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ICC FUKUOKA 2024 カタパルト・グランプリに登壇いただき、見事優勝に輝いた、ECOMMIT 川野 輝之さんのプレゼンテーション動画【不要な衣類の回収から選別・再流通まで一気通貫の循環インフラを構築する「PASSTO」(ECOMMIT)】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!
ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜 9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。
本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。
▶【速報】不要品の回収から選別・再流通まで一気通貫の循環インフラを構築する「PASSTO」(ECOMMIT)がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC FUKUOKA 2024)
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【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX (カタパルト・グランプリ)- 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング
川野 輝之
ECOMMIT
代表取締役CEO
HP | X(旧Twitter)
高校卒業後に中古品輸出企業に就職し、4年間の修業期間を経て22歳でECOMMITを創業。創業後、中国に輸出された日本の電子ごみによる環境負荷を目の当たりにし、トレースできない中古品の海外輸出を一切停止し、環境問題に改めて向き合う。現在は、自社開発システムを主軸に企業や自治体のサーキュラーエコノミー推進事業を全国に展開する。
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川野 輝之さん 皆さん、こんにちは、ECOMMIT(エコミット)の川野と申します。
弊社は、世の中のごみを減らし、循環型のものづくりのインフラを担う、日本唯一の企業です。
私は17歳でこの業界に入り22歳で起業、今期17年目を迎えています。
エコ活動の行き着く先
ここまで長くやってこられたのは、創業時に中国で見た、とある風景があるからです。
そこでは、日本から輸入された電子ごみなどが不適切に処理され、とてつもない環境汚染と、働く子供達の健康被害につながっていました。
生きるためには仕方がない、収入を得るためには環境をないがしろにするしかない、そんな状況だったのです。
日本人の私たちはそれを知る由もなく、エコ活動だと言って物を輸出する企業も多いです。
実は私たちも、そのうちの1社だったのです。
それをきっかけに全ての取引を見直し、人生をかけて、環境と経済を両立できる循環型社会をつくる、そう決意しました。
17年間の取り組みの中「環境」は人類の最重要テーマに
そこから、私たちの長い長い戦いが始まりました。
「環境」を追求すると利益が下がる、利益を追求すると環境負荷が大きくなる、両立するのは本当に難しく、何度も行き詰まりながらも向き合い続けてきました。
そして17年が経った今、世の中は大きく変わり、「環境」は人類の最も重要なテーマとなりました。
今日は皆さんに、自信を持ってお伝えしたいと思います。
私たちのビジネスは、「環境」と経済を両立できる、この時代に最も成長するビジネスなのです。
国内で捨てられている衣料は年間47万トン
その事業について、ご紹介いたします。
皆さん、いらなくなった洋服は、どのように手放されていますか。
売れそうなものはメルカリで販売する、リサイクルショップへ持ち込む、ごみとして廃棄する、という方が多いのではないかと思います。
実は、ごみとして廃棄するという方法が、一番多く選ばれています。
どれくらい捨てられているかと言うと、実に年間47万トンです。
▶サステナブルファッション(環境省)
消費のインフラが整う一方で循環のインフラが不足
なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。
それは、圧倒的に、循環させるためのインフラが足りていないからです。
例えば、スマートフォンで簡単に商品を購入できるように、消費のインフラは整いましたが、その逆はいかがでしょうか。
また、近年自動化が進む物流センターですが、循環に特化した物流センターを見たことがありますか?
これだけ環境が重視されるようになったのに、循環の仕組みがないなんて、おかしいと思いませんか?
消費者が手軽に衣類などの不要品を手放せる「パストBOX」
この状況を根本から解決するのが、循環インフラ「PASSTO(パスト)」です。
店頭などにこの青いポストを設置するだけで、衣類などの不用品を手軽に手放せる仕組みを提供するサービスです。
消費者はただ入れるだけ、こんなに簡単に手放せます。
商業施設、ホームセンター、マンション、郵便局や駅ビルなど多くの企業に導入いただき、この会場がある福岡でも広がっています。
PASSTOは、一定の条件をクリアすれば、コストゼロで導入可能です。
集まった量に応じて弊社が買い取りをするため、収入も得られます。
さらに、ポイントを付与するアプリ(さすてなポイント)で販売促進にもつなげられます(※) 。
▶編集注:消費者は衣類などの不用品を「PASSTO」に入れることでポイントをためられ、ポイントは地域の店舗などで使えるクーポンと交換できる。
しかも、地域の環境に貢献できるのです。
ビジネスとして成立する回収・選別・再流通の仕組み
実績として、年間12,000トンものごみを減らすことができました。
「でもこれ、ビジネスとして成り立つのか?」と思われた方も多いのではないかと思います。
しっかりと成り立つのです。
それを可能にする、3つの強みについてご説明します。
1つ目の強みは「回収」です。
全国の物流パートナーと連携し、帰り便の空きスペースを活用することで、輸送コストを、通常の5分の1まで抑えることができました。
さらに、回収実績データから排出予測を行い、最適なルートで積載効率を最大化しています。
kg単位で物流コストをコントロールする仕組みは、このビジネスを成立させるには欠かせないものです。
2つ目の強みは「選別」です。
回収したものは丁寧に選別され、作業時間や販売価格などを、リアルタイムでアプリに登録。
得られたデータを分析し、環境負荷を最小に、そして商品価値を最大にする、他社には真似できない選別オペレーションを構築してきました。
そして、3つ目の強みは「再流通」です。
リユース可能なものは商品として、多岐にわたる販路へ。
状態の悪いものはリサイクルされ、原料として再び製造側へ戻っていきます。
リユース・リサイクル率は脅威の98%、焼却と比較して約80%ものCO2削減を実現しています。
さらに、PASSTO導入企業の環境貢献度をレポーティングするオプションサービスも展開しており、多くの企業に導入いただいています。
環境と経済の追求がイノベーションの源泉
注目いただきたいのが、ビジネスモデルです。
リユース、リサイクルの商品売上に対し、徹底的にコストをコントロールする仕組みで、集まれば集まるほど利益が出せる構造です。
オプションサービスで、さらなる収益性アップを実現しています。
今期の売上は16億円で、一気にグロースフェーズに入りました。
事業が成長するほどごみが減る。
中国で見た風景を胸に、長年、環境と経済を追求してきた姿勢こそが私たちのイノベーションの源泉なのです。
ちなみに、まだ毎年47万トンのごみが捨てられているので、弊社のシェアはたった2%です。
2028年にはシェア10%で売上100億円を確実に達成します。
さらに、捨てられている家庭ごみの中には、年間7.6兆円もの残存価値があると言われています。
リサイクルの素材まで含めると、実に20兆円以上がごみとして捨てられています。
これは、とてつもなく大きな事業ポテンシャルです。
宅配の手軽さで循環ができる拠点を全国に展開予定
今後の展望については、私たちは生活の身近な循環インフラとして、まずは徹底的に、回収拠点を面で押さえていきます。
さらに、衣類の不用品を回収する「宅配PASSTO」も開発中です。
「捨てる」ではなく、「PASSTOする」という新常識を作っていきます。
▶宅配型不要品回収のトライアル開始(12月14日~)。オンライン完結型パーソナルスタイリングサービスのDROBEと連携。(ECOMMIT)
同時に、循環に特化した「サーキュラーセンター」を全国に展開し、目指すのはAmazonとは逆のものです。
長年培ったナレッジとテクノロジーをかけ合わせ、世界初の衣類自動選別センターを開発中です。
大規模かつ高収益な事業として成長させていきます。
さらに、企業からのニーズも大変高まっています。
アパレル企業が衣類を回収しているのを見たことがあると思いますが、実はかなり高い確率で私たちがその循環を支えています。
しかも、一度インフラを作ってしまえば、衣類以外のプロダクトへの横展開は簡単です。
あらゆる業界の循環を支援できる唯一無二のサービスとして、日本から世界へと展開していきます。
「循環型のものづくり」で世界をリードしよう
最後に、私たちが目指すのは、天然資源の利用を半減させても経済が成長する、「高度循環経済成長」です。
循環が当たり前になれば、循環を前提にしたものづくりや売り方が当たり前になり、天然資源の利用を半減させられると確信しています。
ここにいる皆さんで力を合わせれば、きっと実現できるはずです。
もう一方通行の消費社会は、やめにしませんか。
ものづくりで世界をリードしてきた日本、そしてその恩恵を受けて何不自由ない時代に生まれてきた私たちが、今度は循環型のものづくりで世界をリードする、そんな未来を作っていきましょう。
ぜひ、お力添えのほど、よろしくお願いいたします。
ご静聴ありがとうございました。
(終)
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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成