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「Far Yeast Brewing」は、多様性を追求して、“再現性のないビール”造りに挑む(ICC KYOTO 2020)【文字起こし版】

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ICCサミット KYOTO 2020 CRAFTED カタパルトに登壇いただき、2位入賞した、Far Yeast Brewing 山田 司朗さんのプレゼンテーション動画【「Far Yeast Brewing」は、多様性を追求して、“再現性のないビール”造りに挑む】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回200名以上が登壇し、総勢900名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2021は、2021年2月15日〜2月18日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2020 プレミアム・スポンサーのLexus International Co. にサポート頂きました。

【速報】本革のものづくりに“想い“を込めて──貧困国の雇用創出に取り組む「ビジネスレザーファクトリー」がCRAFTED カタパルト優勝!(ICC KYOTO 2020)


【登壇者情報】
2020年9月1〜3日開催
ICCサミット KYOTO 2020
Session 7A
CRAFTED CATAPULT
豊かなライフスタイルの実現に向けて
Sponsored by Lexus International Co.

山田 司朗
Far Yeast Brewing株式会社
代表取締役

1975年生まれ。大手VCでキャリアをスタートし、オン・ザ・エッヂ(後のライブドア)などでファイナンス・経営企画を担当。2005年、イギリス・ケンブリッジ大学にてMBA(経営学修士)を取得。足掛け3年間の欧州生活中に多様なビール文化に触れる。帰国後、起業準備期間を経て、2011年にFar Yeast Brewing株式会社を設立。「馨和 KAGUA」「Far Yeast」は現在世界19カ国で販売されている。醸造所のある山梨県を拠点に、直営飲食店を展開する東京・熱海・福岡、輸出先の海外各国を飛び回る生活を送っている。


山田 司朗さん こんにちは。Far Yeast Brewingの山田です。

Far Yeast Brewingは、山梨県小菅村(こすげむら)でクラフトビールを造っています。

本日は、「クラフトビールのスタートアップが漂流の末に見つけたもの」というテーマで、お話をしたいと思います。

2011年、賃貸自宅・契約醸造でスタート

2011年に会社を創立した当初、この業界においてスタートアップは珍しいことでした。

私自身がドットコム企業(※)出身で、異業種からの参入という点も話題になりました。

▶編集注:インターネットビジネスを展開するベンチャー企業のこと。

自前の工場はなく、契約醸造という形で、自宅でスタートしたことも大変珍しいことでした。

最初に造ったビールは、コンセプトが明確でした。

世界中で和食が人気であり、当時は特にハイエンドな和食への評価が高まっていました。

そのため、「和の食卓に映えるビールを世界に発信したい」という想いで、ビール造りをスタートしました。

その結果、誕生したのが「馨和 KAGUA」です。

大きな成果があり、2013年には国際線のファーストクラスのドリンクメニューにも採用されました。

【Press Release】「馨和 KAGUA」 ANA国際線ファーストクラスのドリンクに採用(Far Yeast Brewing Company)

9年間で売上計画の半分。目標ははたして正しいのか?

しかしながら、商売としての理想とは、ほど遠い側面もありました。

スライドは、創業時の事業計画です。

6年で10億円の売上になるという計画でした。

ドットコムの世界から考えると当然のスピード感であり、株主からのプレッシャーのもと、とにかく会社を大きくしたいという思いが強くありました。

しかし、実際には、9年間続けても、売上は計画の半分にも届きませんでした。

リアルビジネスは甘くない、ドットコムと違って時間がかかる、ということを痛感した日々でした。

マーケットを見ると、日本のビール類の市場規模は15年連続で減少しています。

世界中の先進国でも同様です。

やはり、消費者がモノトーン化されたビールをつまらないと感じているからではないでしょうか。

このような状況で、会社を大きくすることが目標でよいのかどうか、あるいは日本において5番目の大手ビールメーカーが本当に必要とされているのか、疑問に思う日々でした。

規模の追求ではなく、多様性を目指す

「馨和 KAGUA」の輸出先は20カ国ほどあり、様々な国に出張する機会がありました。

その際、海外のビールファンから多くのことを学びました。

まず、クラフトビールの需要は伸びている、そして何より“多様性”が楽しいということ、求められているのは“多様性”であって規模の追求ではないと気づかされたのです。

文化を一緒に創っていくことが求められているのではないでしょうか。

そう考え、2015年に、会社のミッションを設定しました。

「Democratizing Beer ビールの多様性と豊かさをもう一度取り戻す。」というミッションのもと、会社を再出発させました。

北ヨーロッパに似た気候の山梨に工場を建設

このミッションを遂行するための答えを探して、東京のオフィスを離れ多摩川を遡りました。

遡りすぎて、東京を少し越えて山梨県にまで行き着きました。

多摩川の源流がある、山梨県小菅村です。

清浄な空気と豊かな水源があり、ビール文化の中心地である北ヨーロッパに似た気候だと思います。

落ち着いてビール作りに集中できる、大変よい環境だと思います。

そして、念願の自社工場が完成しました。

クラフトビールメーカーとしては比較的大規模な3キロリットルのシステム、最新の遠心分離機も導入しています。

瓶内二次発酵(※)というユニークな製法でビール作りに取り組んでいます。

▶編集注:最初の発酵を終えたビールを瓶詰する際に酵母と糖分を加え、瓶内で発酵・熟成させる製法のこと。ベルギーで古くから用いられており、ボトルコンディションとも言う。

今年(2020年)の4月には缶ビールも発売しました。

成城石井さん、ナチュラルローソンさんでもお取り扱いいただいております。

2010年台でクラフトビールの多様性が激増

しかしながら、これだけではなかなか難しい側面もあります。

こちらはビール醸造所数の推移です。

この9年で、アメリカでは5倍以上、日本でも2.5倍に急増しています。

まさにカンブリア爆発とも言える状況で、クラフトビールの多様性が激増しています。

▶編集注:古生代カンブリア紀の初頭(約5億4千万年前~5億年前頃)に、突然今日見られる動物の門の多くが出現した現象で、世界中で急激に種の多様化が進んだと考えられている。

競争が激しくなる中、生き残るためには「Far Yeast Brewingでないとできないビール」というのが必要ではないか、と考えています。

桃を使ったビールやクラフトジンで他にない酒を生み出す

ここからは、生き残るために行っている様々な取り組みのご紹介です。

こちらは、地元山梨の桃を使った「PEACH HAZE(ピーチヘイズ)」というビールです。

6,000リットルを作り、予約段階で完売しました。

また、蒸留酒にもチャレンジしています。

九州を代表する酒蔵である、福岡県の喜多屋さんとのコラボレーションによって、クラフトジン「KAGUA GIN」を作りました。

クラフトビールを原酒にしたクラフトジンが登場 Far Yeast Brewingと喜多屋の初コラボ 「KAGUA GIN」を5月中旬より発売

将来は、自社の蒸留設備を持ちたいと考えています。

200年前の製法に基づいた“再現性のないビール”

また、将来に向けて長期的に取り組んでいるのが、微生物ビールです。

ほんの200年前まで、ビールは様々な微生物を活かして作られていました。

ところが、現代ビールは無菌状態の中で作られ、徹底した洗浄と殺菌によるクリーンビールとなっています。

我々のチャレンジは野生酵母、乳酸菌、バレル(木樽)に住み着いた微生物などを使い、複雑なフレーバー、たとえば時には酸っぱさもあるような独特のフレーバーのビールを作ることです。

再現性のなさが、面白さです。

独自のノウハウで、ブレンディングや木樽の管理をしています。

現在、60バレルを保有し、ビールを熟成中です。

昨年(2019年)の11月に、微生物ビールは、「馨和 KAGUA」「Far Yeast」に続く、第3のブランド「Off Trail (オフトレイル)」としてローンチされました。

“踏み固められた道を外して進む”というコンセプトです。

賃貸住宅で、たった一人で始めた会社が、今ではチームになっています。

リアルビジネスは、一朝一夕には成し遂げられません。

チャレンジはこれからも続いていきます。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください!

(終)

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編集チーム:小林 雅/フローゼ 祥子/浅郷 浩子/戸田 秀成/中村 瑠李子

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