいれば建物を建てればいいし、欲しい人がいなければ建てなければいいわけです。
ホテル業界は、まずホテルを作ってから販売するモデルになっているので、そのプロセスを入れ替えるだけで、面白いホテルを作ることが可能だと思っています。
先ほど土地を拝見しましたが、頭の中にパースのイメージがわいて、NOT A HOTELを作りたいと思ってしまいました(笑)。
そういう土地を発見してもらえたらいいなと思っています。
中川 奈良にも良い土地があるので。
岩田 岐阜羽島にもあったと思います(笑)。
各務 京都にも…(笑)。
濱渦 こうやって情報を発信していると、Twitter上で、「ここにNOT A HOTELを作ってほしい」と土地の情報をもらうこともあります。
北軽井沢のNOT A HOTELも、もともと「すごく良い土地があるので、一緒に作りましょう」とTwitterで誘われたのがきっかけでした。
土地は買わずにパースだけを作り、売れれば建てるというスタイルで、これは僕がど素人だったからこそできたモデルだと思っています。
岩田 ありがとうございます。
「ちょっと良い」より「すごく良い、やばい」レベル
各務 作る前に売るという逆転の発想については、不動産会社も「できたらいいな」と話していたと思います。
濱渦さんがそれを実現できた理由、もしくは不動産会社が解決できていない課題、やってみて気づいた「ここがもったいない」という点はありますか?
濱渦 まだ一棟も建っていないので偉そうなことは言えませんが(笑)、素人だった、違う業界から来たからこそ、違う目線で見られたこと、そして銀行がお金を貸してくれなかったことが、実現できた理由だと思っています。
各務 事前に購入者を集めることができたのは、デザインの力なのでしょうか?
濱渦 ZOZO時代からずっと、人の琴線に触れるものを作ろうとしていました。
ちょっと良いレベルだと誰にも響きませんが、「すごく良い、やばい」と言われるレベルになると、共感してくれる人がいることもあるので、飛び抜けたことをしないといけないとは感じていますね。
ポイントは広さだけではないですが、30平米が40平米になっても誰も振り向いてくれていなかったでしょうが、約10倍の広さにしたのが、共感してもらえた、驚いてもらえた部分かなと思います。
各務 コンテンツの力で突き抜けたからこそ、従来のやり方にとらわれずに達成できたということですね。
濱渦 そうですね、早く建てたいなと思っています(笑)。
各務 ありがとうございます。
(続)
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続きは 6.同じ業界にい続けると本質が見えなくなる をご覧ください。
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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸
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