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「何のために生きるのか?使命感とは何か?」【K16-1D】セッションの書き起し記事をいよいよ公開!7回シリーズ(その6)は、ジャパンハート吉岡さんがミャンマーの慰霊碑で気づいたという、再現性を持つこと(科学)の重要性についてお話し頂きました。日本の多くのNGOは再現性が欠如しているという指摘が印象的でした。是非御覧ください。
ICCカンファレンスは新産業のトップリーダー160名以上が登壇する日本最大級のイノベーション・カンファレンスです。次回 ICCカンファレンス KYOTO 2017は2017年9月5〜7日 京都市での開催を予定しております。
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登壇者情報
2016年9月6日・7日開催
ICCカンファレンス KYOTO 2016「ICC SUMMIT」
Session 1D
「何のために生きるのか?使命感とは何か?」
(スピーカー)
吉岡 秀人
特定非営利活動法人ジャパンハート
代表
山田 敏夫
ライフスタイルアクセント株式会社(ファクトリエ)
代表取締役
吉川 雄介
特定非営利活動法人e-Education
海外事業統括
(モデレーター)
南 章行
株式会社ココナラ
代表取締役
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▶ 「何のために生きるのか?使命感とは何か?」の配信済み記事一覧
【前の記事】
【本編】
誰も損しない仕組みをいかに作るか
吉岡 これは心臓病の子どもで、ミャンマーには子どもの心臓病の外科医はゼロですから、年間1万人以上生まれる子ども達がほぼ全滅して死んでいきます。
これもお母さんと死んだ子どもですが、体重増えると死んでしまうので、1歳半でミルクしか飲んだことないんですよ。
亡くなったあとにこの写真を届けてくれました。
何をしたかというと、東京女子医大と国立循環器病研究センターの医者をまとめて、ミャンマーにチームを派遣できるようになったんです。
ミャンマーからもたくさんの心臓外科医をトレーニングに呼ぶ、そしてそれを産経新聞に費用を負担してもらえることにありました。
日本と現地の双方向性で誰も損しない仕組みをいかに作るか。誰かが損する仕組みは長続きしないので、患者の利益を最大化しながら長く続く仕組みをどう作り上げるかを考え続けてきました。
NGOを「科学」し、再現性を持たせる
吉岡 最大の理由は何かというと、ミャンマーは70年前に日本軍がイギリスと戦い、20万人の日本軍が死んだところです。
今だに日本軍のボロボロの装甲車が残ってます。
慰霊碑がいっぱいあります。
もう戦友の方たちも亡くなったので、訪れる人もほとんどいません。
この大きなパゴダという仏塔の周りには、
日本人達の名前が無数に刻まれていますが、10代の人達ですよね。18才から22才の人達が出征していって20万人帰ってこなかったんです。
僕は1995年の戦後50年目に、この慰霊碑の前にたった1人で何回も立ちました。
「何でこんなことになったのか、この人達かわいそうだな」と思って立ったんですが、その時にあることに気づきました。
当時の日本軍は世界最強の軍隊だったんです。
ではなぜこんなことになったのか、ミャンマーだけで20万人も死ぬはめになったのかと考えた時に、それは一言でいうと「科学」しないからだと思ったんです。
どういうことかというと、第二次世界大戦が始まった時の日本の海軍、空軍は世界最強でした。
零戦のパイロットはすごいじゃないですか、断トツだったんです。
だからイギリスの東洋艦隊はあっという間に全滅しましたよね。
そのぐらいすごかったので、世界中で誰も太刀打ちできなかったんですが、戦争を進めるに従って、やればやるほど1機1機と落ちていきますよね。
零戦のパイロットは名人芸なので、1人育てるのにすごく時間がかかるんです。
それに対してアメリカは、大した訓練をしていなくても戦える武器を作った、つまり戦闘機の性能を上げてきたのです。
日本は戦闘機の性能はそこまで上げずに、訓練ばかりして人の能力を鍛えたんです。
これにより、やればやるほど日本軍は落ちていき、最期はミャンマーだけで20万人死んだんです。
同じ根っこが今だに日本でははびこっていて、「ゴットハンド」はしょっちゅうテレビでやりますが、これは西洋医学からしたらあり得ないんです。
西洋医学で、「科学」するというのは、言葉を変えると「再現性を持たせる」ということですよね。
そうすると、ゴットハンドというのは再現性が何もないですよね。
こういうのはヨーロッパやアメリカでは恐らく芸術家の仕事であって、サイエンティストの仕事ではないんですよ。
でも、日本社会はまだ零戦と一緒で、名人を持ち上げてるじゃないですか。
僕は1995年に行った時に徒手空拳だったんですが、ヨーロッパの団体はその当時からすごくシステマチックに動いてましたよ。
この人達に対抗するには何をしたらいいか、ということを考えると、NGOを科学する、つまり再現性を持たせる組織を作るしかないと思ったのですが、そのためにはどうしたらいいか、ということを考え始めました。
今だに日本のNGOの多くは、再現性を持たせるという試みを何もしていないんです、要するに科学的にNGOを運営していないんです。
さっき言った学会の仕組みもそうですが、僕が別に彼等を育てなくても勝手に(日本の)各病院で育てていますから、その人達を使う、という仕組みをどう作るかを考えました。そうすると再現性を上げて、高いレベルを一定で保つことができますよね。
こういう仕組みを広げていけば、ソーシャルメリットは限りなく増大していきます。
今僕がやっている活動の理念を一言であげると、「患者の利益を最大化する再現性のある仕組みを世の中に生み出す」ということに尽きます。
そのために色んな医者を巻き込む、ということをやっています。
南 ありがとうございます。
個人で徒手空拳で行かれてからだんだんスケールして、気がついたら吉岡さんを中心に日本の医療が回り始めている、というところまで、ストーリーが壮大すぎて震える感じですね。
言葉が見つからないです。
「参考になる」というと薄っぺらいですが、色々噛み締めたい言葉がいっぱい出てまいりました。
(続)
編集チーム:小林 雅/榎戸 貴史/戸田 秀成/城山 ゆかり
続きは 「求道すでに道」ジャパンハート吉岡医師が語る自分の”道”の求め方 をご覧ください。
【編集部コメント】
続編(その7)では、会場からの質問を受け付け、医師とNGOの代表として活動する吉岡さんが、目指す生き方と「質」についてお話しいただきました。是非ご期待ください。他にも多く記事がございますので、TOPページからぜひご覧ください。
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