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生産量と資源効率を上げる「DX豚舎」で、養豚業の持続可能性を高める「Eco-Pork」(ICC KYOTO 2022)

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ICC KYOTO 2022 CATAPULT GRAND PRIX(カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い – に登壇いただき4位に入賞した、Eco-Pork 神林 隆さんのプレゼンテーション動画【生産量と資源効率を上げる「DX豚舎」で、養豚業の持続可能性を高める「Eco-Pork」】の文字起こし版をお届けします。ぜひご覧ください!

ICCサミットは「ともに学び、ともに産業を創る。」ための場です。そして参加者同士が朝から晩まで真剣に議論し、学び合うエクストリーム・カンファレンスです。次回ICCサミット FUKUOKA 2023は、2023年2月13日〜2月16日 福岡市での開催を予定しております。参加登録は公式ページのアップデートをお待ちください。

本セッションのオフィシャルサポーターはAGSコンサルティングです。

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【登壇者情報】
2022年9月5〜8日開催
ICC KYOTO 2022
Session 6A
CATAPULT GRAND PRIX(カタパルト・グランプリ) – 強者が勢揃い –
Sponsored by AGSコンサルティング

神林 隆
株式会社Eco-Pork
代表取締役

ミシガン大学経営学(Master of Business Administration)修士課程を成績優秀者として修了。外資系コンサルティングファームにてテレコム領域・自動車業界の経営戦略・新規ビジネスモデル企画などに従事。その後、統計解析・人工知能を活用した新規ソリューション開発を責任者として主導。テクノロジーを活用し、養豚を出発点とした持続可能な循環型食肉文化を構築するため、平成29年11月29日(ニク・イイニクの日)にEco-Porkを創業。


神林 隆さん 株式会社Eco-Porkの神林です。

我々は、「養豚を科学し、テクノロジーで豚肉の未来を創る」、養豚テクノロジーの会社です。

皆様が大好きな豚肉は、世界で約40兆円、国内だけでも6,000億円という、非常に大きなマーケットを持つ産業です。

40兆円の豚肉市場が抱える課題

しかし、大きな課題が2つあります。

1つ目は、「ミートショック」です。

「タンパク質危機」と呼ばれ、需要の拡大に供給が追いついておらず、価格が上昇し続けており、皆様が1人あたり食べられる量が減っているという問題です。

そして2つ目は、「SDGs」、養豚の持続可能性の問題です。

今、畜産、養豚は環境負荷が大きいと考えられているため、環境負荷が小さいと想定される代替肉や培養肉に置き換えられていき、2040年には畜産による肉はマイナーな存在に、2050年には肉が食べられない未来が想定されています。

世界に広がる、新しい食材。「代替肉」について 2021-06-14(インテグリカルチャー)

我々は、この未来を変えるために活動しています。

養豚業を自働化する生産プラットフォームを構築

40兆円産業である養豚ですが、養豚場に実際に行ったことのある方、挙手をお願いします。

(会場を見渡して)おっ、結構いらっしゃいますね。

この写真は海外のものですが、養豚業というこの40兆円の産業には、写真にあるように、データを活用した生産プラットフォームは現在ほとんど存在していません。

他の産業では、例えば野菜は植物工場、魚は陸上養殖など、科学に基づいて、データを活用した生産プラットフォームが構築されています。

我々は、データを使ったプラットフォームを養豚に展開していくことで、生産量と資源効率を改善する「畜産自働化パッケージ」を提供し、未来を創っていこうと考えています。

養豚は、簡単に言ってしまえば、1kgで生まれる豚を120kgまで、わずか半年できちんとボディビルをする産業です。

しかし、15億頭に対して生産者の数が非常に少ないので、ボディビルの過程が、最適化されていない状態です。

しかし、人間のパーソナルトレーナーがつけば、筋肉量はすぐに増えますし、効率が良くなります。

我々は、年間で15億頭生産されている豚にAIのパーソナルトレーナーをきちんとつけると共に、豚の状況に応じて、餌、水、環境を整える自働化パッケージを提供することで、未来を創っていこうと取り組んでいます。

AI/ICT/IoTで豚を生産管理

我々は、生産の全てを可視化し、養豚を持続可能型の産業にするため、様々なプロダクトを展開しています。

Service 生産の全てを可視化し、畜産を持続型産業へ(Eco-Pork)

最初に作ったのは、「生産管理システム(Porker)」です。

まず「生産管理」という概念を導入して、全てのデータが蓄えられるデータレイク(※) を提供し、次にIoTによって豚が育成されている環境が遠隔でも測定、管理できる状態を作りました。

▶データレイクとは、多数のソースからのビッグデータを元のままの多様な形式で保持する中央ストレージリポジトリのこと(talendより)。

そして昨年(2021年)ついに、我々の祖業であるAIを活用した、AI Buta Camera(ABC)を提供し始め、これによって豚の状況と生産状況が、きちんと把握できる状況を作りました。

Eco-Porkは、畜産業務を“見える化”し、持続可能な養豚ビジネスを実現する!(ICC KYOTO 2019)

Eco-Pork、AI自働豚体重測定カメラ国内初の実用化。ジャパンファームにて7月より本格運用開始(PR TIMES) 

豚の体重や体調を個体ごとに自働で集計

具体的に説明すると、このカメラはロボットになっており、豚舎の中をこのように動くことで、頭数、体重、体調の把握が自働で可能になります。

カメラで映された豚は、個体ごとに全身が3Dで測定され、960カ所の特徴量が取得できます。

また、特徴量だけではなく、姿勢や行動も検出することで、見えていない欠損領域も自働で復元します。

そのため、このように豚が動いていても、寝ていても、また重なっていても、きちんと頭数、体重、体調が推計され、データがデータレイクに連携され、どこに何頭いるかだけではなく、いつ出荷するか、どんな品質かも自働で集計されます。

AIというものを使うことによって、我々は「養豚」を「生産管理が可能な状態」に再定義をしました。

「養豚産業のDX化はここから始まる」ということで、“Let’s Start from ABC”という言葉の意味をかけまして、養豚という産業を再構築しているところです。

実証結果については、農業は時間がかかるので、令和2年から4年間かけて、農林水産省、JA、トヨタ自動車などの協力を得て進めています。

Eco-Porkが参画する農水省「令和2年度スマート農業実証プロジェクト」実証課題にて初年度実証を完了。本年度、トヨタ自動車の新規参画によりプロジェクトを加速化(PR TIMES) 

今、36万円分の弊社機器を使っていただくと、7,980万円売上が上がるという実証結果が出ています。

Eco-Porkが参画する農水省スマート農業実証プロジェクト「データ活用型スマート養豚モデルの実証」事業が完了し、生産性13.8%向上の成果を達成(PR TIMES) 

Porkerの国内導入率が約10%に伸長

トラクションです。

皆様が毎日食べている国産豚肉の10%には、我々のテクノロジーが既に使われている状況です。

そしてようやくメディアにも取り上げていただけるようになり、2022年5月の『週刊ダイヤモンド』では、農業プラットフォーマーとして2位をいただきました。

養豚テクノロジースタートアップ株式会社Eco-Pork、週刊ダイヤモンド 2022年農業ツール総選挙において第2位を獲得(PR TIMES) 

海外からもベトナム、タイ国の農林水産省からの引き合いもあり、また色々な企業と提携し、事業を加速させています。

自働体重・体調測定ロボット(ABC)の提供開始。タイ国スマート農業実証事業にも採択(PR TIMES) 

“DX豚舎”で豚肉の持続可能性を高める

我々は今まで個々のシステム販売をしていましたが、他産業と同じく、統合したプラットフォームを世界に展開していこうと考えています。

生産プラットフォームの市場としては、我々がベンチマークとしている世界の植物工場の規模は年間1.7兆円で、東証1部上場企業も20社以上参入しています。

しかし畜産は、野菜の約1.5倍の規模です。

我々は、この新しい2.5兆円産業をきちんと創造し、広げていくことをミッションとしています。  

短期的には、植物工場の畜産版として「DX豚舎」を展開し、豚肉の生産性と資源効率性、持続可能性を高めていきます。

食肉文化も尊重される豊かな社会の構築を

そして新たなチャレンジとして、データプラットフォームを他の一次産業とも連携することで、「データを用いた循環型豚肉経済圏」を創り出すことで、2050年も代替肉だけではなく、肉が食べたいという人の期待に応えられる、食肉文化もきちんと尊重される豊かな社会を構築することをミッションに活動しています。

「食はいのち。次世代に食肉文化をつなぐこと。」、そのために一生懸命活動してまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

実際のプレゼンテーション動画もぜひご覧ください。

(終)

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編集チーム:小林 雅/小林 弘美/浅郷 浩子/正能 由佳/戸田 秀成/大塚 幸

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