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船体メンテから船員・法律管理まで多様な船舶管理をDXし、島国日本の暮らしを守る「ザブーン」(ICC FUKUOKA 2024)

ICC FUKUOKA 2024 Digital Transformation(DX) CATAPULTに登壇いただき2位に入賞した、ザブーン 戸高 克也さんのプレゼンテーション動画【船体メンテから船員・法律管理まで多様な船舶管理をDXし、島国日本の暮らしを守る「ザブーン」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に学び合い、交流します。次回ICCサミット KYOTO 2024は、2024年9月2日〜9月5日 京都市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションのオフィシャルサポーターは Saleshub です。

【速報】DXで低価格×リモート×短期の歯科矯正を実現し、思い切り笑える感動のユーザー体験を提供する「Oh my teeth」がDigital Transformation(DX) CATAPULT優勝!(ICC FUKUOKA 2024)


【登壇者情報】
2024年2月19〜22日開催
ICC FUKUOKA 2024
Session 2A
Digital Transformation(DX) CATAPULT 
Sponsored by Saleshub

戸高 克也
ザブーン
代表取締役CEO
HP | X(旧Twitter)

1986年大分県佐伯市生まれ。造船業が盛んな街で育ち、幼少期から船を身近に感じながら過ごす。2009年新卒では、インターネット求人広告サイトを運営するディップ株式会社でBtoB営業を経験。その後、2年で同社を退職し起業。挑戦はすぐに失敗するが、その挫折を経て、この先何を武器にビジネスを展開できるかを試行錯誤し、独自性を追求した結果、家業の船舶管理会社での勤務を開始。IT業界で培った経験とバーティカル領域のインサイダーとしての視点から、99%の輸出入を支えている海事産業の魅力や業界特有の課題に着目し、2018年に株式会社ザブーンを設立。2025年からは海外展開も視野に、世界標準の船舶管理SaaSを目指して事業を展開中。


戸高 克也さん はじめまして、株式会社ザブーンの戸高と申します。

本日ご紹介するのは、船舶管理SaaS「MARITIME 7(マリタイムセブン)」です。

「船舶管理」とは

そもそも「船舶管理」は、なかなか聞き慣れない言葉だと思います。

こちらの動画に出てくるような商船を管理する仕事です。

日本の周りでは、毎日このような過酷な環境でも船が運航しています。

私は、この動画を撮影するために数十日間乗船して、現場の厳しさを体験してきました。

「商船」と言っても、会場の皆さんには馴染みのないガスや原油を運ぶ船、そして木材や化学薬品を運ぶ船など、さまざまです。

造船業が盛んな大分県佐伯市出身

では、なぜこの領域をザブーンがやるのでしょうか?

ここで私の自己紹介をさせてください。

私はこちらの写真の町で生まれました。

大分県の佐伯市にある、造船業が盛んな町です。

すごいぞ!佐伯の造船(佐伯市)

この町には写真にあるような船を所有する人たちもたくさん住んでいます。

そして実は私の家業は船舶管理業で、私自身も船舶管理の責任者として11年目になります。

そんな船舶管理の体制ですが、船体のメンテナンスを担当する「工務チーム」、運航に関連する書類を管理する「海務チーム」、そして船員の手配や教育を担当する「船員チーム」に分かれ、これらを統括するのが「船舶管理責任者」です。

37歳でこの職に10年以上就いているのは、当社調べですが世界で私だけです。

輸出入の99.6%を船に頼る日本

市場としては、国内の市場でTAM(total addressable market 獲得可能な市場規模)が6,400億円です。

隻数で見ても、世界で12万隻運航している中で、国内に約8%の市場があります。

そして島国日本は99%以上の輸出入を船に頼っており、海運は重要な産業のはずです。

SDGsに貢献?船の輸送システムは経済や環境を支えている(AGUS)

紙管理、頻繁なルール改正、船員数激減…、課題は山積み

しかし、課題は至ってアナログだということです。

圧倒的に紙での管理が主流で、典型的なDXが必要なバーティカル領域です。

さらに管理者を悩ませているのが、頻繁なルール改正です。

ここで5年間のルール改正を可視化させると、このような感じです。

このルールの一つ一つに、マニュアルや手順書、チェックリストが存在し、保存義務が5年間あるものがほとんどです。

さらに国内の船員数は数十年前より激減しています。

国内の船員の内訳は半数がシニア層で10年後は壊滅的、また内航船(日本国内の貨物輸送だけに使用される船)には、日本人しか乗船できない謎のルールもあります。

このままでは十分な管理ができず、重大な事故へとつながります。

2022年に船員の働き方改革がスタート

そして今日はもう一つ言わせてください。

「2024年問題」であれば、皆さん馴染みのある課題ですよね?

先ほど日本の輸出入の99%以上は船とお伝えしましたが、国内の船の輸送量はどうでしょうか?

実は40%もあるのです。

つまり海外からの輸出入の99%は船で、国内の輸送も40%を占めているのが海運です。

けれども、トラックの課題は話題になっても、この船の課題はニュースで取り上げてくれません。

なぜでしょうか?

2024年問題以前に、実は同じような働き方改革が2年前に船でも始まっているのです。

2022年4月、船員の働き方改革スタート!何が変わる?これまでとこれからの歩み(産業保健新聞)

船舶管理SaaS「MARITIME 7」を開発

日本の船の課題はこれまで放置されてきて、今大問題になっています。

でも皆さん、安心してください。

こんな日本の課題に私たちは「MARITIME 7」という船舶管理SaaSで挑戦しています。

機能はいたってシンプルです。

私が行ってきた業務をそのまま開発すれば、マーケットそのものが存在します。

私たちはコンパウンドスタートアップ(複数事業を併せ持つスタートアップ)として、複数の機能を開発しており、本日はその2つの機能をご紹介します。

勤怠をタップで簡単打刻、法令遵守のアラート機能付き

まず「船員労務管理」です。

船員は現在勤怠記録を紙に記録して、溜まったデータを定期的にファックスやメール、郵送で会社に共有します。

「MARITIME 7」を導入すれば、ワンタップするだけで勤怠記録を作成できます。

また私たちのプロダクトは、「船員法」という法律に特化しています。

今後は誰もこの勤怠記録簿を作成せず、船員法を知らなくても法令を遵守することが可能です。

船の位置情報を把握し天候情報と連携

次に「動静管理」という機能です。

業界の人は、毎日船の位置情報を把握しなければなりません。

現在は船へのメール・電話・FAX、もしくは関係者に連絡して、位置情報を確認しています。

情報共有もExcelやホワイトボードがメインです。

「MARITIME 7」を導入すれば、車のナンバーのような番号を入力するだけで船を検索でき、天候情報と連携することで、安全運航にも活用いただけます。

またスケジュール機能では、運航計画を関係各社と共有することで、業務の効率化を図れます。

トライアルからの有料化移行率は64%

トラクションです。

労務管理機能をリリースしてから1年半になりますが、トライアルからの有料化移行率は64%です。

コンペでの勝率は100%です。

さらに、これまでの継続率は99.9%です。

船員登録数も国内の15%を獲得しました。

ここまでが1機能の実績です。

売上は順調に推移、大手と契約開始

売上は順調に推移しており、年内には1機能から6機能に課金機能を増やしていきます。

成長戦略の蓋然性としては、大手との契約開始や提携の話が順調に進んでいること、そしてこれまでに国内の40%を占める4,000隻以上のパイプラインを構築していることにあります。

世界共通の運航ルールで海外展開が可能

また、船舶の運航ルールが世界で共通であることから、そもそも国境のない領域が、この船舶管理市場です。

国内の次は世界の50%を占めるアジアで展開します。

スタートはSaaS市場を狙っていきますが、現状ブラックボックス化されているデータベースを構築し、最終的にSaaSとデータベース両軸で事業を展開していきます。

IT業界経験者と海事産業経験者で経営

チームの紹介です。

私たちザブーンは現在21名、特に船の多い瀬戸内を囲むようにチームを展開しています。

経営チームは、私と製造SaaSを開発してきたCTOの三浦 寛之、ユニコーン企業の経営企画をしてきたCOOの小柳 貴之です。

メンバーは、IT業界経験者と海事産業経験者で構成されているチームです。

海運を支え日本の暮らしを守る

最後になりますが、島国日本は輸出入の99%以上を船に頼っています。

船舶輸送の課題がこのまま放置されると、皆さんの生活はどうなるでしょうか?

スーパーの陳列棚はガラガラになり、例えばAmazonからの注文は1週間遅れが通常になるかもしれません。

そんな生活に耐えられるでしょうか?

日本の重要な産業である海運を支えることで、日本の皆さんの生活をザブーンが守ります。

ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/小林 弘美/正能 由佳/戸田 秀成

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