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ソニーの“香りのウォークマン”「AROMASTIC」は、嗅覚を通じて本能を刺激し、社会と人々の心を豊かにする(ICC KYOTO 2018)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2018 スタートアップ・カタパルトに登壇した、ソニー 藤田 修二さんの【ソニーの“香りのウォークマン”「AROMASTIC」は、嗅覚を通じて本能を刺激し、社会と人々の心を豊かにする】プレゼンテーションの文字起こし記事をぜひご覧ください。

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ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回 ICCサミット FUKUOKA 2019は2019年2月18日〜21日 福岡市での開催を予定しております。参加登録はICCサミット FUKUOKA 2019をご覧ください。

ICCサミット KYOTO 2018のプレミアム・スポンサーとして、IBM BlueHub様に本セッションをサポート頂きました。


【登壇者情報】
2018年9月4日〜6日開催
ICCサミット KYOTO 2018
Session 1A
STARTUP CATAPULT スタートアップの登竜門
Supported by IBM BlueHub

(プレゼンター)
藤田 修二
ソニー株式会社
Startup Acceleration部 OE事業室 プロダクトマネージャー

1980年生まれ、東京都出身。東京大学理学部卒業後、東京大学医科学研究所にて博士号取得。2009年ソニー株式会社入社。研究所にて遺伝子工学や電気化学を駆使しジュースで発電するバイオ電池の開発に従事。2012年-2013年米国ハーバード大学に留学し、ホワイトサイズ教授に師事。分子認識やナノテクノロジーの先端技術を学ぶ。帰国後、再び研究所にて医療デバイスやアクチュエータの新機能材料研究に従事。2015年よりソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」によるオーディションを突破し、Olfactory Entertainmentを掲げて嗅覚にアプローチした製品開発を進め、2016年にAROMASTICを事業化する。現在、AROMASTIC事業および嗅覚領域のR&Dを担当。

「ICC KYOTO 2018 スタートアップ・カタパルト」の配信済み記事一覧


初めまして、ソニーの藤田です。

本日は、嗅覚を利用した気分転換ツール「AROMASTIC」をご紹介します。

嗅覚を刺激して本能をゆさぶるプロダクト

まず商品を見てください。

このように、上から香りが出るしくみになっています。

そして、香りがあらかじめ入ったカートリッジ式になっています。

使い方はすごくシンプルです。

カートリッジを挿入し、ダイヤルを回すと香りを変えることができます。

そして本体のボタンを押すと、瞬間的に香りが出るという製品です。

一言で言うと、「嗅覚を刺激して本能をゆさぶるプロダクト」です。

使用シーンをご紹介したいと思います。

例えば資料作成などに集中できない時、香りを嗅いでリフレッシュして頂けます。

もしくは、緊張するようなシチュエーションでも、自分のいつものペースを取り戻すために香りを嗅いで頂けます。

開発テーマは「嗅覚のエンタテインメント」

AROMASTICは複数の香りを切り替え、パーソナライズして香りを楽しめる独自のテクノロジーを実現しています。

開発者は私自身で、私はずっと研究者でした。

「“It’s a Sony”と言われるような製品を作りたい」という思いで、このAROMASTICを開発しました。

いわゆる、映像、音楽、光、音という物理的なシグナルではなく、化学的なシグナルである香りを用いることで、新しい感動とワクワクを提供できないかと考えたのです。

これまでの色々な研究を結集させ、「嗅覚のエンタテインメント」というテーマを掲げて開発を進めています。

なぜ私が嗅覚に注目しているかと言うと、嗅覚は五感の中で唯一、大脳辺縁系という感情と本能を司る部位を直接刺激できるからです。

また、嗅覚には学習領域もあるので、パーソナライゼーションのための究極のインターフェイスであると考えています。

「香りのある生活」の再定義を目指す

ウォークマンは、聴覚とパーソナライゼーションで音楽の再定義を行いました。

これと同じアナロジーであり、より人に寄り添ったものがAROMASTICです。

香りには100%天然のものなど、様々な素材を使うことができます。

例えば喫煙者の場合、タバコが吸えない時に使って頂くことができます。テストの結果、6割の方にとってAROMASTICが代替品となり、タバコの本数が減りました。

タバコと同様に自然で複雑な香りがする点と、ガムのように噛み疲れが起こらない点がポイントです。

また、人は「集中したい」と思っても、なかなか実行できないことがあります。

それが、AROMASTICによって集中しやすい環境にできることを論文で発表しました。

これは他社の学習塾による実験ですが、AROMASTICによって、計算スピードをアップさせて生産性を向上させることができるという結果もリリースされています。

しかし正答率は上がらなかったので、そこは努力が必要です(笑)。

このように、AROMASTICのように持ち運びが可能だと、色々な場所で使えてかつパーソナルなものなので、周りを気にする必要がありません。

AROMASTICは、健康経営のソリューションになる

また、ナースステーションにも導入されていて、「辞めたいと思うほどハードな環境だけれど、AROMASTICで頑張っている」という声も頂いています。

ハードと言えば、コールセンターもハードな職場です。

コールセンターでは、普通に生活している中では言われないような言葉を言われることがあります。

批判やクレームの電話が続いた後、凹んだ気分を切り替えるために使って頂いています。

それから、がん患者の方にも使って頂いています。

この写真は何気ない、病院に向かう道に見えますが、抗がん剤治療に向かう患者さんにとっては、「無事帰れるかな」と、不安に思える道なのです。

しかし、「夫からAROMASTICをプレゼントされて、すごく助かっている」という手紙を頂きました。

「イライラが解消できる」などの声も頂いています。

このような事例から、AROMASTICは健康経営のソリューションそのものになるのではないかと感じ
ています。

また、色々な企業でストレスチェックが義務化されていると思いますが、チェックした後のソリューションが疎かになっているのではないでしょうか。

専門家の医者でさえ、離職率の高い看護師のストレス対策には困っています。

そこで我々は、法人向けに定期お届けプランを提供します。

1人あたり月1,000円で、AROMASTIC本体は無償で提供し、2ヵ月ごとに定期的にカートリッジをお届けします。

喫煙にかかる費用を考慮すると、ひと月1,000円はおトクではないでしょうか。

喫煙休憩は1日35分と言われています。

これが代替できたら、ひと月あたり約2万円の生産性向上につながります。

そもそもタバコ自体に1万円、禁煙治療にも6,000円がかかるのに対し、AROMASTICはたった1,000円なのです。

今後タバコの値上げが予想され、2020年には、都内の居酒屋でもタバコが吸えなくなってしまいます。

国内のタバコ市場を、健康的でおトクに代替することを提案していきたいと思っています。

また、一般的な健康経営施策に比べると、AROMASTICはとにかく手軽です。

たった0.2秒で気分転換ができ、スペースも要らず、コストは月1,000円。

これで健康経営を考えるマネジメントの方々を、サポートしていきたいと考えています。

「行動変容」そして「日本再建・文化向上」へ

我々は、Olfactory Entertainmentを掲げ、「香りをつうじて、人々のこころを豊かに」していきたいと考えています。

まずは健康経営にフォーカスし、その後は、嗅覚を活用した本能とパーソナライゼーションによる「行動変容」を仕掛けていきたいと思っています。

嗅覚は人が寝ている時も起動している器官なので、睡眠学習へのアプローチもできますし、自動運転の際に車内をパーソナライズすることや、VR、広告へも応用できると考えています。

この夏、バルセロナのピカソ美術館でAROMASTICをオーディオガイドのように使う試みがなされました。

ピカソの絵画を連想させる香りを用いて、本能で絵画鑑賞をする行為を楽しんで頂いたのです。

我々ソニーは、健康経営ツールの拡販、行動変容を活用した未来を作るため、共同パートナーを募集しています。

そして、「日本再建・文化向上」という気持ちで世界を作っていきたいと考えています。

ご清聴、ありがとうございました。

(終)

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

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編集チーム:小林 雅/上原 伊織/尾形 佳靖/戸田 秀成/大塚 幸

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