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乳酸を計測できるウェラブルデバイスで、心臓リハビリを簡便で効果的なものにする「グレースイメージング」(ICC KYOTO 2021)【文字起こし版】

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ICC KYOTO 2021 カタパルト・グランプリに登壇いただいた、グレースイメージング 中島 大輔さんのプレゼンテーション動画【乳酸を計測できるウェラブルデバイスで、心臓リハビリを簡便で効果的なものにする「グレースイメージング」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。毎回250名以上が登壇し、総勢800名以上が参加する。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。 次回ICCサミット FUKUOKA 2022は、2022年2月14日〜2月17日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページをご覧ください。

本セッションは、ICCサミット KYOTO 2021 プラチナ・スポンサーのAGSコンサルティング様にサポート頂きました。

【速報】経営管理データを迅速に一元化できるプランニング・クラウド「Loglass」がカタパルト・グランプリ優勝!(ICC KYOTO 2021)


【登壇者情報】
2021年9月6〜9日開催
ICC KYOTO 2021
Session 6A
カタパルト・グランプリ
– 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

中島 大輔
株式会社グレースイメージング
代表取締役CEO

1982年福岡県大川市生まれ。2008年慶應義塾大学医学部卒業。2015年慶應義塾大学医学研究科修了。大学院在籍時に汗中乳酸をリアルタイムに計測可能な技術に出会い、2018年同技術の展開を行う‘グレースイメージング’創業。脈拍や体温の様な、普段人が目にする人体のバイタルデータに、近年医療やスポーツ運動領域への適応を目論んで開発がすすむバイオセンサのデータが加わる未来を目指す。同社は東京都先端医療機器アクセラレーションプロジェクトに採択され、まずは医療機器承認およびスポーツでの展開を目指し機器開発を行っている。医師・博士(医学)・整形外科専門医・脊椎脊髄病指導医・現慶應義塾大学医学部整形外科学教室特任助教。


中島 大輔さん  皆さんこんにちは、グレースイメージングです。

我々は、疲労物質である、汗の中の乳酸を計測できる化学センサを用いた、新しいリハビリテーションを提供します。

心臓リハビリの事業開発を行う医学部発スタートアップ

まず会社説明をします。

スライドの右下にあるようなハードウェアを開発したスタートアップです。

いわゆる大学発スタートアップで、これまで主に厚生労働省や東京都の補助金を受け開発をし、ものづくりに関してはソニーのサポートを受けています。

疲労物質である乳酸が分かると何が嬉しいの?ということに対し、これまで多くのヒアリングを重ねてきました。

世の中に多種多様なトラクションがあることを既に確認していますが、現在我々は、医療、特に運動リハビリテーションの一つである心臓リハビリにて、事業開発を行っています。

心不全による死亡者数が20年で2倍に増加

まずペインについてですが、こちらは、血管が詰まる病気の死亡者数のデータです。

脳や心臓の血管が詰まる脳梗塞、心筋梗塞の死亡者数は、カテーテル治療の進化により激減しています。

その結果、日本における診療報酬は減少しています。

一方、心臓が弱った状態で生き延びた結果、心不全による死亡者数が急増しており、心不全パンデミックと呼ばれています。

約20年で2倍に急増しています。

▶参考:心不全は毎年1万人ずつ増加 心臓からのSOSを見逃さない 「心不全パンデミック」を回避 | ニュース | 一般社団法人 日本生活習慣病予防協会 (seikatsusyukanbyo.com)

ソリューションは非常にシンプルです。

運動すれば心事故が回避できるということで、日本では、運動療法の値付けが何度も改定、拡大されてきました。

一方、運動療法はたった7%にしか浸透していません。

これにはいろいろな原因があります。

実際の心臓リハビリプログラムを見て頂きましょう。

心臓リハビリプログラムで行われているCPX検査の現状

日本では6カ月間のプログラムとなります。

心疾病を発症、心機能が低下して入院し、その後、外来に移行しますが、その過程でリハビリを行います。

月に1回、その時々の最適な運動負荷量を、CPX検査(心肺運動負荷検査)で計測します。

実際のCPX検査では、マスクをした患者さんに自転車を漕いでもらい、安全で、最も効果的かつ適切な運動負荷量となる、ATポイント(※)というものを計測します。

▶編集注:運動が激しくなると、筋肉のエネルギー消費に必要な酸素供給が追いつかなくなり、有酸素運動から無酸素運動に切り替わる変曲点となる運動強度。

計測のために、患者さんはマスクをする必要があり、大変です。

医療従事者もたくさん必要ですし、後ろにある機械も巨大です。

さらに、吐く息を使って計測するので、現在のコロナの交差感染リスクにより、運用が制限されています。

このCPX検査は、日本全国に526ある、ハイボリュームセンターという症例数の多い施設のうち、たった14%にしか普及していません。

心臓カテーテル検査(※)はほとんどの施設で行われているにもかかわらず、です。

▶編集注:心臓や血管に直径約2mmの細い管を入れて圧を計ったり、造影を行う検査で、狭心症、心筋梗塞、不整脈などの診断の代表的な検査・治療法。

残りの86%は感覚的な評価で運動負荷量を決定

では、このCPX検査を行わない場合、医師はどうやって運動負荷量を決めるのでしょうか。

実際に最新のものをお見せします。

ボルグスケール、こちらが最新かつ最も信頼性のある評価法です。

多くの論文で、ゴールドスタンダードとして使用されています。

これはわざとやっている部分がありますが、例えば私なら、「ちょっときついですね、13くらいですかね」といった感じで、感覚的に運動負荷量を決めています。

皆さん、もう少し何とかならないのかと思われていると思いますが、これが今のところの最新なのです。

開発した「汗中乳酸ウェアラブルセンサ」とは

そこで我々は、使い捨ての化学センサチップとハード、アプリからなる、汗乳酸計測ウェアラブルセンサで代替します。

これを使用することで、ATポイントを簡便に計測できます。

昨年、テレビ東京『ワールドビジネスサテライト』の「トレンドたまご」に取り上げられたのですが、レポーターの方に、我々のセンサをつけて走って頂きました。

上腕につけ、運動中の汗乳酸の上昇を簡便に捉えることが可能です。

左は従来のCPX装置でマスクも必要ですが、右のように、上腕にスマホホルダーで我々の装置を装着するだけで、ATポイントを簡便に計測できます。

もう一回言わせてください、これがこうなるのです。

先進技術の進化は、これだけのインパクトを臨床の現場に与えます。

まさにリアルテックです。

汗による計測で簡便かつ効果的なリハビリが可能に

申し遅れましたが、私中島は、弊社の社長であり、慶應義塾大学整形外科の医師でもあります。

こちらはCPX検査の結果のグラフです。

横軸が運動負荷量で、右に行くほどだんだんと自転車のペダルが重くなります。

その過程で、吐く息の二酸化炭素濃度が上昇しますが、この変曲点がATポイントです。

同時に血液中でも、乳酸値が上昇します。

採血は、あまりやりたくありませんよね。

汗で計測すると、これだけはっきりした結果が得られます。

実際の画面が、こちらです。

左がCPX検査で、この程度の変曲点です。

右が我々のセンサによる結果ですが、私は最初にこのデータを見た際、はっきりと変曲点が分かるこの切れ味に、科学者として大変感動しました。

医学的エビデンスも蓄積しています。

汗中乳酸によるLT計測が、CPX検査でのAT計測および血中乳酸によるLT計測とほぼ変わらないことを既に証明しています。

我々は、病院にこのセンサを提供し、システムライセンスおよびチップ部分の代金を頂くビジネスモデルを予定しています。

今後はマルチセンシングによる状態管理システムを構築

ここまではプロダクトの話をしてきました。

プロダクトだけでも十分ビジネスモデルとして成立しますが、我々はここにとどまりません。

乳酸だけではなく、マルチセンシングによる患者さんの状態管理システムを、サービスとして構築する予定です。

このサービスにより、患者さんが疾病を患ってから回復するまでの過程に寄り添ってまいります。

数あるリハビリスタートアップの中で我々の強みは、確固たる化学センサの技術です。

そのため、ニーズがしっかり存在する、もっと検査を行いたい大病院からまず販売を行い、在宅医療等やパートナーリングで展開してまいります。

2023年から心臓リハビリ支援サービスを開始予定

進捗ですが、2021年度でものづくり、プロトタイピングを終了します。

全く新しい世界初の技術であるため、日本で治験を行った上で、2023年から販売を開始予定です。

少しだけ、チームの話をさせてください。

実証試験を行う上でのキーパーソンが循環器医師の勝股先生ですが、彼は私の大学の先輩で強固な関係性を構築しています。

彼は私の盟友ですが、これまでの活動が評価され、この4月より慶應大学内に、彼が実務責任者を務めるスポーツ生理学講座が立ち上がりました。

スポーツ分野の実証実験を展開

事業としては、医療、心臓リハビリが先行していますが、当然スポーツ分野への展開も考えています。

陸上、水泳、サイクリング、EMS装置の実証実験を、月に50例以上行っています。

これらの科学的に大変インパクトのある実証実験を、容易に行える環境があります。

我々はものづくりを行い、大学に搬入、機器開発サイクルを高速で回せるシステムを構築しています。

現在、この試験に関し、パートナーリングを募集しております。

運動負荷、疲労評価、食品サプリメントの評価、各種実証実験の依頼をお待ち申し上げております。

我々はまず運動を可視化し、人のありさまの解明に努めてまいります。

ご清聴ありがとうございました。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/星野 由香里/浅郷 浩子/戸田 秀成/大塚 幸

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