「ビジネスレザーファクトリー」は、想いを込めたものづくりで、バングラデシュからよりよい社会を共創する(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

「ビジネスレザーファクトリー」は、想いを込めたものづくりで、バングラデシュからよりよい社会を共創する(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2020 CRAFTED カタパルトに登壇いただき、優勝に輝いた、ビジネスレザーファクトリー 原口 瑛子さんのプレゼンテーション動画【「ビジネスレザーファクトリー」は、想いを込めたものづくりで、バングラデシュからよりよい社会を共創する】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co. にサポート頂きました。

【速報】本革のものづくりに“想い“を込めて──貧困国の雇用創出に取り組む「ビジネスレザーファクトリー」がCRAFTED カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 7A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Supported by Lexus International Co.

原口 瑛子
ビジネスレザーファクトリー株式会社
代表取締役社長

1985年熊本県生まれ。学生時代に「ハゲワシと少女」の写真を見て、「世界中の貧困をなくしたい」という志を持つ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、サセックス大学開発学研究所の貧困と開発修士課程を修了。国際協力機構(JICA)に入構、中南米地域の円借款などを担当。より持続的かつ顔の見える形で志を実現すべく、ソーシャルビジネスでの起業を決意。2015年(株)ボーダレス・ジャパンにジョイン、2017年ビジネスレザーファクトリー(株)代表取締役社長に就任。バングラデシュの貧困問題解決のため貧困層の雇用創出に取り組む。ビジネスシーンに特化した牛本革専門ブランドとして全国18店舗を展開、自社工場では800名以上の雇用を生み出している。


高品質・低価格の本革ビジネス製品ブランド

原口 瑛子さん 皆さん、こんにちは。

Business Leather Factory(ビジネスレザーファクトリー)代表の原口です。

ビジネスレザーファクトリーは2014年に創業。ビジネスシーンに特化したレザーアイテムをバングラデシュで生産して、日本で販売しています。

人気商品の名刺入れは2,999円。高品質・低価格が私たちの強みです。

今日は、審査員の皆様にその名刺入れをご用意しました。ぜひお手にとってご覧ください。

なぜ低価格の革製品が、クラフテッド(CRAFTED)なのか?

今日は私たちの「始まり」と「想い」をお伝えしたいと思います。

高い失業率の“アジア最貧国”バングラデシュ

すべての始まりは、アジア最貧国と呼ばれるバングラデシュでした。

バングラデシュでは、日本の約40%にあたる国土に1億6千万人が住んでおり、この過密な人口が都市の高い失業率を招いています。

特に貧しい人々は、学校に行っていない(未就学)、あるいは働いた経験がないという理由から、働きたくても働けない状況に陥っています。

これがバングラデシュが抱える社会問題のひとつです。

あなたが工場経営者なら、彼女を雇いますか?

想像してみてください。あなたがもし工場の経営者だったら……

ある日、こんな女性がやってきたとします。

彼女はシングルマザーで、働いた経験もなく文字の読み書きもできません。足に障害もあります。

あなたは彼女を雇いますか?

多くの人が「雇わない」と答えるでしょう。

それは、彼女を採用することが「非効率的」だからです。

効率を求める資本主義においては、彼女のような人々は社会の“おいてきぼり”になります。

そこで私たちは、彼女のように貧しい人々の働く場を作るビジネスを始めようと思いました。

これが私たちの始まりです。

宗教行事で大量に余る牛革を製品に

では、どのようにして今のビジネスレザーファクトリーになったのかを、お話しさせていただきます。

バングラデシュはイスラム教の国で、“イード”と呼ばれる宗教行事があります。

▶編集注:イード(Eid)とは、イスラム諸国における最大の宗教行事である犠牲祭のことで、牛やヤギなどを神様に捧げる祝祭である。(一般社団法人 国際人材交流機構より)

その際に牛革が大量に発生します。私たちはこの現地資源に着目しました。

まずは今ある工場に商品を発注して、その工場での雇用を増やそうと考えました。

しかし、いくつかの工場を視察して衝撃を受けました。労働環境が劣悪だったのです。

働くことに誇りややりがいが感じられないような、そんな環境でした。

自社工場で、安心安全な環境と雇用を

そこで私たちは「自社工場をつくろう」と決めました。

そこでは貧しい人々が安心安全な労働環境で、安定的な収入を得ることができる。

そして働くことに誇りややりがいを持つことができる。そんな理想の工場を作ろうと考えたのです。

採用基準は、ただ一つです。他の工場では採用されない貧しい人、障害者、シングルマザー、親のいない若年層だけを採用しようと考えました。

日本の「菊寄せ」の技術をバングラデシュに継承

とはいえ、創業当初の私たちは、ものづくりに関しては全くの初心者でした。

そこで、バングラデシュの仲間たちとともに、日本の老舗メーカーに丁稚(でっち)奉公して、ものづくりの修行させていただき日本の技術を学びました。

皆さん、お手元の名刺入れをご覧ください。

角にある仕上げの技法は、「菊寄せ」と呼ばれるものです。

▶編集注:「菊寄せ」とは、革製品のコーナー部分(角)に放射状にヒダを寄せ、コーナーに集まるだぶついた革を自然に折りたたんでいく熟練技術。仕上がりが菊のような紋様になるためこのような名前がついた。(一般社団法人 日本皮革産業連合会『皮革用語辞典』より)

切って縫い合わせるほうが効率的ですが、非効率的でも想いを込めて「日本の技術」を継承しています。

読み書き、就業未経験者に技術を伝える独自の体制

このようにして日本で習得した技術をバングラデシュに持ち帰り、私たちはものづくりを始めました。

そして、少しずつ貧しい人々を仲間として迎え入れました。

それからは創意工夫の連続でした。

働いた経験のない人ばかりの工場です。通常の生産ラインは組むことができません。

そのため、生産工程をかなり細かく分け、技術を習得できる独自の生産ラインを組みました。

また、読み書きのできない人々も働いているためマニュアルを作ることができません。

そのため、4人1組のチームを作り、技術を習得できる独自の体制をつくりました。

障害のあるメンバーが車椅子で働ける環境も整えました。

このようにして創意工夫を続けながら、技術も経験もない人々でも日本と同じレベルのものづくりができる、新たなソリューションを実現したのです。

ビジネスシーンに勝機を見出だす

そして、その商品をどのようにしてお客様に届けるのか?

下請け工場としてのOEMも考えましたが、私たちの工場ではコストに見合いません。

▶編集注:OEM(オーイーエム)とは、Original Equipment Manufacturing(Manufacturer)の略称で、他社ブランドの製品を製造すること。(ECのミカタ より)

そのため、SPAの形で自社のオリジナルブランドを作ることにしました。

▶編集注:SPA(エスピーエー)とは、specialty store retailer of private label apparelの略称で、製造小売業を意味し、企画から製造、小売までを一貫して行うアパレルのビジネスモデルのこと。(コトバンク より)

しかし、革製品市場は既にレッドオーシャンでした。

しかも私たちは後発でノンブランド。それでも戦えるポジショニングを考え、たどり着いた答えは「ビジネスシーン」でした。

ビジネスシーンはブランドに対する個人の嗜好が入りにくい聖域で、ノンブランドでも戦える可能性があると考えました。

そして、ビジネスシーンに特化した「Business Leather Factory(ビジネスレザーファクトリー)」が誕生したのです。

ECからスタートし、2016年に第1号店をオープン

最初はECからスタートし、楽天では賞(楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー2015「CSR賞」)も頂きました。

▶編集注:ショップ・オブ・ザ・イヤーとは、お客様による投票数、年度の売上、売上の成長率、注文件数、お客様対応などから年間のベストショップが選ばれる、楽天市場の表彰制度のこと。(楽天市場 より)

そして、実際にお客様に商品を手に取っていただきたいという想いから、たった数日間の期間限定店の出店を何度も積み重ねました。

そして2016年に、記念すべき第1号店である福岡天神店をオープンしました。

“エシカル”ではなく、商品やサービスで勝負

私たちは敢えて“エシカル”というコンセプトを打ち出さず、商品やサービスで勝負しています。

▶編集注:エシカル(ethical)とは、直訳すると「倫理的な」という意味で、近年では地球環境や人、社会、地域に配慮していることを表す形容詞として使われるようになった。日本ではエシカルな考え方に基づく消費「エシカル消費」が注目され始めている。(Sustainable Japan より)

店頭で最短5分でできる刻印サービスは、多くのお客様にギフトとして選んでいただけるようになりました。

試行錯誤を続け、関東・関西への出店が続きました。

たった2人から始まった現地工場は、800人を超える規模に

多くのお客様に商品を届ければ届けるほど、バングラデシュの仲間たちも増えていきました。

2017年からは、毎年、100人以上いる日本のメンバー全員がバングラデシュの工場を訪れるツアーも行っています。

大きな投資ですが、これには大切な意味があります。

お互いに顔が見える関係になること、ひとつひとつの商品に込められた想いを知ること、そして自分の仕事は誰かの役に立っていることを知ることで、仕事に対する誇りや、やりがいが生まれるのです。

私たちは作り手の想いをのせて、多くのお客様に商品を届けてきました。

そして創業から6年で、日本全国18店舗まで拡大することができました。

たった2人から始まったバングラデシュの工場では、今では800人以上の仲間たちが職人として働いています。

冒頭で紹介した女性は、実は私たちの仲間です。貧しかった彼女の人生は、少しずつ豊かになりました。

彼女のような仲間を、これからさらに増やしていきたいと考えています。

しかし、それが最終目標ではありません。

皆がともに働き生きる「ヴィレッジ構想」

私たちの未来はもっと壮大です。

雇用を創出することは最初の一歩。私たちは働く場を作るだけでなく、食事を提供できる食堂や、教育・医療の機会もつくっていきます。

実際に工場内に託児所をつくり、今年(2020年)アフタースクールも始めました。

▶編集注:アフタースクールとは、放課後、共働き家庭などの児童を校内で引き続き預かる学童保育のこと。

働くことも生きることもできる、ひとつの大きな村のようなコミュニティ。私たちはこれを「ヴィレッジ構想」と呼んでいます。

近い将来、このヴィレッジにお客様をお連れするツアーも始めようと思っています。

想いを込めて製品をつくり、より良い社会を共創する

すべての働く人々が互いに顔の見える関係になる。商品に込められた想いを知る。生産者と消費者が繋がりそこに新しい価値が生まれます。

バングラデシュと日本でロールモデルをつくり、このモデルを世界中に広げていきます。

働きたくても働けない貧しい人々が存在する地域で生産拠点を作り、販売拠点を拡大していきます。

これが私たちの未来です。

もう一度、この名刺入れをご覧ください。

多くの人々の想いが込められています。

ものづくりは世界共通です。

想いを込めて作ること。そして人々の想いが繋がり、より良い社会を共創していくこと。それが私たちの描くクラフテッド(CRAFTED)です。

ご清聴ありがとうございました。

▶︎実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/浅郷 浩子/フローゼ祥子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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